アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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ゴーストライダーにとって桜ちゃんは天敵かも……?


第46話 罪なき少女と悪魔

間桐邸の自室で、桜は窓際に立ち、夜空を見上げていた。月明かりが彼女の儚げな横顔を照らし出す。その瞳には、複雑な感情が宿っていた。自分の存在価値、この家での立場、そして未来への不安。それらが渦を巻いて、彼女の心を締め付けていた。

 

「桜、君はもっと自分を信じていいんだよ」

 

ドルマムゥの声が、突如として彼女の意識に響いた。その声は、優しくも力強く、桜の心に直接語りかけてくる。

 

「私には...何もできません」

 

桜の声は震えていた。それは自分自身への不信と、周囲からの期待の重さが生み出した震えだった。

 

「そんなことはない。君には大きな可能性がある。ただ、それを引き出す機会がなかっただけだ」

 

ドルマムゥの言葉は、桜の心に小さな波紋を起こした。彼女は、自分の手のひらを見つめる。そこには、蟲たちが残した無数の傷跡が刻まれていた。それは彼女の過去の苦痛の証であり、同時に生きてきた証でもあった。

 

「でも...」

 

桜の言葉が途切れたその時、ドルマムゥの声がより緊迫した調子で響いた。

 

「桜、今は考えている暇はない。慎二とライダーが危機に陥っている」

 

その言葉に、桜の目が大きく見開かれた。兄と自分のサーヴァント。二人の存在が、彼女の中で複雑に絡み合う。

 

「兄さんと...ライダーが?」

 

「そう、新都の路地裏でね。彼らは今、大きな危険に直面している。君にしか助けられない」

 

桜の心臓が早鐘を打ち始めた。恐怖と不安が彼女を包み込む。しかし同時に、何かが彼女の中で動き始めていた。

 

「私に...できるのでしょうか」

 

「もちろんだ。君には力がある。さあ、行こう」

 

その言葉と共に、桜の周りの空間が歪み始めた。彼女は突如として、自室から引き離されるような感覚に襲われた。目の前が真っ暗になり、次の瞬間には冷たい夜風が頬を撫でていた。

 

桜は目を開けた。そこは見知らぬ路地裏だった。狭い路地は月明かりさえ届かず、闇に包まれていた。彼女は一瞬、自分がどこにいるのかさえ分からなくなった。

 

「ここは...どこ...」

 

戸惑いの声が漏れる。しかし、その声はすぐに喉元で凍りついた。目の前の光景に、桜は言葉を失った。

 

路地の奥で、ライダーが壁に押し付けられていた。その首を掴んでいたのは、炎に包まれた骸骨のような存在。その姿は、まるで地獄から這い出してきた悪魔のようだった。

 

「ライダー!」

 

思わず声が漏れる。ライダーの苦しそうな表情に、桜の胸が締め付けられた。そして、その横では兄の慎二が震えていた。彼の顔には、今まで見たことのないような恐怖の色が浮かんでいた。

 

桜は、自分の足が前に出ていることに気がついた。体が勝手に動いているかのように、彼女はゆっくりとその恐ろしい光景に近づいていく。

 

「やめて...お願い...」

 

かすかな声が桜の唇から漏れた。しかし、炎の悪魔はその声に気づく様子もない。ライダーの首を掴む手に、さらに力が込められていく。

 

桜の中で、何かが膨らみ始めていた。それは恐怖でもあり、怒りでもあり、そして何か名状しがたい感情だった。彼女の体が微かに震え始める。

 

「どうすれば...私に何ができるの...」

 

桜の心の中で、その問いが響く。ドルマムゥの声が、再び彼女の意識に届いた。

 

「君には力がある。その力を解放するんだ」

 

その言葉に、桜の体が僅かに反応した。しかし、まだ彼女の中には躊躇いがあった。自分にそんな力があるのか、本当に何かできるのか。そんな疑問が、彼女の心を縛っていた。

 

桜は立ち尽くしたまま、目の前の光景を見つめ続けた。ライダーの苦しむ姿、慎二の恐怖に歪んだ顔。そして、あの恐ろしい炎の存在。全てが非現実的で、まるで悪夢のようだった。桜は震える足で、ゴーストライダーとライダーに近づいていった。路地裏の冷たい風が彼女の頬を撫で、長い紫の髪が風に揺れる。慎二の声が背後から響く。

 

「馬鹿!戻れ、桜!」

 

しかし、桜はその声を無視した。彼女の目には、ライダーを救わなければならないという強い意志が宿っていた。ゴーストライダーの炎が路地裏を不気味に照らす中、桜は一歩一歩前進する。

 

