チート持った痛(I)い奴らを俺がチートで成(S)敗する   作:憲彦

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もう読んでる人分かってるでしょ?あの人も転生者だって。


VS副担任

玲衣と一夏が剣道場で訓練をしていた頃、学園の裏側にある喫煙所に似合わない人物が立っていた。

 

「真耶、こんなところに居たのか」

 

「あ、織斑先生。お疲れ様です」

 

真耶がタバコを吹かしていた。完全に補導されてもおかしくない見た目だ。しかし、本人は手慣れた様子で吸っていた。

 

「織斑先生もタバコですか?」

 

「いや私は吸わないぞ。タイムカード押し忘れの報告と、学年主任が頼んでいた書類の進捗具合を聞きたいと言っていた」

 

「あぁ~。そう言えばそんなのありましたね。まだ期日まで余裕がありますし、ちゃんと進めてるので問題ありません」

 

「そうか。ではそう伝えておくよ。邪魔したな」

 

「いえいえ。あ、そうだ。織斑先生」

 

「ん?どうした?」

 

用事が済んだため帰ろうとした千冬を、何かを思い出したかのように真耶が呼び止めた。

 

「今夜空いてますか?」

 

「…………ふぁ?」

 

少しの間の後、千冬の人生史上もっとも間抜けな返事が出てきた。

 

「そ、それは~、どう言う意味で?」

 

「決まってるじゃないですか」

 

そう言うと、千冬の近くまで歩いていって、吸っていたタバコの煙を千冬の顔目掛けて吹いた。

 

「こう言うことです」

 

「な、なっ///!?」

 

「じゃ、2人分の食事とお酒。用意しておきますね~」

 

「ま、待て!君は遊女じゃないだろ!」

 

「意味を知ってるなら十分ですよ。その反応して来ないってなったら、ちょっとショックですけどね~」

 

「グッ!……き、君は私の事をそう言う目で?」

 

「えぇ。初めてお会いしたときからずっと」

 

「私たちが出会ったのはこの学園じゃないか!それに教師としてだし……」

 

「あぁ~、やっぱり忘れてたんですね。私たち、中学生の時に一度会ってますよ。織斑先生が家にお祓いに来たときに。まぁ、忘れてても仕方がないですけどね。私もこの学園で会うまで、その事を忘れてましたし。会ってようやく完全に思い出したって感じです」

 

「そ、そうなのか……」

 

「まぁ、今晩思い出させてあげますよ」

 

「あ、明日だって授業があるんだぞ!」

 

「ちゃんと寝かせますから安心してください。週末は分かりませんけどね」

 

それを伝えると、タバコの火を消してどこかへと向かっていった。千冬は頭から湯気を出し、顔が茹でダコみたいな状態になりながら地面にヘタっている。しばらくは起き上がれそうにない。

 

「そろそろ出てきたらどうですか?盗み見なんて趣味が悪い」

 

「驚いたな。気配を消してるのに隠れてることに気付くとは」

 

喫煙所から離れてしばらく歩き、人気のない所まで態々やって来た真耶は、自身の背後にある大きな木に目を向けながらそう言った。すると、その影から玲衣が現れた。

 

「佐倉くんでしたか。てっきり他の人かと思ってましたが、1番意外なのが出てきましたね。私の事をマークしていたんですか?」

 

「あぁ。その通りだ。アンタは俺たちと同じ転生者で、この世界の住人じゃない。だが、俺は山田真耶と言う登場人物を知っている。だから、最初は過去に転生者の誰かが何かをやらかして、アンタの性格が変わったのかと思ってた。さっきのあれを見るまではな」

 

「織斑先生を誘ったのを見て何故確信に?最初からそうだった。と言う可能性もあったのに」

 

「今日だけのじゃ判断できなかったよ。だが、アンタが千冬に対して特別な感情を持っていたのは知っていた。初日からやたらと千冬と一緒に行動してたからな。同じクラスの教師だからと言っても、少し多すぎる。極め付きは一夏の専用機が届いた時だ。千冬が俺に泣き付いた時、アンタ、一瞬だけど殺気を出したよな?」

 

「成る程。で?私が転生者だと確信したのは?」

 

確かに。玲衣の言っていることは真耶が千冬に対して特別な感情を持っていると言う事のみ。状況証拠にはなるが、確たる証拠にはならない。

 

「左手の手袋はどうした?四六時中着けてたのに今は着けてないのか?考えられる可能性は2つ。1つは実は隠す必要の無い物だったから。だがそれはあり得ない。今日までずっと着けてたのがその証拠だ。なら、必然的に俺が考えた2つ目になる」

 

「ほう。聞かせて貰いましょうか」

 

「2つ目の可能性は、今のお前は本体じゃないと言うことだ。千冬は騙せた様だが、俺は騙せないぞ。この眼を通してみれば、アンタが本体じゃない事ぐらいすぐに分かる」

 

写輪眼を通して見る世界は、様々な物が透けて見える。故にどこに隠れているかもすぐに分かってしまうのだ。無機物は半透明になり、人はエネルギーの塊の様に見える。だが、目の前の真耶は本来の人の見え方とは大分異なって見えているのだ。

 

「悪いが、分身と話すつもりはない。本体に出てきて貰うぞ!」

 

一瞬にして真耶との間合いを詰めて、雷切をかました。一切避けるような素振りをせずに、それを受けたのだが、やはり分身の為か当てたと言う手応えがない。すぐに写輪眼を使って辺りを探そうとするが、突然玲衣の動きが止まった。

 

(な、なんだ!?か、体から、魂が引き抜かれる!?)

