仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。お待たせしました!

前回、戦闘描写が毛ほどもありませんでしたが、稲森の過去やアベンジドライバーの秘密が明かされ今に至ります。それを聞いた稲森は…

それではどうぞご覧ください。


第9話「四位一体はキメラ」

「これで最後だッ!!」

 

「……!!」

 

 

 アベンジドライバーの口を閉じ、天高く飛び上がったアベンジは、脚全体にグッと力を入れてウィンプジェスターたちに必殺の蹴りを放つ。

 大量にいたウィンプジェスターであったが、これにより一瞬にして消し炭と化してしまった。

 稲森は変身を解除すると、ふとフードの男に言われた過去について思い出す。

 

 

「はぁ…… いきなり生き残りだなんて言われても… 僕は何もわからないよ」

 

 

 最強の種族であり、平和主義の反逆者。そしてその一族の最後の1人が自分であると聞かされ、唐突な事であったので悲しむどころか困惑した。

 両親や親戚すらいないのはおかしいと思っていた。きっと死んでしまったのだろう。そう思って必要以上に稲森を育ててくれた親に聞く事はしなかった。

 

 

「… いや、みんながやっていたように僕も抗わなきゃ。今はいい。先を見よう」

 

 

 今は考えるだけ無駄である。

 そう考えた稲森は自分に出来ることをやる為、倉庫を後にしようとすると、突然地面が盛り上がり、そこから頭だけひょっこり出したモグロウが現れる。

 あまりに驚いた稲森は思わず尻餅をついてしまい、その絶妙な痛さに苦しんだ。

 

 

「いてて… な、何だよってモグロウ!!?」

 

「あ、悪い。お前を追って来たらここについてよ。なんかあったのか?」

 

「いや…」

 

「何だよ。親友の俺にも話せないほどの事か?」

 

「そうじゃないんだ。ただ…… そうだね、ごめん。実は──」

 

 

 稲森は親友であるモグロウに全てを話した。当然驚かれたが、すぐにモグロウは笑ってみせる。

 それから稲森の肩に手を回して倉庫から外へと出す。辺りはすっかり暗くなっていたようだ。ウィンプジェスターと戦っていたから全く気がつかなかった。

 

 

「とりあえずお前には何もなくて良かったぜ。さ、かなり暗くなっちまった。さっさと帰ろう」

 

「お前には…?」

 

「… 気にすんな。とにかくまた変なのが現れたら面倒だからよ。班目やフードの男… それからファング。お前もかなり危険な所まで足踏み入れてるな」

 

「最初からそのつもりだったよ… まぁ怖いけど、誰かの為に戦えるって凄く気持ちがいいなって思うようになったんだ」

 

「ほんと変わったな…… 親友としちゃ嬉しい話だがよ」

 

 

 2人は笑いながら家路につく。

 その笑顔の後ろにフードを被った男が不敵な笑みを浮かべ、2人の背後からスッと闇へと消えていった。

 

 

「期待してますよ。稲森さん──」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

 次の日、稲森はいつもと変わらない栄須市の街中を歩いていると、ある女性と鉢合わせすることになる。

 ここで1番会いたくない人物ではあるが、口に出して言う訳がない。視線を感じる。とても嫌な視線というか殺意というか。

 

 

「奇遇ね」

 

「ど、どうも羽畑さん… おはようございます」

 

 

 陽奈とは未だに誤解、というよりも稲森を理解してくれない。無理もないのかもしれないが、そろそろ心を開いてくれても罰は当たらないと思う。

「それでは…」と陽奈の横を通ろうとするが、右手を伸ばされ止められる。わかってはいた。絶対に戦う事になる。

 

 

「羽畑さん。流石にここでは…」

 

「する訳ないでしょ。人気のない所に行くわ」

 

「でも僕、あなたとはそういう関係になりたくないので…」

 

「もうそういう関係よ。今日こそ終わらせるわよ」

 

 

 そこに居合わせた楓は何故か頬を赤らめ周りを気にしている。

 陽奈はどういう事か分からず、楓に聞いてみると、全くもって訳の分からない勘違いをしていた。

 その話を聞いた陽奈も少々赤くなっているようだ。

 

 

「え? どうしました?」

 

「なんでもないわよ!! もう頭に来た!! 今すぐここで消してやる……っ!!」

 

 

 物凄い形相でエースドライバーを取り出したその時、近くから爆発音が聞こえ、それと同時に瓦礫が3人に降り注ぐ。

 稲森は咄嗟に脚に力を込めて、瓦礫を蹴り飛ばした。たった一瞬ではあったものの、今まで以上の脚力で蹴り込めていたように感じる。これも最強のジェスターの生き残りとしての力が覚醒しつつあるのだろうか?