ライダーは、桜の姿を認めると、苦しみの中にあっても必死に声を絞り出した。

 

「サクラ...逃げて...」

 

その言葉に、桜の歩みが一瞬止まる。しかし、すぐに再び歩き始めた。彼女の心の中で、ドルマムゥの声が響く。

 

「恐れるな、桜。君には力がある」

 

その声に背中を押されるように、桜は前に進み続けた。彼女の目には、今までにない決意の色が宿っていた。ゴーストライダーは、ゆっくりとライダーから目を離し、桜の方を向いた。その燃える眼窩が、桜を捉える。炎の髑髏の顔からは、何の感情も読み取れない。しかし、その存在感だけで、桜の足が震えそうになる。桜は、ゴーストライダーの姿を目の当たりにして、一瞬たじろいだ。しかし、彼女の目に決意の色が宿る。ライダーを助けなければという思いが、恐怖を押し殺す。ゴーストライダーの中のジョニーの意識が、桜の姿に反応した。彼の記憶の中で、何かが呼び覚まされる。

 

(この少女...)

 

ジョニーの脳裏に、冬木の路上で自分を起こしてくれた少女の姿が浮かぶ。その時の彼女の優しい声と、心配そうな眼差しが蘇る。

 

(まさか、あの時の...)

 

ゴーストライダーの炎が、わずかに揺らめいた。ジョニーの中で、复讐の炎と、少女への感謝の念が交錯する。

 

桜は、ゴーストライダーの前で立ち止まった。彼女の体は小刻みに震えているが、目は真っ直ぐにゴーストライダーを見つめている。

 

「お願いします...ライダーを、離してください」

 

桜の声は震えていたが、その中に確かな意志が感じられた。ゴーストライダーは、桜を見つめたまま動かない。路地裏に、緊張が張り詰める。慎二は、遠くから妹の姿を見つめ、何も出来ない自分に歯軋りする。ライダーは、必死に桜を守ろうとするが、ゴーストライダーの力の前では身動きが取れない。そして、ゴーストライダーがゆっくりと口を開いた。その声は、地獄の底から響いてくるような低音だった。

 

「お前は...」

 

ゴーストライダーの炎の瞳が桜を捉えた瞬間、ジョニーの意識がその奥底で揺らめいた。彼は自分の中に潜むザラソスに問いかける。

 

「この少女の魂は...どうなんだ?」

 

ジョニーの内なる声に、ザラソスの低く唸るような返答が響く。

 

『人間よ、その少女の魂は...複雑だ。純粋さと闇が混在している』

 

ザラソスの言葉は、いつもの明確さを欠いていた。それは、この悪魔でさえも桜の魂を完全には理解できていないことを示唆していた。

 

「どういう意味だ?」

 

『彼女の魂は、光と闇の狭間で揺れている。純粋な願いと、深い絶望が同居しているのだ』

 

ゴーストライダーの炎が、わずかに揺らめいた。ジョニーの中で、困惑と興味が入り混じる。

 

ザラソスは続ける。

 

『しかし、注意せよ。彼女の中には、我々の理解を超える何かが眠っている』

 

その言葉に、ジョニーは一瞬、戸惑いを覚えた。彼らが出会ってきた数多の魂の中で、ザラソスがこれほど慎重に言葉を選ぶのは珍しかった。

 

ゴーストライダーは、ゆっくりとライダーの首を掴んでいた手を緩めた。その動作は、まるで時間が引き伸ばされたかのようにゆっくりとしていた。ライダーの体が、壁に沿ってゆっくりと地面に滑り落ちる。そして、ゴーストライダーは完全に桜の方へと体を向けた。その炎の瞳が、桜の姿を捉える。二つの存在が向かい合う瞬間、路地裏の空気が凍りついたかのように静まり返った。桜は、その恐ろしい姿に直面しながらも、一歩も後には引かなかった。彼女の目には、恐怖と共に、何か決意のようなものが宿っていた。ゴーストライダーは、ゆっくりと桜に近づいていく。その一歩一歩が、重い運命の歯車が回るかのような重みを持っていた。

 

桜は深く息を吸い、震える声で言った。

 

「私が...ライダーの本当のマスターです」

 

その言葉に、路地裏の空気が凍りつくかのように静まり返った。ゴーストライダーの炎が、わずかに揺らめく。

 

「そして...ライダーが人を傷つけたのは、全て私のせいなんです」

 

桜の目には、決意と共に深い悲しみが宿っていた。彼女は一歩前に踏み出し、続けた。

 

「だから...罰を受けるべきは私です」

 

ゴーストライダーは、動きを止めた。その炎の瞳が、桜を見つめる。ジョニーの意識が、内なる悪魔に問いかける。

 

(ザラソス、この少女に贖罪の瞳(ペナンス・ステア)を使うべきか?)

