興奮した俺は、無防備な先輩の首筋にゆっくりと顔を近づけ、耳元で言う。
「…………先輩が、誘って来たんですからね……?」
そして、その滑らかな首筋に軽く口づけをすると――舌を出して、キャンディを舐めるかの如く豪快に、且つ繊細に舐めまわした!
先輩の味が、口の中に広がって溶けていき、全身に循環していく。
彼女から薫ってくる温泉の匂いと女性ならではの豊かな甘い香りが鼻をくすぐり、媚薬のように脳みそを苛んでくる。
そうして脳内麻薬が飽くることなく分泌されて、止まるところを知らなくなった俺の情欲は次第に膨張し、熱暴走を始め――
「先輩……! いただきますっ!」
――先輩の凹凸をしっかりと映し出す浴衣を剥ぎ取り、その大きな二つのふくらみを空気のもとに晒してやることとなったのだ!
だがしかし、もちろん中に何も着ていないわけはなく、白いメッシュのTシャツは直におっぱいが目に触れることを拒んでくる。ただ、こいつは所詮一枚の布切れだ!
Tシャツを通して圧迫された胸は直に見るよりも破壊力があり、暴力的な魅力を放っている。
そんな光景にこの思春期真っ盛りな俺が満足できるはずもなく、俺はその双丘に向かって左右二本の人差し指を立てて近づけ――
……カシャ。
――なんだかついさっきも耳にしたような機械音に、その進路を邪魔された。
振り向いてみると、鬼の形相をした幽子がスマホのカメラを構えている。
確かあれは、音垣先輩のスマートフォンだ。
「怜太さん……? 私が近くにいながらそれだけ好き勝手するということは、分かってるんですよね……?」
「……ヒィッ! だ、だって今回は先輩も抵抗しないし……!」
幽子の存在を忘れていたとはいえず、かといって黙りこくってしまうのも違う。
先輩が抵抗しなかったから調子に乗ってしまったと言い訳をし、俺は回避しようと考えた。
しかし幽子はその答えにさらにムッとしたような顔をして、仰々しく腕を組みなおすと、こんな事実を告げてきた。
「琴音ちゃんは、怜太さんとこれ以上親密にならないように私が意識を途切れさせたんですよ! だから怜太さんは眠っている琴音ちゃんの首筋をただただ自分の意志で舐めた人です! 反省しないとこの写真、残したまま琴音ちゃんの意識を戻しますよ……?」
聞いた俺、即土下座。
先輩も了承したうえで行われた俺の犯行が写っている写真なら何の問題もなかったが、本人が知らない犯行が撮影されたとなれば話は別だ。
不機嫌に頬を膨らませる幽子に、家に帰ったら幽子が寝るまでゲームに付き合ってやることを約束し、データは削除してもらった。
最近覚えたであろうスマホのカメラを使う術、厄介なのでぜひやめていただきたい。