前回、仮面ライダーエースの新フォーム。スーパーハードウェポンの使用で暴走状態となり、動くもの全てを見境なく攻撃し始める。アベンジはクインとのその場限りの連携で陽奈を変身解除させることに成功し、ついでにキメイラも倒す事ができた。その頃リゲインの拠点では首領復活が目前にまで迫っていた…
それではどうぞご覧ください
「ぐぅ…!!」
「どうしたアベンジ? 前と動きが違うな」
「あなたが変わったんですよ…ッ!!!」
現在、アベンジはダイブウェポンへと変身し、スイムと戦闘を行なっていた。
一度戦い勝利しているアベンジは、ダイブウェポンでスイムを倒そうと試みているのだが、2度目ということもあり、アベンジの攻撃があまり通っていない。
流石に対策を練ってきたであろう。あちらはそもそもリゲインの幹部という位置。強い以前に頭も回る。
両腕からの毒針攻撃も、スイムの液状化能力によりすり抜けてしまう。
「液状化のタイミングから精度まで上がってる!!」
「当たり前だ。一度敗北し、対策を練らない方が愚者というもの。私に二度の敗北などない!!」
「だったらッ!!」
《Welcome!! トリニティ!!》
アベンジドライバーからダイブフィードを抜き、トリニティフィードを差し込むと音声が流れる。
それからドライバーの口を閉じ、トリニティウェポンへとフォームチェンジを行う。
《Tasty!!》 《Complete, my counterattack starts here!!》
《START!! トリニティアベンジ!!》
「これならどうだ!!」
ダイブウェポンの能力が強化されたトリニティウェポンにより、今まで有意な位置に立っていたスイムを捉え、液状化する前に触手で弾き飛ばす。
後は液状化する前に後は毒針を打ち込めば、スイムの能力を無効化させる事が可能となる。
「くっ… 流石にその姿は私よりも上手か…!!」
「このまま一気にッ!!」
「…… ならば、お前にこれでもくれてやろう」
そしてアベンジは翼を広げ、上空高く舞い上がってから毒針を発射する。
液状化によって毒針の連射を避け続けようとしたが、やはり限界というものがある。見事に食らってしまった。
「これでいい…!!」
しかし、それはスイムの罠でもあった。限界が来てしまったのは事実。ただし食らうまでが彼の導き出した最後。
そんな事を知らないアベンジはドライバーの上部を押し、上空から勢いよく降下して飛び蹴りを放つ。
スイムは避けようとせずに、なんとアベンジの元へと駆け出す。
「えっ…!!!?」
「2度目の敗北などするならば──── お前の心に傷をつけて散ってやろうッ!!!」
「スイムダメだッ!!! やめろぉぉぉぉぉっっっ!!!!!」
もう止められない必殺のキックは、スイムの胸部にめり込んでから後方へ大きく吹き飛ばした。
ゴロゴロと無残に転がるスイムは血反吐を吐き、アベンジに向かって、彼が絶対にしないだろう口角が限界にまで上がった微笑みを向ける。
「ス、スイム…ッ!!」
「最後は…… ガッ…ッ!! 首領の姿をこの目で今一度見たかったが… くくくっ… これで…ッ仕事は果たした…!!! アベンジ… お前に植え付けたぞ……… 一生消えることのない苦しみをッ!!!」
「あ… あぁ……!!」
そしてスイムは喋り終わると、彼の身体はその場で大爆発を引き起こした。絶命したのだ。
アベンジは言葉が出ず、まるで赤子のように「あ」という一文字だけがずっと続く。
目の前にあった命は、自分の攻撃により簡単に消えてしまった。自分が守ろうとしていた命をその手で殺めてしまった。
「あぁぁぁ……ッ!!!!!」
その光景を後ろから見る班目の姿があった。スイムは良くやってくれたと、内心とても喜んでいるようだ。
そんな彼の手には見た事ないアビリティズフィードが握られている。とても禍々しい気を放つが、それはまだ未完成品のようで色はない。
「これがふさわしいジェスターになれるように、頑張ってくださいよ稲森さん。あなたは
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「………… はぁ」
陽奈はため息をつきながら、楓と何度も来ていたショッピングモールから出てきた。
