チート持った痛(I)い奴らを俺がチートで成(S)敗する   作:憲彦

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前回は原作へレッツゴーと言ったな。あれは嘘だ。


やっかい事の嵐

「と言う訳で玲衣、一夏を頼む!この通りだ!!」

 

「断る。土下座で玄関の床を破壊したヤツの頼みなんて聞けるか」

 

玲衣の家の玄関で、千冬が土下座をして玲衣に一夏の事を頼んでいた。だが、当の玲衣は即答で断っている。

 

「そこを何とか!もう国は信用できないんだ!私は明日から1年間ドイツ軍で教鞭を取らなくてはならない。国のぼんくら共に一夏の事は任せられないんだ!だから頼む!」

 

「なんど頼まれても嫌な物は嫌だ。なんで俺が一夏と1年間同居しなくちゃならないんだよ。俺にメリット無いだろうが」

 

「一夏は家事が一通りできる。料理も絶品だ」

 

「全部俺1人でできる」

 

「話し相手ができるぞ!」

 

「もう1人に慣れてるから逆に疲れる」

 

「べ、勉強の教え合いとか……」

 

「学力に不満はない」

 

「せ、生活費を私が振り込もう」

 

「株で毎月毎月大金が入ってきて、口座の中には腐る程金がある」

 

利点らしい利点を上げていく千冬だったが、1つたりとも利点となっていない。アホみたいに特典を付けられている玲衣からしたら、確かに一夏がいることで利点になることは無い。何と無く分かっていた事だが、改めて言われると反論ができそうにない。

 

「まぁ早い話、一夏の護衛が欲しいってことだろ?」

 

「そうなんだよ~……もう国も民間企業も信用できないんだ……あんな誘拐拉致監禁をやってくれと言っているようなやり方をする連中をどうやって信じろと言うんだよ~。腹いせに国家代表を降りてきたが、借りを作ったドイツ軍に教鞭取りに行くわ、その後はIS学園で教師をやることになったわ、もう頼るところが無いんだ……」

 

眼から滝のように涙を流す千冬を不憫に思うが、それでも助ける気にはなれない。そもそも緊急事態に救出に向かって助け出すくらいなら兎も角、四六時中一緒にいるのは勘弁願いたいところだ。

 

「なら、一夏の家を要塞にして、不審者は問答無用で始末するように地雷と機関銃、大砲にレーザー兵器を付けて、玄関は指紋・声紋・網膜・掌紋を読み込むセンサーに、一夏には武装したドローンでも護衛に付けようか?機械だから容赦なく不審者を潰してくれるぞ」

 

「できれば、撃退でとどめて欲しいのだが……と言うかお前に守って貰った方が安心できる」

 

「はぁ……着いてこい」

 

ここまで頑なに自分が一夏の護衛を渋るのか。当然それには理由がある。それを見せるために自分以外は入ることができない地下ラボに千冬を招き入れた。

 

「この前のIS?」

 

「正確にはISじゃない。単なるパワードスーツだ。これは……まぁ最初は鉄で作ってたからアイアンマンと呼ぼうか。この前ドイツで使ったのはマーク3。ISとの戦闘に使うには充分な性能だが、アンタとの戦闘でかなりのダメージを負った」

 

「ウグッ!……済まなかった。まさかそれのせいで?」

 

「その通りだ。他のバージョンもあるが、性能が高くて扱うのが難しい(大嘘)。零落白夜をモロに食らったお陰で、中のシステムも破損した。エネルギー源であるアークリアクターも、使い捨ての試作品。予備がいくつかあるとは言え、無駄に使うことができない」

 

本当に最初は表面の装甲を新しいものに代えればそれで修理完了と思っていた。だが蓋を開ければ配線は切れてるはシステムは破損してるわで、かなり酷い状態だった。おまけに帰りも結局空自と追い駆けっこ。戦闘のダメージが影響して、機銃を何発か食らってしまった。お陰で今絶賛修理中である。

 

