壊れたココロを埋めるヒト   作:アライグマ318号

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 創也達の文化祭がもうすぐ始まります。僕の学校は、出来るかどうか怪しいですけど。


 てんてんのっぽさん、あかはさん、お気に入り登録ありがとうございます!


 それでは、第3話どうぞ!


第3話 癒しの過剰摂取

「ははっ……今日もまた学校でパン生活か……まぁ、パン好きだから良いんだけどさ……」

 

 

 俺は学校に行く前に商店街に寄り、山吹ベーカリーに向かって歩みを進めていた。

 

 

「ライブの打ち合わせに演劇の練習……部活動演出の指示………やべぇ、昨日沙綾にあんな事を言った手前、絶対に倒れられない……」

 

 

 そんな事を考えながらも山吹ベーカリーの店内に入る。

 

 

「あ、兄ちゃんだ!おはよー!」

 

 

「あ、お兄ちゃん、おはよう!!」

 

 

 店内に入ると沙綾の弟と妹の純と紗奈が挨拶をしてくる。

 

 

「おーっす、ちびっ子1号2号、元気かー?」

 

 

「「元気ー!」」

 

 

 実を言うと、文化祭関連の仕事で俺が学校に夜遅くまで残って作業をして、ここあに引っ掻かれる事が増え始めてからと言うもの、それに比例して山吹ベーカリーに来る回数も増えたのだ。それにより、純と紗奈の2人に顔を覚えられた。

 

 ちなみに、運がいい日?に山吹ベーカリーに行くと、途中ではぐみに遭遇して食べきれない量のコロッケを渡される。まぁ、美味いからいいんだけどさ……

 

 

 

「すっかり顔を覚えられてるね。」

 

 

 しばらくするとカウンターの方から沙綾がやって来た。

 

 

「そりゃあ、毎日のようにここに来ればな……」

 

 

「あはは……そういえば、創也のクラスは何やるの?」

 

 

「……メイド&執事喫茶……」

 

 

「え?」

 

 

 うん、まぁ、驚く気持ちは分かるよ?だって発案したのあのバカ(勇人)だし。

 

 

「その………お疲れ様。」

 

 

「疲労で済めばいいけどな……」

 

 

 そんな遠い目をしながら、俺はパンを買い、学校へ向かうのだった……

 

 

 

 

 

 

「おはよー」

 

 

 パンを抱えながら、教室に入る。

 

 

「創也は演劇でジュリエットをやるんだぞっ!だったらあいつに着せるのは執事服なんかじゃなくて、メイド服だろっ!異議のある奴はいるか!!」

 

 

『異議なしであります!!』

 

 

「………………」

 

 

 教室に入った瞬間、勇人の叫び声と軍人のような返事をする男子達が視界に入った。

 

 

「美咲、説明求む。」

 

 

 とりあえず、近くの席にいる美咲に尋ねる。

 

 

「なんか執事服の数が一着だけ少なくて、メイド服が1着多く届いたから男子の中で誰が女装するかって事で争ってる。」

 

 

「なるほど……」

 

 

 そして、今さっき解決したと……

 とりあえず一言。

 

 

「異議大アリだあああ!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

〜昼休み〜

 

 

「はぁ……」

 

 

 昼休みとなり、ある程度の授業を終えた創也は机の上で完全に力尽きていた。

 

 

「メイド服…ジュリエット…実行委員…ライブ…」

 

 

 ブツブツと呪いのように文化祭当日の役割を反芻する。

 

 

「はぁ……疲れた……」

 

 

 ここ数日、創也は家に帰るのが遅くなり、ここあに引っ掻かれる回数が増え、友希那先輩からのオシオキが増え、心身ともに疲労が溜まっていた。

 

 

「おーい、当日のメイド服と執事服を試着したい奴はいるかー?」

 

 

 勇人の声が耳に入った気がするが、気のせいだろう…。

 

 

「はーいっ!あたし、着てみたいわ!」

 

 

 こころの声が聞こえるが、気のせいだ…俺はこの貴重な睡眠時間を堪能するんだ……

 

 

「ソウヤー!メイド服を着てみたのだけれど、どうかしら?」

 

 

 頭上からこころの声が聞こえ、いつもの事だがテンションが上がっているのか、創也が眠っている机を揺らしてくる。

 

