幽霊少女が俺の恋愛成就を全力で阻止してくる。   作:雨宮照

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第十一話「梔子」

「おわっ、ちょっ、お前なに撮ってんだよ!」

 初めて幽霊を見たときに負けず劣らず驚いて、思わず訊ねてしまう俺。

 すると、彼女は嬉しそうに「そんなの当たり前じゃないですか」と前置きしてから、自らの行動について一言で語った。

「女友達のパンツを漁ってハァハァしている変態がいたんで、記録しておきました」

「……言い訳の余地がない!」

 どうしようも、なかった。

 目撃証言もさることながら、証拠の写真まで押さえられている。

 しかも、あのスマホは確か成瀬が使っているものだ。

 こんな場面が撮影されていたら、俺は軽蔑されてしまうだろう。

「どうしました、怜太さん。私も大概ですけど、怜太さんだってド変態じゃないですかぁ~。この写真を成瀬ちゃんが見たら、どう思いますかね~?」

 ……くっそ……対処のしようが、ない。

 しかしこのままでは、成瀬に見つかった俺の写真は全員の知るところとなり、今回の宿泊はおろか、学校に戻っても彼女たちに仲良くしてもらえるかどうか……。

 ……ええい、考えていてもしょうがない! 行動あるのみだ!

 吹っ切れた俺は、対幽霊用に昼間考案しておいた策を実行に移すことにした。

 この状況を打破できるとしたら――これしかない!

「くらえええええええええええええええええ!」

 決心すると、俺は手に持ったそれを、幽子に向かって思いっきり投げつける。

 効果はあるか分からないが、試してみる価値はある。

 果たして、幽子に俺の攻撃は通用したのか――?

「……うわっ、なんですかこれ。びっくりしたじゃないですか! 透けて当たらないですけど!」

「…………それは、クチナシの実だ」

「…………死人にクチナシ⁉」

 ……結果、普通に当たらなかった。

 いや、だって、聞いたことあるじゃん死人にクチナシ!

 絶対意味違うってわかってたけど、ロビーの売店で買っておいたんだよ!

 もう一度幽子の方を見ると、彼女は非常に呆れたような顔でこっちの様子を窺っている。

 ……仕方ないので、普通に土下座して写真は消してもらいました。

 

 パンツ騒動が終わり、さっきの賑やかさが去った室内。

 みんなの鞄を元に戻し、俺も大浴場に行く支度をしながら幽子と話す。

「うーん、それにしてもあのパンツ、どこから降ってきたんだろうな……」

「ほんとですよね……私が怜太さんに向かって投げた私のパンツが、どうして怜太さんの肩にあるんでしょう……?」

「……犯人お前じゃねーか」

 自作自演でかなり惨いことをしてくれたものだ。

 これは一刻も早く、湯船につかって疲れをとる必要がありそうだ。

「じゃあ、俺は風呂に行ってくるから、お前は留守番でもしててくれ」

「ぶー、もうちょっといてくれてもいいのに…………」

 幽子はああ言っているが、水に濡れるといったん霧散する彼女。

 さすがに大浴場まではついてこないだろう。

 俺は今日何度目かわからない大きなため息を吐いて、部屋を後にした。

 

 ……余談だが、音垣先輩は下着を一式風呂に持って行っていただけだったらしい。

 変な疑惑をかけて申し訳ございませんでした!

 

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