仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、班目から全て(大嘘)を聞き出した陽奈は怒り、憎悪し、ある場所へと向かう。その場所は稲森が復活したキメイラと戦闘最中…の筈であったが、そこにはキメイラ以外にクイン、楓の姿があった。楓を止める為、班目から渡されたスーパーハードフィードを使い、仮面ライダーエース スーパーハードウェポンへと変身するが…

それではどうぞご覧ください。


第16話「心情のチェンジ」

「羽畑さん…?」

 

「……………」

 

 

 明らかに様子がおかしいエースに、アベンジが声を掛けるが、彼女からの返答はない。変身した直後から一言も発さず、一歩たりとも動かなかった。

 クインも動かない彼女を心配そうに見つめている。

 

 

「陽奈? 何か喋ってよ?」

 

「……………」

 

「ねぇ陽奈ッ───」

 

 

 その瞬間、エースの拳がクインの顔面を捉える。突然の事でクインは攻撃を防ぐことが出来ず、躊躇なしの本気の打撃をくらってしまった。

 強烈な一撃をくらわせたクインは地面に倒れると、すぐさま馬乗りとなったエースが何度もクインの顔面を殴りつける。

 

 

「楓さん!!… 羽畑さん何してるんですか!!?」

 

 

 アベンジは暴走するエースの背後から近づき、羽交い締めにして何とか引き剥がそうと試みた。

 だが、想像以上にエースの力は強く、トリニティウェポンの力をあっさりと跳ね除け、アベンジを吹き飛ばす。

 このまま暴れさせていたら周りもそうだが、陽奈自身も危険だ。

 

 

「楓さん!! ここは一旦羽畑さんを止める為に休戦しましょう!!」

 

「……… わかりました…」

 

 

 エースの事になればクインは動く。

 そのアベンジの予想通り、クインはエースを止める為に杖にエネルギーを溜め始める。

 エネルギーを溜める隙を無くす為、アベンジはエースの身体を両腕の鞭で固定させた。先ほどの力の差から長くは持たないだろう。

 でも、十分である。

 

 

「陽奈ッ!!!」

 

「…………」

 

 

 エースはブチブチと鞭を力ずくで引きちぎると、2人のライダーに向かって走り出した。

 それからクインは溜まったエネルギーを火球にして一気に放出する。

 

 

「………ッ」

 

 

 凄まじい熱を浴びた火球はエースの腹部に直撃し、見事に後方へ大きく吹き飛ばす。

 すぐさまアベンジはエースドライバーからスーパーハードフィードを引き抜くと、陽奈の変身が解ける。変身が解けると、糸が切れたようにぐったりとしてしまった。

 

 

「ふぅ…… 何とかなったぞ」

 

「これっきり… これっきりだから……… 陽奈を早く連れて行ってください」

 

 

 するとクイーンは再び杖にエネルギーを溜めてアベンジの方へと向ける。まさかこの状況で殺そうとでも言うのか。

 放出されたエネルギーはアベンジの顔スレスレを通り、背後から襲おうとしてきたキメイラに当たった。

 クインの攻撃によりキメイラは爆散し、それを見届けると何も言わずに何処かへと姿を消してしまった。

 

 

「楓さん…」

 

 

 それからアベンジは気絶してしまった陽奈を抱えて病院へと向かうのであった─────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 あれから陽奈はベッドの上で目が覚める。ここが病院だと気づいたのは目覚めてから周りを見渡して直ぐだった。

 部屋は個室で陽奈だけがおり、他はは誰1人と来てはいないようだ。

 

 

「─── はぁ…」

 

 

 自分が何をしたのか覚えてはいない。が、覚えておらずとも、班目から渡されたあのスーパーハードフィードが原因でこうなった事はなんとなくわかる。

 楓を止める為にと具体的な理由はないまま、ただ班目から渡されたそれを使い変身した。

 周りへの被害は? 結局楓はどうなったのか?