 

「何だよこころ……俺今眠いん……だけ……ど…‥…っ!?」

 

 

 重い頭を上げ、こころを見る………そしてその瞬間、創也はフリーズした。

 

 

「こ、こころ…その服装は?」

 

 

 創也の目の前には、黄色いネコミミを頭に装着して、ふりふりのメイド服を着こなすこころがいたのだ。

 

 

「勇人に渡されたメイド服とネコミミを付けてみたの!……でも、ソウヤ、ちょっと疲れているの?」

 

 

 そう言って、こころは自分より低い位置にある創也の頭を撫でる。

 

 

(え、ちょっと待って、なにこれ?どういう状況?え、ちょっと待って、俺死んだの?死んじゃったの?高校生なのに過労死したのか?え、じゃあここは天国なのか?なにこのネコミミメイドとかいう2次元にありそうなありきたりな設定。え、ほんとに待って、なにこの天使。癒しの究極系?いや、そんな次元を軽く超越してね?え、本当にどういうことなん?え、天使とかじゃないよな?だって、天使なんて生ぬるい表現できねぇだろこれ……女神だ……あ、そっか、これが今流行りの神様転生ってやつか?……今どきの女神ってメイド服にネコミミつけてんのか……)

 

 

 こころに頭を撫でられている創也はどこか、魂ここにあらずといった状態だった。あ、なんか白い創也の幽霊みたいな影が出てきてる。

 

 

「ふっ、どうだ俺がコーディネートした弦巻さんは」

 

 

 勇人が創也の近くに寄り、ニヤニヤしながら創也の反応を見てくる。

 

 

「よくやった。今日の昼は好きなもの奢ってやる。」

 

 

「よしっ!」

 

 

 ネコミミメイドのこころからの癒しの過剰摂取により、尊死しかけた創也だが、なんとかあの世に行く前に現世に留まり、心身ともに完全回復した創也であった。なお、癒しの過剰摂取により、一部の記憶は吹っ飛んだ模様。

 

 

 

〜放課後〜

 

 

「はぁ…にしても、なんか昼休みの記憶がかなり曖昧になってるような…」

 

 

 何かこの世のものとは思えないほど、衝撃的な事と無性に勇人に昼飯を奢りたくなったのは覚えてるんだけどなぁ…※癒しの過剰摂取の影響です。

 

 

「まぁ、何故か分かんないけど身体が軽く感じるし、今のの内にこころに渡されたこれを配っておくか。」

 

 

 俺の手元には、大量のハロハピのライブのポスターがある。一応、文化祭でやるから、ポスターを作りたいってこころが言い出したから、花音先輩と美咲と俺の3人で作り上げたのだ。

 

 

「さーてと、これをさっさと配って………ってうわっ!?

 

 

 廊下の曲がり角を曲がった瞬間、誰かとぶつかり、持っていたチラシの何枚かが数枚だけ床に落ちる。

 

 

「あっ、ごめんっ!」

 

 

 ぶつかったと思われる女子生徒は、短く謝罪をすると、そのままどこかへ走っていった…

 

 

「ん?あれって………紗綾か?」

 

 

 聞き覚えのある声だったのと、覚えやすいポニーテールがめに一瞬だけ映ったことから今ぶつかった相手が、紗綾だと確信する。

 

 

「紗綾………」

 

 

 紗綾が走ってきた方向を見ると、香澄、有咲、りみなどの何人かの女子生徒が気まずそうな雰囲気でその場所にいた。

 

 

「あ、なんだ創也か…」

 

 

 顔をのぞかせていたことがバレたのか、有咲に見つかる。

 

 

「なんだってなんだよ…………それより、なんかあったのか?」

 

 

 俺は、嫌な予感を感じつつも、先程の沙綾の様子や今の香澄たちの空気から、何があったのか、尋ねるのだった……。




 さて、紗綾シリアス本格突入です。創也たちの文化祭は無事に終わるのか…次回に続く!!


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文化祭編終了後の夏休み編の予定

  • 創也、花嫁になるの巻+その他短編集
  • 夏だ!海だ!ハピハピ島だー!
  • 夜の羽丘学園に侵入せよ!?
  • 女優の仕事は思ったよりも重労働?
  • 花咲川オブ夏休み旅行計画

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