アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです   作:ドレッジキング

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スティーブ達とピンク狐お姉さんの交流会()


第75話 アインツベルンの森

「匂いが郊外まで続いてる。車でも1時間は掛かるぜ」

 

ウルヴァリンの報告に、スティーブは表情を引き締める。その青い瞳には、作戦を練り上げる指揮官としての冷静さが宿っていた。

 

「全力で走れば追いつけるか?」

 

「オレとセイバー、それにお前なら可能だ。だが、他の連中は付いて来れねえ」

 

ウルヴァリンの言葉に、凛は歯を噛みしめる。これだけの距離となると、全員で移動するのは現実的ではない。かといって戦力を分散させるのも危険が伴う。

 

「わたしたちを置いていくつもりなの?アーチャーなら問題なく追いつけるけど...」

 

その言葉に、アーチャーが皮肉めいた笑みを浮かべる。

 

「分かっているだろう、凛。君たちに付いて来られる速度で移動していては、立香を救出できない可能性が高まる」

 

「バートン先生とわたしが遅いからって、勝手な判断は...」

 

クリントが弓を握り締めながら凛の言葉を遮る。その表情には、普段の軽さは見られなかった。

 

「リン、俺たちだって子供を見捨てたくはない。でも今は最善の策を選ぶべきだ。ナターシャと俺は後から車で追いかける」

 

士郎は、自分もその場に取り残される事を悟りながら、拳を強く握る。その目には、無力さへの苛立ちと、それでも前に進もうとする意志が宿っていた。

 

「ならオレが先に...!」

 

「シロウ、君は凛と共に行動するべきだ。私たちに任せてくれ」

 

スティーブの言葉には、揺るぎない信頼が込められていた。セイバーも同意するように頷く。

 

「賛成です。マスター、あなたの安全も私の務めです」

 

立ち籠める重苦しい空気の中、ウルヴァリンが首を鳴らす音が響く。その仕草には、これから始まる追跡への覚悟が滲んでいた。

 

スティーブ達が戦略を練ろうとした矢先、けたたましいブレーキ音が静寂を破った。鮮やかなピンク色に塗装されたバスが、まるでショーの演出のように彼らの前で華麗に停車する。その瞬間、運転席の窓から一筋の影が躍り出た。アクロバティックな動きで宙を舞い、バスの屋根の上に着地したその姿は、まさに異世界から抜け出してきた妖精のようだった。胸元が大きく開いた白いミニスカのパンツスーツに身を包み、黒いストッキングで包まれた脚線美を惜しげもなく披露している。フワフワとしたピンク色の長髪が風に揺れる中、彼女は優雅なカーテシーを披露する。

 

「NFFサービスのタマモヴィッチ・コヤンスカヤでございます♪」

 

その登場に、凛と士郎は目を白黒させていた。スティーブは思わず盾で顔を覆い、クリントは弓を取り落とし、ナターシャは呆れたように額に手を当てる。

 

「なんだ、このアイドルみたいな登場は...」

 

パニッシャーの呟きに、コヤンスカヤは艶やかな笑みを浮かべる。

 

「さて、立香くんの救出に向かうのでしたら、このバスをお使いになられては如何でしょうか?徒歩では時間が掛かり過ぎますわよ?」

 

その提案を完全に無視するかのように、パニッシャーはスティーブに向き直る。

 

「よし、立香の方向はアッチだな?行くぞ」

 

一同が歩き出そうとした瞬間、コヤンスカヤの悲痛な叫びが響く。

 

「ちょっと待って頂戴!せっかくわたくしが華麗に登場したというのに、そんな酷い仕打ちを!」

 

バスの屋根から降りたコヤンスカヤは、両手を腰に当てて膨れっ面を作る。その姿は、まるで駄々をこねる子供のようだった。

 

「いいですわ!もう知りません!立香くんの居場所になんて連れ行ってあげないんだから!」

 

その言葉に、スティーブ達の足が止まる。コヤンスカヤは満足げに微笑むと、バスのドアを開く。

 

「さぁ、皆様ご乗車を。わたくしのドライビングテクニックで、目的地まで一直線にお連れいたしますわ」

 

「運転免許は持ってるんだろうな?」

 

クリントの疑問に、コヤンスカヤはウインクで応える。

 