 陽奈は額に手を置き、何も考えぬままただぼーっと天井を眺める。

 

 

「──…… 失礼しまーす」

 

「ん…?」

 

 

 誰かが入ってきたようだ。看護師ではなく医師だろうか。男の声がする。

 それは心配で見にきた稲森であった。

 ただそれが陽奈にとって今一番会いたくない人物でもある。彼が来たことで、自分を運んだのは稲森であるという事が確定した。また借りを作ってしまったからだ。

 稲森は果物が入った籠を持っている。バナナしかないが。

 

 

「…… 何の用?」

 

「あ、いや… 心配で様子を見に来たんです」

 

「私は別に大丈夫よ」

 

「はい。医者の方も特にこれといった怪我もないから、今日中には退院できると言ってましたよ」

 

「… あっそ」

 

「………」

 

「…… ねぇ」

 

「はい? なんです?」

 

「あなたにとっての正義ってなに」

 

 

 急な質問が陽奈から浴びせられた。それもあの仮面ライダーエースからである。

 稲森からすれば一生聞かれることも、そもそも彼女が質問すること自体があり得ないと思っていた。

 目も合わせてはくれない彼女に暫く悩んだ末に、ようやく稲森は陽奈の質問に答える。

 

 

「人間も怪人も仲良く笑えるように頑張る… ですかね?」

 

「なによそれ。まるで根拠ないじゃない。そもそもそれ目標」

 

「うっ… まぁでも誰かが泣いてたり、苦しんでいるのは見てられないんです。そんな人たちにスッと手を差し伸べられる。そんな当たり前な事ができるのが正義だと思ってます」

 

「それが人間でも?」

 

「もちろんです! 誰とか関係ありません!」

 

「…… 怪人と仲良くなんて無理に決まってるでしょ。あなたあの頃の悲劇を覚えてないの? ジェスター首領のせいで、どれだけの被害とトラウマを植え付けられたか」

 

「覚えています。僕は戦えずに後ろからずっと見てました。何もできずにただずっと… だけど今は違います。このアベンジの力… 仮面ライダーの力でちょっとずつ変えていきたいんだす。それが先の見えない未来だとしても、僕にできることをただまっすぐにやっていきます」

 

「… そう。じゃあ早く出てって」

 

「えぇ… 分かりました」

 

「バナナは置いて」

 

「え、あ、はいどうぞ」

 

 

 それから稲森は「失礼しました〜」と言って、病室から出ていった。

 彼が出ていった所を確認し、陽奈はもらったバナナを手に取り、剥いて食べ始める。

 

 

「…… 悪いのは怪人よ。昔から… ずっと───」

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 稲森は病院を出た後、ふらふらと街中を1人歩いていた。

 家に帰るまで何も考えずに歩いている最中、後ろから肩を叩かれそちらに振り返ると、フード姿の班目が立っていた。

 

 

「班目さん!?」

 

「どうも稲森さん。お元気そうで」

 

「…… あなたに聞きたい事があるんです」

 

「あなたは質問が多いですね。嫌という訳ではありませんが、いいでしょう。場所を変えて話しますか」

 

 

 ─── 場所はもちろん目立たない路地裏である。すぐ近くでいい場所がここしかなかった。

 班目は相変わらず何も考えているのかわからない表情を浮かべ、こちらの表情を窺っているようだった。

 

 

「それで何を聞きたいんですか?」

 

「羽畑さんに渡したあのアビリティズフィード… アレはなんですか?」

 

「あー……… あぁ! 私が最近渡したものですね。アレがどうかなさいました?」

 

「使った瞬間から羽畑さんは我を失い、目に映るもの全てを見境なく攻撃していました。今回はなんともありませんでしたが、人の自我すら失わせてしまうアレはまるで兵器です。何の為にあんな物を造ったんですか? 酷いとかそんなレベルじゃありませんよ!!」

 

「彼女が望んだから渡したのです。それだけの事」

 

「望んだ?」

 

「陽奈さんは楓さんを救いたい。楓さんもまた陽奈さんを救いたい。ですが、クインの力は、今のエースの力では到底太刀打ちできる相手ではない。そこで開発したのがスーパーハードフィード」

 

「スーパーハードフィード…」

 

「まぁこれでもクインとはスペックが離れているのですが、自我を失わせる事で躊躇という情がなくなり、最大限の力で攻撃が可能となるのです。素晴らしいでしょう? これによりスペック差はほぼ無いも同然となり戦えるのです」

 

「ふ、ふざけないでないでくださいよ…!!」

 

「ふざけてませんよ。もちろん真面目です」

 

「2人とも望まない戦いをしているじゃないですか!! 楓さんも陽奈さんも… あなたは2人に何をしたいんですか!!? あなたの造るライダーシステムは何を目指しているんですかッッッ!!! 人を変えてまでする事が重要なんですかッッッ!!!!!」

 

 

 ついには稲森の優しさにも限界が来ていた。

 班目の訳のわからぬ奇行のせいで、何人もの人が犠牲となり、挙句には仲間であるはずの陽奈までも、その親友までも班目の計画の中で踊らされている。

 その計画を実行する事は大切なのか? 他人を利用した先に何かが変わるとでも言いたいのか?

