読者の皆様、申し訳ございません。
何か案があればコメントください泣
ウィンターカップ予選、静岡大会。
それまでの大会では起こり得なかった異例の事態が起きていた。
静岡の強豪である福田総合学園が現在、準決勝まですべての試合を100点ゲームで勝ち上がっているのだ。
ほかの高校との実力の違いを見せつけている。
さらに試合の後半はレギュラーをすべてはずし、控えの選手で勝ち上がっている。
そして準決勝。
監「よし。この試合も後半はレギュラーを全員外すぞ。」
選「はいっ。」
現在、前半を終え、点差は56対29。福田総合の圧倒的有利である。
客「すげーぞ!!今年の福田総合!!このまま決勝も100点ゲームなんじゃねえか!?」
客「いや、でも決勝は長谷川率いる清水高校だからまだわかんねええよ!!」
その試合。福田総合は100点ゲームで勝利。
決勝は福田総合対清水高校となった。
…
監「明日はついに決勝だ。ここでとりこぼすわけにはいかん。そこで、明日の試合はレギュラーに最後まで出てもらう。インターハイのウォーミングアップにしてくれ。」
選「はい!!」
灰「瑠璃さん。本当にシュート数減りましたね?もうシュートは打たないんすか?」
瑠「ん?ああ。たぶん打たねえと思うよ?」
灰崎はしばらくの沈黙の後。
灰「じゃあ、昔の瑠璃さんのスタイル。俺が奪っていいですか。」
瑠璃は目の前の灰崎祥吾という男に初めて、恐怖をいだいた。
昔のスタイルといっても、一夕一朝で奪えるものではない。帝光時代の灰崎ならば、奪えるはずのない代物である。それを奪っていいかと聞いてきた。まるでそれがもういつでも奪えるかのように。
瑠「いいぜ。奪えるなら奪えばいい。」
灰「ありがとうございます。」
灰崎は一礼をし、体育館を出て行く。
瑠「もう”そこまで”来てるのか。まったく。なんてやつだよ。」
…
決勝の控え室では、ミーティングが行われていた。
石「では、長谷川のマッチアップは灰崎でいいな?」
灰「うす!!」
瑠「まあ、無理そうなら俺がいきますから。そうならないようにしてくれよ?」
灰「当然!!」
ピー-
これよりウィンターカップ静岡県大会予選、決勝戦をはじめます。
長「今年は勝たせてもらう。」
長谷川にはインターハイ予選の時のような、うぬぼれはない。静かに闘志を燃やしていた。
瑠「今回のお前の相手は俺じゃないよ。」
灰「今回は俺が相手だ。」
長「そっか。そんなことはもうどうでもいい。」
灰「あ?」
ジャンプボールは福田総合が制した。福田総合は落ち着いて一本を決める。清水高校も負けじと取り返す。第1Qは両校、手のうちを隠したまま戦っているという印象である。
そして、第2Q。
長「灰崎っていったっけ?お前強いよ。俺だけじゃ勝てねえわ。」
灰「なんだ。もう諦めるのか?」
長「いや。一人がだめなら二人でいく!!」
長谷川は得意のドライブで灰崎の左を抜き去ろうとする。ドライブだけで言えば、そのスピードは全国クラス。しかし、灰崎の才能はそのスピードすら意に介さない、はずであった。清水高校の“新渡戸俊”という一年生がスクリーンをかけたのだ。絶妙なタイミングでスクリーンをかけられた灰崎は長谷川のシュートを止めることができない。
長「っしゃあ!!」
客「清水高校がスクリーンプレイ!?インターハイの時はあんなのなかったぞ!!」
瑠「スクリーンか。あいつがねえ。」
第2Qは長谷川と新渡戸のスクリーンプレイが炸裂し、得点は48対52と清水高校がリードしていた。福田総合は予選、はじめての苦戦を強いられていた。
灰「クソっ!!」
灰崎は苛立ちでベンチを蹴る。
瑠「やめろ、灰崎。物に当たるな。」
灰「くっ。」
第2Qの失点はほぼ灰崎のところから。苛立つのも当然である。
石「しかし、まずいな。全国クラスのスピードに完璧なタイミングのスクリーン。止めるのは容易じゃない。」
瑠「別にいいんじゃないですか?止められないなら止めなければいい。」
石「ラン&ガンに移行するか。それもいいだろうが、灰崎。いいのか?」
灰「よくないっす!!あと少しだけ時間ください!!」
石「よし。俺が許す。瑠璃!フォロー頼むぞ。」
瑠「分かりました。」
そして第3Qが始まる。
瑠「おい、灰崎。」
瑠璃は意気込んでいる灰崎に声をかけ、首に腕をかける。
灰「なんすか?」
瑠「次は、二人同時に“見ろ”。いいな?」
灰「あ。はいっ!!」
灰崎は瑠璃の言ったことを理解したのか、勢いよく返事する。
ボールは清水高校から、スタートする。
長「こりねえな。またお前かよ。」
灰「わりいな。あとちょっと付き合えや。」
長谷川はまた、全力のドライブで灰崎を抜き去る。そして、新渡戸のスクリーンに灰崎は捕まる。
清水高校はさらに加点した。
灰「よし。タイミングは掴んだ。次はいける。」
灰崎はひとりでブツブツ言っていた。
長「今、あいつわざと。」
新「先輩、どうしました?」
長「いや、なんでもない。次も頼むぞ?」
新「はい!」
福田総合も瑠璃を中心になんとか、点を取る。そして、次の清水高校のオフェンス。灰崎の才能の片鱗が垣間見える。
例のごとく長谷川が灰崎を抜こうとしていた。
灰「(こいつのドライブはとめられねえ。なら、スクリーンをかけるやつをかわせばいい。そのためには。)」
灰崎は長谷川が進む方向と逆にステップ。そして、長谷川に追いつく。
長「なっ。」
灰「わりいな。一回見ちまえば、俺の勝ちだ。」
灰崎は、ついに長谷川を止めた。
さらに。
福田総合の攻撃、瑠璃からパスがまわり石田が相手選手を抜く。その選手に灰崎が絶妙なタイミングでスクリーンを掛ける。
新「そのスクリーンはっ!?」
灰「わりいな。もう俺のもんだ。」
切り札を失った、清水高校にもはや勝目はなかった。
福田総合はまたしても100点ゲームでその試合を制した。