黒子のバスケ〜努力の天才   作:マニック

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第23Q

試合は第3Q。

青峰の動きを模倣した黄瀬の動きを灰崎が奪ってからといもの、福田総合がわずかにリードをしていた。

その理由は黄瀬が青峰の動きを再現できなくなったからである。

灰崎の完全な強奪《オールバンデッド》は相手の技を奪う。奪われた相手はその技をしばらくは使えなくなるのである。

 

黄「くっ。なんなんすか、その技!?反則もいいとこっすよ!!」

黄瀬は今も灰崎を止められずにいた。

灰「わりいな。また俺の勝ちだ。」

灰崎は無情に型のないシュート《フォームレスシュート》決める。

これで66対77で福田総合が俄然有利となった。

 

ピ--!

第3Qがここで終了となる。

 

第3Qはまさに灰崎の独壇場であった。黄瀬は技を奪われ、なすすべはなかった。逆に灰崎は奪った技をいかんなく発揮していた。それでも海常は主将の笠松を中心にチームプレイでなんとか食いついていた。

 

福田総合のベンチはこの点差からなのか、みな険しい顔をしなくなっていた。それはエースへの絶対的な信頼からである。

 

石「このペースを崩さずに行くぞ。灰崎!第4Qも頼むぞ?お前が黄瀬を抑えなきゃ勝てんからな。」

灰「うす。楽勝ですよ。」

望「言うねえ!」

そういい望月は灰崎の背中を叩く。

ここまで上機嫌な灰崎は初めてかもしれない。今の灰崎には近づきにくい雰囲気などなかった。そのこともあってチームメイトとの距離も縮まっていた。

石「瑠璃?どうした?」

瑠璃は1人険しい顔をしていた。それに気づいた石田は瑠璃に聞いた。

瑠「いえ、なんでもないです。」

石「ならいいんだが。」

 

瑠「(うまくいきすぎだな。黄瀬は何を狙っている?この程度の奴だったのか?)」

 

笠「黄瀬。随分大人しいじゃねえか?どうした?まさかもう負けたのか?」

黄「まさか。もう灰崎は終わりっすよ。この試合。瑠璃っちさんが出てこない限り、うちの勝ちっす。」

笠「どういうことだ?」

黄「青峰っちの動きは俺でも1Qしかもたないんすよ。だから俺は要所要所でしか使わなかったんすよ。でもあいつは第3Qまるまる使っていた。次のQ、あいつは落ちるっすよ。」

笠「そんなこと考えてやがったのか。おそろしいな、キセキの世代は。」

黄「へへっ。」

黄瀬は余裕な笑みを浮かべる。

 

そして第4Qが始まる。

ボールは海常からである。

 

笠「さあ、倒すぞ。」

石「ん?」

石田は笠松の表情が軽くなっていることを感じた。

石「(なんだ?さっきまではあんなにきつそうな顔だったのに。)」

笠松のパスはエースである黄瀬へとつながる。

 

黄「いくっすよ?もうあんたは終わりっす!!」

灰「だれがおわりだよ!!」

黄瀬の全力のドライブに一度は反応して止めた灰崎だが、そこからの切り返しについていけず尻餅をついた。

黄瀬はあっけなくそのシュートをきめた。

 

望「どうした灰崎?」

灰「いや、なんでもないです。ちょっとすべっちゃって。」

望「そうか。まあどんまい!次だ次!」

灰「うす!!」

この時はだれも気づいていなかった。

灰崎の体が限界であるということに。

決定打は次の福田総合の攻撃の時である。

 

灰「次はこっちの番だぜ!!」

灰崎は青峰の動きで黄瀬を抜く。いや正確には黄瀬はわざと抜かせた。

灰崎がそのままダンクをしようと跳んだが、正面には追いついた黄瀬がブロックに跳ぶ。

黄「青峰っちはこんなに遅くないっすよ!!」

灰崎のダンクはあっけなく防がれた。

黄「もう体が限界なんすよ。だいたいキセキの世代《かれら》の動きや技は体に相当な不可がかかってんすよ。本人でもしんどいものを他人がしたらどうなると思ってるんすか?」

灰「はぁ、はぁ、はぁ。俺はまだ動けるぜ。」

灰崎は無理に体を起こす。

そこからは一方的であった。

灰崎が黄瀬を抑えることは不可能となり、途中交代となった。

ベストメンバーでない福田総合に海常を倒せるわけなどなかった。

 

ピ--

試合終了。

 

試合が終わり、黄瀬は灰崎に近づいていった。

黄「ウィンターカップでまってるっすよ。灰崎っち。」

黄瀬が灰崎を認めた瞬間であった。

黄「瑠璃っちさんも、次はやりましょうね!」

瑠「ああ。次はうちが勝つさ。」

 

瑠「灰崎、顔を上げろ。次も負けたじゃすまさねえぞ?帰って特訓だ。」

灰「は、い。」

灰崎はこの日、はじめてバスケで涙をながした。

 

桃「灰崎君まけちゃったね。」

青「ああ。まあ、自分の能力の性能をよくしってる黄瀬の有利だったな。灰崎のブランクで負けたって感じだな。」

桃「瑠璃さんがいたら、まだ分からなかったかもね?」

青「そうだな。まあいづれにせよ、ウィンターカップが楽しみだわ。あーー。バスケしてえなあ。」

桃井は青峰のバスケへの渇望を久しぶりに聞いて、驚いていた。

青「どうした、さつき?」

桃「いや、青峰君がバスケしたいって言ってるとこ久しぶりに見たから。」

青「あー。そういやそうか。次は負けられねえからな!!」

青峰は少年のような笑顔を見せた。

 

結局インターハイは赤司のいる洛山高校が優勝。

第2位に紫原淳のいる陽泉高校。

第3は黄瀬のいる海常高校となった。

 

 

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