アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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ついに開戦です。


第63話 パニッシャーVS言峰綺礼

スティーブは、長年の戦いの中で数多の非道を目にしてきた。しかし、目の前に広がる光景は、その全てを凌駕する悪意に満ちていた。

 

棺の中で蠢く子供たちの姿は、もはや人の形を留めていない。生きながらにして魔力を搾取され続け、その魂すら削り取られていく存在。それは十年前の大火災の生存者たちだと直感的に理解した。

 

「これが...教会の名を騙る者の所業か」

 

スティーブの声が、抑えきれない怒りに震えていた。正義の象徴たる盾を持つ手が、無意識のうちに強く握りしめられる。

 

クリントの弓が、既に言峰の心臓を射抜く準備を整えていた。その矢筋には一切の迷いがない。射手の目には、これまでにない殺意が宿っていた。不殺が前提のヒーローといえども、目の前の悪鬼相手にはいつ手元が狂うかもしれない。クリントもそれを理解しているのか、必死に自制しているようにも見える。

 

「子供たちを...こんな目に遭わせておいて、よくも神の使者を名乗れるな」

 

キャップの言葉には、もはや慈悲の色は微塵も感じられない。それは、第二次大戦の戦場で見た、人類の暗部への怒りに似ていた。

 

言峰は、その非難の言葉を受けても、なお愉悦に満ちた表情を崩さない。むしろ周囲の怒りそのものを、最上の調味料として味わっているかのようだった。地下聖堂に満ちる憎悪と怒りは、この男にとって最高の饗宴なのかもしれない。

 

「正義の味方を気取る諸君が、この地に足を踏み入れるとは思わなかったよ」

 

言峰の声が、地下聖堂に響き渡る。その口調には、皮肉めいた愉悦が滲んでいた。彼の表情は、まるで珍しい実験体を観察するかのように歪んでいく。

 

「異なる世界の戦いに首を突っ込むとは。君たちの正義とやらは、世界の境界すら超えて押し付けられるものなのかな?」

 

神父の言葉には、毒を含んだ蜜のような甘さが混じっていた。その瞳には、この状況を心から楽しんでいるような色が浮かんでいる。暗がりの中で、ランサーが身構えを変える。彼の赤い眼光が、より鋭く、より危険な輝きを放っていた。

 

「聖杯戦争は、この世界に生きる魔術師たちの儀式。そこに異世界の英雄たちが介入する資格があるとでも?」

 

言峰の問いかけは、まるで刃物のように鋭く、しかし同時に深い嘲笑を帯びていた。彼は棺の中で苦しむ魂たちを指差しながら、残虐な微笑みを浮かべる。

 

「それとも...この実験体たちへの同情心か? 実に人間らしい反応だ。だが、それこそが最も愚かな干渉理由というものだよ」

 

地下聖堂の空気が、言峰の言葉と共により重く、より濃密なものとなっていく。その場にいる全員が、この男の狂気が形を成そうとしているのを感じ取っていた。

 

 

それは、発砲された銃弾よりも速かった。

 

パニッシャーの巨体が、弾丸のように言峰へと突っ込む。その動きには、長年の戦闘経験から得た無駄のない殺意が込められていた。100キロを超える重量が持つ破壊力は、人体を容易に粉砕するに足るものだった。

 

しかし、その一撃は決して目標に到達しなかった。

 

「────っ!」

 

言峰の拳が、まるで光のように閃く。それは八極拳という名の、人体破壊を極めた技の結晶だった。パニッシャーの大きな体が、まるで羽根のように宙に浮く。筋肉と骨格が生み出す重量など、この一撃の前では意味を為さなかった。

 

「ぐっ...!」

 

壁に叩きつけられる衝撃が、地下聖堂に轟音を響かせる。パニッシャーの背中が、石壁にめり込むように激突した。

 

凛の碧眼が、恐怖に見開かれる。彼女は言峰の力を知っていた。しかし、この八極拳は、彼女が知る後見人の技をはるかに超えていた。それは、もはや人間の技とは呼べない領域に達していた。

 

「やはり、君も所詮は人間か」

 

言峰の声が、残酷な愉悦を滲ませながら響く。その姿勢からは、今の一撃を放った痕跡すら感じられない。それは、まるで呼吸をするように自然な動作だった。

 

