黒子のバスケ〜努力の天才   作:マニック

36 / 50
第46Q

海常対福田総合

会場はそれまでとは打って変わって静まりかえっていた。

その試合を見ている者はまばたきをすることができず、唾を飲む。

それほどまでの緊張感がそこにはあった。

 

「(お互いに待っているんだ。刀《エース》を抜くときを・・・!!)」

瑠璃は1人、ベンチからその様子を見ていた。瑠璃とて例外ではない。その試合から伝わってくる緊張感を感じていた。

 

しかし、その時は突然やって来た。

「灰崎!!」

石田から灰崎へとパスが渡る。今の灰崎は”ゾーン”の状態になっている。

「こいっ!!」

黄瀬もそれに構えるが、今の灰崎の前ではその意味をなさない。

3Pにさしかかり、灰崎はシュート打つ。黄瀬も全力でブロックに飛ぶが、その時信じられないことが起こった。

「(な!?ボールがすり抜けた!?)」

ブロックしたと思ったボールは、黄瀬のブロックをすり抜けたかのようにリングを潜る。

「ふうん。むろちんの技さえも奪えるんだねえ。しかも、みどちんの3Pとの合わせ技。あんなの止めるのきせちんでもむりっしょ。」

紫原から見れば、この試合はすでに決していた。いくら黄瀬でも今の灰崎には勝てない。そう考えていた。

「まだ、黄瀬は諦めていない。まだ勝負は分からないよ。」

赤司の言う通り、黄瀬はまだあきらめてはいなかった。

 

「くっ」

黄瀬は灰崎と同じように、3Pを打とうとしたが自分のシュートが外れることを直感し笠松にパスを出す。結果として、笠松のシュートは決まる。

その後も何度か同じような場面があり、ギリギリで海常が食らいついていた。

 

瑠璃はこの時予感した。黄瀬の才能が次の次元へと花開こうとしている。

だから動いた。このままではいけない。ここで負けるわけにはいかない。

「監督。今から俺を出してください。お願いします。」

瑠璃が自ら試合に出るなど久しく聞いていなかった。監督は1人で笑みをこぼす。

「よし、いってこい!!」

 

「どうした、瑠璃?今日は、このまま出ないのかと思ったんだが。」

石田は不思議に思っていた。いつもの瑠璃ならこの試合には出ない。チームメイトの成長が伺える試合には出ないのが黒金瑠璃だ。

「ちょっとまずいことが起こりまして。祥吾、黄瀬はお前の完全なる強奪《パーフェクトバンデッド》さえも模倣《コピー》する気だ。」

灰崎は息を整えながら、言う。

「そんなのできるわけねえ。これは俺だけのもんだ。」

灰崎にとってこの技は自分の全てだ。この技だけは誰にも渡さない。やっとキセキの世代と渡り合えたのだ。

「ああ。簡単にできることじゃない。それにそんなことはさせない。だから俺が来た。模倣《コピー》しようとしているなら、もう見せなければいい。」

「お前、俺の技を模倣《コピー》しようとしてるんだって?」

黄瀬は下をむいて笑う。

「瑠璃っちさんすか。まったくあの人にはかなわないすねえ。もう7割は模倣《コピー》済なんで、あともう一回見せてくれたら完璧っすよ。」

 

灰崎は瑠璃とアイコンタクトを交わし、瑠璃にパスを出す。

瑠璃もまたすぐに灰崎にパスを出す。その速さは常軌を逸していた。それもそのはず。連携をしている2人が”ゾーン”の扉を開いたもの。そのスピードは単純に考えただけでも通常の4倍。誰も追いつけるはずがない。

「大丈夫だよ。もうお前に完全なる強奪《パーフェクトバンデッド》は見せねえ。俺らの技の最大の弱点は見えない技は奪えないし、模倣もできないことだからな。」

試合は決した。灰崎と瑠璃の連携は誰にも止められない。

最後の攻撃、瑠李から灰崎へのアリウープが上げる。

黄瀬はブロックに飛ぶ。そのブロックはまるで、紫原の鉄壁のブロック。

「次やる時は負けねえっすよ。とりあえず、これは俺からのお土産っす!!」

最後の最後。黄瀬は赤司の天帝の眼《エンペラーアイ》+紫原のブロックを再現した。

試合は福田総合が勝利したが、灰崎にとっては不服な結果となった。

「黄瀬!!次は来年だな、絶対また試合しような!!」

「当たり前っすよ!!次は俺たちが勝つっすから!!」

お互いに握手を交わす。そんな光景、帝光時代には見れなかったものだ。

 

瑠李はみんなより先に控え室に戻る。その途中で、虹村に遭遇してしまった。

「お前ってさ、俺のストーカー?なんでこうタイミングよく現れるわけ?」

瑠李はその時、足を引きずっていた。

「お前のことは俺が一番知っている。いつからの付き合いだと思ってんだ。けど、その足のことは聞いてない。今、俺は怒ってるからな。」

めずらしく怒りを露にする、虹村に瑠李は戸惑っている。初めて見たのだ。ここまで怒っている虹村を。

「とりあえず、場所を変えよう。ここじゃみんなにバレル。この足のことを話すには。そうだなあ。帝光時代まで遡ることになる。」

虹村、親友さえも知らない瑠璃の秘密が今本人の口から語られる。




このお話での黄瀬のパーフェクトコピーはキセキの世代の技を使える技であり、原作のように再現する技ではありません。そのかわり、組み合わせができなかった技にしてあります。
説明下手ですいません。
後。次回から過去編です。
青峰対緑間の試合はあまり描写できないです。
決勝の相手はどちらがいいですか?
みなさんの意見で決めたいと思ってます!!
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。