仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

それではいつも通りに決めていきましょう!
前回、楓と連絡がついた陽奈はいつものショッピングモールで待ち合わせをしていた。その時、謎の仮面ライダー。クインが現れ、エースに変身して戦うが、簡単に倒されてしまう。駆けつけたアベンジですら相手にならない程の力を有するその正体は楓であった……

それではどうぞご覧ください。


第15話「人生はスーパーハード」

「班目ッッッ!!! いるんでしょ!!? 出てきなさい!!」

 

 

 研究室のドアをバンバンと叩く陽奈。用件はお分かりの通り、彼女の親友である楓の事についてである。

 あのようなドライバーを作れる技術者といえば、この世において1人しかいない。ジャックを班目だとは気付いてないが、それでも彼を怪しいと思うのは当然の事だろう。

 

 

「おやおや… 騒がしいですね。陽奈さん」

 

「班目… アレは一体何のつもりよ!!」

 

「アレ? アレとは何でしょうか?」

 

「楓に何したのよ!!」

 

 

 陽奈は班目襟を掴んで壁に押し付ける。彼女の目は釣り上がり、間違った答えを言うのであれば、相手がどんな奴だろうと容赦はしないだろう。つまり本気で殴りにかかってくるはずだ。

 そんな圧にも平然としている班目は両手を前に突き出して、陽奈の怒りを鎮めようと試みる。

 こんな事で治ればいいのだが、彼女が鎮まるはずなく、更に強めに押しつけられる。

 

 

「答えて!!!」

 

「そもそも私の所へ来るとはどういうことですか? どの話しをしているのかよくわからないのですが…」

 

「… 楓が仮面ライダーに変身したのよ」

 

「ほう? それは興味深いですね」

 

「あなたがやったんでしょ?」

 

「何を根拠に?」

 

「そうなった経緯はわからないわ。だけど、あなた以外にドライバーを造れる人物なんて、私は知らないし聞いた事もない」

 

「それで私に… ですか?」

 

「アベンジドライバーもあなたでしょ? 最初はジェスター側の技術者が造ったのかと思ったけど…… 気づいていないようだから教えてあげるけど、あなたと稲森が裏で通じている事は知っているわ。証拠なら持ってるけど見る?」

 

「……… わかりました。あなたの勝ちです。私が何言っても陽奈さんは曲げないでしょうし」

 

「なら、答えなさい楓の事()全部ね」

 

()? 他に何を聞きたいと?」

 

「決まってるでしょ? あなたの黙っている事の全てよ────」

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「楓さん… 一体どうしちゃったんだろう…」

 

「まぁ、どう考えてもどっかのリゲインがマインドコントロールだかしてんだろ。幾らなんでも急過ぎる。その楓がいなくなっていた時期やあのジャックの野郎となんか関係あるとすりゃもうほぼ確定じゃねーか?」

 

 

 稲森たちは自宅で、別人へと変わってしまった楓の事について話していた。

 ジャックの正体が班目であるというのは、モグロウにはまだ話してはいない。話した所で考え方は変わらないはずだ。班目自身がこちら側であり、リゲイン側でもある、まさに彼が言う中立のような存在。

 楓のことについては絶対にわからないと言うことはないだろう。そもそもベルト自体が同じなのだから言い訳すらできない。お得意のすっとぼけた感じを出すのが目に見える。

 

 

「あーモグロウ?」

 

「なんだ?」

 

「ジャックの事なんだけどさ」

 

「おう」

 

「あれさ…… 班目さんなんだ」

 

「は〜ん… え? マジ?」

 

「うん」

 

「…… やっぱりなぁ」

 

「やっぱりって、えぇ!!? 何その反応!!」

 

「な、なんだよ!! 急にびっくりするじゃねーか…」

 

「だって普通なら『えぇ!!? うそぉ!!? 信じられない!!』とか言わない!!?」

 

「だってもこうも喋り方から何から似過ぎてるし、それに見てたら大体わかると思うけど?」

 

 

 確かにモグロウの言う事には一理ある。

 ただ稲森という怪人は非常に正直者であり、簡単に人を信じてしまうような男。何も不思議に思わなかったのも自然である。

 

 

「… それより楓さんをどうにかしてあげないと」

 

「リゲインの方にいるだろうから、もし場所を見つけたとしてお前勝てないだろ?」

 

「うっ…」

 

 

 幹部たちにはなんとか勝てる程度ではあるが、問題はそこではない。その組織を動かし、指揮する者に勝てる要素があるか否か。今はないと言えよう。

 稲森と陽奈が2人がかりで挑んだファング戦。無意味となってしまった。

 上に立つ存在の力の差を感じさせられ、そして首領の強さと偉大さが改めて実感できた瞬間だった。

 