 

突然動きが止まったかと思うと、今度は自分の肉体から魂が徐々に外へと引っ張られてる感覚に襲われた。ただの錯覚かとも思ったが、そうでもない。実際に上半身が体から飛び出て、自分を見下ろしていたからだ。

 

(不味い……!グッ!)

 

「ッ!?スゴいですね。幽体摘出を自力で抜け出すなんて」

 

「はぁ、はぁ、成る程。それの左手がお前の特典か……ドエラい物が来たな……」

 

玲衣が見た真耶の左手。それはおおよそ人間の物とは思えない物だった。

 

「知ってるぜ。その左手……確か、鬼の手だったか?随分と懐かしいのを持ってきてくれたな~」

 

「別に欲しくて持ってる訳じゃないですよ。ようやくあのふざけた一族から解放されたと思ったのに、この世界でも似たような所に生まれてしまいましたし」

 

「俺を見付けられたのは、その左手のお陰か?」

 

「いいえ。私は前世でも今も霊能力者の家系に生まれまた。貴方を見付けられたのは、力が大きすぎてすぐに感知できるからです。どんなに消していてもね」

 

流石の玲衣も霊能力相手ではかなり厳しい。しかもその辺に転がってる霊能力ではなく鬼の手。特典と言うことはそれを上手い具合に操れる術もあると言うことになる。鬼相手にどこまでやれるかも分からない上に、真耶自身の実力も不明。持っている手札の数で言えば、真耶の方がかなり有利だ。

 

(チマチマやるより、さっさと決めた方が良さそうだな)

 

再び右腕に雷を纏わせて真耶に突っ込んでいく。手加減をせずに全力でだ。スピードもさっきの分身に放ったのとはまるで比べ物にならない。しかし、真耶はそれを見切っていた。

 

「ッ!?グッ!」

 

ギリギリで避けたつもりだが、見事にカウンターを貰ってしまった。本来、鬼の手はこの世の物ではない。故に肉体に大きなダメージを与えることはほとんど無い。妖怪や幽霊ではない純粋な人間なら尚更だ。にも関わらず、脇腹の辺りがグサリと行っている。

 

「……成る程。避けても無駄な訳だな」

 

「まさか。本当はもっと深く刺さるはずでしたから。無駄ではありませんよ」

 

真耶の左手は、刀の様な物に変わっていた。紙一重で避けても傷が付く筈だ。

 

「これ、結構集中力使うんですよね~。それに本来は妖怪や幽霊に効果を発揮するもの。生身の人間には大きなダメージ与えられないんですよ。私が使うと」

 

「これで言ってるんなら、大分良い性格してるな。それに攻撃してるのは俺の肉体じゃないだろ」

 

「よく分かりましたね~。大正解です。幽体と一緒に斬らせて貰いました。治るのには時間がかかりますよ」

 

そう。真耶が攻撃したのは肉体ではなくその中にある幽体。普通に付いた傷と違って、治るのにはそれなりに時間がかかりそうだ。

 

「邪魔をしてこなければこんなことしなくても良かったんですけど、これ以上邪魔な存在になる前に消しておいた方が良さそうですね。貴方は他の転生者よりも強そうですから」

 

「悪いが俺は消される訳には行かないんだ。女神の協力者として、織斑姉弟を守る義務があるからな。お前に消えてもらう!」

 

写輪眼を万華鏡に変えて瞬身の術で真耶に接近。それを見て鬼の手を鞭の様な形にして玲衣に振るうが、神威でそれを回避。後ろを取って終わらせようとしたが、真耶が雷切を受けた直後にまた動けなくなってしまった。

 

「何故だ……これがお前の本体の筈……!?」

 

「陽身の術です。自身の霊力を練り上げて分身を作る奥義の1つ。貴方が最初に斬った分身は、私の全霊力の内20%ほど。日常生活に支障はありませんが、戦うことには向いていません。そしてついさっき倒した分身は残り霊力統べてを作りました。なので、戦闘でも高い実力を発揮してくれます」

 

「陽身の術は、使えば霊能力が使えなくなる筈……なのに何故術が使えるんだ?」

 

「決まってるじゃないですか。私がとびきり優秀な霊能力者だからですよ。修行を積んで陽身の術中にも使えるようになったんです。それよりも、もう止めませんか?私たち、争う意味が無いみたいなので」

 

確かに、真耶は別にこの世界をどうこうするとは言っていないし、何だかんだで千冬が好きだからあんなことをしていただけ。害がある存在ではないようだ。

 

「前世も今回も、一族がいたんじゃ幸せにはなれそうに無いので、ここで教師をやってるんです。織斑先生とは特別な関係になりたいですが、この世界が欲しいとは思ってませんよ」

 

玲衣の幽体をつかんでいた鬼の手を離し、手袋をはめて封印。玲衣もそれを聞いて納得したのか、戦闘体制を解除した。

 

「なら俺は特になにもしない。だが、妙な動きをしたら容赦なく斬るぞ」

 

「構いませんよ。織斑先生意外に興味は無いので起こすつもりも無いですけど」

 

「そうかよ。まぁアンタとは戦いたくないから、そうしてくれるとありがたいよ」




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