チート持った痛(I)い奴らを俺がチートで成(S)敗する 作:憲彦
「じゃあ訓練始めるぞ。久し振りの白式はどうだ?」
「うん。前より動きやすいよ。この前よりも体に馴染む感じがあるよ」
「それは良かった。さて、今日お前がする事はただ1つ。俺たちの攻撃からひたすら逃げろ」
第3アリーナに一夏、玲衣、真耶の3人がいた。一夏の反応を見るからに、白式の調整はうまく行ったようだ。そんなこんなで今日出された訓練内容は逃げろ。どう言う事だと首を傾げているが、すぐに理解する事になる。
「ウワァァァァァア!!!」
「ほらほら。気合い入れて逃げねぇと当たるぞ」
「イヤ無理があるだろこれぇぇぇえ!!!」
上空から玲衣と真耶が一夏を全力で攻撃していた。主にミサイルを使った爆撃だ。一夏はそれから死ぬ気で逃げ回っている。
「これ本当に意味かあるんですか?」
「取り合えず、逃げる事を覚えれば死ぬことは無いだろ。考えもなしに突っ込む事も無くなると思うぞ」
そう言いながら、リパルサー・レイも撃ち込んでいく。ミサイルほど範囲のある攻撃はできないが、ミサイルよりも速く、威力も高い。それが連射されていく。
「どうしろって言うんだよこんなの!!」
「避けろ避けろ。使える物全部使って逃げろ」
「無茶言うなァァァア!!!」
そんな一夏を無視して、2人はドカドカ攻撃していく。一夏がダウンするのも時間の問題だろう。こんな無謀とも言える訓練だが、実は凌ぎかたはある。零落白夜を使えば、リパルサー・レイを完全に無効化することができる。エネルギー攻撃だからだ。通常のミサイルは雷管を刺激せずに破壊し、リパルサー・レイは零落白夜で切り裂く。このやり方なら自身へのダメージはほとんどない。
と言っても、それが一夏にできるかどうかは別だ。千冬なら兎も角、今の一夏には無理だろう。しかし、完全でなくとも攻撃無効化くらいは今の一夏でもできる。大量のミサイルと言う状況に混乱して、それができなくなっているだけだ。
「そろそろミサイル無くなってきたし、全力でやってみるか」
「では私は上から援護しますね」
「援護とはいったい?」
真耶は一夏の行動範囲を狭めるように攻撃をして、動きが鈍くなった一夏を玲衣が正面から殴り飛ばす。吹っ飛んでいった先を真耶が重点的に攻撃する。そんな作業を繰り返していた。
「ちっとは反撃してみろ」
「グハッ!に、逃げろって言ったのお前だろ!」
「抵抗するなとは一言も言ってないぞ?」
「は?」
「少しは考えろ」
拳骨を落として地面に叩き落とした。そのまま真っ逆さまに墜落していき地面に激突。一応立ち上がりはしたが、もう無理だろう。
「ま、初めてにしては粘ったかな?」
リパルサー・レイを叩き込んで終わろうとしたが、最後の最後で漸く気付いたのか、零落白夜を発動して玲衣のリパルサー・レイを切り裂いて見せた。
「よし!斬れた!」
「あぁ、良かったな。あれを忘れてなければ、だけど」
「へ?」
上空に待機していた真耶が、グレネードをありったけ撃ち込んできた。当然、リパルサー・レイを斬ったと言うことに意識が向いていた一夏はそれに反応できず、全弾食らってシールドエネルギーがゼロになった。
「性能は問題なし。零落白夜発動してもエネルギーを過剰に消費することは無かったから、改造は成功だな。後はお前の技術次第だぞ」
「は、はい……」
「じゃあクレーター直して帰るぞ。邪魔だからどけ」
一夏を真耶に持たせてピット内部に運ばせる。入ったのを確認すると、残ったミサイルを全てデコボコになった地面に撃ち込んでいく。衝突した衝撃で破裂するタイプの物でなく、時間で破裂するタイプの物の様で、地面に突き刺さっている。
「シュールな光景ですね~」
「一々掘り返して埋めるより、全体を解してしまった方が速いからな。そろそろ爆発だ間違って物を落とすような真似はするなよ」
「アハハハハ!そんなドジするわけ無いじゃないですか~」
「そう言いながら既に一夏を落としてるぞ~。シールドエネルギー無いから飛べないな」
爆発直前に落とされた一夏を回収して、ピットの床に放り投げる。その直後、突き刺さったミサイル全てが破裂。綺麗にとは言わないが、クレーターは全て無くなってくれた。
「意外と上手く行ったな」
「後は上から固めるだけですね」
「じゃあさっさとやるぞ~」
文字数少ないけど、今回はここまで。
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