チート持った痛(I)い奴らを俺がチートで成(S)敗する 作:憲彦
玲衣がドイツに来てから1ヶ月が経った。学校は分身が行ってるため出席に影響はない。一夏も一夏で、特例と言う形ではあるが、こちらで勉強をしているため出席に影響しない。代わりに帰国後にテストが待っている。
「なんか、無駄に長くここに居た気がするな~」
『実際に1ヶ月が過ぎました』
「やっぱり国外は落ち着かないな。早く日本に帰りたい」
「なら帰れば良いじゃないか。もう問題は起きない筈だしな!ハハハハハ!」
何故か千冬が自信満々に根拠もなく言っているが、これ以上に信用できない言葉はない。玲衣もチベットスナギツネの様ななんとも言えない顔をして千冬に目を向けていた。
「な、なんだその顔は?」
「お前が言うとこれ以上に無いほどに不安になるんだよな。この後100%面倒な大事が起こると俺のサイドエフェクトが言っている」
「いつからお前は特徴的なグラサンを着けた実力派エリートのボーダー隊員になったんだ?」
「いや、実際なにかが起きそうだからな。お前らと関わると俺の平穏な生活が容赦なく消えていくからな。このまま何も起きないと言う方がおかしい」
千冬への信頼が0なのか、自分の運命が呪われているのか、はたまたその両方なのか、何か1つ大問題を片付けなければ帰ってもまたすぐに戻ってくる結果になりそうで、帰るに帰れないと言うのが実情だ。
「アンタは教官としての仕事が板に付き、一夏も一夏で平和にくらし、俺は小さい問題を片っ端から始末。あり得ないだろこれ。おかしいだろこれ?何で俺がここの問題を片付けてるんだよ」
「まぁそれのお陰で私と一夏は助かっているのだがな。見てみろ。険悪だったラウラと一夏が今では仲良く兄妹の様に一緒に料理をしたり勉強をしたり、見ていて実に癒される」
「勝手に癒されてろ。俺は疲れが溜まる一方だよ。アークリアクターのエネルギーを全てリパルサー・レイに回して撃ち込めばどれだけスッキリするか」
「この基地を消し飛ばすつもりか?」
次に何か1つでも玲衣にストレスになることを与えると、本当に人が大量に死にかけない。そう考えると、基地が消え失せる程度なら安いと思える。
「さてと、飯でも食いに行くか」
「おっと。もうそんな時間だったのか。確か今日も一夏とラウラが2人で作っていた筈だな」
「基地の外に行ってブラートガルストでも食いに行くか」
「おい待て。態々金を使わずに食事ができると言うのに、何故外に行こうとする?」
千冬の言葉を無視して、マーク6を着て外へ行ってしまった。スーツを着る直前、一夏とラウラが作っていたと言う言葉を聞いて、急激に食欲が失せたと言う顔をしていたのは内緒だ。因みに、ブラートガルストとは最も人気なソーセージの事らしい。
『良かったのですか?基地で食べなくて』
「向こうで食ったら疲れる。2人が作るたびにそれを食うと感想を求められるからな……俺は落ち着いて飯が食いたいんだよ」
『確かに、1人の時間も必要ですから、良い判断だったかと』
「久し振りに落ち着ける時間ができた感じだな。表に立ててるスーツが子供たちの遊び道具になってなければ完璧なんだが……」
神威の空間にしまえ。とツッコミたくなるが、できない理由があるのだ。今眼にはめているのは神威ではなく別天神。ナルト本編ではうちはシスイの万華鏡写輪眼として登場し、最強幻術を操る眼。故に神威を使うことができないのだ。
「まぁ壊されないなら良いか。おっちゃん、ブラートガルストおかわり」
「はいよ!姉ちゃん良い食いっぷりだねぇ!ほら大盛どうぞ!」
「サンキュー」
現在、アイアンマンはISと言う括りだ。それを男が乗ってるとなってみろ。ドイツどころか世界中が混乱して原作開始が早まってしまう。しかも一夏が原因ではなく自分が原因で。そもそも一夏がIS学園に無事入学ができたのは、織斑千冬と言う最強にして最大の後楯があったかとも言える。だが現在、玲衣の後楯は金のみ。持っている株を全て売却すると言えば脅しにはなるだろうが、国を揺さぶる程かと聞かれれば微妙だ。故に、多少面倒だが別天神で全員に幻術をかけて自分を女だと認識させている。なお、細かい規約の部分等も問題ないと思い込ませている為、聞かれることはない。
「はぁ~。腹がふくれた。おっちゃん、会計宜しく」
「おう。現金か?」
「クレジットカードで。今現金の持ち合わせはない」
「はいよ(ブラックカードなんて初めて見たな……)」
カードで一括支払いをし、子供達が遊んでいたマーク6の中に入って基地の方向に飛んでいった。
