チート持った痛(I)い奴らを俺がチートで成(S)敗する   作:憲彦

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ただのチート主人公(笑)は、今後無双することはあるのでしょうか?


訓練その2

「ふぁ~あ……眠い……」

 

「あ、玲衣。白式はどうしたんだ?」

 

「調整に2日かかる。昨日は結局徹夜だったし、カタログスペックは出鱈目だったし、どう考えてもお前に扱える物じゃないしで、ISを使った訓練は危険と判断してその間は使えない」

 

「ごめん……本当ごめん……」

 

「謝ってる暇があるならさっさと授業の準備をしろ。あと1分で開始だ」

 

その直後、千冬と真耶が教室に入り授業が開始。特にISを使ったような実技等はなく、座学が中心の授業が行われていった。

 

「おい千冬」

 

「織斑先生だ。ってお前に言っても無駄か。なんか用か?一夏の訓練はどうした?」

 

「これから開始。それよりこれ。白式の正式なカタログスペックだ。今は一夏に合わせて調整中。初期状態の純粋なスペックを書いている」

 

「……なんか企業から提出されてたのと大分違う様な気がするんだが?」

 

「実際違ったからな。あと、授業は休ませてもらうぞ。早く調整を終わらせて、追加装備を作らないといけないんでな。おまけに一夏の訓練付き……過労死するわ」

 

「あぁ~……うん、すまん。まぁその、頼んだぞ。あとこれ。剣道場の使用許可書。剣道部の部長に出せば使えるから」

 

「はいはい」

 

千冬から許可書を貰うと、一夏がいる教室まで戻り、運動着の入った袋とガムテープ、一夏を持って剣道場まで歩いていった。

 

「ちょっと玲衣?!俺歩けるんだけど!?」

 

「お前とチンタラ歩くつもりはないんだよ。黙って担がれてろ」

 

一夏と袋を担いだまま剣道場へ突入。そのまま部長に許可書を出して使う許可を貰った。少し引かれたが、問題なく通してもらい、ついでに竹刀を数本も借りた。

 

「今日はここで何を?」

 

「お前のISは、悲しいことに今のところブレードしか武装がない。つまり、無理でも接近戦を鍛える必要がある。それでここと言う訳だ」

 

「なるほど……」

 

「今の内から気を張っておけ。練習前から怪我をすることになるぞ」

 

「は?ウオッ!?」

 

突然襟を引っ張られて玲衣に引き寄せられた。するとその直後、一夏の立っていた場所にとんでもない勢いで木刀が叩きつけられた。

 

「学園内で殺人事件を起こすつもりか?篠ノ之箒」

 

「黙れ。おい一夏、何故ここにいる?貴様のような軟弱者がいて良い場所ではないんだぞ!」

 

「べ、別に関係ないだろ?ここに来たのはISで戦うための練習で―」

 

「お前程度が一体何ができると?弱く才能もなく練習しても一向に上達しない。千冬さんの面汚しのお前が、強くなれるとても?」

 

「それはッ……!」

 

昔同じ道場にいたからか、一夏は反論できなかった。確かに、一夏は千冬ほど強くない。武の才能があるかと言われれば皆無だろう。だが、だからと言って、努力をしようとする一夏を否定する事が許される筈もない。会話を聞いていた全員がそう思っている。当然玲衣もだ。故に少し突っついてみることにした。

 

「ハッ。爆豪を訓練に誘ったけど振られたからって一夏に八つ当りすんなよ」

 

「なんだと?」

 

「おい玲衣!やめとけって!怪我するぞ!?」

 

「一夏。お前黙ってろ。ジャージにでも着替えとけ」

 

鎌を掛けるつもりで爆豪の名前を出したのだが、反応を見るからに事実だったようだ。それを面白いと思ったのか、更にそこを刺激する。

 

