仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、ついに楓を助けた陽奈。その後、稲森とモグロウの誤解や互いのやるべき事を見つけ、共に協力して戦う事を決断する4人。しかし、その背後では人間と怪人の戦争が始まろうとしていたのだ…

それではどうぞご覧ください。


戦争編
第28話「戦争のスタート」


 ここは栄須市の1番賑わっている街あり、怪人達が多く暮らす場所でもある。

 そしてもう1つは初代エースと首領が散った場所でもある。因縁深い場所。今でも鮮明に思い出せてしまうほどの、全身に耐え難い痛みと仮面ライダーに対する憎しみ。

 

 

「あの日の痛みが甦る…… ここで私が散り、奴も散った場所」

 

「… 存じております」

 

「ファングよ。何故我々は人間に従ったのだろうか」

 

「やはり初代エースの力が強大であったものと思われます。同時に首領の下の者達は弱く、私も含め動ける状態ではないほど甚大な被害を出しました」

 

「そして… お前の指揮の下、全てのジェスターは条約により今の状態にまだ落ちた」

 

「…… お恥ずかしい限りで、情けない自分が許せません。首領には何とお詫びをしたら良いか…」

 

「お前は私を裏切った訳ではない。こうして罪を滅ぼしをし、私についてきてくれている。さすが右腕という枠では収まらん男よ」

 

「勿体ないお言葉」

 

「では、行くぞ。今日で我々が奴らを超える。否、元々我々は超えていたのだ!! 今こそ人間どもに復讐する時ッ!!」

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 この光景は少し前であるならば、誰がどう見ても非常事態であり、冗談でもあり得ない事であろう。

 稲森、モグロウ、陽奈、楓。怪人と人間。一緒にいるだけでも異常だが、まだここは目を瞑ろう。ただ4人が仲良くカフェでお茶をしながら会議というのは流石に誰もがおかしいと思うし、敵対していた者たちが手を組み、お互いの未来の為に戦おうとしているのは本当に異常事態だ。

 

 

「─── とまぁ、楓は記憶ないからどうにも攻められないわね。いったいどこに隠れているんだか」

 

「ごめんね〜…」

 

「だから謝らないの!」

 

 

 陽奈は楓の頭をポコっと叩き、あんまり痛くはないようにしたのだが、楓は大袈裟に頭を摩る。

 すると、陽奈の眼はコーヒーを啜る稲森に視線がいく。視線が合うと稲森はすぐに飲むのをやめて姿勢を正した。

 やはり慣れない。この鋭い眼光だけは。

 

 

「別に飲んでても特に言わないわよ…… まぁ後、問題は班目のやつよ。あいつの動向が不明な点が多過ぎるわ」

 

「そうですね… 強いて言うなら、班目さんは僕に渡したリジェクトフィードに何か仕込んでいる可能性があります」

 

「前に言った奴ね。暴走とはまた違うような感じだけど」

 

「はい。人を殴る度に、蹴る度に、心の底から怖いほど嬉しくなる。楽しくて仕方がなくて、早くこいつらの力を貪りたいという欲求が強まるんです。ファングの時は自我を何とか取り戻せましたけど、次の戦いの時、僕は正気でいられるのかと…」

 

「…… 私だって暴走は克服したわよ。ホント最初は厳しかったけど、案外慣れると楽なものよ。大切なものを守りたいって気持ちが強ければできるはずよ。だから頑張りなさい。今は私1人でどうにもできないんだから」

 

「陽奈さん… ありがとうございます。僕、頑張ります!」

 

「でも、無理はしないでよね」

 

「えぇ、それはもちろ───」

 

 

 その時、外から爆発音が聞こえ、店のガラスを吹き飛ばすほどの衝撃が走る。

 そんな中で稲森と陽奈は近くにいたモグロウと楓を庇う。見事に2人を庇い、ガラスも服のおかげで少し切れた程度で他は何ともない。

 

 

「まさか今なの…!?」

 

「そうみたいですね。陽奈さん! 楓さん! モグロウ!」

 

「行くわよ。覚悟決めなさい!」

 

 

 ───── 稲森たちが向かった先には、既に瓦礫と化した建物だったものが積まれ、その奥に禍々しい気を放った首領とファング、それから反逆軍の怪人たちがズラリと後ろに並んでいた。

 陽奈に覚悟を決めろと言われたが、あまりの多さに思わず後退りをしてしまう稲森。当然、稲森だけではなく陽奈たちもその多さに驚いているようであった。

 すると、首領は一旦手を挙げて全員をその場に留め、1人前へと歩み出る。

 

 

「どうやらお前たちも気付いていたようだな。我々がこの1週間何をしていたかまでは想像はつくだろう。だが、それももう遅い。そこの女は時間稼ぎにはなった。我々は準備を進め、1人でも多く同士を… 数を増やした。見ろ!! 私についてきてくれるジェスター達を!!」

