アベンジャーズが第五次聖杯戦争に介入するようです 作:ドレッジキング
アインツベルン城へと続く道を、スティーブたちは全速力で駆けていく。彼らの心は一つの目的に向かって突き進んでいた。森の木々を縫うように進む中、その先に巨大な人影が浮かび上がる。前方に佇むのは、漆黒の甲冑に身を包んだ騎士だった。胸元と背中が大きく開いた鎧には、薄緑色に光り輝く紋様が施されている。背丈は優に190センチを超え、その巨躯は曇り空から僅かに見える太陽光の下で不気味な存在感を放っていた。
「子供を返してもらいに来た。どいてくれないか」
スティーブの声が、冬の森に響く。その青い瞳には、揺るぎない決意が宿っていた。しかし、騎士は無言のまま巨大な剣を構える。その姿勢には、一歩たりとも引く気配が感じられない。
「おい、話を聞いてくれよ。俺たちは立香を助けに来たんだ」
士郎の言葉に、騎士の表情が微かに動く。しかし、それは同情の色ではなく、むしろ悲しみにも似た感情だった。灰色の長髪が風に揺れる中、その声が低く響いた。
「命じられた以上、俺はここを通すわけにはいかない」
その言葉には、心にもない行動を強いられる者特有の苦悩が滲んでいた。セイバーは、騎士の佇まいから並の存在でないことを察する。その剣筋には、幾多の戦場を駆け抜けてきた重みが感じられた。
「なら、武力で突破させていただく」
セイバーの宣言と共に、見えない剣が顕現する。しかし、騎士の構えは微動だにしない。その瞳には、戦いを避けられない運命を受け入れた者の覚悟が浮かんでいた。
「申し訳ない。だが、これが俺の務めだ」
静寂が森を支配する中、二つの剣が輝きを放つ。新たな戦いの幕が、今まさに切って落とされようとしていた。
凜とした空気を切り裂くように、アーチャーが霊体から実体化する。赤い外套が風にはためく中、彼は皮肉めいた笑みを浮かべながら、セイバーの前に立ちはだかった。
「ここは私に任せてもらおうか。子供の救出なら、そちらの方が向いているだろう」
アーチャーの言葉には、いつもの皮肉な調子が滲んでいた。その隣には、既にウルヴァリンが構えを取っている。アダマンチウムの爪が、月光に冷たい輝きを放つ。
「二対一なら、さっさと決着がつくぜ。オレなら、この男の宝具に巻き込まれても死にゃしない」
ウルヴァリンの言葉に、騎士の灰色の瞳が僅かに細められる。その眼差しには、二人の実力を見極めようとする鋭さが宿っていた。セイバーは一瞬躊躇いを見せるが、すぐに決意を固める。
「分かりました。では、こちらは先に進ませていただきます」
スティーブは盾を背に回しながら、アーチャーとウルヴァリンに頷きかける。その青い瞳には、戦いを託す者への信頼が浮かんでいた。凛と士郎も、二人の意思を尊重するように後退する。
「おい、立香を頼むぞ」
ウルヴァリンの声が冬の森に響く中、一行は城への道を駆け出す。その瞬間、騎士の巨体が閃光のように動いた。巨大な剣が、逃げ行く者たちを追って振り下ろされる。
しかし、その一撃は虚空を切ることになった。二振りの短剣が、騎士の剣を受け止めたのだ。干将・莫耶と呼ばれる夫婦剣が、アーチャーの手に握られている。
「君のような高潔な騎士が、子供を人質に取る側に付くとはね」
アーチャーの皮肉に、騎士の表情が僅かに歪む。その眼差しには、明らかな苦悩の色が浮かんでいた。
「俺にも、やむを得ない事情がある」
騎士の言葉に、ウルヴァリンが不敵な笑みを浮かべる。彼の爪が、戦いへの昂揚を示すように光を放つ。
「言い訳はいいんだよ。ぶち倒すまでさ」
三者の間に緊張が走る。アーチャーと騎士の剣が、火花を散らしながら睨み合う。ウルヴァリンは、その隙を狙うように身を屈める。冬の寒空が、これから始まる死闘を見下ろすように、銀色の光を投げかけていた。
静寂が破られる瞬間、冬の寒空の下で三つの影が交錯する。騎士の巨大な剣が、まるで光線のような速度でアーチャーに向かって斬り下ろされた。干将・莫耶が交差してその一撃を受け止めるも、その衝撃で赤い外套の男の膝が折れそうになる。
「この力は...!」
