前回、暫く見なかったファングは人間の姿へと変わり、更には仮面ライダーキン クラブウェポンとなって襲いかかってきた。稲森は自分の過ちを重く受け止め、キングに殺されようとするが助けに来たモグロウの喝よって目覚め、再び仮面ライダーアベンジへと変身し、ファングと対峙する事となるが…
それではどうぞご覧ください。
アベンジとキングは互いに睨み合うその場所には、リゲイン本拠地があったのだが、それも今や形すらなくなっている。
そこには反逆者の怪人達も居合わせていたおり、そのほとんどが瓦礫の中へと埋められてしまっただろう。
何人かは自力で這い出て来たものの、瓦礫から出てみればまた地獄のような光景が広がっている。
「はぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」
1人の怪人が聞いたのは男の咆哮であった。もう片方は何も発してはいないが、何も喋らずとも威圧だけで人を殺してしまいそうな男だ。
拳を打ちつけ合う両者からは凄まじい衝撃が走り、そこら中が割れ、砕け、軋み、怪人達は幹部含め誰1人として動く事はできずにいた。
「イナゴッ!!! やっちまえッ!!!」
モグロウの声援でアベンジは自分を奮い立たせ、キングを得意のジャンプを織り交ぜた戦法で撹乱して確実に打撃を喰らわせる。
誰がどう見ても手数で言えばアベンジの方が優っており、一方のキングは偶に弾き飛ばし、隙を見て攻撃を加えるだけで全くその場から動こうとはしていない。
「機動力なら自分が優っている…… とでも思っていたのか?」
「…っ!!?」
「貴様が俺に何一つとして優っているものなどない」
そしてアベンジが次に蹴りを入れようとした時、タイミングを合わせて掴み上げ地面に叩きつけて投げ捨てる。
「かはっ…!!」
「リジェクト…… それにはどれほど苦痛を与えられたか。思い出したくもない忌々しい記憶が蘇ってくるぞ…!!」
「あんなに攻撃したのに…… 全然効いてないなんて…」
「ふんっ!!」
キングがエネルギーを帯びた拳でアベンジに殴りかかって来た。
しかし、単純な殴りの動作を覚えたアベンジは、それを紙一重で避けて、すかさずアベンジドライバーの上部を叩き、右脚にエネルギーを集中させる。
「これならどうだッ!!!」
そしてアベンジの必殺のキックは、キングの頬を捉え、メキメキと音を立てて蹴り飛ばした。
ただし蹴り飛ばしたという表現は誤りだ。両脚が地面から全く浮きもしなければ、ほんの数センチ移動しただけなのである。
「そんな… !!? リジェクトの一撃でも全く効かないッ…!!?」
「言っただろう。貴様は俺に勝てない、とな」
少しだけでもダメージはと思ったが、どうやらそれも無理なのかもしれない。
何故ならキングの能力は、仮面ライダークインと仮面ライダージャックの2つの能力を有するからだ。
片や自動修復機能と片や絶対的な防御力。いずれの2つもアベンジ達を大いに苦しめた力である。
しかし、キングの能力はこの2つを使うというだけではない。既存の力を更に増幅させる機能が付いており、自動修復は与えられたダメージを数秒で終了完了し、防御力に至っては150t以下の攻撃全てを無効と化す。
まさに圧倒的過ぎる力の前に、アベンジは逃げるという選択肢が頭を過ぎる。でも、一体どうやって?