 だが、今はそんな事はどうでもいい話だろう。

 

 

「… 感謝しないから」

 

「そう言ってくれるだけで十分ですよ! 今はあそこにいる… な、なんだあれ!?」

 

 

 砂煙の中から現れたそれはジェスターである事は間違いない。ウィンプジェスターのような不気味さも持ち合わせている。何処かで会ったことがあるやつな不思議な感覚がある。

 それはまるでリゲインのバートン・スイム・スピーダ・ウェイトがその場に居合わせているような感じだ。

 

 

「なんだろう… リゲインの4人の幹部と似ている気がする…」

 

「似てる? あの気持ち悪い見た目のやつが?」

 

 

 頭はスイム。背中はバートン。脚はスピーダ。全身の筋肉はウェイトであろうか。確信はないが、所々が似ているような気がする。

 とにかくこの異様なジェスターを倒す以外の理由はない。人に危害を加えるのなら尚更である。

 

 

「気をつけて行きましょう。羽畑さん」

 

「私に指図しないでくれる」

 

「ただの励ましですよ!」

 

「… ふんっ」

 

 

 2人は同時にドライバーを巻いてそれぞれジャンプフィード、ダッシュフィードを差し込んでからキメラだと思われるジェスターに向かって走り出す。

 

 

「「変身ッ!!!」」

 

 

 仮面ライダーアベンジ、エースへと変身した彼らはキメラへと走り出す。

 まずエースはエースガモスボウによる先制攻撃を行い、それに続いてアベンジがキメラに凄まじい脚力で蹴りを放った。

 

 

「いっ…!!」

 

 

 アベンジの脚に痛みと衝撃が響く。

 一方の蹴られたキメラは全く効いていない様で、そもそもピクリともその場から動かない。この硬さは以前にも感じた事がある。まるでウェイトの様な筋肉の硬さだ。やはりそうなのか。

 そしてキメラはアベンジを掴み、エースに向かって投げ飛ばした。2人は互いに吹き飛ばされるが、素早く体勢を立て直して構える。

 

 

「私まで巻き添え喰らっちゃったじゃない!!」

 

「わ、わざとじゃないですよ!!… でもこれって一体…」

 

 

 しかしキメラは追撃はして来ない。急に動きを止めてしまったのだ。

 すると、その後ろからフードの男が姿を現した。どうやらこの化け物を作り出した犯人が見えてきた。

 

 

「あなたは…!!」

 

「どうもアベンジさんにエースさん。お久しぶりです」

 

「… この生命体を作り出したのはあなたなんでしょう?」

 

「よくわかりましたね! そうです。この『キメイラ』を作り出したのは私です」

 

「キメイラ… 見た所、幹部たちの特徴を引き継いでいるように見えるんですが…」

 

「えぇ、このキメイラは幹部たちの細胞を繋ぎ合わせて作られたキメラ。即ちキメイラです」

 

「… そろそろあなたが何者か話してもいいんじゃないですか? こんな化け物まで作り出してしまう。あなたは一体なんですか」

 

「んー… そうですね。いいでしょう。わたしの名は『マダラメ』。リゲインでは研究員として務めさせてもらっています」

 

「マダラメ…!」

 

 

 マダラメという名前に仮面ライダーの2人は驚く。

 ただ班目とマダラメという名が同じだけであっただけで、何がどうなるというわけではない。同じ名前なんて何人といる。

 

 

「ある男と同じ名前で驚きました? それついてはこのキメイラを倒したら教えてあげますよ」

 

「ま、待ってくだ…っ!!」

 

 

 マダラメが背を向けた瞬間、キメイラがアベンジの目の前に現れた。あの距離を一気に詰めてきた。これはスピーダの力だろう。

 目にも止まらぬスピードを活かし、アベンジは腹部を殴られくの字に曲がる。

 

 

「ガハッ…!!」

 

「何やってるのよ!!」

 

 

 その隙にエースがキメイラの背後に回り込んで蹴りを浴びせようとするが、キメイラの姿がそこからいなくなっていた。

 なんとあの一瞬で既にエースの背後へと回り込み、筋肉を膨張させて殴りかかろうとしていたのだ。

 

 

「しまった…!!」

 

 