 

「現状だけど、ジャックとクインは僕と羽畑さんより強い。性能差がまるで違うんだ。ファングがそれ以上とするなら、今の僕の力じゃ対抗策はないと思う」

 

「だから班目に力を借りるしかないと?」

 

「それしかないよ」

 

「あいつの力を借りるしかねーってか… それも仕方ねーか」

 

「トリニティを… 陸海空の三つを超える力…」

 

 

 その時、大きな爆発音が聞こえ、2人はすぐさま外へと飛び出すと、街から火の手が上がっているのに気がついた。

 2人は顔を見合わせて頷き、煙の上がる方へと駆け出していく。

 

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 現場に着いた稲森とモグロウは市民を逃がしながら、この爆発の大元の方へと向かう。

 段々と近づくにつれて、爆発音が大きくなっていき、モグロウに周囲を任せてそれの前へと着いた。

 それは稲森たちを苦しめ、トリニティのデビュー戦時の相手でもあるキメイラであった。

 

 

「キメイラ…!? どうしてここに!?」

 

 

 班目は再びこの化け物を生み出したのか。何が正義だ。街の人々を巻き込んでどういうつもりだ。

 稲森にしては珍しく怒りの表情を浮かべながら、腰にアベンジドライバーを装着し、トリニティウェポンを装填する。

 

 

「班目さん。あなたのやり方はやっぱり間違ってますよ…… だって私利私欲のために誰かを傷つけるのは正義なんかじゃない!! 変身ッ!!!」

 

 

 アベンジドライバーの口を閉じてトリニティウェポンを挟み込み、仮面ライダーアベンジへと姿を変える。

 相手はキメイラ。前にも一度戦いそして勝利している。

 ただアベンジは再び戦うこととなる怪人に何かの違和感を感じていた。強敵であるというのもそうだが、班目が一度負けた自分の作品を、そのままのレベルの状態で復活させるとも思えない。

 

 

「動きを封じるッ!!」

 

 

 両腕についている強力な毒が内蔵されている針をキメイラに向かって放つ。

 この毒針に触れることは自殺行為にも等しい。非常に強力な毒により、特殊な能力を使う事ができなくなり動きも鈍くなってしまう。

 しかし、キメイラは飛んでくる毒針を避けようとはしない。いや、避ける準備をしているようだ。キメイラの目はしっかりと毒針を見ており、一度たりとも目を離さず、それからスッと冷静に毒針を避ける。

 

 

「な、なに!?」

 

 

 キメイラには心というものがない。

 怪人よりも化け物と、怪人たちの中でも屈指の強さを誇る幹部たちの細胞から造られた謂わばクローンのようなもの。クローンとは少し違うが、混ぜ合わされて生まれてしまった怪人のような生物。

 感情も知恵も何もなかったはずの本能で生きる生物からここで初めて言葉を聞かされる事となる。

 

 

「─── 死ヲ」

 

「ん…?」

 

「オマエヲ殺ス」

 

「喋った……ッ!!?」

 

 

 突然その口から人語を話され、一瞬困惑してしまったアベンジに向けてキメイラの拳が浴びせられる。

 咄嗟に腕を出してガードしようとしたが、弾かれてしまいそのまま直撃をくらわされてしまった。

 前のキメイラであるならトリニティウェポンであるならそれなりには耐え切れたが、今回のこの一撃はどうやら全く違う。ミシミシと装甲が音を立てて殴り飛ばされてしまった。

 

 

「ぐぅっ…!!」

 

 

 やはり班目は悪い意味で抜かりがない男と言えよう。

 一度潰されてしまった作品を、改良して更なる強さを身につけさせてしまった。基礎的な部分が大幅に上がっているのが、アベンジはその身に受けた事でよく理解できた。

 

 

「確かに強くはなったんだろうけど、僕もここで引くわけにはいかない」

 

「オマエノ、命ハ、ココデ尽キル。死ダ」

 

「終わらないよ。ここでお前に躓いてたら大事な命を守れなくなる。僕はその大事な物を守る為に仮面ライダーになったんだ!」

 

「ヤッテミロ」

 

「やってやるさ!!」

 

 

 それからアベンジはキメイラに向かって走り出す────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 一方その頃、陽奈は班目の研究室を出てから、とある場所へと向かっていた。その場所は現在、アベンジがキメイラと戦っている最中の場所である。