 

ザラソスの返答は、予想外なものだった。

 

『愚か者め、その必要はない』

 

ジョニーは、その言葉に戸惑いを覚えた。<ペナンス・ステア>は、罪なき者の命を奪い、その血に魂を染めた者に対して行使される。しかし、ザラソスの声には、珍しく迷いがなかった。

 

『この少女の魂に、罪はない。彼女は被害者であり、加害者ではない』

 

ゴーストライダーの炎が、さらに激しく揺らめいた。ジョニーの中で、困惑と理解が入り混じる。

 

贖罪の瞳(ペナンス・ステア)は、彼女には効力を持たない。むしろ、彼女の魂の純粋さゆえに、逆効果になりかねん』

 

ザラソスの言葉に、ジョニーは深い考えに沈んだ。目の前の少女は、自らを犠牲にしてまで、他者を守ろうとしている。その行為自体が、彼女の魂の純粋さを物語っていた。

 

ゴーストライダーは、ゆっくりと桜に近づいた。その動きに、慎二とライダーが身を強張らせる。しかし、桜は一歩も動かなかった。

 

「お前の魂は...罪に染まっていない」

 

ゴーストライダーの声が、低く響いた。その言葉に、桜の目が大きく見開かれた。

 

「むしろ、お前は被害者だ。贖罪の瞳(ペナンス・ステア)を使う必要はない」

 

路地裏に、不思議な静寂が広がった。ゴーストライダーの炎が、穏やかに揺らめいている。桜の目には、驚きと共に、何か安堵のようなものが浮かんでいた。突如として、紫の長髪が闇を切り裂くように揺れ動いた。ライダーが、まるで風を纏ったかのような速さで、ゴーストライダーと桜の間に割って入ったのだ。その動きは、優雅さと危険性を兼ね備えた舞のようだった。

 

「サクラ、今すぐここから離れて下さい」

 

ライダーの声は低く、しかし断固としていた。その言葉に含まれる切迫感は、まるで刃のように空気を切り裂いていた。しかし、ゴーストライダーの炎は、その介入にも揺らぐことはなかった。むしろ、その業火はより激しく燃え上がったかのようだった。

 

「言ってみろ、サーヴァント。この街の人々は、お前に何をしたというのだ?」

 

ゴーストライダーの問いは、まるで地獄の底から響く審判の声のようだった。その言葉の一つ一つが、重い鎖のように路地裏の空気を押し潰していく。

 

「何も知らぬ者たちの魂を、己の糧にしようとした。そのおぞましさが分かっているのか?」

 

ライダーは沈黙を貫いた。その姿は、まるで石像のように動かない。しかし、その目隠しの下で、複雑な感情が渦を巻いているのは明らかだった。

 

「肉体のみならず、"精神"まで怪物なのか、お前は?」

 

ゴーストライダーの言葉は、鋭い刃となってライダーに突き刺さる。その瞬間、桜が一歩前に踏み出した。彼女の目には、決意の炎が宿っていた。

 

「違います!全ては私の責任なんです!」

 

桜の声は、震えながらも力強かった。それは、弱々しい蝋燭の炎が、突如として燃え盛る松明になったかのようだった。

 

「私が……罰を引き受けます……」

 

その言葉に、路地裏の空気が一瞬凍りついたかのように感じられた。ゴーストライダーの炎が、わずかに揺らめく。

 

慎二は、その光景を目を見開いて見つめていた。彼の顔には、恐怖と共に、何か別の感情―驚きか、それとも嫉妬か―が浮かんでいた。

 

路地裏は、まるで時間が止まったかのような静寂に包まれた。その沈黙の中で、三者三様の思いが交錯する。復讐の炎、守護の決意、そして罪の意識。それらが絡み合い、この狭い空間を満たしていった。ゴーストライダーの炎が激しく揺らめき、その声が路地裏に響き渡った。

 

「平穏に暮らす人々を手に掛けることは、決して許されない」

 

その言葉と共に、ゴーストライダーはライダーに向かって手を伸ばした。しかし、その瞬間、予想外の出来事が起こる。

 

突如として、ライダーと桜の姿が霧のように薄れ始めた。まるで幻影が消えるかのように、二人の体が徐々に透明になっていく。ゴーストライダーが手を伸ばした先には、もはや何も残っていなかった。路地裏に残されたのは、ゴーストライダーと慎二だけだった。静寂が訪れ、その沈黙は重く、不吉なものだった。

 

ゴーストライダーの燃える瞳が、ゆっくりと慎二に向けられる。その視線の重みに、慎二の体が小刻みに震え始めた。

 