 

「…… 首領」

 

「イナゴ… 裏切り者め。いや、忌々しいあの部族の生き残りめ。お前達は私が滅ぼしたと思っていたのだが、まさか数十年という時を超えてこうなろうとは誰が思うか」

 

「首領。僕は… 僕はあなたを止めます。そして、この世界の人も怪人も、争う事のない笑顔の世界にしたいんです」

 

「ふん。ふざけた事を抜かす」

 

 

 そして陽奈、楓、モグロウと稲森の横に並び立ち、全員戦闘態勢に入る。ライダードライバーを持つ者は腰に装着し、それぞれの変身アイテムを取り出す。

 ただし、モグロウのみないのでどうすればいいのか困っていた。

 

 

「お、おいイナゴ」

 

「… わかってる。僕は大丈夫だよ」

 

「いや、そうじゃなくてよ。いやまぁ心配なんだけどよ?」

 

「え? どうしたの?」

 

「俺だけベルトがないからどうすればいいかと… ここ合わせる所だろ?」

 

「…… うーん…… とりあえずその場の空気に合わせて!」

 

「えっ!?」

 

 

 陽奈はため息を吐くと、楓はそれを見て笑う。何がおかしいのだろうと疑問が浮かび、どうしたんだと楓に聞く。

 

 

「あなたも何よ。笑ったりして」

 

「んーん。でも、嬉しくなったんだ。陽奈とこうして一緒に戦えるって!」

 

「… 馬鹿ね。足引っ張らないようにして!」

 

「大丈夫! 足にしがみつくから!」

 

「それは邪魔!! 全く…… ほら、あんた達!! 行くわよ!!!」

 

 

 稲森はトランスとリジェクトを合体させてドライバーに装着し、陽奈はスーパーハードを起動させてドライバーへと装着。そして楓はハートの描かれたカードをドライバーの真ん中へ差し込み、モグロウはとりあえず皆に合わせて構える。

 

 

《Ambition comes true because of sacrifice!!》

《スーパーハード!! Open!!》

《ハート!! べット!!》

「………」

 

「「「変身ッッッ!!!!!」」」

「えっと変身ッ!!」

 

 

 モグロウは怪人態へと姿を変え、稲森達はアーマーを纏う。リジェクトウェポン。スーパーハードウェポン。ハートウェポン。

 ここに3人の仮面ライダー… と、1人の同時変身が実現する。

 

 

《Put a flag on the mountain of sacrifice, I'm an avenge world revenge!!》

《START!! リジェクトアベンジ!!》

《Let's try スーパーハード・ハード・ハード!! エース!!》

《Let's call!! ハートクイン!!》

 

「行くわよッ!!!」

 

「やれッ!! 皆殺しだッ!!!」

 

 

 エースと首領の掛け声により、各自雄叫びをあげて走り出す。

 数で言えば多勢に無勢。アベンジ達の方が圧倒的不利な状況で、本人達も震え上がっていたのだからわかっているはずだ。

 だが、ここで引くわけにもいかない。引けば人間も怪人も後戻りができなくなるから。もう戦争がないようにしたいから。争う事のない未来を実現するために。

 

 

「うおぉぉぉぉぉっ!!!!」

 

 

 リジェクトウェポンはやはり強い。どれだけの数が押し寄せようとまるで止まる気配がない。いや、数が多いほどそれでいい。多ければ多いほど犠牲が生まれ、その犠牲はリジェクトウェポンの糧となって、強大な力を生むのだ。

 そして怪人達を圧倒的力でねじ伏せ、早々に首領の目の前にまで辿り着いてみせる。

 

 

「やはり来たか!!」

 

「来ましたッ!!!」

 

 

 瞬時に首領は改良型エースドライバーを装着して変身し、仮面ライダーエースリーダーとなってリジェクトのパンチを受け止める。

 力は五分五分といった所だろう。お互い一歩も引く事なく、力と力のぶつかり合いで双方の地面が割れる。

 その凄まじさにファングは一歩も近づく事ができず、ただ首領とアベンジを見ることしかできない。

 

 

「首領ッ…!!!」

 

「来るなファングッ!!! これは私とあの一族との決着をつける時だ!!! 邪魔をする事は許さんッ!!!」

 

 

 ── まただ。

 首領の声が段々と遠のいていく。確かに聞こえてはいるのだが、聞くまでもないという感情が込み上げてくるのだ。聞いたところで大した事にはならないし何の問題もない。

 何故なのかと、理由ははっきりしているじゃないか。

 

 

「……ッ!!?」

 

 

