アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです 作:ドレッジキング
礼拝堂の静寂が、激しい戦いの音で引き裂かれていく。パニッシャーの放つ弾丸が空気を切り裂くが、言峰の動きはそれを上回る。神父の体術は、もはや人知を超えた領域に達していた。
「ふむ、戦場の匂いがする男だ」
言峰の声が響く中、ウルヴァリンがアダマンチウムの爪を閃かせる。その軌跡は、まるで月光のよう。しかし、八極拳の達人は、それすら巧みに回避していく。パニッシャーの銃撃とウルヴァリンの爪撃。二つの異なる戦術が、言峰を挟み撃ちにしていく。しかし、神父の動きは微塵の隙も見せない。その体術は、まるで暗殺者のよう。
「いい動きだ。だが、まだ足りない」
言峰の手刀が、ウルヴァリンの急所を確実に捉える。八極拳は、人体の弱点を突く殺人術。しかし、アダマンチウムの骨格を持つ獣の男には、それすら通用しない。
「クソ...!」
パニッシャーの咆哮が響く。連射された弾丸が、礼拝堂の空気を震わせる。しかし、神父の姿は幻のように揺らめき、その全てを躱していく。
三者の戦いは、まるで影絵のよう。礼拝堂に差し込む月明かりの中、復讐の狩人と野生の獣が、闇の神父に挑んでいた。
「くらえ!」
ウルヴァリンの雄叫びが、礼拝堂に響き渡る。パニッシャーの弾丸を回避する言峰の死角を突いて、野生の獣が突進する。アダマンチウムの骨格を持つ体重が、神父の動きを完全に封じ込める。
「チッ...」
言峰の舌打ちが漏れる。八極拳による反撃を試みるが、ウルヴァリンの怪力は、それすら封じ込める。礼拝堂の床に叩きつけられた神父の体が、深々と埋まっていく。
その瞬間、パニッシャーの重い足音が接近する。ウルヴァリンに押さえ込まれた言峰の顔に、鉄拳が容赦なく打ち込まれる。その一撃には、子供たちへの非道な仕打ちへの怒りが込められていた。
「これは地下の子供たちからの贈り物だ」
パニッシャーの拳が、言峰の顔面を更に抉る。神父の口元から、血が滴り落ちる。しかし、その表情には、なお愉悦の色が浮かんでいた。二人の攻撃を受けながらも、言峰の目には狂気じみた喜びが宿っている。それは、この痛みさえも愉しんでいるかのような表情だった。
「ほう...これは実に興味深い」
神父の言葉が、血に濡れた唇から漏れる。その反応に、パニッシャーとウルヴァリンの動きが、一瞬だけ止まる。
「この程度の拳では、物足りないな」
言峰の声が響き渡る瞬間、その体が蛇のように動く。パニッシャーの拳を、まるで風のように躱し、その動きの中でウルヴァリンの拘束からも滑り出す。八極拳の技が、眼にも止まらぬ速さで繰り出されていく。
「ぐっ...!」
ウルヴァリンの体が、一瞬だけ浮く。神父の手刀が、アダマンチウムの骨格を持つ獣の男の急所を的確に捉えていた。その隙を突いて、言峰の崩拳がパニッシャーの胸板を直撃する。
「貴様らの痛みさえ、私の愉悦となるのだ」
その言葉には、明らかな狂気が込められていた。パニッシャーの巨体が、まるで大木が倒れるように後方へと吹き飛ばされる。八極拳の破壊力が、戦場を駆け抜けた男の肉体を容赦なく蹂躙していく。
「神父さんよ、アダマンチウムの洗礼を受けやがれ!」
ウルヴァリンの声が礼拝堂に鳴り響く。その手が、八極拳を繰り出そうとする言峰の腕を鷲掴みにする。神父の体が、獣の男の腕力で宙に浮く。
次の瞬間、アダマンチウムの骨格を持つ頭部が、稲妻のような速さで言峰の額に叩き込まれる。その衝撃は、八極拳の達人の動きを完全に止める。言峰の顔から、鮮血が噴き出す。
「まだだ!」
ウルヴァリンの雄叫びと共に、二発目の頭突きが放たれる。言峰の体が、明確な動揺を見せ始める。その隙を見逃さず、野生の獣の声が響く。
「合わせろ!ミスターフランク!」
崩拳を受けながらも戻ってきたパニッシャーが、その呼びかけに応える。二人の蹴りが、まるで雷光のように言峰の腹部を直撃。その一撃には、地下聖堂で目にした惨状への怒りが込められていた。
「ぐはっ...!」
神父の声が詰まる。その巨体が、まるで大砲の弾丸のように吹き飛ばされる。長椅子が、言峰の体重で粉々に砕け散る。礼拝堂に、木材の砕ける音が轟音となって響き渡る。
「面白い...実に面白い!」
