アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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久しぶりにFate/Avengers Assembleを更新!!今回はキャップVSランサーです。



第5話 護る盾と殺す槍

スティーブは衛宮士郎と話した回数は一回限りだが、それでも彼が好青年であり、人の為に行動できる人間である事は分かった。そして同時に、彼は『正義の味方』に憧れている事も分かった。十年前の大火災で自分を救ってくれた養父である衛宮切嗣を尊敬している事が言動の端々から見て取れる。だからこそ、士郎を聖杯戦争に参加させるべきではないとスティーブは考えていた。ストレンジからの話によれば、士郎はこの冬木で行われる第五次聖杯戦争へと参加するようだが、スティーブ、クリント、ナターシャは士郎に迫る危機から守るようにストレンジから言われている。士郎が命を落とす事態となれば相当に厄介な事になると言うが…。

 

「クリント、君は士郎をどう思う?私が見る限りではあの子は何処にでもいる好青年に見えるんだが…」

 

「あぁ、俺が見た感じだとあの坊やは善良な人間だ。十年前の大火災の生き残りらしいが、そんな過去を感じさせない。普通に学校に通い、普通の暮らしをしている。恐らく、辛い経験をしたからこそ、周りの人間に対して優しく接する事ができるんだろう」

 

「そうね、彼を見てると何だか昔の自分を思い出すわ」

 

「二人とも、あまり感傷に浸るのは良くない。今我々がやるべき事は聖杯戦争に備える事だ。あの少年は聖杯戦争とは無関係なんだ。少なくとも今の所はな」

 

「……そうだな」

 

「分かってるわよ」

 

そう言いつつも、三人ともどこか複雑な気持ちを抱えていた。三人はもしもの事態に備えて自分達がヒーローとして活動する際の『コスチューム』に着替えている。そしてそれから数十分が経過し、ようやく弓道部の部室の扉を開けて士郎が出てきた。スティーブ達は隠れているのは士郎には気づかれていない。

 

「やっと出てきたな。全く、あの広さの部室の清掃を押し付けられるなんざお人よしな坊やだぜ」

 

クリントは呆れた様子で言う。

 

「どうやら彼はクラスメイトから武士の掃除を押し付けられたらしい。私も彼に手伝おうかと言ったんだが断られたよ」

 

スティーブは一人で部室の清掃を終えた士郎を見ながら感心したように言う。後は士郎はこのまま家に帰るだろうから、自分達は士郎の後を付けて彼を危険から守るだけ…

 

その時、劈くような衝撃音が学校の校庭から響いてきた。衝撃音は微かな風圧を纏ってこちら側にまで伝わり、スティーブ、クリント、ナターシャの足元にまで振動となって伝わってくる。

 

「何事か!?」

 

「まさか聖杯戦争が始まったのか!?」

 

「一体どこで!?」

 

3人は驚愕した表情を浮かべる。しかし彼らの疑問に答える者はいなかった。士郎も学校の校庭から響いてきた衝撃音に驚き、急いで校庭まで走っていく。

 

「キャップ!あの坊主が校庭まで走ってくぞ!」

 

「我々も行こう!シロウを危険から守るんだ!」

 

キャップ、ホークアイ、ブラックウィドゥは士郎に気づかれないように、後を付けながら校庭の方に向かった。そして学校の校庭では人知を超えた戦いが繰り広げられていた。

 

紅い槍をもった青い外套の男と、双剣を持った赤い外套の男が剣戟戦を繰り広げていたのだ。

 

そしてその戦いを見守る少女が目に入った。遠坂凛である。凛は青い外套の男と、赤い外套の男の戦いを見守っている。あの槍と、人間とは思えない身体能力を発揮するのを見る限り、キャップは彼こそが聖杯戦争で召喚されるランサーのサーヴァントであると推理する。ランサーは音速にも達しているであろう刺突を赤い外套の男に連続で放つ。

 

しかし赤い外套の男は巧みな剣捌きでランサーの攻撃を弾き、回避していく。

 

「アーチャー!」

 

凛が赤い外套の男に向かって叫んだ。という事は赤い外套を着た褐色肌の男がアーチャーらしい。キャップ達がランサーとアーチャーの戦いを見守る中、士郎も二人の戦いから目が離せないでいた。

 

ランサーは容赦のない刺突をアーチャー目掛けて繰り出す。それに対して、アーチャーは冷静さを保ちつつ、攻撃を双剣で捌きながら反撃の機会を窺っていた。

両者の攻撃速度は音速を優に超えており、常人の動体視力ではとてもではないが視認できない。

 

