生きる目的を探す男とVault101のアイツ   作:ソーヤー麺

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2277年、10月11日。

かなり和らいだとは言え、やはり暑いものは暑い時期だ。

毎日毎日、人を殺したり殺され掛けたりしてると嫌でも汗をかく。せめて一人で酒を飲むときくらいは涼しいのが良い。

だがまぁ…冬がくれば今度は震えながら暖かくなるのを待つハメになるんだろうがな…

 

「で、だ。何で俺がこんなバカデケェ遺物の処理をさせられなきゃならん?」

 

心底呆れた様に言ってやると、目の前の男。

このガラクタの寄せ集めみてえな街の、自称市長。ルーカス・シムズは眉を歪めて俺に言った。

 

「おい、金なら払うと言ってるだろ。やらないならさっさと失せろ」

 

「おいおい…アンタが良い仕事があるっつうから、俺はワザワザ来てやってんだろうが…それを何だ何だ、その口振りは。簡単な仕事っつう癖に妙に報酬が良いと思ったんだチクショウめ」

 

そう言ってやると、シムズは何かを考える素振りを見せてこう言った。

 

「…500でどうだ?」

 

「アンタ本当にアホだろ。下手すりゃアンタやアンタの息子、いやこの街ごと全部吹き飛んじまうんだぞ。仮に俺がフラググレネードを作れたとしても、こんな不発弾を解除できるとは限らねえんだぜ?」

 

「ならもう良い、ほら消えろ消えろ。酒浸りのロクデナシめ」

 

「…へいへい、じゃあなアホ市長。ドデカイ爆発を楽しみにしてますよ」

 

アホな市長はもう知らん、てか勝手に解除したらアトムのキチガイ共に殺されちまうんじゃねえか?

考えても仕方無く、折角メガトンに来たので、俺はモリアティの酒場へと向かうことにした。

 

「あら、ハインじゃない、ちょっと良いかしら?」

 

「ゲ……よ、ようモイラ…」

 

前言撤回、さっさと帰れば良かった。

 

「ねぇ、貴方にお願いしたい事があるの!実は…」

 

「わ、悪いなッ!!今忙しいんだわ!!また今度にしてくれ!!」

 

「あ、ハイン!!…行っちゃった…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハハッ、そいつはツイて無かったなー、ハイン?」

 

「ウルセェ、面白がってんじゃねえかこのゾンビヤロウ」

 

モリアティの酒場で、先程起きたクソッタレな出来事を、同じくクソッタレなナリをしたグールのバーテン、ゴブに愚痴る。

コイツ、見た目は腐ってるが中身はそれほど悪く無い。

寧ろ聞き上手、俺の数少ない話し相手の一人って訳だ。

 

「しかし…あの不発弾をなぁ…」

 

「ああ、シムズのオッサンも心配なんだろ。ガキも居るしな」

 

「違いないな」

 

ーーアノ!オネガイシマス!モリアティサン!!チチノムカッタバショヲ…

 

酒も入り、楽しくなってきた所で騒々しい声が、酒場の外から聞こえる。

どれ、いっちょ野次馬根性で拝みに行ってみますか。

 

「ゴブ、キャップ置いとくぜ」

 

「お、おう…しかし何の騒ぎだ…?」

 

「見りゃ分かるだろうよ…ちっと見てくるわ…」

 

そう言い残し、俺は錆びた鉄扉を開いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

扉を開くと、まず驚いた。

もう見ることは無いと、そう思っていた筈の…青い…ジャンプスーツ…

 

慌てて思考を呼び戻す、酒の入った頭が酷く痛んだ。

だがそれよりも、目の前の状況を解決するのが先だ。

そうだ…しっかりしろ、俺。

 

「ようモリアティ…どうした?」

 

声を振り絞る。

揺らぎ続ける心を必死に掴み込んだ。

 

「ああ…お前か…いや何…お客さんだよ、ただの」

 

胡散臭い笑顔だ。いやそれより、気になるのは…モリアティの目の前にいる…少女。

あまり思い出したくもない、見慣れたジャンプスーツ、そしてその背中には「vault101」の文字。

怯えを孕んだ眼が、俺を見据える。

真っ赤に腫らした眼で、何を今さら涙を堪える必要があるのか。

少女は俺を見ていると、ゆっくりと近づいてこう言った。

 

「あの…父を…知りませんか…?」

 

その言葉を聞いて心臓が跳び跳ねた。

深呼吸だ、落ち着け。なるほどな、嗚呼、わかった。

 

「親が居なくなったのか…それにそのジャンプスーツ…お前vaultに居たのか?」

 

その言葉を聞いて、モリアティがくぐもった笑いを溢す。

そして少女は小さく涙を浮かべた。

 

「あ、ああ悪かった、大丈夫か?」

 

少し焦る、そして少しの間を空けて少女は口を開いた。

 

「…モリアティさん…キャップを集めれば、お父さんが何処へ向かったか教えてくれるんですね…?」

 

モリアティの顔から笑みが消えた。

そして小さな声で「いや、その、あれだ」と意味の無い言葉を吐き出す。

それもそうだろう、こんな外に出てきたばかりの少女からキャップを巻き上げようとしてる奴を…俺は許さん。

 

「バカヤロウッ!!!」

 

強烈な右フックが、モリアティの頬に突き刺さる。

モリアティは壁に激突してゆっくりと座り込んだ。

それを見てオロオロとしている少女はモリアティの傍へと駆け寄り、介抱を始めた。

 

「だ、大丈夫ですか?」 

 

「…ハイン…お前…うぅ…」

 

ガクリと気を失うモリアティを担ぎ上げ、物言いた気な少女に向かって俺は気の利いた言葉を掛けてやる。

 

「腹、減ってんだろ?さっきから腹の虫がグーグー言ってるぜ?来いよ、何か食わせてやるよ」

 

「ッ!!!?」

 

 

 

 

何故だろう、親切にしてるのに脇腹をしこたま殴られた。

まあ腹が膨れれば機嫌も治るか。

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