「くそ...っ」

 

パニッシャーが身を起こそうとするが、その体の随所から悲鳴のような音が漏れる。内臓が大きく損傷を受けているのは明らかだった。言峰の拳は、単なる衝撃ではなく、人体の急所を的確に破壊する技術だったのだ。

 

「まだ立てるのか。感心だな」

 

神父の言葉を無視し、パニッシャーが再び立ち上がる。海兵隊で叩き込まれた戦闘技術が、彼の体を自然と戦闘態勢へと移行させていく。内臓の損傷による痛みを押し殺して、その巨体が前のめりに突進する。

 

正確無比な拳が言峰の顎を狙う。しかし、その一撃は空を切った。神父の動きは、もはや人間の領域を超えていた。体術の達人であるパニッシャーの目にすら、その軌跡を正確に捉えることができない。

 

「所詮は人の技だ」

 

言峰の拳が閃く。しかし今度は、パニッシャーもその動きを読んでいた。彼は体を捻って衝撃を受け流すと、即座に膝蹴りを繰り出す。その一撃には、100キロを超える体重が全て込められていた。

 

「ほう」

 

神父の声に、かすかな感心の色が混じる。彼は飛び込んでくる膝を片手で受け止めると、その勢いのままパニッシャーの体を持ち上げる。しかし、処刑人もそれを想定していた。宙に浮いた体勢から、彼は肘打ちを放つ。

 

両者の攻防が、まるで光のように閃く。パニッシャーの格闘術は、あらゆる戦場で磨き上げられた実戦的なものだった。対して言峰の八極拳は、人体の破壊を極限まで追求した殺人術。二つの異なる死の技法が、地下聖堂で火花を散らす。しかし、その均衡は徐々に崩れていく。言峰の拳は、魔術による強化で人智を超えた領域に達していた。パニッシャーの動きが鈍るたびに、その拳が的確に急所を撃ち抜いていく。

 

「これで終わりだ」

 

言峰の掌が、パニッシャーの胸に触れる。その瞬間、処刑人の巨体が再び宙を舞った。今度の衝撃は、先ほどの比ではない。石壁に叩きつけられた体が、そのままめり込んでいく。地下聖堂に轟音が響き渡る。パニッシャーの意識が、急速に遠のいていく。最後に見えたのは、まるで実験の成功を喜ぶかのような、神父の歪んだ笑みだった。

 

 

 

 

*************************************************************

 

 

 

 

あの日、セントラルパークで何もできなかった。リサとフランクの命を守れなかった。マリアも...。俺は無力だった。そして今、この地下聖堂でも同じことが繰り返されようとしている。

 

棺の中で蠢く子供たちの姿が、視界に飛び込んでくる。枯れ木のような痩せ細った体。生命を搾り取られ続けた末の、人とも死体とも付かない姿。その一つ一つが、俺の子供たちと重なって見える。

 

キャップが士郎の衣服に仕込んでいた盗聴器が全てを語っていた。大火災で全てを失った子供たち。引き取り手が見つかるまで、この教会で保護されるはずだった。だが、そこにいたのは言峰という名の悪魔だった。

 

十年間...この地下で生命を絞り取られ続けた子供たち。死ぬことさえ許されず、永遠に続く拷問のような日々。それは、俺の子供たちが味わった死よりも、もっと残酷な運命だったのかもしれない。

 

「すまない...リサ...フランクJr...」

 

意識が遠のきかける中、かすかに呟く。俺は再び無力だった。この子供たちを救えない。守れない。セントラルパークのあの日から、何も変わっていないじゃないか。

 

だが、その時だった。

 

棺の中から、かすかな声が聞こえてきた。それは、十年間も魂を削られ続けた子供たちの、最後の意思だった。彼らの願いが、俺の体に流れ込んでくる。

 

「殺して...ください...」

 

その声は、もはや人の声とは思えないほど か細く、歪んでいた。しかし、その一言一言が、俺の血を沸騰させる。

 

マリア。リサ。フランク。そして、この地下で十年もの間、生きながら魂を削られ続けた子供たち。全ての命が、俺に力を与えようとしている。

 

「ああ...分かってる」

 

体が、再び動き出す。内臓の損傷も、砕けた骨も、もはや問題ではない。今の俺には、この地獄を終わらせる義務がある。この戦いは、もう引き下がれない。

 

