Seelf-sacriflcing devil 作:瞬間接着剤
だからこそ出会ってしまったとき巻き込まれた時に他人に頼って/擦り付けてしまう。あの日のように
響達の夏休みの宿題が終わった二日後。三人はとある場所に来ていた。
外はまだまだ爛々と滾る太陽によって照らされとてつもない暑さになっていた。
そんな外にあるデパートの駐車場。多くの車が停められていた。その中の一台、黒い四人のほどの乗用車の中から石動一真、立花響、小日向未来が出てきた。
「あっち…今年は例年に比べて暑いといってたけど流石に…」
「暑い…」
「ですね…」
三人はすでに暑さにやられていた。三人はなるべく日陰を移動しながらデパートに入っていった。デパートは大型であり五階まであった。
三人は入って早速目的地に向かっていった。場所は二階、衣服店が多く立ち並ぶ階数。
「いやぁ~それにしたって一真さんの車があってよかったですよ~」
「響の言うとおりです。ありがとうございました一真さん」
目的の店にいくまでの道のりで二人は一真に対して今回の車の件について感謝の言葉を伝えていた。
「ホントだぞ。俺もちょうど車を出そうと思っていたからちょうどよかったな」
そうこうしている内に遂に響と未来、二人の目的の服屋についた。
「さて。じゃあ俺は近くの本屋で時間を…」ガシッ
一真がその場から動こうとしたその時だった。一真の両腕を二人ががっしりと握っていた。
「あ、あの…」
一真が機械のようにギチギチと振り返る。そこにはとても良い笑顔を浮かべて一真の腕を掴んでいた二人の少女がいた。
「は☆な☆せ!」
「「イ・ヤ・です♪」」
周りの客、主に男性陣は静かに黙祷した。
服屋は様々な衣服を取り扱う。勿論その中には女性ものもある。
彼はそこに連れられていた。二人は楽しそうに服を手に取り近くの鏡の前で自身に重ね似合うかどうかを見ていた。
「一真さん、これどうですか?」
響は両手に持った服を似合うかどうか一真に聞いていた。
何故か一真は死んだように目のハイライトを消していた。
「あぁ、良いと思うよ。特に右のワンピース色もあってると思うしな」
一真は響の持ってきた二着をみて右と判断した。この服は後にプライベートでの服となった。
この後も約二時間この服屋に留まり彼女達の気のすむまま一真も連れられ服を見て回った。その間、一真も彼女達に服を選ばれ数着購入することとなった。
「服なんて着れればそれで良いだろ…何でこんなに」
「その考えがダメなんですよ。服はその人の第一印象を決める大事な要素なんですよ?」
「くそぉ…」
一真にとって大量購入したと思う数着の服。その量に(少ない)一真は愚痴っていたが未来からの一言によって簡単に論破されてしまう。ちなみに一真は着れれば良いと思っているため普段のセンスは壊滅的にとまではいかないがかなり酷いものになっている。具体的には靴下が裏表逆+別々の靴下でも気にしない程に服にはいい加減なのである。
ただし選ぶセンスは人並みにある。
「ところで一真さんが行きたい所は何処ですか?」
「ん?いやな、日用品とか食材とか無くなりかけてたから下の売り場にでもな」
三人での移動中に響がそう言えばと言う顔で一真に問いかけ特になにもないありきたりな理由だが納得する。
「そう言えばエコバック持ってきてましたもんね」
「取り敢えず俺は買ってくるが…どうする?来るまで待っとくか?」
一真はそう言うとポケットから鍵を取り出すため小さく持ち運びやすい大きに畳まれた緑のエコバックを取り出しどかし下から車の鍵を取り出し響に渡そうとする。
「一真さんには服屋とかでお世話になったので付き合いますよ」
響が鍵は受け取れないと手で止めそう答えた。未来も首を縦に動かした。
一真は二人を見た後、買い物に付き合ってもらい様々な品を買った。冷凍食品、普通の食材、シャンプー等々をかごに入れたが時折かごの中にカロリーメイト等を入れようとし未来に止められていた。本人は手っ取り早いと言っていたが未来から笑顔で止められ渋々棚に戻していた。響はその後継を苦笑いしながら見ていた。
その後は何事なく帰路につき、二人を家に送り帰ることとなった。
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どこかのビルの上、辺りは夕日に照らされ美しいオレンジ色に染まっていた。普通なら当たり前の光景。しかしそこに異物を混ぜることによって簡単に非日常に変えることができてしまう。
ビルの下の景色は夕日色に照らされた殺戮者がいた。人々を呑み込み壊し換えてしまう非日常の象徴。それをビルの上から眺めている男の姿があった。
男の顔は見えないが白衣を身に纏いアジア人特有の黒髪そしてその手には悪趣味な色をした機械を持っていた。男はノイズをみて動揺することなく静かに機械を腰に押し当てた。
