「……と、こういうわけなんです……」
場所を移動して、一階のイベントスペース。
ここで、幽霊である彼女のことを詳しく聞いていたんだけど……。
「……ってことは俺、なんにもないところに向かって叫んでるように見えてたってことか!」
「そうなりますけど、まずそこですか⁉」
聞いてみると、さっきまでに起こった出来事にすべて合点がいった。
例えば、彼女が下着姿で騒いでいた理由。
生きている人間であれば恥ずかしいし、常識的に外で裸にはならないだろう。
しかし、すでに死んでいる彼女にとっては違ったのだ。
「いやぁ、だって、幽霊になったらまずは露出プレイとかしてみたくありません?」
「いや全然したくならないけど⁉」
彼女は、生前から露出癖の持ち主。
それが今回、誰にも見つからないうえに衆人環視の中で痴態を晒せるとあって、大興奮で露出を楽しんでいたという。
「とんだド変態だな!」
「ド変態とかいわないでくださいよぉ。興奮しちゃうじゃないですか」
「よろこぶな変態!」
「あぁまた……」
体を火照らせてくねくねと悶える彼女を無視して、考える。
これは余談だけど、話を聞きながらツッコミを入れてる間にすっかりこっちはため口になってしまった。……こんな変態に敬語なんか必要ないわ!
「でもさ、幽子の話だと普通誰にも姿は見えないはずなんだろ? だとするとどうして俺にはお前の姿が見えるんだよ」
「そこなんですよねぇ……」
俺の質問に、幽子が頭を抱える。
幽子が言うには、こんなことは一度もなかったというのだが……。
「あれなんですかね、霊感が強いとか?」
「いやいや、俺幽霊なんて見るの初めてだし、霊感とかない方だぞ?」
そうなのだ。
幽子が人に姿を見られるのも初めてなら、俺が幽霊を見るのも初めて。
「……じゃあ、怜太さんの初めては、わ・た・し、なんですねっ!」
「煽情的に言うな!」
このド変態幽霊、話していても急にド変態が顔を覗かせる。
それ自体は悪くないんだけど……テンポが狂うから、ちょっとやめて欲しい。
「でもでも、怜太さんって、自分が気づいてないだけで他にもたくさん幽霊見てたりしないですか?」
「……と、いうと?」
軽口を叩いてる間にも一応はちゃんと考えていたらしい。
幽子が、新しい見解を口にする。
「だって、今日だって怜太さん、私のこと普通の人間と勘違いしてましたよね? それって、他の幽霊も普通の人間みたいに見えてたからスルーしてた……ってこともあり得るんじゃないですか?」
「まあ……確かに」
幽子の意見にも一理ある。
実際、俺は今日幽子を見つけたときにも幽霊だと疑っていなかった。
それに、腕を掴めてしまったとなればこれはもう気づきようがないんじゃないだろうか。
まさか、俺に霊感があったなんて……。
生まれて初めて暴かれる俺の真実に、謎の感動のようなものを覚える。
「……じゃあ、ちょっと試してみますか?」
俺が中二病っぽく両のてのひらを上に向けて霊能者を気取っていると、幽子が言った。
「ええっと、試すって何を?」
自分のノリノリ具合に若干恥ずかしくなりつつも、意味が分からず聞き返す。
すると幽子は、新しい実験を思いついた科学者みたいな満面の笑みで言ってみせた。
「私の他の幽霊を連れてきて、見えるかどうか試してみるんです!