チート持った痛(I)い奴らを俺がチートで成(S)敗する 作:憲彦
ただ、2本目はかなり時間を置いての投稿になります。当然、リアルでの仕事上書いたら即上げるは無理ですので、予約投稿を使います。前回の更新も2話上げてます。感覚としてはそんな感じです。
理解した方は本編にゴー。読み終わったら感想お願いします。
一夏に専用機が与えられると言われた日の放課後、一夏は千冬と真耶に連れられて、普段はあまり使われない第3アリーナに来ている。専用機「白式」のフィッティングをするためだ。
「これが今日からお前の専用機になるわけだが……なんで玲衣がここにいるんだ?」
「倉持の株主である以上、予定外に開発された機体の事を知っておく必要がある。と言っても、機密情報に触れるつもりはない。作業が終わるまで待っておくから、終わったら呼んでくれ」
「株主も面倒なんだな~。黙っても配当が来るから楽な物だと思ってたんだが」
「7割も持ってるからではないでしょうか?大きくなればなるほど、責任は大きくなりますからね」
真耶の言うことはもっともだ。そんだけ持ってれば、下手すれば企業の役員よりもトンでも権力を持っていることになる。玲衣に頭を下げている社員や役員を想像すると、少し可哀想に思えてくる。
作業を始めたのを確認すると、玲衣はピットから出ていって扉の前で待つ。15分程だろうか。ようやくフィッティングやその他諸々が完了し入って良いと言われた。
「これが白式だが、どうだ?」
「……まず一夏。お前はどうなんだ?まとってみて何か感じるものはあるか?」
「ん~?なんて言ったら良いだろ……少し動きづらい感じはあるけど、手足が伸びた訳だからそれは仕方ないし……強いて言えばすぐに動いてくれない事かな?」
「すぐ動かない?」
「あぁ……なんかこう、ワンテンポ遅れて動いている様なそんな気が……」
それを聞いて、玲衣は頭を抱えてしまった。自国の代表候補生の専用機開発を勝手に凍結し、話題性タップリの男性操縦者の機体を短期間で開発。それが完璧であるならまだ救いようがあるのだが、機体の完成度は中途半端で、もしかしたら欠陥もあるかもしれない。そんな物をよく数少ない男性操縦者に渡せたもんだなと、ある意味尊敬してしまう。
「で武装は?その遅れる動きは第一次形態移行が完了すれば改善されるかもしれんが、そんな機体でもまともな武装は付いてんだろ」
「それが……」
「んあ?」
武装の話になった瞬間、千冬と真耶、そして一夏の顔が強張った。そして出された武装は、簡素なブレード1本。流石の玲衣も言葉がでなかった。
「……一応聞くが、他のは?」
「これ、1本です……」
「ふぅ……なんだこのゴミ機体は?」
「言いたいことは分かるぞ」
ここにいる4人全員が同じことを言いたいと言う顔をしていた。武装が多様化し、打鉄ですらサブマシンガンが基本で付いている。第2世代最後機であるラファールは大量の武装を積む事ができる。第3世代はレーザー等のエネルギー兵器が遠近バランスよく積まれている。
白式も分類として、書類上は第3世代となっている。にも関わらずブレード1本とか言うふざけた仕様。呆れるしかない。
「この機体の開発チームは、敵の銃弾やレーザーを掻い潜って、懐に潜り込んでゼロ距離で一撃を叩き込んで敵を倒せと言いたいのか?」
「こ、コンセプトとしてはそうなんじゃないか?」
「そんなことをできるヤツがいるならIS乗りじゃなくて剣豪を名乗って欲しいもんだ」
企業が持ってきたデータに目を通しながら愚痴る。それはこの機体の事を知っている人なら誰しも言いたくなることだ。遠距離や中距離での戦闘がメインとなっているこの時代に、これは酷すぎる。
「しかもこの機体、防御はIS標準装備のシールドバリアのみだし、射撃用のセンサーリンクシステムも無いってどう言う事だ?」
もう、鬼畜仕様過ぎて泣きたくなってくる。確かに現役時代の千冬もブレード1本で戦闘してきたが、それは千冬の類稀なる才能があってこその事で、更にその才能を開花させる適切な訓練があったからだ。
男性操縦者と言うイレギュラーにして、どの戦い方が得意なのか、操縦にはどの様な傾向があるのか等、圧倒的な情報不足の一夏に持たせる機体としては、かなり御粗末である。
「どうせ、開発陣は千冬の弟だからこれで良いだろうとか考えて作ったんだろ?武装の名前が雪片弐型だし、第一次形態移行してからの単一はどうせ零落白夜だろ?」
「その通りだ……」
「で?ブレードが1本しかないのに拡張領域全部使ってて、他の装備が後付けできないと?」
「その通りだ……」
