仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、新たなライダー 仮面ライダージャックの登場。そして稲森には班目がマダラメであった事実が伝えられた。班目のやり方を良しとは思うはずのない稲森が問いただすと彼の口からとんでもない一言が……

それではどうぞご覧ください。


第12話「牙がライオン」

「首領の復活…? それってジェスターの首領って事ですか…!!?」

 

「はい、その通りです」

 

 

 班目の口から発せられた衝撃の一言。首領の復活。

 それは全人類にとって悪夢、黒歴史と言わざるを得ない事をやって見せたジェスターの頭である。

 ジェスターとしても首領は恐れられ、誰も彼に逆らう事などまずあり得ないだろう。いやまずその考えに至るはずがない。

 

 

「… そ、その計画って何処まで事が進んでるんですか?」

 

「………」

 

「もう復活間近まで来ているって事ですか? 教えてくれるんですよね…?」

 

 

 稲森は班目を真剣な眼差しで見つめるが、彼は表情を和らげいつも通りの何を考えているのかわからない嫌な笑みを溢す。

 

 

「ジェスターの首領は数年前に初代エースに敗北し、この世から消え失せたというのはご存知ですよね?」

 

「はい。その後、今の状態が保たれているという結果に落ち着いてます…」

 

「ジェスターは世界に嫌われている。それはまた人間と同じ。怪人と人間。その嫌われ者たちが共に歩む事などできると思いますか? 結果は無理です。この状況で察しです」

 

「だからファングは首領を復活させて、またこの世界を壊してジェスターが君臨すると言うんですか? そんなの結果は同じじゃないですか!」

 

「えぇ、勿論そうです。ですが、それが生き物の欲深いところ。一度足を踏み入れたらもう後戻りなどできません。欲しくて欲しくてたまらない物ほど更に…… あ、話が逸れましたね。首領はまだ復活はしませんのでご安心」

 

「そうですか… それが聞けただけでも良かったです」

 

「ただ安心はできませんよ? まだと言えど1年や2年待ってくれる程、ファングはゆっくりとした亀ではありません」

 

「と、すると?」

 

「獲物を捕らえるまで後… 2.3週間と言ったところでしょか」

 

「2.3週間って… そんな短い日数なんですか!!?」

 

「まだ1と言わなかっただけ良かったと思ってください。あくまで現状この段階での推測ですがね…… 消えたと思われた首領の細胞をファングがどういった行動を取ったのか知りませんが手に入れています。そのボディ自体はほぼ出来上がってるといっていいでしょう」

 

 

 たった2.3週間のうちに首領が復活してしまう。

 その事実を聞いた稲森は心臓が握り潰されそうな感覚に襲われる。怪人の稲森だからこそわかる首領の強さと恐ろしさ。

 もし首領が復活したら自分はどちら側に立っているのだろうか? 今はまだわからない。だが、近いうちに選ばなければならない。

 

 

「…… わかりました。教えて頂いてありがとうございました。ですが、班目さん。これ以上ジェスターに手を貸さないで頂きたいです」

 

「それはできませんねー… 私には私なりの正義と考えがある故。それにゆっくりとはしてられませんよ? でしたら尚更の事だと思いませんか? ただ私のライダーシステム、ジャックでは幹部は倒せたとしても、やはりファングがありますので」

 

「─── 僕がなんとかします」

 

「お?」

 

「なんとかすると言っても… 本当は怖いし、逃げ出したい気持ちもない訳じゃないんです。でもここで逃げたり引いたりしたらそれこそダメだと思うんです。僕が思う仮面ライダーは誰かの為に必死になって戦う戦士を言うんじゃないかって…」

 

「…… 変わりましたねぇ… さすが最強の怪人たちの生き残りです。まぁ私も裏で出来る限りの事はしてみましょう。あなたの覚悟を称賛して」

 

「本当ですか!? ありがとうございます!」

 

「ではそろそろ… 私もやる事があるので」

 

「そうですね。では失礼します」

 

 

 それから稲森はバイクに跨りもう一度軽く頭を下げてから自宅まで走らせる。

 その背中を見る班目の微笑んでいた顔はスッと真顔になった。ため息を吐き頭を掻きながら何処かへと消えていく。

 

 

「全く。ファングさんもとんでもない人に喧嘩を売ったものです…… これは面白くなりそうです」

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

 栄須市にある大きなショッピングモール。

 またここで陽奈は楓を待っている。いつもの如く楓はやってこない。

 