意識が闇に沈もうとしていた体が、激しい憎悪と共に再び燃え上がる。この聖堂で苦しむ全ての魂が、俺の生命となって流れ込んでくる。言峰よ...お前の楽園は、ここで終わりだ。

 

視界がゆっくりと焦点を結ぶ。目の前に映るのは、凛の碧眼だった。心配そうに俺を見つめる彼女の横で、士郎も同じような表情を浮かべている。俺の体は、この地下聖堂の壁にめり込んでいた。

 

「動かないで!内臓が...」

 

凛の声が遠くで響く。そうか、言峰の拳で内臓を...。だが、今はそんなことを気にしている場合じゃない。俺は静かに立ち上がる。足元が僅かに揺らぐが、それも一瞬のことだった。

 

棺の中の子供たちが、俺に力を与えてくれている。彼らの魂が、俺の血となって全身を駆け巡る。痛みなど、もはや意味を持たない。

 

「俺みたいな人間さえここまで打ち込んでも殺せない拳か。そりゃ子供相手にしか粋がれないな」

 

言峰の表情が、一瞬だけ歪む。その目に、今までにない興味の色が浮かんでいた。ランサーが身構えを低くするが、言峰は手で制止する。

 

「死ぬわよ!もうやめて!」

 

凛が俺の腕を掴む。その手に込められた力が、震えているのが分かった。彼女は本気で俺の命を案じているのだろう。だが...。

 

「悪いな。だが、ここで引き下がるわけにはいかない」

 

俺は凛の手を優しく振り払う。死体の並ぶ棺から、かすかな声が聞こえる気がした。彼らの叫びを、もう無視することはできない。どれだけ体が壊れようと、魂が砕けようと、この戦いだけは放棄できない。再び、言峰に向かって歩を進める。今度は違う。この拳には、十年間も苦しめられ続けた子供たちの、全ての魂が込められているのだから。

 

 

 

 

 

*************************************************************

 

 

 

 

パニッシャーは薄れゆく意識の中で、状況を冷静に分析していた。言峰の八極拳は、先日公園で対峙した凛をはるかに上回る破壊力を持つ。その技量は、かつて地獄のキッチンで激突したデアデビルよりも上だと直感的に理解できた。

 

しかし、絶望する必要はなかった。これまでハルクやセントリーといった、人知を超えた存在と戦ってきた経験が、パニッシャーにそう告げていた。少なくとも、この男は人間だ。どれほど魔術で体を強化していようと、その事実は変わらない。

 

「相手が人間である限り、急所は同じ」

 

その呟きには、冷徹な殺意が込められていた。パニッシャーは体の損傷を精密に把握する。内臓の一部が破壊され、複数の肋骨にヒビが入っている。通常の人間なら、とっくに意識を失っているはずの重傷だ。

 

だが、それも問題ではなかった。この男は、セントリーのように出鱈目な力を宿しているわけでもなく、ハルクのように怒りで無限の力を引き出せるわけでもない。所詮は人の身。その事実が、パニッシャーに戦う希望を与えていた。

 

「君の目が変わったようだね」

 

言峰の声が、地下聖堂に響く。その口調には、まるで面白い玩具を見つけたかのような愉悦が滲んでいた。しかし、パニッシャーはその挑発に乗らない。今の彼の頭の中には、この"人間"を倒すための戦術だけが渦を巻いていた。棺の中の子供たちが、かすかに身動ぎする。彼らの魂が、パニッシャーに戦いの糧を与えているようだった。

 

パニッシャーの手が、さりげなく懐に伸びる。コヤンスカヤから渡された小瓶を、誰にも気付かれることなく取り出した。NFFサービス特製の回復薬。薬という概念を超えた、魔術的な治癒効果を持つ代物だ。

 

「あの変態狐にも借りができたな」

 

内心で呟きながら、薬を一気に喉に流し込む。すると、破壊された内臓が急速に修復され、砕けた骨が元の形を取り戻していく。この異様な治癒力を、凛も言峰も気付いていない。

 

「なるほど、まだ戦えるというわけか」

 

神父の声が、冷たく響く。その目には、実験台を観察するような色が浮かんでいた。パニッシャーは何も答えず、再び前進する。

 