 理由はどうあれ、稲森の班目に対する怒りは更に増していく。

 

 

「おっと… そう怒らないでくださいよ。そうそう、私もあなたに用事があったんです」

 

「え…?」

 

「こちらです」

 

 

 班目から渡されたのはトリニティフィードよりも更に大きいアビリティズフィードであった。

 ジャンプウェポンと同じようにイナゴの絵柄ではあるが、少し豪華な色合いになっており、金と黒で構成されている。

 

 

「何なんですこれ…」

 

「それはトランスフィード。こちらもクインや私ことジャック。スペック的には及びませんが、対抗できる能力は備わってますよ」

 

「ありがとうございま…… じゃなくて!! あなたの目的はなんなんですか!! これ以上隠しておく必要があるんですか?」

 

「…… ここでタネを明かしてしまったら、私の計画は散々なものになってしまいます。ですが、これだけは伝えておきます」

 

「………」

 

「あなた方の力は、私の力でもあります」

 

「それって…?」

 

「私も私の為に、皆さんは私の為に人力を尽くしてください。では、また」

 

「ちょ、ちょっと!!」

 

 

 そういうと班目は姿を消してしまった。

 つまりどういうことだろうか。班目の言い分が冗談でなければ、自分たちは班目の掌で踊らされているということになる。

 それは稲森たちだけではない。ジェスターたちやリゲインの幹部たちまでもだ。

 

 

「班目さん… あなたは……」

 

 

 やはりその先にある事までは教えてはくれない。

 今はただ班目の計画とやらに利用されないよう、なんらかの手段を取るしかないのだ。

 その手段すらも彼の手の内だとしたら。悪い考えが浮かんできてしまう。

 稲森はモグロウに相談する為、急いで帰宅しようとすると───。

 

 

「きゃぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」

 

「う、うわあぁぁぁぁぁっ!!!!」

 

 

 すると突然、人の悲鳴声を聞き、稲森は路地裏から出てくると、そこにいたのはスイムであった。

 スイムは次々と人を襲い、男性の喉を掻っ切らんとする手前であった。

 

 

「やめてくださいスイムッ!!! 変身ッ!!!」

《Sleep on the seabed!!》

《START!! ダイブアベンジ!!》

 

 

 稲森は腰にアベンジドライバーを巻き付け、ダイブフィードを差し込んでドライバーの口を閉じる。

 仮面ライダーアベンジ ダイブウェポンへと変身した稲森は、すぐさま両腕の触手を伸ばして男性を救出した。

 スイムもアベンジに気づいたのか構えを取る。

 

 

「アベンジか。また私の邪魔をする気か?」

 

「これ以上はやめてください!! 人を殺すなんて無意味です!!」

 

「無意味? お前は本当にジェスターか? まぁいいだろう。お前もここで人間たちと同じようにするまでだ!!」

 

「なら… みんなに代わって、逆襲だっ!!!」

 

 

 こうして再びアベンジとスイムの戦いが始まった。

 その頃、リゲインの拠点では────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「…… さて、もうすぐですよ。ファングさん」

 

「あぁ、そうだな」

 

 

 そこには班目とファングの姿があった。スピーダとウェイトもその後ろで何かを見つめていた。

 目の前には液体の入った透明なガラスケースの中に、何かがボコボコと空気を吐いていた。

 

 

「私ワクワクしちゃうわ!! 久しぶりのあの方の姿が見えるとなると…!! もう我慢できないわぁん!!!!!」

 

「…… すぐに始まる」

 

 

 ファングは笑う。目の前の光景が素晴らしく、どれほどこの時を待ち焦がれたか。

 今まさに最悪が復活を遂げようとしていた。

 

 

「お待ちしておりました… 我が首領」




投稿するの忘れてました!! こんな時間で申し訳ない!!

首領復活間近…もうだめだ…おしまいだぁ…
それでは次回、第17話「変化でトランス」

次回もよろしくお願いします!!
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