「…… モグロウ」
「どうしたイナゴ?」
「これ逃げられるかな」
「…… いや、無理だと思うぜ。相手さんは殺す事しか考えちゃいねぇ。俺たちのいた場所もバレてんだ。お前が逃げようってんなら地の果てまで追いかけて来るぞ」
すると、キングは冷静になったのか腕を振り上げ、周りにいる怪人達に「イナゴとモグロウを捕らえろ」と、指示する。
2人の裏切り者を… いや、自分の汚点を排除する為に仲間を使って確実に捉えて、更に痛めつけてから殺してやろうというのだろう。
「だけどよイナゴ。俺は
「今?」
キングが腕を前に突き出すと同時に、怪人達は一斉にアベンジ達の方へと駆け出した。
この数を相手にする事はリジェクトならば何とかなるだろうけれど、目の前にキングがいるとなれば確実に負けるだろう。
「来るッ…!!」
その時、アベンジ達を包囲しようとしていた怪人達は1人1人地面に向かって叩きつけられた。叩きつけられたというより埋め込まれたというのだろうか。
この状況に冷静でいたキングも何があったと周りを見渡すと、その近場に全員よく知る仮面ライダーが立っていた。
「全く… モグロウから連絡が来たと思えば何この騒ぎ」
「陽奈さん…!!? その姿は…」
「…… ふっ、あなたも覚悟決めたってわけね」
「えっとそれは…?」
「その話しも訳も後よ。今は一旦引くわ!!」
「あ、はい!!」
「─── 楓ッ!!!」
エースの掛け声と共に、一緒にいた楓ことクインが空に雷雲を作り出して全体に雷を降り注ぐ。
その雷の凄まじさに怪人達は為す術もなくただ逃げ惑う。何としてでも捕まえようというのだが、それは叶いそうにもない。
「ナイス楓ッ!!」
「えへへっ」
「さっさと逃げるわよ阿保2人!!」
4人の背後からキングの咆哮が聞こえてくるが、これでもかと視界を遮り全員無事とは言わないが逃げることに成功した。
誰1人として捉えられなかった近くの怪人を殴り飛ばすと、再びキングは天に向かって雄叫びをするのであった─────。
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その後、ファングから逃げ切った稲森達は陽奈の住む実家にてお互いの情報を整理することにした。
陽奈はマンションに一人暮らしをする予定であったらしいが、父の死をきっかけに実家に住むことになったという。母親の方は海外へと出ており、しばらく帰っては来ていないそうだ。
素朴な感じではあるがどこか懐かしい雰囲気を出すこの場所にいると、今までの激戦も忘れてしまいそうな安心感がある。
「ちょっと。ボーッとしないでくれる?」
「あぁ、すみません」
稲森、陽奈、楓、モグロウの4人は畳のある部屋で四角いテーブルを囲んで、早速お互いに起きた事柄について話し始めた。
「まず私たちの方から… 首領は私が倒したわ。班目が新しく造ったアビリティズフィードの力を使ってようやくね。首領が倒れたとそこにいた奴ら、そしてそれを伝えた奴らのおかげで一時的にだけど反逆者達の動きは弱まったわ…… と、思ってたら、イナゴが攫われたーって連絡来たのよ」
「そうですか… でも、よく電話ができたねモグロウ。あの時何か言われなかったの? 電話するなとかって」
稲森が連れて行かれる時、モグロウはスピーダとウェイトに何か言われていたようだったが、稲森にはその声が聞き取れずこうして連れて行かれてしまった。詳しい内容がわからないのだ。
「ん? あぁ、電話したらどうなるかわかってるんでしょうねー… みたいな事は言われたけどよ。俺の予想だとお前はリゲインに連れて行かれてファング辺りに殺されそうになってるんじゃねーかと思った。まぁ予想通りファングはお前を殺そうとしてたわけだ」
「場所もよくわかったよね?」
「場所はあの班目に聞いたんだよ」
「… え?」
「俺もわからねーけど急に連絡入って来たんだ。訳わかんねーよな…… ただ、こいつのおかげで場所は知れたし、俺はスピーダ達の言葉はハッタリだと気づけた」
「ハッタリ?」
「ファングはお前を殺そうと考え、そして場所はバレていないからとあいつはスピーダ達に何も言ってないと思ったんだ。目的はそれだけで探すにも時間がかかるからってな。だけどスピーダ達はファングに気を遣ってそう言ったんだろう。余計なこと言ってくれたおかげで安心して陽奈たちに連絡できたって訳」
「すごいねモグロウ… そういえばまだ言ってなかったっけ?」
「あ? 何をだよ?」
「モグロウ。僕に気づかせてくれて本当にありがとう… 陽奈さんも楓さん助けてくれてありがとうございました」
その言葉にモグロウは照れたのか頬を掻いて稲森から目を逸らす。陽奈たちも当然という感じで笑って返してくれた。
「まぁこんな感じで次の… いえ、最後かもしれないけど」