そして二人の攻防は数分に渡って続いた。そしてランサーは一旦アーチャーと距離を取り、槍を構える。すると周囲の大気が一気に張り詰めていく。そして変化はそれだけではなかった、ランサーが持つ槍には禍々しいエネルギーが集まっていくのが見える。ストレンジからの話によれば聖杯戦争に召喚されるサーヴァント達は宝具という逸話にちなんだ必殺の武器を持っているという。という事はあのランサーは宝具を使おうとしているのだろう。

 

ランサーの槍に集まる魔力に、キャップ、ホークアイ、ブラックウィドゥも警戒する。

 

「あれがサーヴァントの戦闘力か…。正直私達3人では厳しいかもしれない。ハルクやソーが来てくれれば違うのだが…」

 

「そうね、私達の装備じゃあ彼らと戦うのはちょっと厳しいかも…」

 

キャップとウィドゥはランサーとアーチャーの戦闘を目の当たりにして思わず弱音を吐いてしまう。その時、ランサーとアーチャーの戦闘を見ていた士郎が地面にある木を踏んでしまう。

 

「誰だ!?」

 

宝具を使用しようとしていたランサーは士郎の存在に気付いた。そして士郎はその場を離れ、学校の校舎の中へと入っていく。するとランサーはアーチャーとの戦闘を中断し、校舎に走っていった士郎を追いかけ始めたではないか。

 

「不味いぞ…!あの紅い槍を持った男がシロウに気付いた!」

 

「おいおい、戦闘を中断してまであの坊主を狙うのかよ!」

 

ランサーは凄まじいスピードで校舎の中に入っていく。そしてキャップもランサーと士郎の後を追うべく、全力疾走で校舎の中へと入って行った。1マイルを一分で走り抜けるキャップのスピードはランサーにも劣らないだろう。キャップは全速力で士郎の後を追い、勢いよく校舎の中へと入って行った。

 

 

 

 

*********************************************************

 

 

 

「ハァハァハァ…!何だよあいつ等は…!?」

 

士郎は自分が見た光景が信じられなかった。何故自分が校舎の中へと逃げ込んでしまったのかは分からないが、とにかく今は逃げなければならなかった。士郎は息切れしつつ自分の後ろを見てみる。

 

「追ってきては…ないよな…?」

 

士郎は背後を確認し、誰も追いかけてきていない事を確認する。とりあえずは安心できたが、士郎は自分がとんでもない事に巻き込まれてしまった事を悟った。

 

「校庭で戦っていたあの二人は一体何なんだ…?」

 

そう思っていると後ろから声を掛けられた。

 

「よぅ坊主」

 

後ろを振り返ると、そこには校庭で戦っていた紅い槍を持った男が立っていた。

 

「戦いを見られたんじゃ仕方ねぇ。悪いが死んでくれや」

 

男は槍を構えながら士郎に近づいてくる。その男の顔は、まるで猛獣のような顔つきだった。

 

「うわぁあああっ!!」

 

男の姿を見て恐怖を感じた士郎は逃げようとするが、男の方が行動が速く、既に男の槍の穂先が士郎の心臓を突き刺すべく動いていた。

 

――――――――死ぬ

 

そう思った士郎は、後ろから飛んでくるフリスビーのような円形の金属が横を掠める事にも気付いていなかった。そして赤い槍を持った男は自分目掛けて飛んできたフリスビーのような円形の金属を槍を使って弾き飛ばす。

 

「誰だ!?」

 

紅い槍の男が叫んだ先には、百九十センチはあろうかというギリシャ彫刻を思わせる程の逞しい肉体を持つ、青を基調としたコスチュームを着た男が立っていた。

 

「その子に手を出すな」

 

士郎は後ろに立つ男の言葉と同時に動いた。そして紅い槍を持った男に弾き飛ばされたフリスビーのような円形の金属は青いコスチュームを着た男の手元に戻ってきた。

 

「シロウ、私の後ろに隠れているんだ」

 

「え…?何で俺の名前を…?」

 

士郎は男が何故自分の名前を知っているのか疑問に思ったが、とりあえず言う通りにする事にした。そして紅い槍を持った男がこちら側に殺気を飛ばしてくる。

 

「邪魔すんじゃねぇよ、聖杯戦争を目撃した奴は消すってのがルールなんだよ」

 