アーチャーの声が震える中、ウルヴァリンが側面から襲いかかる。アダマンチウムの爪が、漆黒の甲冑を狙って閃光を描く。しかし、爪が肉体を捉えた瞬間、予想外の事態が起きた。
「なんだと?」
ウルヴァリンの爪が、まるで鈍器のように弾かれたのだ。騎士の肌には、一筋の傷すら残っていない。それは通常の不死身とも異なる、まるで概念的な防御のようだった。
「甘いな」
騎士の低い声と共に、巨大な剣が横一文字に薙ぎ払われる。アーチャーは咄嗟に後方へ跳躍し、その範囲から逃れる。しかし、それは罠だった。騎士の動きが加速し、アーチャーの懐に潜り込む。重い剣とは思えない俊敏な突きが、アーチャーの胸を貫こうとする。赤い外套の男は、間一髪で身を捻って致命傷を避けたものの、左腕に傷を負う。
「クソッ!」
ウルヴァリンが再び襲いかかる。今度は首筋を狙った一撃。しかし、それも騎士の肌を傷つけることはできない。むしろ、その隙を突かれ、騎士の膝蹴りが彼の腹を捉えた。
「何者だ、お前は...!」
アーチャーの問いかけに、騎士は答えない。代わりに、さらなる剣撃の嵐を繰り出す。その剣技は、人知を超えた領域に達していた。アーチャーは干将・莫耶を駆使して防戦に徹するが、その度に剣に深い傷が刻まれていく。一方、ウルヴァリンは執拗に騎士の急所を狙い続ける。アダマンチウムの爪は確実に相手に届いているはずなのに、傷一つ付かない。それは不死身というよりも、攻撃そのものを無効化しているかのようだった。
「ハッ!こいつの体には、なにか仕掛けがあるはずだ...!」
ウルヴァリンの言葉に、アーチャーの目が鋭く光る。確かに、この異常な防御には何か秘密がある。それを見破らない限り、この戦いを打開することはできない。
寒空の下で、三者の死闘は続いていく。騎士の剣技は、アーチャーの双剣を次々と破壊し、ウルヴァリンの攻撃は全て空を切る。それは、まるで人間と概念の戦いのようでもあった。
戦局は膠着していた。その時、ウルヴァリンとアーチャーの視線が交差する。獣のような直感が、二人の間に無言の意思疎通を成立させた。アーチャーは会得したかのように、素早く後方へと跳躍する。
ウルヴァリンの瞳が危険な光を放つ。その戦闘能力は、サーヴァントと比べても特異な領域に位置していた。基礎的なパラメーターでは人間の限界を遥かに超え、特にその回復力はサーヴァントをも凌駕する。瞬間的な戦闘速度は非常に速く、アダマンチウムで強化された骨格は、サーヴァントの一撃すら受け止める堅牢さを持つ。
「オイ、騎士サマよ。オレ様と遊んでもらおうぜ」
挑発的な言葉と共に、ウルヴァリンの動きが一変する。その姿は、もはや人間の領域を完全に逸脱していた。地面を蹴る音が轟音となって響き、彼の体が弾丸のように騎士へと突進する。突如として繰り出される爪の連撃。その速度は、まるで機関銃のような錯覚すら与えた。通常の人間であれば、その動きを目で追うことすら不可能だろう。サーヴァントの反応速度を持ってしても、完全な回避は困難を極める。
「なかなかの速さだ」
騎士の言葉に、ウルヴァリンの攻撃は更なる激しさを増す。彼の戦闘本能は、まさに野生の獣そのものだった。爪が空を切る度に、破壊的な風圧が周囲の木々を揺らす。一撃一撃に、人間離れした重量感が込められている。
アダマンチウムの爪は、サーヴァントの肉体すら貫通する破壊力を持っていた。しかし、騎士の体表を傷つけることはできない。それでもウルヴァリンの攻撃は途絶えることなく、むしろ更なる激しさを増していく。
距離を取ったアーチャーは、黒い弓を展開させていた。その手には、既に矢と化した宝具が用意されている。騎士の異常な防御能力を打ち破るためには、通常の攻撃では不十分だ。必要なのは、概念干渉を伴う決定打。
「退かねえぞ、てめえ!」
ウルヴァリンの叫びが、森に響き渡る。その攻撃は、もはや技術や戦術を超えた、純粋な野性の発露だった。アダマンチウムの爪が閃光を描き、騎士の周囲の空間を完全に封鎖していく。それは移動の自由を奪うための、完璧な牽制だった。騎士の動きが、僅かに鈍る。ウルヴァリンの凶暴な攻撃に、完全な回避は不可能だと悟ったのか、剣を盾のように構えて防御に転じる。その瞬間を、アーチャーは見逃さなかった。弦を引く手に、魔力が集中していく。宝具と化した矢が、その真価を発揮する瞬間が迫っていた。