「あら、そんな些細な事は気にしなくてよろしいのよ?それより早く乗らないと、このままお散歩を続けるしかありませんわよ?」

 

その言葉に、渋々とバスに乗り込む一同。運転席に座ったコヤンスカヤは、まるでレース場のドライバーのように、ハンドルを握り締める。

 

「それでは参りましょう!NFFサービス特製観光バスで行く、立香くん救出の旅、スタートですわ!」

 

「待て、シートベルトが...!」

 

スティーブの声が聞こえる前に、バスは轟音を立てて発進していた。荒っぽい運転に、車内は阿鼻叫喚の様相を呈していく。まさに地獄の始まりだった。

 

 

「右カーブでーす♪」

 

コヤンスカヤの甘い声とは裏腹に、バスは悲鳴を上げながら急角度で曲がっていく。遠心力に翻弄される乗客たちの悲鳴が、車内に響き渡る。スティーブは必死にシートを掴み、通信機を手元で固定しようとしていた。

 

「ストレンジ!救援は可能か?できるだけ正確な転送地点を...うおっ!」

 

急ブレーキでスティーブの体が前のめりになる。モニターに映るストレンジの表情には、明らかな困惑が浮かんでいた。

 

「転送自体は可能だが、指定地点への正確な投下は保証できない。この世界の法則が...」

 

「場所なんざどうでもいい!早くアイツを寄越せ!」

 

ウルヴァリンの怒鳴り声が、バスの轟音を超えて響く。その焦燥感は、誰もが共有していた。運転席でのコヤンスカヤの楽しげな歌声だけが、その緊張感から浮いていた。

 

「左へのレーンチェーンジでございまーす!」

 

バスが大きく揺れる中、凛は座席の下から取り出した紙袋の中身を確認していく。その動作には、不思議なほどの落ち着きが感じられた。

 

「遠坂...それは...」

 

士郎の問いかけに、凛は苦笑いを浮かべる。バスの振動で髪を乱しながらも、彼女の手から紙袋が離れることはない。

 

「酔い止めよ。コヤンスカヤさん、これ全員分用意してたのね」

 

「うふふ、NFFサービスの心遣いですわ♪ ────あ、すみません!前方に猫が!」

 

急ハンドルが全員を右に振り飛ばす。アーチャーは呆れたように目を閉じ、セイバーは無言で窓の外を見つめている。パニッシャーだけは、まるで日常であるかのように平然としていた。

 

「ストレンジ、了解した。時間との戦いになるが、君を信じている」

 

スティーブの決断に、画面越しのストレンジが頷く。深山町の郊外へと向かうピンクのバスは、まるでジェットコースターのように道路を駆け抜けていった。誰もが、これが地獄への道程なのか、それとも救出への希望なのか、判断がつかないまま揺られ続けていた。

 

 

 

 

 

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「お嬢様方、さぁ、降りてくださいませ♪」

 

コヤンスカヤの明るい声とは裏腹に、乗客たちの表情は生気を失っていた。特に凛は、士郎に支えられながら草むらで身を屈めている。その姿は、優雅な魔術師の面影もない。

 

「皆様の帰りをここでお待ちしておりますわ。森の中までは、このバスでは入れませんので」

 

コヤンスカヤは運転席から愛想よく手を振る。その笑顔に、誰も返す気力はなかった。

 

「遠坂...大丈夫か?」

 

士郎が凛の背中を優しく摩る中、彼女は次第に呼吸を整えていく。その顔には、魔術師としての冷静さが戻り始めていた。

 

「ええ...なんとか。それより、この森のことを説明しないと」

 

凛は立ち上がり、深い森を見上げる。その瞳には、遠坂家の当主としての知識が宿っていた。

 

「この森は全てアインツベルン家の所有地よ。第一次聖杯戦争の時に、うちの先祖が色々と奔走して譲渡した場所なの」

 

スティーブは眉を寄せる。冬の陽光が森を照らす中、明らかに異質な空気が漂っているのを感じ取っていた。

 

「なぜアインツベルンはここを選んだ?」

 

「マキリや遠坂と同じ土地に拠点を置くのを嫌ったからよ。でも、それ以上に厄介なのは結界の存在」

 