「そうですね。最終的に倒さなければならないのは…」
「あのファングの強さは異常よ。私たちじゃ多分… というか太刀打ちできないと思うわ。私なら足止めくらいはできるだろうけど、それ以上を求められても無理かもしれない」
「…… リジェクトですらファングには及びませんでした… 仮面ライダーの力… ライダーの…? 陽奈さん!」
「… 最終目標はファングじゃないのかもしれない。私たちはとんでもない爆弾抱えてたわね」
「ライダーシステムを創り出して、それを悪い方向に繋ごうとしている元凶」
「全く… 結局あいつを倒さなきゃ話しは終わらないらしいわね」
「── 班目さんを止めましょう」
「父さんの残した本当の後始末ってわけね。いいわ、やりましょう。私たちで!」
4人は互いの手を重ね、各々目を合わせて頷き合う。
本当の敵を止める為に────。
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「…… 来てはやったが、貴様が何を考えているのか先に言え」
「首領のお役に立ちたいのでしょう? なら、私の言う事はしっかり聞いておいた方がいいですよ?」
「貴様… その口を潰してやろうか」
「あなたはリジェクトには勝てない。それどころか陽奈さんに渡す予定のマスタースペイドにすら及ばない。あなたは今、雑魚なんですよ」
「班目ッ…!!!」
「怒らなくてもいいじゃないですか。事実なんですから…… と、冗談はこれくらいにして本題のこちらです」
「…… なんだそれは?」
「ポーカドライバー… それもあなた専用に調整した最高クラスの代物です。これさえ使えばあなたに敵など最早この世に存在しません」
「俺は首領の為に戦い、首領の為にその身を殺す。故に俺より上は存在しない。首領こそが最高の存在だ。それは俺ではなくあの方に捧げるべきだ」
「いいんですか? このままでは首領は負け、あなたも負け、全て台無し。それでもいいならあなたは今ここで敗北を認めた方がよろしいです。もし、あなたが首領の為をと思うなら使って頂いた方がよろしいかと」
「…… 何を考えてるんだ貴様」
「私は見たいんですよ。どちらが滅ぶのかこの目でしかと」
「… ふんっ、悪趣味な奴だ。いいだろう。そのドライバーを使用し貴様に見せてやろう。我々が勝つその結末をな」
「さすがファングさんですねー… では、早速お試しにどうぞ────」
───と、ここまでのファングさんであるならば、首領に対しての忠誠心は全く消え去ってはいません。寧ろ、忠誠心失くしてファングさんとは呼べないほどに。
ですがー…… それもポーカドライバーを着けてからというもの、首領よりも自分が王に相応しいと言うようになったじゃありませんか。
いやはやどういう事かはわかりかねますが、彼がやる気を出してくれたのならそれでいいでしょう。
班目とファングは現在リゲインだった場所で会話をしていた。
「… ところでファングさん? 奴らの居場所を聞きたくはありませんか?」
「なんだと? 貴様奴らの場所を知っているのか?」
「もちろんですとも。私はあなたにそのポーカドライバーを託して良かったと思ってます。あなたは私が想像するよりも素晴らしい力を見せてくれました。ですので、私を今一度あなたの配下に加えてはいただけないでしょうか? もちろんこの命と
「ほう?
「はい、今死ねと言われるのであれば今すぐにでも…」
「ならば… まず場所を教えろ」
班目は命令されるとすぐに稲森達がいる場所を教える。
「─── わかった。よくやった」
「いえいえ、これくらい当然です」
「… そういえば貴様、死ねと言われれば死ぬんだったな」
「えぇ、もちろんです」
「そうか…… なら、死ぬがいい!!」
「… はっ……ッ!!!!?」
ファングは片腕だけ怪人化させ、その巨大な爪を班目の腹部に突き刺した。
そして班目は血を吐いて苦しそうにファングの爪を掴む。
「な…… ぜぇ………」
「貴様は自分の犯した罪を自覚していないのか? はなから貴様には愛想など… 信用すらもない。ここでくだばってしまえ」
「……かはっ……──────」
それから班目はぐったりとし全く動かなくなったところで、ファングは爪を振るって乱暴にそれを捨てる。
ファングは班目の隣にいた「彼」「あいつ」と呼ばれていた怪人についてからように命じる。
その怪人はどこか見たことあるような見た目である。いや、誰かにも似ている。人だ。どう見ても人なのだ。
「では、行くとするか。奴らをこの手で叩き潰す」
「………」
ファングの横に並ぶ怪人。
それは死んでしまったはずの
唐突に班目散る!
次回、第34話「次々とサクリファイス」
次回もよろしくお願いします!!
最終回まで残り──10話