「やるじゃん、真。さすが俺が認めた男だ。」
観客席から黒金瑠璃はそう呟く。キセキの世代の中で、黒金瑠璃が”本当の意味”で認めているのはおそらく緑間真太郎唯1人。緑間だけが才能を開化させたあとでも、努力を惜しまなかった。緑間だけが、瑠璃のように努力をしてきた。
「故に、お前は真に勝てないんだよ。敦。」
…
「なんなんだよ、それは!!空中でボールを受け取ってシュートとか、ふざけてんの?」
紫原はいままでにないほどの動揺を覚えていた。紫原が全力で跳躍をしてもブロックができるかどうか分からない。なぜなら、ブロックに迷いが生じるからだ。
緑間がジャンプ、そこで素直に緑間にボールがいくとは限らない。緑間のジャンプそのものがおとりの可能性もある。この上なく、厄介である。
「おちつけ、まだうちの方が有利じゃ。いつも通りインサイドを攻めるぞ!!」
『おう!!』
主将の岡村がチームメイトを鼓舞する。
「ナイスだ、緑間、高尾!!勝つぞ!!」
『おう!!』
こちらも主将の大坪が士気を高める。
そして、第2Qが終了する。
点差は33対38。陽泉がいまだ有利である。
「真太郎のアレには驚きましたね、瑠璃さん。」
赤司は緑間と高尾のコンビプレイの驚き、瑠璃に尋ねる。同じPGとして高尾のプレイには体が震える衝撃を受けたのだ。
「ああ。でも真ならできるだろうなとは思うよ。敦がなあ。あいつまだ1人でバスケしてるだろ。たぶん、試合以外の練習も。それじゃ、真には勝てないよ。」
昔からそうだった。真のことを1番に評価するのは瑠璃であった。今もまるで緑間の勝利を疑っていないかのように見えた。
「でも敦もいい集中してますね。3連覇の少し前に戻ってるみたいです。」
「ああ。さて、どっちが勝つのかな。」
…
第3Qは始まってみれば一方的であった。
「高尾!!」
「あいよ!!」
緑間と高尾のコンビプレイには紫原ですらブロックができなかった。誰も止めることができないのだ。
「くそっ、くそっ!!」
紫原は怒りをあらわにしている。初めてなのだ。自分がブロックできないシュートなど。
「(いやだ、勝ちたい。負けたくない。最強は俺だけでいい・・・!!)」
紫原は心の中で誓う。最強は自分なのだと。自分だけでいいのだと。その想いが扉をこじ開ける。そのことをキセキの世代と瑠璃は感じ取った。
コートにいる緑間はいち早く、気づいた。
「高尾っ!!よこすのだよ!!」
「ああ!!」
緑間は高尾のボールを要求した。このQで勝負を決めなければまずいと本能的に感じたのだ。
「真!!それはダメた!!」
いきなり瑠璃が叫ぶ。しかしその声は緑間に届かない。
紫原は人生最高の跳躍を見せた。それはまさにエアウォ―ク。
「なんなにだよ!?同時に飛んだのに、俺の方が先に落ちている!?」
緑間のシュートはこの試合、初めてブロックされた。
「もうシュートは決めさせない。勝つのは俺だし!!」
紫原がゾーンに入った。高校バスケ界、最高の男が誕生した。この男より高い景色が見れる者など存在しない。
「おもしろいのだよ。こちらとて、まだ全てを見せたわけではないのだよ!!」
運命の第4Q。はたして勝者はどちらになるのか。