仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回… って書いたほうがええのか? と思っておるんですが、ぶっちゃけいらないんやないか…? と思ってきたこの頃です。いらねーよって方は是非言って下さいね!!
暫くは書きませぬ…!

それではどうぞご覧ください。


エース編
第14話「心がクイーン」


「…… 楓。また遅いわね」

 

 

 陽奈は楓から連絡が来てから、栄須市にあるいつものショッピングモールの外で待っていた。

 何度もメールを見返したり、着信が来ているか否かを一々確認したりと、落ち着きが見られない。

 それも仕方がない事だ。楓は暫く連絡も何もよこさず、それから突然返事が送られてきたのだから、陽奈としては嬉しく思い、逆にとても心配だった。

 

 

「ん…?」

 

 

 楓を待つ陽奈から人々が離れていく。

 不思議に思った陽奈はスマホから目を離し、何かの視線を感じてそちらを見る。何者かがコツコツと音を鳴らしながら近づいてきている。

 その見た目はまさに仮面ライダーと言えよう。腰にドライバーを巻き付け、右手には杖を握っている。

 杖が地面に触れる度にコツコツと鳴り、その音は彼女の前に来るとピタリと止まる。

 

 

「誰よあんた。仮面ライダー…? いや、リゲインの誰か? 何でもいいけど、ここでふざけた事するなら容赦しないわよ」

 

 

 仮面ライダーは何も発する事はない。

 まるで女王のような威厳を感じさせる冷たく重い空気が、陽奈の全身に纏わりついてきた。

 

 

「ちょっと、黙ってないで何か言ったら?」

 

「………っ!!」

 

 

 すると仮面ライダーは杖を振り上げ、思いっきり陽奈へと振り下ろした。

 突然の事だったが、既に警戒していた陽奈はサッと避けて、腰にエースドライバーを巻き付けてダッシュフィードを差し込んだ。

 

 

「わかったわよ… 上等じゃない!!」

 

 

 ドライバーの側面を押し込んで仮面ライダーエースへと変身すると、ダッシュウェポンの素早さを活かして、謎の仮面ライダーの背後に周って飛び蹴りを放つ。

 だが、エースの攻撃は謎の仮面ライダーを吹き飛ばす事は出来なかった。その場から1ミリたりとも動いてはいない。

 

 

「かたっ…!!」

 

 

 謎の仮面ライダーは杖を掲げると、杖の先から赤いエネルギーが収束し、巨大な赤きエネルギーの球が完成する。

 それをエースへと向けて躊躇なく発射し、エースはエネルギー弾を避けられずにまともに食らってしまった。

 

 

「きゃあっ!!?」

 

 

 ただエースも負けじと、すぐに体勢を立て直して凄まじいスピードで飛び回る。相手を翻弄すると言うのもあるが、隙を伺う為でもある。

 一方の謎のライダーは特に手を出す訳でもなく、黙ってその場に立っている。

 このまま懐に潜り込んで必殺技を浴びせればいいのではないか。と、エースは思ったが、飛び回っている最中に気付いてしまう。

 

 

「… まさか目で追っているなんて事ないでしょうね?」

 

 

 まさかではあるが、謎のライダーはしっかりとエースの動きを見ていた。

 その場で黙って立っているのではなく、動く必要も無いほどのスピードだとでも言いたいのだろうか。

 エースはこれに少々苛立ち、更に加速を掛けてから一気に懐へ潜り込んで、ドライバーの側面を押し込む。

 

 

「これでも食らって倒れなさい!!」

《Thank you!! エースライド!!》

 

 

 エースの強烈な蹴りが謎のライダーの腹部を捉えた。完全に決まり、装甲も少々ではあるが傷がついたようだ。

 流石の謎のライダーも必殺の一撃には吹き飛ばされてしまい、地面をゴロゴロと転がってしまう。

 しかし、すぐに立ち上がったかと思うと、杖を掲げてから、先の方にエネルギーを込め始める。

 今度は緑色のエネルギーであり、それが膨らんで破裂すると謎のライダーの身体から傷一つ無くなってしまう。

 

 

「えっ…!?」

 

 

 そもそも傷一つ付いた程度ではあったので、効果自体は然程でもなかったはずだ。

 けれどこの回復能力を見てしまった以上、更に勝つという見込みがなくなってしまったのも事実。

 エースはそれならとパワードフィードを取り出して、ダッシュフィードと交換しようとしたが、再び謎のライダーから赤いエネルギー弾が飛ばされる。

 赤いエネルギー弾は先ほどのような為で放つタイプのものではなく、追尾性のある小さな球を何個も飛ばす技であった。

 

 

「避けられない…っ……!!! きゃぁぁぁぁぁぁぁっっ!!!」

 

 