 

「… また遅刻かしら。前もあったけど…」

 

 

 楓はいつも来るのが遅い。先に来た事なんてあっただろうか? いや一度たりともなかった気がする。

 最高6時間は遅れた事がある。まぁあの時はあの時で彼女の都合があったから仕方がない。

 しかし今回ばかりはその都合がある方なのかも知れない。現在2時間は経過している。何度もメールをしたり電話かけたりとしているが、この2時間の間で全く連絡が送られてこない。

 

 

「おかしいわね… なんかあったのかしら。でも遅れたらすぐに連絡してくれる子だし…」

 

 

 もう一度連絡をかけようとスマホを操作していると、目の前をスーッと明らかに駆け足になった男が通った。

 陽奈はその男に声をかける。

 

 

「ちょっとそこの怪人止まりなさい」

 

「え? なんですか…?」

 

「なんで私から逃げようとしたのかしら?」

 

「それは… 僕は争いたくないですし…」

 

「…… 私は会いたくなかったけど丁度いいわ。稲森、あなた楓知らない?」

 

「楓さんですか? なんでまた僕に?」

 

 

 その男は稲森であった。一応、彼には心を開いている楓。あまり期待してはいないが、聞かないよりはマシだろう。

 

 

「いいから答えなさい」

 

「今日はまだ会ってませんよ? 楓さん… 何かあったんですか?」

 

「別に。プライベートの事」

 

「あ、そうですか… 何か困った事があったら言ってください。いつでも僕で良ければ力を貸しますから!」

 

「いらない」

 

「うっ……」

 

 

 この一言は意外と傷つく。予想はついていたが、やはり面と向かって言われるとかなり精神的に来る。

 ショッピングモールへ買い物に来ただけの稲森は、そのまま陽奈に別れを告げて中へ入って行か事にした。

 だが、また彼を止める嫌な気配がひしひしと伝わる。振り向かなくともわかるこの気配… いや、殺意という奴か。ここまで背中に氷を背負わされてるかのような感覚は始めてだ。

 特に何もされていない市民たちでさえ、悲鳴を上げて逃げて行くのがわかってしまう。

 

 

「な、なんだ… この気配…!」

 

「稲森!! 手伝いなさい!!…… 力貸してくれるんでしょ? 貸してあげるわよ。というか貸さないとお互いにまずいわ」

 

 

 陽奈にここまで言わせる程なのか。

 それからゴクリと唾を飲み込み、稲森はゆっくりと振り返る。後悔する。振り向いただけでこんなに大きく見えるのだろうか。

 

 

「まさか……!!」

 

 

 その気配の大きさで目の前にいるジェスターが何者であるのか察しがついた。確実にそうである。奴こそがリゲイン、そして反逆者の怪人たちの頭────。

 

 

「─── ファング…!!」

 

「貴様がアベンジか。そして… エースと来たか。丁度いい。今ここで貴様らを試してやろう」

 

「え? 試す?」

 

「バートンがやられた。貴様らが俺の計画に支障を来す様なレベルなのか。俺自身が直々に試してやろうというのだ」

 

 

 

 ただ当然のことなのだが、試すだけではなくあわよくば殺すつもりだ。

 1番目を引く両腕の鋭く大きく太い爪に、何者の攻撃も寄せ付けない程の頑丈で分厚い身体という鎧。上から下まで全てに隙がない。

 ライダーを2人はそれぞれ腰にドライバーを巻き、アビリティズフィードを取り出す。

 

 

「「変身ッ!!!」」

 

 

 会話は交わすことなく、同時にジャンプ・ダッシュフィードをセットして、それぞれがドライバーを叩くと変身する。

 そして即座に構えを取る。

 

 

「行きましょう!! 羽畑さん!!」

 

「合わせてみなさい稲森!!」

 

 

 2人は一斉にファングへと飛びかかる。キメイラの時もあるが、とにかくまずは攻めてみて様子見だ。

 と、思った次の瞬間であった。2人は気づけば壁に激突していた。

 

 

「なっ…!!?」

 

 

 何があったのかわからないほど素早い攻撃。胸に3本の爪痕がくっきりと残っている。あの一瞬で切りつけていたようだが、この目では全く視認ができなかった。

 2人は次に何をするか考えられない。考えている時間がないわけではない。考えてどうこうなる相手ではないと、本能的にそれを察した。

 全身に火花が飛び、ライダーシステムはたった一度の攻撃で限界寸前まで追い込まれてしまったのだ。

 

