「え、ええとね、月城くん……私たちは悪気があってこんなことをしてるんじゃないのよ?」
そんな場面を見つかってもなお言い訳をする往生際の悪い先輩。
「悪気なく後輩を縛る状況って何ですか説明してください」
そんな彼女に、俺は正論でぶつかっていく。
すると先輩の不利を悟ったであろう優秀な一年生、木ノ葉が援護してきた。
「お兄ちゃん、どうしてそんなに木ノ葉たちを責めるような口調なのさ!」
それに対しても俺は真正面から、彼女たちの罪悪感を刺激する形で反論する。
「お前、胸に手を当てて考えればそのくらい分かるだろ……」
しかし、木ノ葉はそんな口での攻撃が通用するような相手じゃない。
このセリフに対し、木ノ葉がとった行動は――!
「…………胸に手を当てて考えたけどわかんないなぁ」
「…………俺の胸に手を当ててどうする」
なぜか物理的に。
それも自分のじゃなく俺の胸に手を当てるという、トンデモ行動だった。
――さすが常識で生きてないだけあるぜ、この引きこもりモンスター。
そんな風に、俺が見つけた犯人連中と楽しくじゃれ合っていると。
「そんなことはいいから早く助けてよぉ!」
なんて、部屋の入り口付近から涙交じりの絶叫が再び聞こえてきたのだった。
……すまん、成瀬が縛られたままだったの、すっかり忘れてた……。
それから、全員で成瀬の拘束を解き。
成瀬を含む全員を目の前に正座させると、俺は公正な立場として話を聞くことにした。
「まず、事の始まりなんだけど……」
と、初めは被害者である成瀬が証言をする。
「ちょっと言いにくいんだけどね、お風呂に行ってるときに、三人で勝負をしたの」
「ほほう……それで?」
その勝負で何か揉め事が起きたのだろうか。
少し自分でも予想をしながら、続きを促す――と。
「それがね……月城との二人きりの時間を懸けた、サバイバルバトルの始まりだったんだよ!」
「女湯であのとき何が起こってたの⁉」
……正直、予想していたのと全然違った。
せいぜい胸の大きさ比べとか、そういった平和的なものを想像してたよ。
女の子が絡み合ってキャッキャウフフと……。
それが蓋を開けてみたら、血気盛んなサバイバルバトルだもんなぁ。
まあ、胸の大きさで勝負するなら成瀬が先輩に勝てるわけないか。
俺は冷静に彼女たちの胸を評価するともう一度成瀬に向き直り――女子三人に睨まれた。
「今、月城くん胸の大きさ比べとか想像してニヤニヤしていたんでしょう。気持ち悪い」
「お兄ちゃん、三人のおっぱい見比べてなにしてんのさ! 変態!」
「誰が勝てるわけないって⁉ そんなの言われなくても分かってるよ! 言われてないけど!」
口に出したわけでもないのに、俺の頭の中を覗いて激高する三人衆。
彼女たちは温泉の効能かなにかで、急に心を読めるようになったのだろうか。
と、ここまで考えて思い出す。
この部屋にもう一人、さっき吹っ切れたばかりの心を読める人物がいたじゃないか!
「コラ幽子! また何かしやがったな!」
「うへぇ! もうバレちゃったんですか! 今回は全員に怜太さんの頭の中を共有しちゃいました! 読心術の応用ですよ! エッヘン!」
成瀬以上先輩未満の胸を張って偉そうにする幽子。
しかし今回ばかりは俺の頭の中がいけなかったため、強く言い返すことができない!
正座を解いた三人が縄と鞭を手に戻ってきたが、甘んじて罰を受け入れよう。
そうして俺はさっきの成瀬よりきつく先輩に縛られ、三人から足蹴りやらムチ打ちやらの攻撃を黙って受けることとなったのだ。
……ぶっちゃけ、最後の方は快感に変わってました。ありがとう幽子、ありがとうみんな。