 その時、首領の受け止めていた手を弾いてアベンジの拳が胸部にめり込んだ。

 後方へと吹き飛ばされた首領はすぐさま態勢を立て直し、何が起こったのかわからないままアベンジの方を見る。

 彼は凄まじい圧を放ち、それでいて鋭い気迫で首領を見つめていた。睨みつけているではない。仮面越しでもわかる程、まるで子猫でも見るかのような目でこちらを見てきている。

 

 

「何だその目は…… 私を何だと思っている」

 

 

 首領にはわからないだろう。そんな目をされた事は人生の中で一度足りともなかった。

 慈悲や憐れみ。他者から受けるのは圧倒的賞賛と絶対的服従。今までも、そしてこれからもそうだった。そうであるべくして生まれたはずだ。

 だが、首領は更にわからないだろう事が1つある。それをファングはわかっている。実際に戦い、そうした立場にもあるから当然の事だ。

 

 

「あの目は違う…… あれは慈悲でも憐れみでもなんでもない。あれは─── 獲物と認識した時の野獣の目だ」

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「合わせて楓ッ!!」

 

「任せて陽奈ッ!!」

 

 

 まずエースが前に出てジェスターたちを一箇所に集めていき、ある程度の数が密集した所をクインの杖による火炎弾で火柱と化す。

 尚、黒焦げにするだけで殺す事は絶対にしない。殺傷するのは今ではない。いや、今も未来もない。傷つけ合うことが正しいはずないから。

 

 

「ジェスターたちも大分大人しくなってきたわね…」

 

 

 エース達による息の合った攻撃を喰らったジェスター達は、全員同じように地面へと呻き声を上げて倒れている。もう立ち上がる事はできないだろう。ここら辺は一旦片付いたと見ていい。

 

 

「戦争なんか絶対させない! もう… 私みたいな人がいないようにするから!」

 

「楓…… えぇ。負の連鎖はさせちゃダメ。私たちは私たちにできる事を精一杯やるだけよ」

 

「もちろん!…… あれ? それはそうと、さっきまで一緒に戦ってたモグロウさんの姿がない…?」

 

「モグロウ? 確かにそうね… どこ行ったのかしら───!!?」

 

「な、なにっ!!?」

 

 

 アベンジが戦っている方から巨大な爆発音と建物が崩れる音が一緒になって響いてきた。

 首領と戦っているのだから当然と言えば当然だ。これくらいの災害は覚悟して戦いに挑んだはずだったが、エースは別に嫌な考えが頭を過ぎる。

 

 

「リジェクトウェポン…… まさかだと思うけど…」

 

「どうしたの陽奈? あっちって稲森さんが戦ってる…」

 

「楓、急いで行くわよ。嫌な予感がするの」

 

「嫌な予感…?」

 

「私の第六感。急ぐわよ!!─────」

 

 

 ──── エース達がアベンジの方へ向かっている最中、その前に1人早々に走り出した親友がいた。

 それはモグロウの稲森の親友としての繋がりだろうか。全身が急いで稲森を止めろと言っている。どんな手を使っても止めてやれと。

 このまま行けば取り返しのつかない事態に発展するはずだ。

 

 

「─── イナゴォォォォォォッッッ!!!」

 

 

 そして急いで現場へと駆けつけたモグロウの目の前には悲惨な光景が広がっていた。あり得ない現実。見たくもなかった事実。こうなる事くらいわかっていたのに対策できなかった。

 亡き人間たちの上にアベンジから飛び出た気味が悪いイナゴの群れが覆い被さり、その命の絞りカスを吸っている。

 ここまではリジェクトの能力だ。だが、問題はそこではない。これを誰がやっているか、誰がやったのかが問題なのだ。

 

 

「冗談よせよ… イナゴッ!!」

 

 

 再び向こう側から爆発音が聞こえ、モグロウは脇目も振らずにただ稲森の元へと走り出す。

 やめてくれとただ願う。親友が遠くへと行ってしまう。取り返しのつかない一線を超えてしまう。

 

 

「…… 嘘だろ」

 

 

 モグロウが目にしたものは更地と化した場所に、首領の頭を掴み今にもトドメをさそうとしているアベンジ。

 周りには人々が… ジェスターたちも倒れ、まさにこの世の地獄絵図だった。それに混ざり、ファングも巻き込まれたのか参戦したのか定かではないが、今まで見たこともないくらいボロボロにされて倒れていた。

 

 

「やめろイナゴ……」

 

「… これで終わりだ…」

 

「やめろォォォォォォッッッ!!!!!」

 

 

 アベンジの殺意のこもった鉄拳が首領に振り下ろされた───。




どうもお話し調整してました…(震え声)
もうリジェクトウェポンで大元倒せるから全てが終わり!…とはならない模様…。

次回、第29話「首領はフューリアス」

次回もよろしくお願いします!!
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