仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。最近ゆっくり気味な辰です。

前回、リゲインのボスであり、元首領の右腕ファングが登場してアベンジ・エースは手も足も出ずにやられてしまいました。その場はなんとか見逃してもらえましたが、一方でリゲインのアジトでは楓が攫われてしまっていた……

それではどうぞご覧ください。


第13話「過去やマッドネス」

『ポーカドライバー』

 班目が仮面ライダージャックへと変身する為のドライバーの名である。

 アベンジとエース。2人の仮面ライダーとは一線を画す程の能力、それに加えて変身者は開発者自身である。

 このドライバーの製作には相当な時間を掛けたが、彼に悔いはないだろう。悔いはないというのは世界を平和にする為に、一歩前進したから嬉しいという訳ではない。

 班目の目指す計画にまた一歩近づいたから嬉しいのだ。

 

 

「あなたも乱暴ですね。ファングさん」

 

「バートンが消された… 新たな仮面ライダーによってな」

 

「えぇ」

 

 

 これは少し前の時間になる。あれは仮面ライダージャックが初めて現れたときの話しだ。

 ジャック… つまり班目の手によりバートンは始末された。もちろんファングはその正体や動向も知らない。完全に班目個人で行った。

 

 

「貴様以外にあのドライバーを作れる奴がいる」

 

「… そうですね。そうなります」

 

「とぼけるな」

 

「はい?」

 

 

 始まった。

 ファングは確信を持たず適当に聞いてくるのは、班目の心情を探ろうとしてきている。今までの行動自体が怪しいものばかりなので、疑われない方がおかしいと言えよう。

 とりあえず班目はわざとらしく眉間にシワを寄せ、親指でその間をグッと押しながら上を向いて唸る。

 我ながら馬鹿げていると班目は思う。

 

 

「…… もし貴様が裏切っていると確信に変わった時… わかっているな? 貴様には貴様が思う以上の処分をさせてもらうぞ」

 

「承知いたしました。人間があなたのような偉大なジェスターに手を出す事など馬鹿でもしませんからね」

 

「その馬鹿にならないようにする事だ」

 

 

 それからファングは班目を背に何処かへと行ってしまった。きっとあそこへ向かったのだろう。

 班目はニヤリと笑う。計画が順調進む事が嬉しいからだ。

 

 

「さて、私もそろそろ戻らなければなりませんね…」

 

 

 その頃、陽奈が班目を訪ねて来ているようだった。

 それもわかっている。誰かを探している事くらいわかっている───。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「えぇ!? それって本当なのモグロウッ!?」

 

「あぁ、間違いねぇよ」

 

 

 モグロウから告げられたのは、数日前から楓が行方不明になっており、現在捜索中との事だった。

 それを聞いた稲森はすぐにジェスターによるものだと予測を立てた。前のスイムの件もあるからだ。

 

 

「多分だけどリゲインが一枚噛んでると思うんだけど…」

 

「おう… って、多分だけどだけどってなんだよ。自信なさ過ぎるだろ」

 

「ただね。楓さんを誘拐する理由が全くわからないんだ。羽畑さんの戦意を削ぐという理由でスイムは誘拐してたでしょ? だけど今回はファングからの命令だとしても、ファング自身が僕らを邪魔にならない奴って判断したんだよ?」

 

「… 確かにな。お前の話しからするにファングはイナゴたちの事を脅威とならないと判断したわけだ。だから楓を捉えたってなると偶々にしても出来過ぎてるからな」

 

「本当になんの目的があって…… とにかく羽畑さんは困ってるはずだ。僕らも手を貸そう!」

 

「お前もホントこりねーな。エースの所に今行ったらまーた襲われんぞ?」

 

「さすがに行かないよ」

 

「じゃあどうするんだ?」

 

「…… 陸から見つけにくいなら空ってね!」

 

 

 ── 稲森たちはその後、モグロウは地上を捜索し、稲森はアベンジ フライウェポンへと変身して飛び回っていた。

 しかし、数日かかって捜索しているのに全く見つからない人を、そう易々と見つけられるはずがない。

 アベンジは上空から、少しでも怪しい動きをしているジェスターはいないか隈なく探す。それがリゲインの誰かであるなら尚更いいのだが。

 

 

「モグロウの方は大丈夫かなー…」

 

 

 すると、背後から風を切る音が聞こえて来た。

 自らの翼で発せられる音ではなく、明らかに別の者が近づいているようだ。

 