「ひっ...!」

 

慎二の喉から、か細い悲鳴が漏れる。彼の顔には、今まで見たことのないような恐怖の色が浮かんでいた。慎二は、がくがくと震える足で後ずさりを始めた。その動きは、まるで獲物が捕食者から逃げようとするかのようだった。しかし、彼の逃走は長くは続かなかった。突如として、慎二の足に何かが絡みついた。それは、ゴーストライダーの鎖だった。火傷する程に熱い金属が、慎二の足首を強く締め付ける。

 

「うわっ!」

 

慎二の悲鳴が路地裏に響き渡る。ゴーストライダーは、容赦なく鎖を引いた。慎二の体が、地面を引きずられながらゴーストライダーの元へと引き寄せられていく。

 

「や、やめろ!離せ!」

 

慎二の叫び声が、夜の闇に吸い込まれていく。しかし、ゴーストライダーの動きは止まらない。

 

ついに、慎二はゴーストライダーの目の前まで引き寄せられた。炎の悪魔は、慎二の胸倉を掴み、顔を近づける。その瞬間、慎二は自分の命運を悟ったかのように、絶望的な表情を浮かべた。

 

「ラ、ライダー!助けろ!この役立たずが!」

 

慎二の叫びは、もはや意味をなさない。彼の周りには、ゴーストライダーの炎だけが渦巻いていた。ゴーストライダーの目が、まるで地獄の底から這い上がってきたかのような光を放つ。その瞬間、ジョニーの意識の中で、ザラソスの声が響いた。

 

『さあ、人間よ。この男の罪を暴け』

 

ゴーストライダーの炎が、さらに激しく燃え上がる。その業火は、慎二の魂そのものを焼き尽くそうとしているかのようだった。慎二の目に、絶望と恐怖が満ちていく。彼は、自分の運命から逃れられないことを悟ったかのように、ゴーストライダーの炎の瞳をじっと見つめていた。

 

そして、ゴーストライダーの声が、低く、しかし力強く響いた。

 

 

 

 

──────俺の目の奥を見ろ!(Look into my eyes!)

 

 

 

**********************************************************

 

 

月明かりが窓から差し込む間桐邸の一室。突如として、空間が歪み、桜とライダーの姿が浮かび上がった。二人の体が実体化するにつれ、部屋の空気が微かに揺れる。桜は目を見開いたまま、自分の手のひらを見つめていた。その目には、驚きと混乱が交錯している。ライダーも同様に、周囲を警戒するように視線を巡らせていた。

 

「これは...私の部屋?」

 

桜の声は、まるで夢の中で話すかのように、かすかに震えていた。ライダーは、桜の傍らに立ち、優しく肩に手を置いた。その仕草には、守護者としての強さと、母性的な優しさが混在していた。

 

「サクラ、大丈夫ですか?」

 

ライダーの声は、静かでありながら、どこか切迫感を含んでいた。桜は、ゆっくりとライダーの方を向いた。彼女の目には、安堵の色が浮かんでいたが、同時に何か別の感情―秘密を抱え込んだ者特有の複雑さ―も宿っていた。

 

「ええ...大丈夫よ、ライダー。でも...どうやってここに?」

 

桜の言葉には、疑問の裏に隠された確信があった。彼女の心の奥底で、ドルマムゥの存在が蠢いているのを感じていた。しかし、その事実をライダーに打ち明けることはできない。

 

ライダーは、桜の表情を注意深く観察していた。その目隠しの下で、何か違和感を感じ取っているようだった。

 

「不思議ですね。まるで魔術のようでした。サクラ、何か...感じたことはありませんか?」

 

その問いかけに、桜は一瞬たじろいだ。しかし、すぐに平静を装って答えた。

 

「いいえ...何も。ただ、突然ここにいただけよ」

 

桜の言葉には、微かな罪悪感が滲んでいた。ライダーに嘘をつくことへの後ろめたさが、その声に影を落としている。ライダーは、無言で桜を抱きしめた。その腕の中で、桜は安心感と共に、複雑な感情に包まれた。守られているという安堵と、秘密を抱え込む重圧が、彼女の心の中で綱引きをしているかのようだった。

 

「サクラ...あなたを守ります。どんなことがあっても」

 

ライダーの言葉は、誓いのように強く、同時に慈しみに満ちていた。

 

桜は、その言葉に身を委ねながらも、心の中でドルマムゥの存在を意識していた。彼女の運命は、まだ見えない糸に操られているようで、その先に何が待っているのか、誰にも分からなかった。




気になったんだけど、セイバールートやUBWルートの桜ちゃんがペナンス・ステア受けたらどうなるんだろ?桜ルートはまぁうん……
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