凛の説明に、一同の表情が引き締まる。彼女は歩きながら、更に言葉を続ける。

 

「結界によって魔力と気配を完全に遮断しないと、すぐに見つかってしまう。柳洞寺や遠坂邸ほどじゃないけど、それなりの霊地だから」

 

アーチャーが皮肉めいた笑みを浮かべる。

 

「迷いの森としての機能も持っているんだろう?凡人が気軽に立ち入れる場所じゃないということだ」

 

森の中へと足を踏み入れながら、凛は頷く。茂みを掻き分けて進む一行の前に、アインツベルンの城が、その威容を少しずつ現し始めていた。

 

 

「つまり、オレたちはもうイリヤってガキに気付かれてるってことか?」

 

冬の森を進みながら、ウルヴァリンが問いかける。その声には、戦いへの期待が滲んでいた。凛は無言で頷き、足を進める。落ち葉を踏む音だけが、静寂を破っていく。

 

「へっ、上等じゃねえか」

 

ウルヴァリンの笑みには、獣のような野性が宿っていた。アダマンチウムの爪が、僅かに光を帯びる。しかし、予想に反して森は静けさを保ったまま。バーサーカーの咆哮も、イリヤの姿も見えない。

 

「何かおかしいな...」

 

スティーブの呟きに、セイバーが同意するように剣を構える。城までの道のりは、まるで既に用意された赤絨毯のように開かれていた。

 

「誘われているのかもしれないな。我々の戦力を考えれば、奇襲する必要性を感じないということか」

 

スティーブの分析に、アーチャーが冷笑を浮かべる。その表情には、状況を見透かしたような余裕が滲んでいた。

 

「我々には二人のサーヴァントと、キャプテン、そしてウルヴァリン。確かにバーサーカー一体を相手取るには十分すぎる戦力だ」

 

凛は足を止め、城を見上げる。その瞳には、何か不吉な予感が映っているようだった。

 

「でも...あまりにも簡単すぎない?イリヤは必ず何か策を練っているはず」

 

スティーブは盾を構えながら、周囲を警戒する。アベンジャーズの戦術家としての直感が、この異様な静けさの裏側に潜む危険を察知していた。

 

「待ち伏せにしては露骨すぎる。むしろ、我々に城まで来て欲しいと言わんばかりだ」

 

森の冷気が、一行の緊張感を更に高めていく。しかし、それでも前に進むしかない。立香を救うためには、この明白な罠に飛び込むしかないのだから。

 

冬の陽光が、突如として現れた騎士の鎧を照らす。その姿は圧倒的な存在感を放ち、まるで英雄譚から抜け出してきたかのような威厳を纏っていた。胸元と背中が大きく開いた鎧には、薄緑色に輝く紋様が刻まれている。灰色の長髪が、背中まで優雅に伸びていた。

 

「あれがバーサーカーってヤツか?」

 

ウルヴァリンの問いかけに、凛は静かに首を振る。彼女の瞳には、明らかな緊張の色が浮かんでいた。セイバーも剣を構えながら、前方の騎士を見据える。

 

「いいえ、あの方は...サーヴァントですが、バーサーカーではありません」

 

セイバーの言葉に、一同の表情が引き締まる。スティーブは盾を構え直し、クリントは弓を握り締める。

 

「また第四次聖杯戦争からの生き残りサーヴァントか?ギルガメッシュみたいに」

 

クリントの言葉に、セイバーは再び首を振った。その表情には、明らかな警戒心が浮かんでいる。

 

「いえ、前回の聖杯戦争にあのようなサーヴァントはいませんでした」

 

その時、騎士が巨大な剣を抜く。その一振りで、周囲の空気が凍りつくように感じられた。

 

「ここから先へは通さない」

 

その声には、揺るぎない決意が込められていた。スティーブは本能的に、この騎士が並の存在でないことを悟る。その構えには、幾多の戦場を潜り抜けてきた者特有の重みがあった。セイバーも同様に、騎士の実力を見抜いていた。その瞳には、英霊同士の戦いに向けた覚悟が宿っている。雪が静かに舞い始める中、戦いの序曲が奏でられようとしていた。




やっぱピンク狐のお姉さんが簡単にやられるわけないですよねぇ(・∀・)ニヤニヤ
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