現在、黒金瑠璃は帝光時代の主将であった虹村修造の家にきていた。
虹村の家はスポーツジムを経営しており、虹村はその家を継ぐようだ。なので時より、黒金はここへトレーニングを行いに来るのである。
虹「シュートを捨てるってのは、どういうことだ?」
虹村はさきほど、瑠璃が言ったことの真意を確かめようと確認する。
瑠「いや、つまりさ。今福田総合に必要なのは点取り屋じゃなくてさ、黒子みたいなパスを回せる選手だと思うわけよ?灰崎というエースを獲得したからさ。だから俺がパスを回せる選手になろうかなって。」
虹「パスを回すなら、主将の石田がいるだろ?」
瑠「んー。あの人には本来の自分のスタイルに戻って欲しいんだよなあ。俺が憧れたあの人にさ。だから俺がパスを回す。俺が目指すのはPF《ポイントフォワード》だ。」
PF《ポイントフォワード》とはPG《ポイントガード》とF《フォワード》の両方の役割を担うポジションである。このポジションに求められるものはPG《ポイントガード》並のパスセンスと視野の広さ。F《フォワード》並の得点力である。これ以上瑠璃に適しているポジションはないだろう。
虹「分かったよ。とりあえず、何を強化したいんだ?」
虹村は練習を組む天才である。その選手が何を強化したいのかによって練習を組み分ける。練習の効果が最もでやすいように。
瑠「左右両方の筋力を均等にしたいんだ。俺は右ききだから、左手でパスを出す時にコンマ何秒の差が出るんだよなあ。それじゃあ、勝てないんだ。なんとかしてくれ。」
虹「ふう。またとんでもない注文しやがって。いいぜ。その代わり、逃がせねえからな?」
虹村は黒い笑顔を向ける。瑠璃は帝光時代の虹村を思い出していた。とんでもない練習を部員に言い渡し、微笑む。虹村という男は期待している者にはとんでもなく厳しい。
瑠「望むところだ。」
…
虹「次は左50回。そのあと右38回な。」
瑠「はぁ、はぁ。おーけー。」
瑠璃は現在スクワットを行っている。虹村の指示に従い、左右両方の筋力を均等に近づけている。
虹「合宿の半分が終わったら、参加するんだよな?」
瑠「ん?ああ。俺にはもう自分のスタイルのイメージが浮かんでるんでな。それにはチームメイトとも練習しないと。」
虹「そっか。じゃあ、それまでには間に合わせてやる。」
瑠「ありがたい。」
瑠璃は虹村の組んだ地獄のメニューを行う。おそらく瑠璃でなければ、逃げ出すほどの練習である。
その頃、福田総合は合宿所で誠凛と秀徳に遭遇していた。
灰「ん?黒子じゃねえか。それに緑間もかよ。」
黒「お久しぶりです。灰崎君、緑間君。」
緑「会いたくなどなかったのだよ。」
緑間はいつもの如く、嫌そうな顔をする。」
黒「灰崎君がまたバスケに戻ってきたと桃井さんから聞いてましたが、本当だったんですね。よかったです。」
灰「まあな。瑠璃さんに引っ張られてな。」
緑「その瑠璃さんはどうしたのだよ?」
灰「ああ。今別トレーニングでな。あと3日もしたら合流するさ。」
緑「そうか。」
元帝光の3人が話しているところへ割り込むものが2名いた。
秀徳の高尾と誠凛の火神である。
高「真ちゃーん。俺もまぜろよお。」
火「黒子。そいつもキセキの世代なのか!?」
緑「うるさいのだよ。高尾。」
黒「灰崎君は元キセキの世代です。途中で退部したのでキセキの世代とは呼ばれていませんが。」
火「でも強いんだろ?匂いがするからな。」
灰「お前は。そうか、お前が。黒子の新しい光か。へえ、才能だけならキセキの世代並だな。」
火「なあ、1on1しようぜ?」
火神はボールを持って灰崎を挑発する。
灰「はっ。今すぐやってやりてえが、俺だけ別行動ってわけにはいかねえからな。その内な。」
黒子はその灰崎に違和感を覚える。黒子の知っている灰崎という男はこんなにおとなしくない。いつも自身満々で自己中な男であった。
しかし今は違う。福田総合にいってから何が灰崎に起こったのだろう。黒子はそのことを考えていた。
その日はそこまでで、各々各自のチームで練習をしていたのだが。
次の日。
各高校の監督が部員に告げる。
3校合同の合宿を行うと。
3校とも実力は全国クラスである。その3校が練習をすれば、得るものは大きい。
最も効果が期待できる練習はやはり練習試合である。
1年「それではこれより、誠凛対福田総合の練習試合を始めます!!」
火「いきなりやれるとはな。いくぜ、灰崎!!」
火神はここで気づく。灰崎の本当の姿を。まるで獣。いやケダモノ。
それは青峰よりも野蛮で危険だと火神は感じた。
灰「こいよ。食い尽くしてやるよ。」
黒「ビビらないでください。火神君。」
火「ビビってねえよ!!てかお前どこから出てきた!?」
黒「どこって、始めからいましたけど。」
灰「相変わらずだなあ。黒子は。」
石「よろしくたのむ。」
日「こちらこそ。」
主将の石田と日向は握手を交わす。
日向は石田にことをよく知っている。全国でも屈指のPG。そして、屈指の3Pシューターである。
表情には出さないが、日向も燃えていた。
ジャンプボールは鶴野と木吉である。
鶴野もまた木吉のことを知っていた。無冠の五将、鉄心。自分がどこまでできるのか。それを試すいい機会である。
両校とも実りのある試合になることは確かである。