「今日は問題なく1日が終わりそうだな」
『イベント事もありませんし、無事に終わる可能性が高いですね。スーツの整備でもしますか?』
「だな。今日は邪魔されずに隅々まで整備してやる」
本当にこの日は何も起きずに心置き無くスーツを整備することができた。自分の身の回りで問題が起きないことのありがたさを噛み締めつつ、テレビを見ながら作業を進めていくと、気になるニュースが突然飛び込んできた。別に国際的なニュースを扱う番組では無いのだが、何故かイギリスの列車事故のニュースが報道されている。
『臨時ニュースをお伝えします。イギリスの国営鉄道で大規模な列車事故が発生しました。繰り返しお伝えします。イギリスの国営鉄道で大規模な列車事故が発生しました。多くの負傷者が出ており―』
「なんでイギリスのニュースがドイツで?」
『邦人が多くいた。とかでしょうか?』
「国が整備を怠っていたとかもありそうだな」
『従業員がストライキを起こしたが故の事故の可能性も』
ジャーヴィスと2人でここまでのニュースになる理由を考えていたが、どうやらどれも違っていたようだ。
『大規模な事故でしたが、死者は2名との事です。目撃者の証言では、黒いフルスキンのISが事故による被害を最小限に抑えようとしていたとの情報が入っており、捜査当局は該当するISが無いかと事故原因と共に調べを進めています』
「黒いフルスキンのIS……ジャーヴィス、画像はあるか?イギリスは監視カメラ大国だ。どこかに写ってないか探せ」
『畏まりました』
ジャーヴィスに黒いフルスキンのISの検索を任せて、ガレージの電気を消して部屋へと戻っていった。この日は本当に何も起こらず、朝まで平和に寝ることができた。ここに来て最初の1週間は酷かった。寝ていたにも関わらず夜中にリパルサー・レイをぶっぱなしたり、寝起きにユニ・ビームを撃ち込んだり、壁に穴を開けたり等々、それはそれは散々な日々を送っていた。特定のバカ2人が原因で。
「あぁ、久し振りによく寝たな。アホ2人に邪魔されないって最高だな~」
『玲衣様、黒いフルスキンのISの画像を入手できました。携帯と自宅のパソコンに送信しておきます』
「頼んだ」
『それと、千冬様から演習場に来るようにとメールも入っています』
「無視する」
「させないぞ。既にお前もエントリーされているんだ。諦めて手伝え」
「この厄災女が……いつ俺を何にエントリーした?」
「お前が整備している間にちょちょっと!IS部隊の模擬戦大会に」
「よし分かった。お前の上半身と下半身は今日でお別れだな」
物騒な事を言いつつ、諦めて千冬の後に続いて演習場へと歩いていく。この日はIS部隊の模擬戦。主に千冬の教育したラウラの隊の実力確認の様な物が大会として行われる。そこに千冬が玲衣の事を組み込みやがったのだ。
「俺は誰と……眼帯チビか」
「私の教え子とか。良かったな玲衣。ラウラの実力は私が訓練を付け始めてからメキメキと伸びていったからな!負けないように気を付けろよ!あ、身長はまだ変わってないぞ」
「本人の前で言ったらアイツ泣くぞ」
滝のような涙を流しているラウラの様子が頭の中に浮かんできた。何故かそれを慰めている一夏もセットで出ている。
そんなこんなで、ラウラと玲衣の試合が始まろうとしていた。正直言って、1番気になる組合せな為、他の連中が挙って2人に最初の試合を譲ってトップバッターになってしまった。
「最初に言っておくが、手加減はするつもり無いぞ」
「当然だ。私も全力で行くぞ!」
当然の事ながら、玲衣はマーク6を使う。と言うかこれしか持ってきていない。そしてラウラの方はと言うと、原作で使っていたシュヴァルツェア・レーゲンに似ている機体に乗っている。
「ほう。試作機とは言え、新型を渡されるとは。てっきり量産機に乗るのかと思ったのだが」
「はい!教官に教えてもらったお陰です!見ていてください!訓練の成果を12分に発揮して見せます!!」
そう意気込んでるラウラに一切の反応を示さず、試合の準備をしていく。
(新型の試作機……シュヴァルツェア・レーゲンの前進か?形は似ているが)
「さぁ玲衣!行くぞ!」
「分かったから早くこい」
「いざ尋常に、参る!!」
なんかワイヤーみたいなのが飛んできた。確信した。これはシュヴァルツェア・レーゲンの前進の機体だ。
「なぁ、その掛け声誰から聞いた?まさか一夏か?」
「む?一騎打ちの勝負をするときはこれが正式な物だと部下から聞いたのだが?」