 エネルギー弾の嵐がエースへと炸裂すると、余りの負荷に耐えきれずに、変身が解除されてしまう。

 変身解除してしまった陽奈は地面へ倒れ込み、謎のライダーを見上げる。

 表情は見えないのだが、何故かそのライダーからは悲しみと怒りの感情が伝わってきた。

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「─── おやぁ? これは流石の陽奈さん… 仮面ライダーエースでもどうにもなりませんね」

 

 

 そのすぐ近くの建物の屋上から2人の戦いを見下ろす班目。

 とても楽しそうにニヤニヤと笑い、ノートパソコンを開いて実験データを書き加えているようだ。

 そして班目の背後にはファングの姿があった。

 

 

「… 班目。アレは何だ?」

 

「おぉっと、ファングさんじゃないですか」

 

「アレは何だと聞いた。例のジャックと似たようなドライバーだな?」

 

「…… もうそこまでお調べになられたんですね。流石です。流石は首領の右腕だったファングさんです」

 

 

 ファングは班目の首を突然掴み上げ、足場のない方へと突き出す。

 班目は苦しそうではあるが、その笑顔を消す事はない。

 

 

「貴様… 一体何を企んでいる?」

 

「ぐ、ぐるしいですよ… 喋るものもっ…これじゃあ喋れませんって…!!」

 

 

 そう言うと、ファングは荒めに建物の屋上へと班目を投げ捨てる。

 咳き込みながらも真っ直ぐにファングを見ると、笑顔を崩さずに淡々と喋り始める。

 

 

「私には私なりの考えがあり、あなたには黙秘して作業をしておりました。それが仮面ライダージャックとあの『仮面ライダークイン』です」

 

「仮面ライダージャックは概ね貴様だろう? 何故、バートンを殺した」

 

「バートンはファングさんに対しては逆らう事はありませんでした。無論、あなたに喧嘩を売るような馬鹿はリゲインや反逆者のジェスターにはいませんよ。もちろん一般のジェスターたちも。ですが、彼は違う。あなたを裏切ろうとしていた」

 

「馬鹿な。何を言うかと思えば貴様…」

 

「いえいえ待ってください。あなたは確かに凄いお方だ。しかし、いくらあなたとて全てを見通す力は持ってはいない。そうでしょう?」

 

「貴様何が言いたい?」

 

 

 班目の言葉に、ファングの怒りは更に煮えたぎり、鋭い爪を班目の首へと近づける。

 後は余計な事を言ってしまえば、簡単に生首の完成である。

 

 

「別にファングさんを甘くみている訳ではありません。断じてそれはないと言えます。けれど、どんなに優れた方でもバートンの策までは読み取れなかったでしょう」

 

「…… 聞かせろ」

 

「バートンはあなたを裏切ろうとしていた。そう彼が私に言ってきたのです」

 

「根拠は何だ?」

 

「私の技術力と私のようなどっち側に転びそうな怪しい人物は、少し何かすればコロリと落ちるとでも思ったのでしょう。それはそれはあの手この手で私を駒として使おうとしたようです… が、そんな甘い汁をこの私が簡単にすすると思いますか? 幾ら良い条件が揃おうと私の心はリゲインの為。ジェスターの為にあります。人間ではありますが、その心だけはあなたに… 否、胸を張ってジェスター側の1人と言えます。どうか信じてください」

 

 

 班目は膝を付き、頭を深々と下げる。

 いつものような笑顔はその時だけは見せず、真剣にファングへと訴えかけた。

 

 

「………… ふん、顔を上げろ」

 

「おや?」

 

「信じたと思うな? これは最後の慈悲だ。貴様がジェスター側だと言うのならば行動で示してみろ。話しはそれからだ」

 

「はい。承知致しました」

 

「… そしてあのクイン… あれは例の人間か?」

 

「はい。例の人間… 楓さんです」

 

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 仮面ライダークインはジャックと同じ技術が取り込まれており、その力はアベンジやエースといった2つの力をいとも簡単に倒せてしまう程の力を有している。

 ジャックのような硬度はないものの、あらゆるモノの傷を一瞬にして癒してしまう回復能力が備わっており、杖による攻撃はどんな相手だろうと防ぐ事はまず不可能に近い。

 それほどポーカドライバーは強大な力と技術が込められているのである。

 

 

「何なのよ… うぐっ…!!!」

 

 

 クインは陽奈の目の前まで来てしゃがむ。

 そして今まで何も話さなかったその口から言葉が発せられる事となる。

 

 

「── 陽奈」

 

「え?」

 

「もう… 大丈夫だからね? ほら、私もこの力を手に入れたんだ」

 

「…… うそっ… あなたまさか…」

 

「ごめんね。攻撃したのはあなたを落ち着かせる為なの。変身解除に追い込めば暫く再変身できないんでしょ? 陽奈が言ってたよね?」

 

「どうして… 何でよ…」

 

