仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。最終章突入です。

前回、キングの強さに手も足も出なかったアベンジだが、稲森を、未来を想う気持ちが一つとなり完成した仮面ライダーアベンジ エスポワールウェポンを使用して見事に勝利。人間と怪人の戦争に完全な終止符が打たれ、これで終わりかと思われていたが…

それではどうぞご覧ください。




最後の思惑編
第38話「終了のシグナル」


 あの日から世界は平和になったと思っている。

 思っているという曖昧な感じではあるのも理由があり、やはり人間と怪人の関係がそう簡単に片付ける事はできないからだ。

 ただ今は怪人も普通の生活を送れているし、差別的な要素も撤廃しているから平和と呼べるのかもしれない。

 

 

「そういえばモグロウってあの時…」

 

「あぁ、あの時か?」

 

 

 稲森とモグロウは変わらず陽奈の実家にて居候させてもらっている。

 陽奈もこの2人の性格からして女1人と男2人でも、別に大スキャンダル的な事にならないと踏んでいた。

 そんな2人の間に入るようにして、陽奈は机にコーヒーの入ったカップを置いて耳を傾ける。

 

 

「俺が入院中で外に出れなかった時、駆けつけた野郎が… その……」

 

「ん? 誰なの?」

 

「いや… まぁ……… 陽奈の父親だよ」

 

 

 その言葉に陽奈は驚き、目を丸くしてモグロウに詳しい話しをするよう催促する。

 

 

「どういう事よ!? あれはもう私の父さんじゃ…!!」

 

「落ち着けって!!… そのなんだ。あの時来た奴は間違いなくお前の父親だった。理由は知らないが… とにかく決戦の地に出向く事ができたのはあいつのおかげだぜ」

 

「父さん… なんで……」

 

 

 モグロウは黙って首を横に振って、これ以上聞いても何も出ないぞと伝える。

 今の話しを信じろと言われても信じることは出来ない。父は死に残ったのは首領。その首領でさえもあんな醜い姿となって生きてしまっている。

 ただの奴隷として──。

 

 

「…… まぁ、いいわ。その件に関してはもう。戦争は終わったし、これから新しい時代が始まるの。あなた達もずっと家にいないでどこか行ったら? 特に稲森なんて世界を救ってから、ここの所ダラダラしてるじゃない」

 

「ははっ… 流石に気が落ち着いたものでゆっくりしたくて」

 

「とんでもない偉業成し遂げたんだから別にいいけどね… 全くお金が無くなって家に住めなくなったとか腑に落ちない救世主」

 

「ずっと戦って戦ってと言った感じで仕事する暇もありませんでしたから。とりあえず目星は付けているので近いうちにまた働けるかと思います」

 

「へーよかったじゃない」

 

「はい…… これでもう仮面ライダーアベンジは必要なくなりましたね」

 

「良かった… と言っていいのかしら。まぁ、平和になったんだから良しとしましょ」

 

「それじゃあ僕たちは出かけますよ」

 

「あんまり遅くならない様にね」

 

「はい。夕方頃には帰ります」

 

 

 そう言って稲森とモグロウは外へと出て行った。

 2人に手を振って送り終えた陽奈は、1人になったのでとりあえずテレビをつけると、良いものがやっていないかとチャンネルを変えていく。

 すると、あるニュース番組に目が止まる。速報らしい。

 

 

「速報?」

 

「--- 只今速報が入りました…っ!? 栄須市の広場にジェスター達が人間を襲っている模様です! 付近の方々はすぐに避難を!」

 

「はぁ!? 嘘でしょ… ファングが諦めてない? いや、あの時誓っていた筈…… もう!! とにかく急がないと!!」

 

 

 陽奈は支度をしながら楓に連絡すると、急いで現場へと向かうのであった───。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「全くよー。このバイクほんと便利だよな。呼べば来るし」

 

「僕もなんでかわからないけど欲しいと思うと来るんだよね。本当にありがたい事だよ」

 

 

 稲森とモグロウはマシンアベンジャーズの乗り、栄須市にある広場まで向かっていた。とりあえず広場でグダグダしたいからだ。

 そんな何も考えていないドライブを楽しんでいると、広場の方から悲鳴と爆発音が響く。

 

 

「え、なにっ!?」

 

「おい、今の爆発音まさか……」

 

「… 行くしかないよ!!」

 

「だなっ!!」

 

 