 

「誰だっ!?」

 

 

 アベンジは翼を開き、抵抗力を増して一気にその者の背後へと回り込んだ。

 そしてアベンジはその姿を見るなり戦闘体制を解いた。何故なら目の前にいるのは仮面ライダージャック事、班目であるのだから。

 

 

「ま、班目さん!!?」

 

「おぉー、そんなに警戒しないでくださいよ」

 

「班目さんも楓さんを探して?」

 

「ん? あーそうですね」

 

 

 ジャックの適当に答えだろう言葉に違和感を感じながらも、目的が同じである事がわかり安心する。

 

 

「空からお探しですか? でも見つからなくて困ってると言った所でしょう」

 

「そ、その通りです…」

 

「ふむ… 言ってしまえば、この犯人はファングですよ」

 

「え、はい…… え? えぇぇぇぇぇ!!? 急に言いましたね!?」

 

「当然です。隠す理由もありません。あくまで私は中立なので… あなたに会ったのでついでと言うこともありますが」

 

「… 羽畑さんは知ってるんですか?」

 

「知りませんよ。どちらの意味でも」

 

「えっと… 班目さんが仮面ライダーだって事… ですよね?」

 

「そうですそうです。あ、それと楓さんの場所なんですが、これは私にもわかりません。ちょっと遊び過ぎたお陰で目をつけられてしまして、場所まで教えてくれないんですよ」

 

「そうですか… でも、ありがとうございます。それだけでも十分です」

 

「では、私はこれで失礼しますね。他の用で忙しいですから」

 

 

 全てを話し終えたジャックは凄まじいスピードで飛び去っていった。

 楓のいる場所はわからないが、これでリゲインの仕業である事は確定した。後は場所さえわかれば万々歳ではあるが。

 

 

「… ん?」

 

 

 ジャックが飛び去った後、すぐ前方に黒い何かがアベンジに向かって飛んできているのに気がつく。

 飛行を続けながら、目を細めてよく見てみると、それはウィンプジェスターたちの群れだとわかった。数は大体50くらいだろうか。1人で相手にするのはかなり骨が折れそうだ。

 

 

「あれ? こいつら飛んでないか…?」

 

 

 今までとは違った光景が見えている。

 ウィンプジェスターに翼はなく、ただ地面を這いずるような、そんな動きをする怪人である。弱いからこそ、作られてしまったからこその宿命なのだろうか。特徴なんてジェスターとは思えないグロテスクで生気を感じない瞳だけ。

 しかし、今回のウィンプジェスターはどうだろう。その背中には虫のような透き通った羽を持ち、器用に使って空を飛びまわっている。

 

 

「班目さん… 今度は何しでかしたんだよもぉ!!!」

 

 

 アベンジは心の声に留めておきたかったが、ウィンプジェスターが陸だけではなく空にまで順応していくとは思わなかった。もしかしたら海も行けるのかもしれない。

 そんな事は今は考えなくても良い。状況は最悪である事に変わりなし。

 

 

「なんとかするしかない!」

 

 

 翼を水平にし、一気にウィンプジェスターの群れの中へと飛び込んで、鋭い刃のような翼で切りつけていく。

 思った通りアベンジの方が飛行能力に長けている。相手は完全に自分のものとしていないらしい。反応速度もアベンジが上である。

 

 

「初めての事は苦戦するからね! 僕もそうだから!」

 

 

 アベンジドライバーの上部を叩き、翼にエネルギーを集中する。

 凄まじいエネルギーを帯びた翼は、更に大きな翼へと変化させると、ウィンプジェスターに向かって両翼を使い十字に切りつける。

 

 

《GOODBYE!! フライアベンジタイム!!》

「はぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 ウィンプジェスターはアベンジの必殺技を受けて瞬く間に消滅した。

 相手がまだ進化途中であったから勝てたものの、完全に使いこなした時、あの数と戦うのは避けたい。全くとんでもない化け物を生み出すものだ。班目のせいであるのは確実である。

 そんな事を思いながら空を飛んでいると、人気がないところにスピーダが怪しい動きをしていた。まるで周辺を警戒しているような、そんな感じだ。

 

 

「…… 話を聞いてみよう」

 

 

 それからアベンジはスピーダの方へと降下する───。

 

 

 

 

 

※※※※※

 

「パパ! ママ! 私、大きくなったらパテシェになるよ!」

 