膝を付いて泣いている千冬を尻目に、こんなのに乗らなくてはならない一夏が可哀想になってきた。零落白夜は強力だ。エネルギー兵器が主になってきている今、それらを無効化できる零落白夜は攻撃にも防御にも使える攻防一体の理想的な武器。しかし、使えば使うほど自身のシールドエネルギーをガリガリ削っていく。どう考えても初心者に使える訳がない。
「山田先生、整備室の一角を自由に使えるようにしてください。情報漏洩防止の為に、入れるのはここにいる4人のみ。鍵とかは全部俺が作りますので」
「何をするつもりで?」
「こんなのに乗ってたら、いずれ事故でも起きてコイツ死にますよ。なんで、大幅に改修を加えます。倉持のバカ共にはこっちから話を通しておくので」
「分かりました。準備しておきます」
「玲衣~!!ありがとうオオオオ!!私が、私がブリュンヒルデなんかになってしまったバッカリに一夏にもお前にも迷惑ばかりかけてるのに、こんなゴミの回収までして一夏を守ってくれるなんて!本当にありがとうオオオオ!!」
「抱き付くな離れろ!制服に鼻水が付く!!」
玲衣に号泣しながら抱き付く千冬。そんな光景を見ていた真耶の眼が、少し冷たくなった気がしたが、そんなの気にせずに改修案をスマホのメモ機能に書き込んでいく。
「なぁ玲衣。一応聞くけど、俺これに乗ってても大丈夫なのか?」
「取り敢えずすぐに墜落するような物にはなってないし、代表決定戦までミッチリ訓練すれば戦えるようにはなれる。それでも限度はあるが……仕方ないから訓練にも付き合ってやるよ」
「じゃあ、このアリーナはお前たち以外は使えない様にしておくから、頼んだぞ玲衣。それで、どんな感じに白式を改修するんだ?」
「取り敢えず、防御装備と飛道具を着ける。同時に射撃用のセンサーリンクシステムもいれて、零落白夜のエネルギー問題も解決させる。拡張領域どうにかしねぇとな~」
改修案としては妥当である。1番の問題は拡張領域だが、直せなかったとしてもいくつか代替案がある。つまりどうにでもなると言う事だ。
「取り敢えず一夏、今日はISに慣れろ。見ておいてやるから」
「分かった」
学園の訓練機の同じ場所に保管してもらっているマーク6を取りに行き、そのまま飛んで第3アリーナまで移動した。
「しばらくの間、マーク6はここに保管しておくか」
「それって大丈夫なのか?誰かに悪戯されたら……」
「千冬がしばらくの間俺たち以外に使えなくしたし、そもそも俺以外が使うことができない。どうやって悪戯するって言うんだ?」
「落書きとか?」
「随分と可愛らしい悪戯だな。油性マジックでも軽く拭けばすぐにインクが落ちるし、ペンキを被っても水ですぐに流せる。悪戯のしようがないだろ。下らない事言ってないで、さっさと訓練始めるぞ。取り敢えず歩行からだ。その次にダッシュ。それが終わったら飛行。何がなんでもISに慣れることを意識しろ」
「分かった」
玲衣に見守られながら、一夏は歩行していく。体制を崩しそうになると、玲衣が一夏の体制を直し、真っ直ぐ歩くことができるようになるまで続けた。歩くことができるようになると、すぐにダッシュができるようになり、すぐに飛行訓練に入る事ができた。
「どうやって飛べば良いんだ?」
「さぁな。俺のとは勝手が違うから分からん。まぁ、こう言う場合は大体やり方は決まっている」
「ん?ウワッ!?」
装甲の一部をつかんでアリーナのシールドギリギリの高さまで飛んでいく。察しのいい人なら、このあと何をするのか分かるだろう。そう。落とすのだ。
「ウワァァァァァア!!!」
ドンッ!と言う音と共に、アリーナの地面にクレーターができあがった。ISのお陰で痛みはないが、恐怖は相当のものである。
「これを繰り返す」
「いや無理だろ!こんなんで飛べるようになるかよ!」
「翼竜の子供だって親が崖から落として飛び方を教えるんだ。問題はないだろ」
「それ、あと何回落ちなきゃいけないんだ?」
「落ちたくないなら早く飛べるようになれ」
その後も、何度か上空から落とされ続けて、いくつかクレーターを作っていく。30個程のクレーターができあがった辺りで、フラフラとではあるが飛べるようになっていた。スゴい進歩である。
「今日はこんくらいで良いな。第一次形態移行も完了したし、もう帰るぞ」
こんな感じで1日目は終了。明日からの訓練を想像したのか、一夏の顔は少し青くなっていた。
今日はここまで。次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録や活動報告もよろしくお願いします!!