「おいおい。事実を言われたからって怒るのか?武道を嗜む人間がそんなんで良いのか?あぁ~、中途半端な事しかできないから良いのか。そう言や、さっきも一夏に木刀振り下ろした時、体の軸がブレッブレだったからな~。と言うか、防具も何も着けてないヤツに、木刀をしかも背後から振り下ろすヤツの方が、ここに居る資格はないんじゃないのか?」

 

「貴様ァァァァア!!!」

 

木刀を構えながら玲衣に突っ込み、全力で木刀を振るう。篠ノ之は腐っても全国大会優勝者。実力と言う点ではここに居る剣道部員の中でもかなりの物を持っているとも言える。更に体格にも恵まれており、一夏と並べると篠ノ之の方が大きい様にも見えるくらいだ。

 

そんな人が全力で木刀で攻撃を入れようとするさまは、直視できる様な物ではないし、止められそうもない。何度も木刀が床や壁に叩き付けられる音が響いている。

 

「避けるな!卑怯だぞ!」

 

「卑怯で結構。と言うか、避けられる程度の攻撃しかできないお前が悪い」

 

「なんだとォォォオ!!!」

 

「俺も暇じゃないんだ。さっさと黙れ」

 

誰にも気付かれないように万華鏡写輪眼を久し振りに発動。体の動きを一瞬止めてから全力で殴り飛ばした。かなりの勢いで飛んでいった為、4メートル先の壁に激突して気を失った。

 

(ヤベッ。月読も一緒にかけちまった……まぁすぐに解いたから良いか)

 

月読はイタチの使っていた幻術で、幻術世界の時間を自由に操る事ができる。玲衣は一々調節するのが面倒なため、現実世界の100倍と時間を固定している。術発動後2分で解除。つまり200分程むこうで苦しむと言うことだ。目が覚めてもしばらくは辛いだろう。

 

「お~い剣道部の人~。これ片付けてくれ」

 

固まっていた剣道部員達に声をかけて、気絶している邪魔物を持っていって貰った。ついでに言うとまだ着替えていなかった一夏だったが、見かねた玲衣がその場で一夏こ制服をひん剥いてジャージを着せた。当然周りの目があるため、一夏は恥ずかしそうにしていたが、そんなの玲衣には関係ない。周りの女子共が獲物を狙うような獣の目をしていたことも関係ない。

 

「お~し。さっさと始めるぞ」

 

そう言いながら、持ってきたガムテープで50センチ四方の正方形を作ってその中に入った。

 

「安直なやり方だが、お前が今からやることは1つ。この正方形から俺を出すことだ」

 

「いや……さっきの見てたから言うが、無理だと思うぞ」

 

「無理でもなんでもやれ。少しは坂道を上りやがれ。壁はその後に越えろ。まぁ全身を出せって言うのは無理だろうから、片足だけで良いぞ。あ、俺も反撃するからな」

 

最後の最後で難易度を上げやがった。とは言え、一夏にも向上心はある。目の前にいる玲衣には確実に勝てないが、少しでも近付きたい気持ちはあるのだ。そのチャンスが今だ。それを捨ててしまう程、一夏は愚かではない。竹刀を構えて踏み出し、玲衣に竹刀を当てようとする。

 

「……軽いな。フッ!」

 

「グハッ!……蹴飛ばすなんてアリかよ……!」

 

「誰も剣道やるなんて言ってねぇだろ」

 

その通り。玲衣は剣道場には来たが、剣道をやるとは一言も言っていなかった。つまりは剣道のルール何て言うものは一切通用しない。剣道場でやる。竹刀を使う。この2つから、一夏は勝手に剣道のルールが通用すると思い込んでいたのだ。

 

「良いか?今はルールなんて物は存在しない。強いて言うなら、お前はやれること全部やって、俺をこの正方形の中から外に出す。ただそれだけだ」

 

それが、この訓練に存在するたった1つのルールと言える物なのかもしれない。

 