八極拳の一撃が、閃光のように迫る。パニッシャーは、あえてその拳を受ける。痛みはあるが、コヤンスカヤの薬が即座にダメージを修復していく。それは言峰に悟られてはならない事実だった。

 

「もう一度言おうか。子供相手にしか通用しない拳だ」

 

その挑発に、言峰の表情がわずかに歪む。パニッシャーは、そこに僅かな隙を見出していた。この狂気の神父にも、確実に死角はある。それを見つけ出し、一撃で仕留める。今の自分には、それだけの余裕が与えられていた。地下聖堂に、再び拳の風切り音が響き渡る。しかし今度は、パニッシャーの動きに明確な意図が込められていた。全ては、決定的な一撃のための布石として。

 

 

「その手が来るのを待っていた」

 

パニッシャーの呟きが、暗闇に消える。言峰の八極拳が、まるで光のように閃く。その一撃は、確実にパニッシャーの内臓を粉砕するはずの破壊力を持っていた。

 

しかし、それこそが罠だった。攻撃を放つ瞬間、わずかな隙が生まれる。パニッシャーは、その一瞬を逃さなかった。

 

「なに!?」

 

言峰の驚愕の声が響く。パニッシャーの肘が、神父の顔面に向かって弾丸のように突き出される。その動きは、まるで蛇が獲物に噛みつくかのような鋭さを持っていた。言峰の拳を受け止めながら、その衝撃を利用して体を回転させる。鋭利な刃物のような肘撃ちが、神父の顔面を捉えた。パニッシャーの百キロを超える体重が、全てその一撃に込められる。

 

「ぐっ...!」

 

神父の声が詰まる瞬間、パニッシャーの追撃が放たれた。大地を裂くようなアッパーカットが、言峰の顎を直撃する。衝撃が地下聖堂に轟音となって響き渡った。

 

「兵法の基本だ。攻撃の瞬間が、最大の死角になる」

 

パニッシャーの声が、冷たく響く。その戦術は、肉を切らせて骨を断つという古来の兵法そのものだった。相手の攻撃をあえて受け、その隙を突く。海兵隊時代に叩き込まれた戦術が、この瞬間、完璧な形で開花する。

 

神父の体が、初めて大きく揺らぐ。その顔面から、鮮血が滴り落ちていた。

 

「残念だがこの程度ではまだ終わらない」

 

言峰の声が響く。魔術による強化は、単なる攻撃力の増強だけではなかった。その肉体は、通常の人間なら致命傷となるはずの衝撃すら、いとも容易く受け流していた。

 

パニッシャーは無言で銃を構える。素手での戦いを続けても意味はない。グロック17の銃口が、神父の心臓を正確に捉えた瞬間、赤い閃光が走る。

 

「させるか!」

 

ランサーの槍が、音速を超えて迫る。しかし、その軌道は黄金の剣によって阻まれた。セイバーの剣が、まるで光の壁のように立ちはだかったのだ。

 

「ランサー、貴方の相手は私だ」

 

セイバーの声が、凛とした響きを持って地下聖堂に鳴り渡る。彼女の翠の瞳には、一切の迷いが見られなかった。

 

「へっ、望むところだぜ」

 

ランサーの赤い瞳が、戦意に燃える。彼の本能が、セイバーという最高の獲物を前に高鳴っていた。

 

その時、言峰の前に新たな影が立ちはだかる。獣のような唸り声と共に、アダマンチウムの爪が月光のように輝いた。

 

「選手交代だ神父さんよ。今度はオレと一対一で勝負をつけようじゃねぇか」

 

ウルヴァリンの瞳が、獣性を帯びて輝く。それは人間の目ではなく、むしろ野生の狼を思わせる鋭さを持っていた。言峰は、その視線を受けて微かに表情を変える。

 

「なるほど。これは予想外の展開だ」

 

神父の声には、まるでこの事態を楽しんでいるかのような色が混じっていた。地下聖堂の空気が、より一層重くなっていく。それは、まさに地獄の幕開けを告げるかのような緊張感だった。




やっぱ言峰は強いよねぇ(^_^;)

デアデビルみたいなストリート系ヒーローだと勝ち目がないくらいの強さかも?Fate世界では人間はサーヴァントに勝てないけどその人間ないし魔術師もかなりの強さだし。
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