周りからは声掛けてもらったり、サインを求められたり、仮面ライダーとして… いや、父の影響力もあるだろう。
最近よくわからない。仮面ライダーの定義や怪人は本当に悪なのかとか。
だが、これを否定してしまえば、父がやってきた事が無駄になる気がする。楓も裏切る事になってしまう。
「………ん?」
ふと横を見ると、女の子の怪人が3人の子供に突かれていた。人間が怪人を虐めていたのだ。
これは普通の光景と言えば普通なのである。昔からそうだったから。
「こらっ、もうやめなさい」
「… あれ? 仮面ライダーの姉ちゃん? なんの用?」
「男3人で女の子虐めちゃダメでしょ」
「えー? でもこいつ怪人なんだよ? それにさっきこいつさ。睨んできたんだぜ?」
「いいから。世の中にはもっと危ない怪人だっているの。ほらもうあっち行きなさい」
「…… 変なのー。行こうぜみんな」
何故かわからないが、見て見ぬ振りができなかった。
今までの自分であったのなら見て見ぬ振りをしただろう。それが怪人たちにとっての報いだと思っていたから。陽奈はそう信じていた。
その場から立ち去ろうとすると、誰かにズボンを引っ張られる。
「なに?」
それは助けられた女の子の怪人である。口をモゴモゴとして何かを言いたげなのだが、見た目通りの性格だろう。とてもオドオドとした子だ。きっと感謝の言葉を言いたいのだ。
陽奈は女の子の頭にポンッと手を置き、その子の目線と一緒になるように座る。
「言いたい事があるならはっきり言いなさい」
「… あ…… ありがと……」
「別にいいのよ。流石に怪人と言えど、女の子が虐められてるんだから助けるのは当然」
「うん… ねぇ、お姉さんは仮面ライダーの人?」
「そうだけど?」
「そうなんだ… えへへっ」
「な、なに? 急に笑ったりなんかして」
「やっぱり仮面ライダーって正義の味方なんだね」
「…… もちろんよ」
「パパとママはね… 仮面ライダー嫌いって言うけど、私は好きなんだ」
「どうして…?」
「だってみんなの為に戦ってるんだよ…? 私たちができないような事できるんだもん。凄くかっこいいの」
「…っ」
「正義のヒーローだよ」
何だろう。とても胸が締め付けられる思いに襲われた。
正義のヒーローってなに? こんな小さな女の子も怪人であるなら放っておいたこの私が? 今更何をしているの?
陽奈は立ち上がると、その女の子の顔を見ずに、早足でその場を後にする。
「もう訳わかんない…!!」
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スイムを倒した稲森もまた1人で街を歩いていた。
絶対やらないと、言葉でも、心の中でも決めてていた事をやってしまった。スイムの命を奪ってしまったのだ。
仮面ライダーになってまだ日は浅い。陽奈から自分が思う正義を聞かれた時には、それなりの自信を持って言えていた。
ただ今は、その正義すらも守れなかった自分がいる。わざとじゃない。自分からではない。悪いのはあいつだ。
どうすれば逃げられるのか。そんな犯罪じみた考えが何度も頭を過る。
「…… モグロウ」
こんな時は頼れる親友を探す。
そういえば最近、モグロウと会っていないような気がする。彼は一体どこへ行ったのだろう。
モグロウを探す彼の元へ1人の男が近づいてきた。今1番会いたくない相手でもある。
「──── 班目さん…」
「これはこれは稲森さん。奇遇ですねぇ…… おや? 顔色が優れませんが、どうされましたか?」
「…… スイムを… 殺してしまったんです…」
「ほう、それはなんとも… ですが、これで良かったんです」
「… え?」
「彼はこの世界の害です。あなたもわかっているでしょう? このままでは世界がリゲインによって占領されてしまいます。それを止める為にもまずは幹部を倒す。何がいけないんですか?」
「僕はそれでも殺したくありませんでした… 僕は…… 同族の命を奪ってしまった…」
「弱肉強食の世界でそんな事は言ってられません。彼もあなたも命をかけて戦った。結果として待っているのは何か?…… そう、生きるか死ぬかです。あなたは間違ってなんかない」