「それはお前達の都合だろう。私達はこの子を守るだけだ」

 

「へっ、まあいい。どっちにしても目撃者は殺す事にかわりはねー」

 

紅い槍を持った男は青いコスチュームの男目掛けて凄まじいスピードで踏み込んできた。

 

 

 

**************************************************************

 

 

それは余りにも対照的な二人だった。お互いに青を基調としたコスチュームを着ながらも、片や『護る為の盾』を使い、片や『殺す為の槍』を使う。守護者と殺戮者、護る者と殺す者、正反対の二人はお互いに一歩も譲らない戦いを繰り広げていた。

キャップはヴィブラニウムの盾を用いてランサーの槍の刺突攻撃を巧みに防いでいく。キャップは自分の経験、直感、動体視力をフル稼働して音速に達するランサーの刺突の嵐を捌いていく。

 

「やるじゃねぇか…!見たところサーヴァントでもねぇようだが…テメェは何モンだ?」

 

が、自分の攻撃を防いでいるキャップに対してランサーは不敵な笑みを浮かべる。まだまだ本気には程遠いという事だろうか。ランサーは一旦キャップと距離を取り、再びキャップに向かって突進してきた。

 

「オラァッ!!」

 

「く……!なんてスピードなんだ……」

 

ランサーは凄まじいスピードで突っ込んでくると、そのまま連続で突きを繰り出してきた。しかし、その攻撃はあくまでも牽制だった。ランサーは一気に間合いを詰めると渾身の一撃を放つ。

 

「喰らいな!!」

 

だがその時、キャップは手に持っていた盾を自分の前に突き出した。すると、キャップの盾はランサーの槍の刺突を跳ね返したではないか。

 

「ヴィブラニウムの盾を甘く見ない事だ」

 

そしてキャップは盾を用いてランサーに攻撃を仕掛ける。キャップはランサーに向けて盾を振り下ろすが、ランサーはバックステップでキャップの攻撃を回避し、キャップとの間合いを取る。

 

キャップはランサーに追撃を仕掛けるべく前に出るが、ランサーは再び槍を構え直すとキャップに突撃する。そしてキャップの目の前でランサーは急停止し、キャップの目と鼻の先で槍を回転させ始めた。

 

「!?」

 

キャップはランサーの行動を見て一瞬驚くが、すぐに冷静さを取り戻すと、ランサーの槍の回転を止める為にシールドを前に構えた。

 

「無駄だよ」

 

キャップはランサーの槍の回転する速度を落とそうと試みるが、ランサーの槍の速度は一向に落ちなかった。

 

「……!?」

 

「言ったろ?俺は神の血を引いている。だから俺の槍は誰にも止められねぇ」

 

そして次の瞬間、凄まじい衝撃波が廊下全体に広がった。

 

「ぐ……!?」

 

「うわぁあああっ!!」

 

その衝撃によって、士郎は思わず尻餅をつく。キャップも衝撃波によって廊下の壁に叩きつけられてしまった。しかしキャップはこの程度では終わらない。

 

「成程…これがサーヴァントの力か。だがこの程度で私を打ち負かそうなどとは思わない事だ」

 

キャップはそう言いながら体勢を立て直し、再びランサーへと向かっていく。

 

「ほぅ、まだやる気なのか」

 

「当然だろう」

 

キャップはランサーに再び接近するが、ランサーは先程よりも更に激しい刺突の嵐をキャップ目掛けて繰り出してきた。咄嗟に盾で防ぐキャップだが、攻撃の激しさは先程の比ではない。

 

「ぬぅ……!」

 

「そら、どうした?」

 

キャップはそのあまりの猛攻に反撃する事ができない。超人血清によって人間の限界レベルの身体能力を手に入れたキャップであるが、サーヴァントが相手では分が悪い。

 

「ハァ……ハァ……!このままだとマズイ……!何か手を考えなければ……!」

 

「何を考えているのか知らねぇが、そんな暇があると思うなよ」

 

そしてキャップは、ランサーの猛撃の前についに膝をついてしまう。

 

「ハァ……!うう……!!」

 

(まずいぞ……!この男、強い……!!)