「幸いにも竹刀は何本もある。長いのも短いのもな。何本へし折っても構わないぞ」

 

「ちょっと佐倉くん!?それは剣道部としては困るんだけど!」

 

「へし折った分は弁償する。それくらいの財力はあるからな」

 

そう言って、懐から通帳を取り出して最新のページを開いて部長に見せた。勿論、そのまま倒れたのは言うまでもない。

 

「さて、不安要素は消え失せた。続けるぞ」

 

立ち上がった一夏は再び竹刀を構える。周りには無数の竹刀が転がっている。それらに目を配らせてそれぞれの位置を確認した。

 

「行くぞ。玲衣!!」

 

竹刀を大上段に構えながら突っ込んでいく。全力でそれを振り下ろすが、当然それは玲衣に掠りもしない。直線的な攻撃は全部受け止められるか避けられるかで、その度に一夏は投げ飛ばされたり蹴飛ばされたりしている。

 

「どうした?良い案でも思い付いたんじゃなかったのか?それとも考え無しに突っ込んで来たのか?」

 

「だったら何だよ……!」

 

「賢いヤツかと思ってたんだが……期待はずれだッ!」

 

持っていた竹刀を一夏目掛けて投げ飛ばした。それは頬を掠めて壁に激突して砕け散った。

 

「予想通りに投げ飛ばしてくれてありがとう!」

 

「ッ!?」

 

玲衣が竹刀を投げ飛ばした直後、全力で走って竹刀を1本拾い上げて2本で攻撃する。竹刀が無くなったことで防御に余裕が無くなったのか、少しだけ動きが鈍くなった。

 

「成る程。これを狙ってたって訳か……だが、点数を付けるならッ!」

 

「ガハッ!!」

 

「39点だな。ギリギリ赤点だぞ」

 

「……それはどうかな?」

 

「あ?ッ!?」

 

仰向けに倒れ込んでいる一夏だったが、それでも何かを見ていた。その目線に合わせて上を見てみると、竹刀が何本が降ってきてた。

 

「チッ!」

 

腰のホルスターからリボルバータイプのコイルガンを取り出し、降ってきている竹刀に当てて軌道をずらす。だがそれだけでは終わらなかった。一夏は短い竹刀を手に取り、刺突をする構えで玲衣に飛び掛かった。それに気付いた玲衣は、一夏が自分に向けている竹刀の先端に照準を合わせて発砲。竹刀はパーツごとにバラけていく。

 

「オラッ!」

 

だがそれがちょうど良い目眩ましになってくれた。玲衣の視界を狭めてくれた竹刀を離し、渾身の体当たりをする。

 

「43点。及第点だ」

 

そんな一夏を足場にして上に飛んで回避。惜しいところまで行ったが、玲衣を正方形の中から出すことはできなかった。

 

「はぁ。危なかっ―ッ!?」

 

後ろに倒れている一夏に振り向くと、眼前に竹刀が飛んできていた。最後の攻撃すらも目眩ましに使ったと言うことだ。コイルガンを使うには距離が足りない。手を入れて防ぐ事もできない。結果、玲衣は後ろに倒れ込む様にして避けた。

 

「なぁ。正方形の中から上半身が出てるけど、それもOKか?」

 

「……勿論だ。よくやったな」

 

「点数は?」

 

「50点」

 

「よしっ!」

 

倒れて避けるしかない。そんな状況を一夏は玲衣相手に作り上げてしまった。ダメージを受けているのは一夏の方だが、玲衣から出された課題をクリアしたと言うことは大きい。

 

「はぁ……まさか今日の訓練で達成されるとはな。意外とやるなコイツ」

 

使ったものを片付けると、満足そうな顔をして眠っている一夏を担ぎ上げ、竹刀の代金は弁償する事を伝えてから剣道場を出ていった。

 

「訓練の内容を少し進めるか」




はいは~い。今回はここまでですよ~。次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録もよろしくお願いします!!
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