「他のもあるが、さっき言った通り使い捨てのアークリアクターを使うのは俺としては避けたい。それに、そんなに心配なら一夏もドイツに連れていけば良いだろ」

 

「いや学校が……」

 

「アンタと一緒の基地で講師を付けて勉強をさせろ。それなら問題ない。それにその方が守りやすいだろ。軍の基地内部で人攫いをするヤツなんかいないんだからよ」

 

「そ、それもそうだな」

 

「それにアイツ、アンタには黙ってたが、学校で虐めを受けてる。担任も見て見ぬふり。お陰で他の教師には伝わってない。そんな状況なら日本に置いておくより一緒に連れてった方がよっぽど安全だ」

 

「な、成る程。よし、向こうにもその旨を伝えよう。助かった」

 

「いや別に。まぁ、なんかあったらできる範囲で手伝ってやるよ」

 

「できる範囲……ほぅ」

 

できる範囲と言う発言が不味かった。空を飛んで国を渡ることができるIS以外のパワードスーツ。それを産み出し自在に操る技術をもった玲衣。そんな玲衣のできる範囲となると、ほぼ不可能はない。

 

「ヤベッ。変な所に食いつかれた」

 

「じゃあ何かあったら呼ぶから、その都度来てくれ。ドイツまで」

 

これは玲衣が悪い。できる範囲と言ってしまったのだ。そこに食い付かない千冬ではない。何かが起こるたびにドイツまで飛ぶ事になってしまった。

 

「空自とドイツ空軍には私から戦闘機を飛ばすなと伝えておくから安心しろ。じゃあ頼んだぞ~!あ、ちゃんと時差を確認した上で呼ぶから、そこは安心しろ。じゃまたなぁ~!」

 

「…………俺の平穏な生活が……」

 

ほぼ一方的な頼み方で、千冬は地下ラボから出ていき、満足そうな顔をしながら帰っていった。もちろん家に着いてからは一夏と共にドイツへ飛ぶ準備を始め、翌日には予定通り行ってしまった。

 

それから1週間はなにもなかったのだが、突然千冬から電話がかかってきた。しかもまさかの呼び出しだ。

 

「で何があった?一夏か?アンタか?今回は何をやらかしてくれた?」

 

『いやそれが私たちじゃないんだ』

 

「は?」

 

『何故かドイツ軍内でお前の事が噂になっててな。お前が口止めしてたのに、どっかのバカが漏らしたようで。個人情報までは漏れてないんだが……その…』

 

「分かった今からそっちに行く。連絡入れとけ」

 

千冬からの連絡を受けて、地下ラボへと走って駆け込んでいく。マーク3はまだ修理中で、飛行はおろか装着もできない。

 

「フライデー、マーク6を準備してくれ。あとハッチを開けててくれ」

 

『畏まりました』

 

「おい待て本体。急にどうした?」

 

「何故かドイツ軍で俺の事が噂になってるらしい。今からその現況を潰しに行く。そしてこれ以上噂が広がらないように釘を刺しに行く」

 

「マジで釘を刺す様な事はするなよ」

 

「善処する」

 

分身に注意されながらマーク6を着込んでいく。何故マーク6があるかだが、マーク7を神威の空間で試しに使ってみた結果、扱いに難ありと判断してマーク6も結局作り出したのだ。因みに、練習を重ねて今ではマーク7も普通に動かせる。

 

「ジャーヴィス、千冬は空自に連絡したそうだが、入ってるが調べてくれ」

 

『確認します……確かに連絡は行っているようです。安心して飛んでください』

 

ハッチから飛び出して一気に速度を上げてドイツに向かっていく。この分なら数時間後には到着しているかもしれない。

 

「このペースなら何時間で着く?」

 

『あと4時間です』

 

「結構かかるな……」

 

『直行便で12時間かかる距離ですので、ペースとしてはかなり速い方です』

 

「もっとスピードを上げて時間を短縮するぞ」

 

『スラスターにエネルギーを回します』

 