しかし、そんな中でも言峰の笑みは消えない。その狂気は、この痛みさえも愉悦としているかのよう。月明かりに照らされた礼拝堂で、戦いは新たな局面を迎えようとしていた。
「さて、次は...」
言峰の狂気じみた笑みが、月明かりに浮かび上がる。しかし、その言葉は途中で途切れる。礼拝堂の影から、二つの光が閃光となって飛来。神父の直感が、その危険を察知する。
咄嗟の跳躍で、クリントの矢を回避。同時に放たれたナターシャの電撃針も、紙一重でかわす。言峰の口元に、不敵な笑みが浮かんでいた。
「なるほど。これは形勢不利というものか」
その言葉には、明らかな愉悦が混じっていた。パニッシャーとウルヴァリン、そしてホークアイとブラックウィドウ。四人の戦士を相手に戦うのは、さすがに得策ではない。中庭からは、セイバーとランサーの激突する音が響いてくる。赤い槍と見えざる剣が、月光の下で火花を散らしている。その光景を見上げながら、言峰は瞬時に状況を判断する。
「残念だが、この戯れはここまでにしておこう」
八極拳の達人の脚が、まるで爆発したかのような力で地面を蹴る。その跳躍は、人知を超えた領域に達していた。礼拝堂の天井までの高さを一気に制覇し、ゴーストライダーによって破壊された扉の方へと身を翻す。
「言峰!」
パニッシャーの怒号が響くが、神父の姿は既に闇の中へと消えていく。その表情には、なお愉悦の色が浮かんでいた。まるで今夜の戦いそのものを、最高の娯楽として楽しんでいるかのように。
中庭に響いていた戦闘音が、いつの間にか途絶えていた。セイバーとランサーの決着は、どうやら勝負がつかないまま終わったようだ。夜風だけが、この場所に残された唯一の音となっていく。
「シロウ!」
セイバーの声が、静寂を破る。地下聖堂から戻ってきた士郎、凛、キャップの姿に、彼女の表情が安堵の色を帯びる。しかし、その安堵も束の間。士郎の顔に浮かぶ暗い影を見て、セイバーの眉間に皺が寄る。
「もう、警察には連絡を入れた」
キャップの声が、重い空気を切り裂く。その青い瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。
「魔術の秘匿は、もはや二の次だ。あの子供たちを、これ以上放置するわけにはいかない」
その言葉に、凛は黙って頷く。彼女の碧眼には、複雑な感情が交錯していた。魔術師としての掟と、一人の人間としての良心。その間で、彼女は明確な選択を迫られていた。
「助からないんですか?」
士郎の声が、震えている。魔力供給源として搾取され続けた子供たち。言峰が去った今、彼らの命の灯火は、もはや消えかけていた。その現実に、士郎の拳が強く握られる。
「衛宮くん...」
凛の声に、心配の色が混じる。彼女は、士郎の心の傷を理解していた。大火災で全てを失い、奇跡的に救われた者として。そして、同じ境遇でありながら、地獄へと落とされた者たちへの罪悪感。それが、士郎の心を深く抉っているのを感じ取っていた。夜風が、教会の庭を吹き抜けていく。その風は、まるで子供たちの魂の嘆きのようにも聞こえた。冬木の街に、新たな悲劇の幕が下ろされようとしていた。
「警察の車が来たな」
キャップの声が、冷たい夜気を切り裂く。サイレンの音が、徐々に教会へと近づいていく。その光景を見届けると、一行は足早に現場を後にする。
「あの神父...必ず探し出してやる」
パニッシャーの唇から、低い唸りのような声が漏れる。その言葉には、復讐者としての確固たる決意が込められていた。ウルヴァリンも同様に、抑えきれない怒りを全身から放っている。
「あんな非道なことを十年も...」
獣の男の爪が、無意識のうちに伸びる。その鋭い切っ先が、月明かりに不吉な輝きを放っていた。衛宮邸への帰路、誰も多くを語らない。セイバーは士郎の傍らを静かに歩き、凛は時折、心配そうな視線を投げかける。クリントとナターシャの表情にも、言いようのない重苦しさが漂っていた。
「ギルガメッシュは倒れた。だが、言峰とランサーはまだ自由に動き回っている」
キャップの言葉が、夜の静寂を破る。その声には、次なる戦いへの覚悟が滲んでいた。しかし今は、全員が心の整理をつける時間が必要だった。衛宮邸が、闇の中に浮かび上がってくる。その建物に、新たな悲劇の影が忍び寄ろうとしていた。
意外に現時点で生き残ってるサーヴァントいるな……。ギルが早く退場した分だけどうなるのか予想が付かなくなった。