ウルヴァリンの獣のような感覚が、空気の振動を捉えた。アーチャーが魔力を込めた弓を引き絞る音。矢が弦を離れる瞬間の震え。それらの微細な変化を、彼の研ぎ澄まされた本能が察知する。
「オレ様の獲物、上等に料理してやりやがれ!」
叫びと共に、ウルヴァリンの爪による圧迫は最高潮に達する。騎士の周囲の空間を完全に支配し、一切の退路を封じる。その牽制は、まるで見えない檻のように相手の動きを制限していた。
アーチャーの放った矢が、夜気を切り裂く。その一撃には、通常の攻撃とは異質な魔力が込められている。矢が空を切る音を聞き分けた瞬間、ウルヴァリンの体が反動なく後方へと跳躍した。その動きは、まるで影が消えるかのように自然だった。
轟音が森を揺るがす。矢が騎士の胸を直撃し、魔力の爆発が周囲を飲み込んでいく。衝撃波が木々を なぎ倒し、地面を抉る。ウルヴァリンの体も吹き飛ばされたが、アダマンチウムの骨格のおかげで着地は完璧だった。
「クソッ...効いてるのか?」
煙が晴れるのを待つ間、ウルヴァリンの鼻が空気を嗅ぎ分ける。その嗅覚は人間の数千倍の精度を持ち、僅かな血の匂いさえ見逃さない。しかし、彼の鼻は異変を感じ取れなかった。
その違和感を裏付けるように、煙の中から騎士の姿が現れる。その装甲には、僅かな傷すら残っていない。アーチャーの宝具すら、彼の肉体に損傷を与えることはできなかったのだ。
「これは...まさか」
アーチャーの声に、明らかな焦りが混じる。概念干渉を伴う宝具ですら通用しないということは、この騎士の防御は単なる物理的なものではない。それは、より根源的な "概念" による防御なのかもしれない。
「無駄な努力だ。俺の防御は、それほど簡単には破れない」
騎士の言葉には、慢心ではなく、むしろ悲しみのような感情が滲んでいた。まるで、自身の強さを呪っているかのような響きさえ持っていた。ウルヴァリンの爪が再び光を放つ。
「へっ、ならもっと掘り下げさせてもらおうぜ」
森に再び戦いの音が響き始める。三者の息遣いが、薄い陽光下で交錯していく。この戦いは、まだ終わりに至っていなかった。二つの影が交差する瞬間、騎士の巨大な剣が閃光となってウルヴァリンを襲った。その一撃は、まるで雷が落ちたかのような速度を持っていた。咄嗟にウルヴァリンは両腕を交差させ、防御の姿勢を取る。
「グオオッ!」
剣が肉を裂く音が響き渡る。ウルヴァリンの腕から鮮血が噴き出すが、その内部で剣を受け止めたアダマンチウムの骨格は、微動だにしない。騎士の眉が、僅かに動く。
「なるほど、君の骨は並のものではないようだな」
その言葉に、ウルヴァリンは獰猛な笑みを浮かべる。腕の傷は、既に急速な治癒を始めていた。その回復力は、サーヴァントですら驚くべきものだった。
「へっ、オレ様の体は、そう簡単にはぶっ壊れねえんだよ!」
叫びと共に、ウルヴァリンが反撃に転じる。アダマンチウムの爪による猛烈なラッシュが繰り出される。その攻撃は、もはや技術を超えた野性の発露だった。爪が空を切る音が、まるで機関銃のように響き渡る。
騎士は完全な防御を諦め、剣で要所を守りながら反撃の機会を窺う。しかし、ウルヴァリンの攻撃には隙がない。それは、まるで獣が獲物に襲いかかるような、本能的な戦いだった。
「このまま押し切る...!」
ウルヴァリンの動きが更に加速する。その姿は、もはや人間の領域を完全に逸脱していた。騎士の周囲の空間を、爪による斬撃が埋め尽くしていく。それは、まるで銀色の檻のようだった。
遠くからその光景を見守るアーチャーの目が、鋭く光る。彼は、この戦いの中に何かの可能性を見出そうとしていた。
そういえばエミヤとすまないさんって相性はどんなもんなんだろ?
アキレウスみたく踵を撃ち抜いたらそっからが本番だったり、バサクレスみたく命を幾つもストックしてるわけでなく背中を撃ち抜けばそれで終わりなんだよね。そこまでいくのがクソムズイんだけど( ̄▽ ̄;)