 

「終わりだな」

 

「……今だホークアイ!!」

 

キャップがそう叫んだ直後、キャップ後ろの教室に隠れていたホークアイが教室の入り口から身を乗り出すと同時に放った複数の矢が青い槍兵へと飛来する。が、放った矢はまるで見えない壁に遮られるかの如く、ランサーの手前で弾き飛ばされてしまった。

 

「嘘だろ…?バリアーでも張ってるのか?」

 

教室から出てきたホークアイが驚く。

 

「やめとけ、生まれつきでな。飛び道具は効かねぇんだ」

 

「そうかよ…ならこういうのはどうだ!?」

 

クリントは素早く矢筒から矢を取ると、ランサー目掛けて放つ。が、目標はランサーではなく、ランサーの周囲の床と、廊下の壁だった。

 

「ヘッ!どこを狙ってやがる!」

 

ランサーは床や壁に矢を放ったホークアイを小馬鹿にしたように言う。が、その時、床や壁に刺さった複数の矢から電流が発生し、電流がランサーの身体を包み込んだ。

 

「…!?これは…!?」

 

「よく覚えとけ槍野郎!標的に直接命中させるだけが矢じゃねぇんだよ!」

 

ホークアイは自分の矢に様々なギミックを付ける事ができ、ランサーの周囲に放った矢は放たれる電流によって対象を拘束する目的で使われる。

 

「ぐ……!!」

 

「よし、上手くいった!!」

 

「なんてな…。こんな電流如きで俺を拘束できたつもりか?」

 

ランサーは不敵に笑うと、自分の周囲を覆う電気の檻を強引に突破する。

 

「チッ……!やっぱりダメか……!」

 

ホークアイは舌打ちすると、ランサー目掛けて矢を放ち続ける。しかし矢はランサーの手前で弾かれてしまい、全く効果がない。

 

「無駄だっつーの」

 

「私が相手だ!」

 

キャップは盾を構えて再びランサーに向かっていく。

 

「テメェも懲りねぇ奴だ」

 

ランサーは呆れたような表情を浮かべると、キャップの盾に向けて槍を突く。

 

「何度やっても結果は同じだ」

 

キャップは再びシールドを使ってランサーの槍の刺突を防ぐが、ランサーは自分の腕力だけでキャップを身体ごと後ろに吹き飛ばした。

 

「ぐ……!!」

 

「テメェの盾は確かに頑丈だが、俺の槍の威力を防ぎ切る事はできねぇ。そんじゃ終いにしてやる。テメェには敬意を表して宝具で殺してやるよ…!」

 

そう言うとランサーは槍を構える。校庭でアーチャーに向けて放とうとしたあの技…宝具を使う気だ。

 

「あれは……まずいな……!」

 

キャップはランサーの槍の構えを見て焦燥感を抱く。

 

「このゲイ・ボルクはどんな相手だろうと逃がさない。心臓を貫かれた者は、例外なく死ぬ。テメェもこのゲイ・ボルクで…」

 

そう言おうとしたランサーはふと後ろを振り返る。すると自分の後方二十メートル先は先程校庭で戦っていたサーヴァント…アーチャーが矢で自分を狙っているではないか。

 

ランサーが後方に気を取られた決定的な隙をキャップは逃さなかった。

 

「隙あり!!」

 

キャップはそう叫ぶと同時に、ランサーの顔面に強烈な一撃を喰らわせる。だがサーヴァントであるランサーに対して自分の攻撃がどの程度通っているのかは疑問だった。

 

「おい、なんだそりゃ?」

 

「…!?」

 

ランサーはキャップの腹に蹴りを入れ、キャップを廊下の壁に叩きつける。

 

「ぐあ……!!」

 

「人間にしちゃ中々いいパンチだ」

 

「ぐ……!」

 

「だが、その程度でこの俺は倒せねぇ」

 

「ハァ……!うぅ……!」

 

キャップは何とか立ち上がろうとするが、ダメージが大きく、なかなか立ち上がる事ができなかった。

 

「どうした?もう終わりかよ?」

 

「ぐ……!」

 

「どうやらここまでのようだな」

 

ランサーはキャップの首を掴んで持ち上げる。が、ランサーはキャップに気を取られてしまい、後ろにいるアーチャーについては失念していた。

 

「今度こそ隙ありだ」

 

その言葉と同時に、アーチャーが双剣を持ってキャップの首を掴んでいるランサーに斬り掛かった。




「キャップ達弱くね?」という声もあるかもしれないですが、サーヴァントの戦闘力を考えればぶっちゃけキャップやクリントでは荷が重いと感じてこのパワーバランスにしました。原作でのランサーのスペックを考えればこれでもキャップ達に華を持たせている方なんで…(;^ω^)
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