 エースに迫りくる拳。避けようにも間に合わない。

 だが、アベンジはなんとか腕を伸ばしてエースの足を掴んで投げ飛ばす。まさに紙一重といったところだ。

 それからアベンジはドライバーからジャンプフィードを取り出し、フライフィードを差し込み、フライウェポンへと姿を変える。

 

 

《START!! フライアベンジ!》

「なんて厄介なんだ… でも!!」

 

 

 フライウェポンにより上空へ舞い上がると、そこでフライフィードをダイブフィードと取り替えて仮面ライダーアベンジ ダイブウェポンへと姿を変えた。

 上空から毒針を発射して牽制してみようという作戦であったが、いざ毒針を発射するとその考えはすぐに吹き飛んだ。

 毒針は当たるどころかキメイラの身体を貫通している。スイムの液状化能力だ。

 

 

「そんな!!?」

 

 

 気づいた時にはキメイラがアベンジの背後にいた。翼を羽ばたかせて飛んでいる。

 全ての幹部たちの力を取り込んでいるキメイラ。その力はただ単純に奪っただけではなく、完全に我がものとしている。それぞれの能力の扱いが非常にうまい。

 

 

「これじゃ勝てない…!!」

 

 

 アベンジは胸の前で腕をクロスさせてキメイラの攻撃に備えるが、そんなものはただの飾りと言わんばかしの一撃を叩き込まれた。

 単純な拳での殴りによるものだが、その勢いと凄まじさは異常だ。

 

 

「うわぁぁぁぁッッッ!!!!」

 

 

 上空から地面へと叩きつけられ、周りには大きなヒビが入る。

 稲森はそれと共に変身が解けてしまい、全身に力を入れることさえできない。

 

 

「く、くそっ……!! この状況はまずい…!!」

 

 

 キメイラは本能的にトドメを指そうと、稲森に向かって降下してきた。

 このままでは本当に殺されてしまう。再びアベンジに変身しようにもドライバーにアビリティズフィードを差し込む力さえない。

 

 

「うぅ…!!」

 

 

 間に合わないと思われた。

 しかし横から重い足音が地面を伝って聞こえ、気づいた時にはキメイラの顔がメキリと音を立てて潰れている。

 これはエースのパワードウェポンの渾身の殴りによるものだ。彼女はこれを狙っていたらしく、雄叫びと共に殴り抜けた。

 

 

「ギリギリだったわね」

 

「ど、どうして僕を…」

 

「… 借りを作らせておいて私が何もしないって言うのが気に入らなかっただけよ。勘違いしないでくれる?」

 

「あ、ありがとうございます」

 

「あんたはもう使えないからどっか行きなさい。ここは私1人で十分よ」

 

「でも…」

 

「仮面ライダーは怪人を倒すの。あんたも含めてね… だけど怪人みたいで怪人じゃない訳わかんない奴はもうどっちだっていいわ。あんたはそれよ。訳わかんないからさっさとどっか行ってくれる!? 邪魔よ!!」

 

「羽畑さん…… わかりました。だけど僕、動かなくて…」

 

 

 するとそこへエンジンの音が聞こえたかと思うと、何者かが稲森の腕を掴んで何か乗せる。

 一瞬の出来事で何が起こったのかわからない。ただ乗っているものはバイクであり、それを運転しているのは稲森がよく知る人物であった。

 

 

「モグロウ!? で、これはどういう…」

 

「全く世話が焼けるやろうだぜ。俺もよくわからないけど、このバイクが突然俺のところへ来てよ? 試しに乗ってみたらお前の所まで来たって訳だ」

 

「…… 誰か察しついたかも」

 

「え、マジか?」

 

「多分このまま乗っていればいいと思う。行き先はなんとなくわかるんだ」

 

 

 稲森とモグロウを乗せたバイクは何処かへと向かって行った。

 その場に残ったエースは深呼吸をし、目の前にいるキメイラを睨みつける。あんな事を言っては見たものの勝ち筋が見つからない。無謀な戦いになるかもしれない。

 だが、彼女は怖いというわけではない。寧ろ勝つつもりで残ったのだ。

 

 

「── さ、行くわよ。仮面ライダーエースに誓って、あんたを絶対消してやるから」

 

 

 エースは拳を握りしめ、キメイラへと飛びかかった──。




キメイラとかいうてんこ盛り。だから次回も同じく…

次回、第10話「陸海空はトリニティ」

次回もよろしくお願いします!!
遅くなってしまい申し訳ありません!!
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