 

「嘘でしょ…?」

 

「強い… たった一撃で装甲が…」

 

 

 ファングは爪を地面に這わせながら2人に近づく。

 アベンジはとにかく陽奈だけでも逃がそうと、トリニティフィードを使用してトリニティウェポンの姿へとフォームチェンジを行う。

 これが打点になるとは思わないが、時間くらいは稼いでみせる。

 

 

「くらえッ!!!」

 

 

 とてつもない脚力で高く跳び、翼を展開して宙へと舞い上がり、両腕から鞭を伸ばして毒針を発射する。

 真上からのアベンジの持つ陸海空のウェポンの能力を一斉に使っての、一瞬のうちでのコンボ技。

 単純な攻撃ではあるが、真上からの攻撃を防げるはずがない。それも一瞬のうちの動作だ。きっと攻撃は通るだろう。

 

 

「俺は1つわかった事がある。そして謝らなければならない」

 

「…?」

 

「─── お前たちは弱く脆く、試す以前の問題だった。俺は過大評価をし過ぎたようだ」

 

「はっ…!!!?」

 

 

 アベンジの能力の嵐は片手の爪を振るった程度で全てが無駄に終わった。

 爪を振るった時に生じた衝撃波は、真っ直ぐにアベンジの元へ飛んでいき、そしてその胸を切り裂いた。

 装甲を破って肉をも断ち、隙間から赤い液体が飛び出す。

 

 

「カハッ…!!」

 

「稲森…!!」

 

 

 油断したエースも瞬く間にファングの爪によって切り裂かれる。

 2人は変身が解け地面へと力無くして倒れてしまう。

 

 

 

「こんなものか… 安心しろ。命だけは助けてやろう。お前たち如きでは俺の計画の邪魔にはならないと判断する。せいぜいそこら中の同士たちと無駄な戦いを繰り広げていればいい。勝つのはやはり俺たちのような怪人だ」

 

 

 ファングはそう吐き捨て、満足したのか何処かへと姿を消してしまった。

 2人は気を失う直前誰かによって運ばれたのを覚えている。それが誰なのかはわからなかったがとにかく助かっただけでも良しとしよう。

 次に目覚めた時、彼、彼女は何を思うのだろうか。強大な敵の存在を再確認し、そして味わった。

 暫くは動かず身体を休ませよう。今はそうするしかないのだから。

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>

 

「… 私に何をしようと言うんですか?」

 

「落ち着け。俺は別にお前を食おうなどという脳のないライオンとは違う」

 

 

 アベンジとエースが敗北してから3時間が経過した。

 その頃、楓はスイムの手によりまたも拉致されてしまったのだ。ただ今回は乱暴に扱うどころか非常に丁寧に運ばれた。まるでセレブになった気分である。

 

 

「俺はお前を救おうと思っている」

 

「は…? どういう事ですか?」

 

「お前は怪人が嫌い。そして俺は人間が嫌いだ」

 

「………」

 

「俺たちは謂わば似たもの同士という訳だ。勿論違う事は確かだが、嫌いなものは類似しているとは思わないか?」

 

「だからなんだって言うんですか? 私を拉致してどうこうしようとも何も話すつもりはありませんし、陽奈の戦意を削ごうだなんて考えはやめたほうがいいですよ?」

 

「そんな事をするわけがない。いや、するまでもない。とにかく俺が言いたいのはお前に力を貸してやろうと思う」

 

「力を?」

 

「あぁ、楓。親を殺したジェスターが憎いのだろう? それなら自分の手で天誅を下せばいい。だが、無理な話しだと思っている。わかっている。だから俺はお前に力を与えてやる」

 

「… 仮に断ったとしたらどうなるの?」

 

「断れるのか?」

 

「断れるわ」

 

「そうか… なら、1度こうすればわかりやすいと思うがな」

 

「え……っ!!」

 

 

 その光景にファングはニタリと微笑んだ。




以上です!ホントにサボり癖ついちゃって申し訳ないです!

スイッチ入ると連続投稿できるのですが…なんとも申し訳ないです(2回目)

次回、第13話「過去やマッドネス」

次回もよろしくお願いします!!
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