第4Qが始まる前
「主将。お願いします。第4Qの初めの1分間を俺と高尾に下さい。」
緑間が頭を下げる。緑間が秀徳に入学して初めてのことで大坪は動揺している。
「その代わり、絶対紫原に勝てよ。それなら、今日のわがまま3回分で許してやる。」
「大坪。それは私の台詞だ。」
…
「よし!!いくぞ、木村、宮地!!」
『おう!!』
3年生だけで、陽泉高校に攻め込んでいく。その様子に観客はざわめている。
「おい、秀徳は3人だけで攻めてるぞ!?」
「なんなんだ!?」
そのことに当然、陽泉は怒りを表す。
「ふざけてのう。」
「ぶっ潰すアル。」
「捻り潰す。」
「とまあ、散々言われてますがどう思います?」
同じく観客席の赤司が瑠璃に問う。
「んー。まあ、集中するためじゃね?たぶん、俺と同じことをしようとしているんだと思う。」
瑠璃と同じこと、つまり同調連動型ゾーン《シンクロドライブゾーン》。ゾーンの1つの究極の形。それは互いの信頼関係なしには到底できない。
「敦には絶対無理なもんだからなあ。たぶんキセキの世代の中であれができるのは真と、”今の征”ぐらいだろ?」
瑠璃はそう言うと、逃がさないというような視線を赤司に送る。
「今の俺ならできるかもしれないです。まずは真太郎にお手本を見せてもらいますよ。」
…
ここはコートの中。今、この会場にいる誰よりもこの2人は集中していた。
「(思えば出会いは最悪だったのだよ。気がつくといつも傍にいた。後ろを振り向くといつも練習をしていたのだよ。まったくうっとうしいことこの上ない。)」
「(初対面の印象は最悪だったっけな。キセキの世代っつうからすげえわがままだと思って会ったらやっぱりわがまま。あー、こいつ俺が一番うまいとか思ってるんだろうな。でも練習は誰よりもしてた。)」
緑間と高尾、この2人は互いにないものを持っていた。故に惹かれたのだろう。
だからこそ、今は信頼している。
「いつからだろうな。高尾からのパスを心地良いと思うようになったのは。」
「いつからだろうな。真ちゃんの力になりたいと思うようになったのは。」
2人は声を合わせて言う。
『人事は尽くした。故に天は俺達を選ぶ。』
その瞬間に、2人はゾーンに入る。瑠璃と同様、同調連動型ゾーン《シンクロドライブゾーン》である。
「お前ら、遅いぞ!!いくぞ、最後の10分だ!!」
『おう!!』
秀徳が陽泉の攻撃を迎え撃つ。
「そんなもん、俺が蹴散らしてやるし!!」
紫原がボールを要求し、手を上げる。しかし、緑間は”それ”を確認すると紫原を放置し前に出る。
まるで高尾がスティールをすることを確信したように。
「あいよっと!!」
「なっ!?」
高尾は絶妙なタイミングで福井からスティール。
そのままボールをつき、ハーフラインを超えたところでパスを出す。そう、すでにシュートモーションに入った緑間に。
「う、そだろ。」
紫原がそう呟く。それもそうだろう。ハーフラインからのシュートモーションへと跳んだ緑間への完璧なパスだけでも常軌を逸している。さらにそこから緑間はクイックモーションでシュートを打ったのだ。
「俺達のシュートはもう誰にも止められないのだよ・・・!!」
これが1人と2人の差。1人で強くなろうとした者と、2人で強くなろうとした者の差。その差は決して埋まることはない。
…
「紫原、貴様は強い。だが、チームとしてなら俺達の方が強いのだよ。」
緑間はゆっくりとシュートモーションに入る。
「ハァ、ハァ。なめんなっ!!」
紫原はブロックに跳ぶ、しかし、緑間は笑みを浮かべる。
「舐めてなどいないのだよ!!高尾!!」
「ナイスパス。」
高尾の完璧な3Pが決まる。
その瞬間に、笛が鳴り試合は終了した。78対60。キセキの世代対決は緑間真太郎が制した。
「真太郎が勝ちましたね。予想通りですか、瑠璃さん?」
「まさか。試合の結果なんて俺は読めないよ。でも期待はしてた、真が勝つっていう期待を。」
コートの中から緑間は瑠璃を見る。自分が憧れ、尊敬してきた男と戦う日は近い。
「必ずそこまでたどり着くのだよ・・・!!」
拳を瑠璃に向けながら、そう呟く。
「待っている。ここまでたどり着いて見せろ・・・!!」
瑠璃もまた拳を緑間に向ける。
なんか、緑間との決勝フラグが。。。笑
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