更にスピードを上げて行く。4時間かかると言われたが、3時間で目的に到着した。上空から千冬たちがいる広場が見える。安全面を考えると少し離れた場所に降りるべきだろうが、態々新しいスーツを自慢するために千冬の目の前に着地した。

 

「うわっ!?ビックリした!」

 

「よう。来てやったぞ。でどこの誰だ?口止めしたにも関わらず俺の事を言い触らしたバカは」

 

スーツ着てるから顔が分からないが、額に青筋を浮かべてキレている事だけは確かだ。

 

「済まん。そこまでは分からん」

 

「そうか。なら探し出せ。もしくは名乗り出ろ」

 

もちろん名乗り出る訳がない。故に、少し力業だがリパルサー・レイを撃って犯人探しを促す。それを見て、あの時現場にいた兵士と千冬が全力で動いた。リパルサー・レイで吹っ飛ばされたくないからだ。全員が動き出したのを見ると、スーツのまま近くに座ってくつろぎ始めた。

 

「れ、玲衣……見つけたぞ……」

 

「30分かかって漸くか。で?誰だ?と言うかどんな経緯で俺の事を話したんだ?」

 

「酒の席で話してしまった様だ……まさか軍にこんなのがいるなんて……」

 

「懲戒解雇待ったなしだな。酒でゲロっちまう様なヤツが軍人なんてやってられるか」

 

喋ったのが機密事項だったらマジで懲戒解雇になる。と言うか刑務所行きだ。

 

「よし。全員注~目!!」

 

近くにいるドイツ軍と千冬の教え子達を集めて、自分の事を話してしまった人を前に出す。

 

「良いか?秘密にしろと言ったことを他人に話すとどうなるのかを見せてやる。こうなりたくなかったら黙ってろ」

 

そう言いながら、自分の事を話した男の襟をガッチリとつかむ。軍用の服であるため、かなり丈夫だ。これは実に都合が良い。

 

「な、何をする気だ?」

 

「一生に一度、できるかどうかの体験だ」

 

「は?」

 

「上へ参りま~す」

 

「ワァァァァァァァア!!!!」

 

生身の人間が耐えられる限界の高度まで一気に飛んでいった。千冬を含め、見ていた全員がドン引きしている。

 

「こ、ここまで来たらどうするんだ?!」

 

「降りるに決まってるだろ」

 

「どうやって!?」

 

「パワーをOFFにして落ちるだけだ。良かったな。安全装置無しの逆バンジーと、パラシュート無しのスカイダイビングを楽しめるんだ」

 

「ま、待て!待ってくれ!悪かった!悪かったからそれだけは―」

 

「下へ参りま~す」

 

「アァァァァァァア!!!ウオァァァァァァア!!!」

 

地面にぶつかる直前に逆噴射した為、お互いにダメージは無い。が、ゲロった兵士は白眼を向いて気絶している。玲衣が掴んでいた手を離すと、力なく地面に倒れていく。

 

「さて。どうなるか分かった所で、俺に関することは一切口外を禁止する。破ったヤツは漏れ無くこの兵士と同じ運命を辿ることになる。むしろこれを見て破った場合は6往復くらいしてやる。分かったか?」

 

玲衣の言葉に、首が飛びそうな勢いで縦に振り続けた。生身での逆バンジーとパラシュート無しスカイダイビングは軍人でも勘弁したい様だ。

 

「さてと。せっかくドイツに来たんだ。少しここに滞在させて貰おう。良いか?」

 

「それは私が交渉しよう。だが良いのか?お前、私たちの手伝いをするの死ぬほど嫌がってただろ?」

 

「このまま帰ってもどうせ数日後にはまた呼び出される未来が見えてるんだよ。このトラブルメーカー姉弟」

 

「は、ハハハハハ……本当に済まない……」

 

否定できない。謝るしかない。そう思ったのか、光の無い目をしながら力なく笑い、玲衣に心の底からの謝罪をした。




はい。本日はここまで。次回もお楽しみに!感想や評価、お気に入り登録と活動報告もよろしくお願いします!!
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