「聞いて。私は陽奈を救う為に仮面ライダーになったの。だけどもう大丈夫。これからは陽奈と一緒にジェスター共を1匹残らず殺せるから」

 

「何言ってるの?」

 

「何… 言ってるのって?」

 

「あなたそれ誰から? あなたが戦う必要なんかないのよ? 全部私に任せてくれれば…」

 

「陽奈1人じゃ何もできないでしょ?」

 

「え…?」

 

「あの時もそう。ジェスターに何の肩入れしてるの? ジェスターは人類の敵なんだよ? どうして取り逃がしたり、楽しくやっちゃってさ… ね?」

 

「楓… ねぇどうしたの!!? いつものあなたじゃないわよ!!?」

 

「いつもの私だよ… それじゃあ陽奈。まずは私と一緒に行こうか」

 

「行くって… どこに?」

 

「そんなの決まってるよ… ジェスターを滅ぼす為にだよ───」

 

 

 すると、クインは杖の先を陽奈に近づけて怪しい光を発する。

 それを見た陽奈の目は光が徐々に失われていき、身体の自由が効かなくなり、ボーッとしてきた。

 

 

「陽奈は私が救うから……っ!!」

 

 

 しかし、クインは後少しのところで何者かによって蹴り飛ばされた。

 陽奈は杖の呪縛から解けると、頭をぶんぶんと振り、立ち上がってクインから離れていく。

 クインはすぐに立ち上がり、陽奈の方へと手を伸ばすが、蹴り飛ばしてきた人物へと切り替え杖を構える。

 

 

「すみません羽畑さん。大丈夫ですか?」

 

 

 そこには仮面ライダーアベンジの姿があった。ギリギリの所で彼が駆けつけたお陰で術中にハマらずに済んだらしい。

 陽奈はこの状況の整理が追いつかず、何度もクインを見ては頭を抱える。

 

 

「…… あの羽畑さん? どうかしました…?」

 

「黙ってて!!!…… 楓ッ!!」

 

「楓…? 楓さんがどうしたんですか?」

 

 

 アベンジは今の状況の整理を行い、そして結論をつけた。

 この陽奈の慌てぶりと、彼女が言う楓という人物が、今まさにアベンジへと攻撃してこようという仮面ライダーの事だと理解した。

 結論付けたの良いが、全く信じられないことが起こっている。

 

 

「何故こんな事にっ!?」

 

「知らないわよ!! もう…!!」

 

 

 そしてクインは杖からエネルギー弾をアベンジに目掛けて何発も発射する。

 ダッシュフィードでも避けられなかった球を、アベンジのジャンプウェポンでは逃げる事は当然できずに全弾命中してしまった。

 何とか耐えたが、装甲が悲鳴を上げているのがわかる。強さは確実に今までの幹部たちとは比にならない。ファングの時のように何もできずに終わってしまいそうである。

 

 

「ぐっ…!! 流石にこれはまずい!!」

 

 

 クインが再びアベンジへと杖を向けるが、そこへ突然目の前にジャックが現れクインを静止させる。

 勿論、見知らぬ人物のこの行動は許される訳がない。クインの逆鱗に触れかける事となる。

 

 

「どいて!!」

 

「どきませんよ。これ以上暴れるとなると、あなたの野望も叶えられず終わりますよ?」

 

「どういう事…?」

 

「ここは一旦落ち着きましょう。そして次に備えるのです。先へ急いでも、あなたの求めるものがすぐ手に入ります」

 

「…… 誰なのかわからないけど、わかったわ」

 

 

 ジャックの言葉にクインは陽奈たちを背に何処かへと消えていってしまった。

 それを見届けたジャックはアベンジに向けて礼をすると、彼もまた何処かへと去っていった。

 その場は何事もなかったかのように静寂に包まれ、陽奈は膝を着き、涙も出ず、言葉も出ない。そんな行き場のない感情を内側で暴れさせていた。

 

 

「羽畑さっ…… 僕はこれで失礼します。一応、警察へ連絡や被害者がいないか見てきます」

 

 

 アベンジもそう言うと、陽奈の元から離れる。今の彼女に声を掛けるのは、彼女を苦しませる事に繋がってしまうと思ったからだ。

 その判断は正しいか正しくないかはわからないが、陽奈自身にとってはそれが1番良い判断だと思う。

 

 

「楓…!!」

 

 

 楓が遠くへ行ってしまったように感じる。

 再び彼女と手を取り合う事はできないのだろうか。

 色々な負の感情が全身を巡り、陽奈は声にならない叫びを挙げた。




はい。今回でエース編始まり始まり。
ここから陽奈さんに更なる苦難が待ち受ける。
そして主人公の稲森は暫く主人公交代か…?そんな事はさせませんぞ!

次回、第15話「人生はスーパーハード」

次回もよろしくお願いします!!
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