「…… あなたにはわかりませんよ。だって班目さんは平気で人も怪人も… どちらの命も奪っていく。そんなあなたに奪ったものと奪われたものの気持ちがわかりますか?」
「えー…… まぁ、そうですね。わかりますよ。だからと言って、私の計画が変えませんよ。それが全ての生き物の安全に繋がり、救いになる」
「班目さんの計画ってなんなんですか? 前に言っていたあの言葉の意味は?」
「あーあの… 言葉通りの意味です。私はあなたの力であり、あなたは私の力なのです。つまり私が言いたいのは、あなた達ライダーの力を使い、この世界を変えようと思うんです」
「世界を… 変える?」
「人間とジェスター。交わる事がなかったそれらは結局共に生きる事を決めた。ですが、それはジェスターにとっては地獄。共に生きる? どこがです? こんな理不尽な世界、訳がわからないでしょう? だから一度戻すんです。元の状態に」
「元の状態…… 元の状態ってなんですか」
「元は元ですよ。
「そんな…!!?」
この班目の言う事が正しければ、もう一度10年前の怪人と人間の戦争を引き起こすという意味になる。
ありえない。じゃあ今までの班目とマダラメは、どちらの姿も、どちらの勢力もこの男の手の内で転がされていたという事。
「…… 最悪だ」
「ん?」
「最悪で最低ですよ…!!! あなたはッ!!!」
「よく言われるんです。悪とか低とか… それであなたはこの話しを聞いてどう出るんです?」
「あなたを止めます」
「どうやって?」
「力ずくでッ!!!」
《アベンジドライバー》
「… ははっ、そう来ましたか。いや、そう来ると思ってましたよ」
《ポーカドライバー》
班目はポーカドライバーを腰に巻き付けると、ダイヤのマークが描かれたカードを取り出し、それをドライバーの上部から差し込むと《ダイヤ!! ベット!!》という音声が流れ、メタリックな音楽が流れる。
顔の横で指を弾いて音を鳴らして「変身」と呟き、ポーカドライバーの両サイドを引っ張ると、真ん中にダイヤのマークが出現し、彼の身体をダイヤが包み込む。
やがてそれらはアーマーを形成し終えると、割れて、仮面ライダーが姿を表す。
《Let's call!! ダイヤジャック!!》
「仮面ライダージャック。人前では初変身ですね」
「あなただけは絶対に…!!」
「おっと、トリニティをお使いに? やめておいた方がいいですよ?」
「… トランスを使えって言うんですよね?」
「で、なければ私に勝つ事は不可能。最もそのトランスすら私のスペックには及びませんが」
「……… なら、使います。どうせこれも、あなたの予想通りなんでしょうから」
「おやおや?…… 頭がよろしいですね」
それから稲森は腰に巻いたアベンジドライバーに、トランスフィードを差し込む。《Welcome!! トランス!!》と音声が鳴るが、あまりの大きさに、ちょうどドライバーの口が閉じないようになってしまっている。ドライバーの半分を埋め尽くしていた。
しかし、稲森は班目に聞くことはせず、そのままトランスフィードの上部を叩くと、《tasty!!》という音声と共に、ジャンプウェポンと同じようにイナゴがアーマーと化す。ただ色は霞んでおり、本来の色が明るいのであれば、こちらは対照的に暗いイメージだ。
いつも通り噛み付かれ、痛みに耐えながらアーマーが形成されたアベンジの新たな姿が露わになる。
《The war begins again, we're the last to laugh》
《START!! トランスアベンジ!!》
身体に異常はない。特に暴走といったような事はなく、普通に相手が誰であるか、自分が何者であるか認識はできている。自我はある。
特に変わった様子もないが、班目が何かを仕込んでいるのは間違いない。
この力を使い、班目にわからせてやるのだ。命を待て遊ぶ彼に裁きを下す。
「班目さん。覚悟してくださいよ…… 逆襲だッ!!!」
「ふふふっ… さぁ、来てください!! 私に私の!! あなたの力を見せてください!!」
そしてアベンジの拳が、ジャックへと放たれる──。
アベンジvsジャック。どちらが勝つのでしょうか!
初手で負ける新フォームさんにはならないで。
次回、第18話「お前がビトレイ」
次回もよろしくお願いします!!