「そっか。パティシエか… いい夢だな!」

 

「ふふっ、本当はただ自分が食べたいだけなんじゃないの?」

 

 

 この笑顔はなんだろう。あぁ、そうだ。この人たちはお父さんとお母さんだ。

 だけど2人はジェスターに殺された。食べられた。

 10年前くらいだったかな。楽しい会話をずっとしていたのに、それが夢みたいにすぐに終わっちゃったか。後先を考えず夢を言ってられた日々がすごく懐かしい。

 私の家族を奪ったジェスターはみんなみんな滅びればいいんだ。私の夢も未来も奪ったあいつらを許さない。

 

 

「大丈夫!! ジェスターは絶対に私のパパが倒してくれるから!!」

 

 

 … って、陽奈が言ってくれてたっけ。陽奈ありがとう。

 

 

「大丈夫よ。あなたは私が守るし、最低なジェスターはこの私が倒すから。楓が安心できる世界にするからね」

 

 

 親友の為に頑張る陽奈が本当に大好きだったし、とても憧れを感じてた。

 仮面ライダーは怪人を倒すヒーローなんだ。私のヒーローなんだよ。

 

 

「私にもしもの事があっても、陽奈は躊躇しないでよ!」

 

「…… でも、そうなった時、私は多分何もできないと思うわ」

 

「陽奈お願い。約束して。私の… 親友の頼み」

 

「本当に… いつもおバカなのに、こういう時だけ引き締まるのね」

 

「おバカってなーにもう!!」

 

「わかったわよ。ごめんなさい… 約束するわ。ジェスターを倒すのは私の務めだから」

 

 

 約束したよね? 約束した筈だよね? 私、馬鹿だけどそれだけは覚えてるよ?

 

 

「陽奈? 今度は躊躇わないでね? 陽奈の気持ちもわかるけど、ジェスターは悪なんだよ。私1人より皆んなの命がかかってるんだから!」

 

「… そうだけど… 待って楓。ちょっと時間を頂戴」

 

 

 陽奈、お願いだから。あいつらを… あいつらだけは許せないの。

 なんで? なんでよ? なんで倒してくれないの? 陽奈?

 

 

「─── お前の手で変えればいい」

 

 

 そうだ。陽奈はジェスターの手によって毒されたのかもしれない。

 稲森さん。確かにあなたは良い人だけど、あなたが陽奈を変えてしまったんだ。あなたというジェスターがいたから。良いジェスターだから。

 ジェスターは悪。

 ジェスターは滅びるべき存在。

 

※※※※※

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「あなたにこれを託しましょう」

 

 

 班目は楓にある物を渡した。

 ここは班目の研究室。楓は研究室のベッドで少々眠っていたようだ。

 

 

「………」

 

「おや? 寝起きで頭が回っていないようですね? 少々… いや、数日眠っていたようですから」

 

 

 楓は頭を押さえ、数日前のことを思い出す。

 あの時、ファングから何か話しを持ちかけられていた。力がどうとか話していた。

 この渡された物が力だとでもいうのだろうか。

 

 

「私は知ってますよね? そうです班目です。あそこにいたフードの男です」

 

「…… 私はなにをすれば良いんですか?」

 

「あなたが自由に決めてください。それがあればなんだって思いのままです」

 

「…………」

 

「ジェスターから力を借りたと思いますか? 違いますよ。これは確かにファングに頼まれて作った物ですが、私があなたの為に作った物でもあります」

 

「どういうことですか…?」

 

「ジェスターを許さないし、陽奈さんを呪縛から解き放ちたい… ですよね?」

 

「…っ!」

 

「困った事があればどうぞ言ってください。私はファングとは違います。あくまで私は中立で、人間よりの班目ですから」

 

 

 楓は礼を言い研究室から出ると、陽奈に電話をかけた。思った通り、陽奈は心配してくれていた。

 だが、陽奈を救う為にはまずやらなければならない。

 

 

「…… うん。会おっか。いつもの所ね」

 

 

 電話を切ると、楓は渡された何かを腰に装着した。

()()()()()()()()を巻き付けたのだ。




これマジ?
さぁ、エース編となっていますが、ジェスター編に変更しました。
何故ならここからがエース編の本題なのです(本当は章自体が決まってませんでした…)
という事で次がエース編です。

では次回、第14話「心がクイーン」

じかいもよろしくお願いします!!
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