「よ~し。その知識は間違ってるから直せよ。ほら見ろ千冬の顔。流石にキレているぞ。お前の隊の人を締め上げてるし」
「なら直そう。後で一夏に教わる」
「多分直せねぇなコイツ……」
「おい。何故そんな可哀想な物を見るような目でみるんだ?」
チベットスナギツネの様な顔をする玲衣を見て動きが止まったラウラ。当然それを見逃してくれる程、玲衣は優しくない。問答無用でリパルサー・レイを撃ち込みラウラをブッ飛ばした。
「グッ!やはり強力だな!だが次こそは受け止めて見せる!」
「訓練の成果を見せたいなら避けて反撃するくらいしろよ……」
若干呆れつつ、空中に飛んでリパルサー・レイを乱射してラウラの動きを制限していく。ついでに小型のミサイルを撃ち込んで更にダメージを与えていく。
「さてと……ここからどうやって巻き返す?」
爆煙や土煙でラウラの姿を目視で確認することはできないが、掌を向けた状態で空中で静止している。いつ出てきても撃ち落とせる様にだ。
「……ジャーヴィス。まさかとは思うが、あのチビ助ノックダウンしたか?」
『反応はまだあります。戦闘不能にはなっていないと思われます』
「じゃあ何故動かなッ!?」
突然、砲弾が飛んできて玲衣を掠めた。ギリギリで避ける事ができたが、あと少し反応が遅れれば直撃は避けられないコースだった。
「ジャーヴィス!ロックオンされてたか?!」
『反応はありませんでした。完全な目視によるものの様です』
「あの野郎……根本的な技術を詰め込みやがったな」
地上で千冬はしてやったりと言う顔をして玲衣を見ていた。そのニヤけ顔にリパルサー・レイとホーミングミサイルを撃ち込みたい気分になったが、ロックオン機能を使わずマニュアルで砲弾を撃ち込んできたラウラに集中する事にした。
「ウオッ!またか!?」
更に3発立て続けに砲弾を撃ってきた。しかも今度は玲衣の動きを先読みして、回避先にも砲弾が来るように撃っている。
『玲衣様!上です!!』
「ッ!?グワッ!!どう言うことだ?」
『時間差で着弾するように、あらかじめ1発を曲射で放っていた様です』
「小賢しい事を考えるな……被弾覚悟で突っ込むぞ」
近付いてもアウト。離れてもアウト。ならば最接近して肉弾戦にでも持ち込もうと考えて、薄くなった爆煙の中に突っ込んでラウラにしがみついて押し倒した。だがラウラもそれは予想していたようだ。玲衣がラウラの顔に掌を向けてリパルサー・レイを撃とうとするのと同時に、レールカノンの照準を玲衣に向けていた。
「どうする?お互いにここまでにするか?」
「一応トーナメント戦だ。そう言う訳にも行かん。負けを認めて欲しいんだが」
「最初圧されまくってたヤツのセリフには思えないな。後半になってようやくエンジンかかる様なヤツが、トーナメントを勝ち進めるとは思えないんだが?それよりお前、自分の機体に疑いの眼を向けた方が良いぞ」
「は?」
「ジャーヴィス。準備できたか?」
『いつでも大丈夫です』
「千冬、模擬戦大会を一旦止めろ。ラウラ、お前は今すぐそれを脱げ」
「ちょっと待て。何故急にそんなことを……」
「さっさとしろ。力ずくで剥がされたいのか?」
強目のリパルサー・レイを撃ち込もうとしているのが見えた為、急いでISを脱いでその場から離れた。突然の事に、全員困惑していたが流石軍人。いつでも動けるように構えている。
「特定データの転送開始。他に妙なのはつまれてないな?」
『このシステムのみの様です。切り取り転送後に取り外し可能メモリに入れます』
「よし。この機体の開発者を今すぐ拘束しろ!これには違法システムが組み込まれていた。逃げられる前に捕まえるんだ!」
普通なら玲衣の指令には動かないが、ここでの生活でもうある程度の立場が確立している様な状態だ。そしてその立場が割りと高い。
「違法システムって、何が積まれてたんだ?」
「VTシステム」
「積んだヤツを全力で捕まえるんだ!!妹を危険な目に会わせたヤツを締め上げるぞぉぉぉぉお!!!」
積み込んだ開発者に明日が無くなった瞬間である。
次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録と活動報告もよろしくお願いします!!
今日は募集箱に応募のあったキャラクターをすこし出しました。ご応募下さった龍牙さん、ありがとうございました。
登場キャラ
愛咲 真実(あいざき まこと)
詳しくは活動報告へ。
https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=236565&uid=180457