静な男とは違い機械から発せられる音は派手。しかしかえってそれがより一層男を不気味と思わせる材料になっていた。男は更にポケットから二本のボトルらしきものを取り出した。片方は金色でひび割れた歯車が書かれていた。もう片方は紫色の悪魔の横顔が描かれ不気味な雰囲気を漂わせていた。
男はそのボトルを片手に一つずつ持ちキャップを回転させた。その姿はどこか科学者を思わせた。男はボトルを逆さに持つと腰に巻き付けた機械に装填した。
1つ、1つ装填するごとに機械からテンションの高い声とそのボトルのマークが表示され最後にエボルーションと言う声と共に惑星のようなマークが表示されると男は機械の取っ手を握り締め回し始めた。機械――ベルトからさっきとはうって変わって不気味な曲が流れ始め男の体が宇宙色をした霧に包まれていく。その霧はベルトから溢れ出したものではなく
真鍮色の歯車が男の上下に固定された。更にその後を追うように複数本のパイプが男の体から突き出し歯車に突き刺さった。更にパイプの中は男の体液なのか紫色の液体と真鍮色の液体が満たされていく。
異様だった。そのすべてが。まるで何かの儀式のようだった。
ベルトから発せられる変わり無い声。だがどこか嘲笑っているように。男はその声に答えた。口の無い口からはっきりと、断るように。
「変身」
たった一言の短い言葉を合図に上下に固定されていた歯車がそれぞれ逆向きに回転を始めた。そして突き刺さったパイプも釣られて動き始めた。男に絡まり張り付いていく。まるで封印のような、ミイラを作るときに巻く包帯のように。そして限界まで巻き付き最後に歯車がパイプを引きちぎり化け物のなりかけに纏わりついた。そして化け物のなりかけは歯車が回転して体を這うごとに完全な化け物に成っていった。そして化け物は解き放たれた。纏わりつき、体を這っていた拘束を吹き飛ばし自らの力で。
カオスは下を向くとビルから飛び降りた。その下に待つ獲物に向けて。
カオスは飛び降りる最中に足を前に突き出した。そして地面に到着と同時にノイズの頭上に振り下ろされた。ノイズは抵抗するはずもなく簡単に豆腐のように崩れ落ちた。
そして蹂躙は始まった。今まで蹂躙していたノイズが今度は蹂躙される側に回った。
"因果応報"自身のしてきた行動がいつか自身に帰ってくると言う言葉がある。今のノイズはまさにそれだ。思うがままに殺し壊し傷跡を残していく、しかしそれがカオスと呼ばれる
ノイズの中には攻撃を当てる者もいた。しかしその体の前では当たるだけで滅んだ。爪を立てようなら爪が壊され武器を失い返り討ちに合う。なすすべなし。
そして最後のノイズも滅ぼされた。その体に腕を刺され。
ボロボロと崩れていくノイズの体をゴミを払うように振り捨てカオスは回りを確認していた。
そして顔を右に向けたその時、地鳴りと共に一発の砲弾がカオスの顔を直撃した。
『着弾を確認!全員進めぇ!』
カオスの顔面に直撃させたことを確認する英語、そしてそれと共にキャタピラを稼働させ進み始める戦車とその他兵器や兵士達。ノイズが蹂躙しカオスが殺戮の限りを尽くしたビル街は簡単に戦場に早変わりした、してしまった。
『っ!?全軍止まれ!』
カオスのいた場所、そこは砲撃によって破壊されたコンクリートや塵などによって全く見えなくなっていた。しかし部隊長はなにかを察知した。「これ以上進むな、引き返せ」。それはただの勘だった。しかし多くの戦場や厳しい訓練そして死線を越えた部隊長の勘はその部隊の中でも信頼足るものだった。そして部隊長の勘は当たってしまう。
煙の中突如、紫炎が放たれ前方にいた戦車一台を呑み込んだ。紫炎は止まることなく戦車を焼き溶かし破壊した。
そして煙の中から右手を此方に向けた"無傷"のカオスが此方を見ていた。
『撃てェェェェェェェ!』
部隊長の叫び声。その声の後にカオスに向けて一斉弾幕射撃が行われた。残った戦車2台、銃座付きバギー、歩兵隊。歩兵隊の中にはRPGを持った者もいた。しかし射撃同時にカオスは残像を残しながら瞬時に移動した。そして部隊長の首を捻った。グギッと言う生々しい音を立て部隊長の首は後ろ側を向き二度と動くことはなかった。
そしてカオスは部隊長のいた場所に立ち一言放った。
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ここで1つ、補足を入れておこう。カオスは決して人類に友好的ではない。かつて様々な国や歴史上でカオスを捕まえその力を我が物にしようとした者達がいた。
カオスはその度に
世の中ではカオスを正義の味方、救世主等と呼び崇めているもの達もいるようだがカオスが何時私達人類に牙を向くか分かりはしない。そのような状況でカオスを信じるのは早計ではないだろうか。
カオスが放った一言。意味はヘブライ語で愚か者です。多分、確信はありません。
え?何でヘブライ語何だって?英語で良いだろ?
許して(震え声)