準決勝は青峰が制した。黒金瑠璃にリベンジができるキセキの世代は青峰大輝となったのだ。
秀徳と桐皇、どちらも死力を尽くした。力の全てを出した。後悔などあるはずがない。そう自分に言い聞かせ、負者はコートを去る。
「負けた。そうか、まだ”努力”がたりなかったのか。くっ、っう」
声にならない叫びを誰にも聞こえないように絞り出す。その声は相棒に届く。
「真ちゃん、ごめんな。俺がまだ弱かったから。でもよ、もう負けねえ。俺は真ちゃんとならどんなやつにだって負けねえ・・・!!」
これから先、この二人にはまだ未来がある。これから何度だってリベンジをするチャンスがある。だが、3年生にはそれがない。
「木村、宮地、お前らとバスケができて良かった。ありがとう。」
主将として、すべてをバスケットに賭けてきた。この仲間と共に。
「へへ。また負けちまったが、悔いはねえ。あんがとな、主将。」
それは虚勢ではない。
「俺もだ。お前についてきて本当に良かった。」
それは見栄でもない。
ただ、心から思ったことを言っただけだ。
毎年、こんな思いを抱きながらいくつものバスケット選手が引退をしていく。
勝った者には責任がある。この思いを背負う責任が。
「青峰、負けたら許さないのだよ。俺達の分までたのむのだよ。」
そう言って、選手全員で買ったお守りを渡す。
「ああ。先に、あの人のとこまで行ってくる。」
…
「大輝が相手か。相手にとって不足なし。」
待ち受けるはかつての同胞。そして、自分の最も尊敬する存在。
決勝は福田総合対桐帝となった。
決勝戦は1日後の午後からとなっている。互いのチームは決勝まで英気を養う。
あるものは最後のシュートチェック。
あるものはイメージトレーニングをする。
「よし、いい感じだ。」
そう呟くこの男は福田総合の主将、石田英輝。
「ナイスシュート!」
そう言いパスを出すのは、エース黒金瑠璃。
「なあ、瑠璃。来年はお前が4番を背負うんだろ?ちゃんと見ておけよ、俺の最後の道を。」
あこがれたのはいつだろう。この人にあこがれて、福田総合に入ったんだ。
でも自分にはその番号は背負えない。先の自分じゃ、この番号は背負えない。
「こんな俺じゃ、その番号は重すぎますよ。それに」
「足の状態、よくないんだろ?」
さすがだと素直に思った。間違いじゃなかった。自分の憧れた人はこの人だった。
「たとえ、バスケットができなくても次の主将はお前だ、瑠璃。だれがなんと言おうと俺がお前を推薦する。」
自分のことを全面的に肯定されるということは、たぶんこの世界で一番幸福なことだろう。そんな体験を今自分はしている。
「とゆーわけで、明日はみんなで優勝しましょうね!」
「なにこんなとこで2人ではなしてんすかー」
「俺らも入れてほしかったっす。」
いま、ここに最高の5人が揃った。世界でもっとも信頼できる男達が。
「まあ、負ける気しねえや。」
決勝戦は目前である。