 班目から全ての事を聞いたわけではない。きっと聞いた話しは所々嘘が混ざっている。

 最初からあの男を信用しているわけではない。父と知り合いであったからと言っても昔からあの男だけはいけ好かない。

 何にせよ。班目がジャックであり、リゲインに侵入していることがわかった。

 この事実がわかった時、陽奈の怒りのボルテージが限界突破し、班目を思いっきり殴った。当然の報いとして、班目も何もせずにいつもの表情で謝ってきた。色々言っていたがそれを聞かずに研究所を出てきたというわけだ。

 

 

「楓… 私が必ずあなたを迎えに行くから」

 

 

 陽奈の手には少々大きめなアビリティズフィードが握られていた。他のアビリティズフィードと比べたら大きさの違いや形で新しいアイテムだと気づくだろう。

 それは班目から託された物であった。出て行く瞬間に班目が強引に彼女の手に持たせた。

 もう顔も見たくなかった陽奈はとりあえず受け取ってその場を後にした。彼は何も言わなかったが、とにかくエースのパワーアップアイテムである事は、彼女が直感で理解した。

 

 

「── あれは」

 

 

 陽奈はアベンジの元へと辿り着いたのだが、そこで目の色を変えた。復活したキメイラにではなく、もちろんもう1人の方である。

 後から来たであろうその1人は仮面ライダークイン。楓だ。

 一時はキメイラを押していたアベンジであったが、突如として現れ、キメイラをも吹き飛ばしてアベンジと対峙していた。もちろんその力には遠く及ばないアベンジが劣勢である。

 

 

「楓ッ!!」

 

「…… 陽奈?」

 

 

 倒れたアベンジへの追撃を行おうとしたクインの後ろから、陽奈が声を掛けると彼女はピタリと静止しそちらを見る。

 きっとわかってはくれないだろう。話すだけではきっと彼女を止める事はできない。

 

 

「どうしたの陽奈? まさかだと思うけど…」

 

「違うわ。別にそっちのジェスターがどうなろうと構わない。トドメも刺したっていい… だけどね」

 

「ん〜? じゃあどうして─── そんなに怖い顔してるの?」

 

「…… あなたを止めたいの」

 

「止める? 何を?」

 

「そいつがどうでもいいみたいには言ったけど… 規則は守ってほしいだけ。ジェスターは悪だとしても、命は命。無闇に殺そうだなんてそんなのおかしい」

 

「変なこと言うね〜。陽奈のお父さんを殺してのは誰? 陽奈だって言ってたじゃん。ジェスターに人権なんてない。悪だとわかったら理由が正当であっても許さないって」

 

「違う… 違うのよ楓」

 

「わかったよ。陽奈は私が救うから。だから今は大人しくしてて」

 

「楓ッ…!」

 

 

 すると、倒れていたキメイラが起き上がり、クインの背後から殴り付けようとしていた。クインは気づいていない。陽奈も手が出せない。

 ただ1人は手が届いた。アベンジは全身を使ってその攻撃を受け止めて見せた。

 

 

「え…?」

 

「楓さん。命はみんな平等なんです。大きくても小さくても命の重さは変わらない。僕自身が怪人だからとかじゃないんです。みんな同じなんです!!」

 

「同じ…? なら、なんで… 私のお母さん… お父さんは…… うぅ…!!!!」

 

 

 クインは頭を抱えながら杖を振り上げ、天に向かって叫ぶと、杖の先から電気エネルギーが放出されてアベンジとキメイラごとくらわせる。

 

 

「楓ッ!!!」

 

 

 陽奈は無意識のうちにエースドライバーを腰に巻き付けると、クインに向かって走り出していた。

 その手に持っていた新たなアビリティズフィード「スーパーハードフィード」のスイッチを押すと《大・暴・走!!》の音声が鳴り響く。

 それからスーパーハードフィードをドライバーにセットする。

 

 

《スーパーハード!! Open!!》

 

「変身ッ!!!」

 

 

 ドライバーの側面を押し込んだ瞬間、全身を潰されるような感覚に襲われる。

 目の前が真っ暗になり、まるで蛹から成虫になるときのように、背中のアーマー部分が割れて行く。

 そこからはドス黒い霧のようなものとともに、禍々しく変わったエースの姿が露わになった。

 

 

《Come on!!》

《Let's try スーパーハード・ハード・ハード!! エース!!》

 

 

 変身を終えたエースの記憶はそこで消えていた。その後の事は覚えてない。

 エースはもう止まらない。




はい!……本当に申し訳ございません!!
スイッチを入れる場所が中々見つからずでかなり遅め投稿に…申し訳ない…!

次回こそ必ず土曜投稿します!!
では次回、第16話「心情のチェンジ」

次回もよろしくお願いします!!
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