 バイクを走らせ広場まで行き、バイクから降りて広場の中央を見ると、そこには戦争を終わらせた筈なのに殺気に満ちた怪人たちが蔓延っていた。

 それを見た稲森はすぐさま彼らの前に立ちはだかる。

 

 

「皆さん何をしてるんですか!! やめてください!!」

 

「… やめろだと? やめるわけねーだろ!! 俺たちはな!? 何人も仲間が殺されて黙ってられるほどおおらかじゃねーぞこら!!」

 

「だからって… ファングさんにも言われたはずです!! 戦争は終わりだと!!」

 

「何言ってんだ?」

 

「何って… あの時、ファングさんと戦った僕が戦争を───!!」

 

「そのファング様からの命令なんだよ!!」

 

「え…?」

 

 

 あのファングが約束を破った? 信じられない。

 最後の戦いを制し、ファングは稲森と戦争を終わらせる事を誓い、人間は条約を撤廃して、怪人との新たな時代の幕を開けると両者揃って約束した筈だ。

 なのに、ファングがそれをこうも簡単に破り、部下達に人々を襲わせるなんて事があるのだろうか。

 

 

「う、嘘だっ!!」

 

「嘘じゃねーから言ってんだよ!! 行くぞ!! 人間に加担する怪人を殺せ!!」

 

「くっ…!?」

 

 

 稲森は怪人達の攻撃を掻い潜りながら、腰にアベンジドライバーを巻き付けてジャンプフィードを差し込む。

 

 

《Welcome!! ジャンプ!!》

「変身ッ!!!」

 

 

 アベンジドライバーの口を閉じ、《Tasty!!》という音と共にアーマーが形成され、稲森は仮面ライダーアベンジへと変身する。

 

 

《START!! アベンジ!!》

「ハッ!!」

 

 

 まずアベンジは近くにいた怪人を蹴り飛ばして他の敵を巻き込むと、もう1人近くにいた怪人を軸にして回転し周りを吹き飛ばした後、軸にしていた怪人に膝蹴りを喰らわせる。

 

 

「な、なんだこいつ……!!」

 

「アホ!! 仮面ライダーアベンジだ!! 一筋縄で行くと思うなよ!!」

 

 

 再び怪人達はアベンジの周りに集まり逃げ場を埋める。

 アベンジは囲まれながらも、モグロウに助けを求めず周りの逃げ遅れた人々の避難を頼んだ。

 

 

「モグロウッ!! ここは僕に任せて市民の避難を!!」

 

「おう!! 言われなくてもやってるぜ相棒!!」

 

 

 そしてアベンジとモグロウは互いに頷き合い、アベンジは怪人達を凄まじい脚力を駆使して蹴り飛ばしていく。

 

 

「ファングさんの件、詳しくお話を聞かせていただきますよ」

 

「1人でこの大勢やる気かよ!!? 笑っちまうなぁ!!?」

 

 

 確かに人数は多いが今は自分しかいない。やるしかない。

 アベンジは再び敵陣へと飛び込もうとすると、背後から矢と火の玉が飛んできて顔を掠め怪人達に炸裂する。

 

 

「これって…」

 

「── 全く運がない怪人ね。あなた」

 

「あ、陽奈さん!!」

 

「私もいますよー!!」

 

 

 そこには基本形態に変身したエースとクインの姿があった。

 ニュースを見た陽奈は急いで楓を呼びつけた後、ダッシュウェポンで楓の元まで急いで向かって、そのまま広場まで直行したらしい。

 だが、そんな経緯はどうでもよく、今はとにかく目の前の怪人達を止めなければならない。

 

 

「おっと俺を忘れんなよ!! それと周りの奴らは避難させたぜ、イナゴッ!!」

 

「さすがモグロウ!!…… じゃあ行こう!! 皆さん!!」

 

「おう!!」

「えぇ!!」

「はい!!」

 

 

 そして横一列に揃ったアベンジたちは掛け声と共に走り出し、怪人たちもそれと同時に走り出した。

 互いに遂にぶつかるといった所で、その中央に何者かが飛来する。

 

 

「な、なんだ!!?」

 

 

 中央に降り立った何かに皆が揃って立ち止まる。

 その姿は砂埃が立って見えないが、徐々にその姿が露わになるとアベンジたちは驚く。

 

 

「ファ、ファングさん……!!」

 

「………」

 

 

 そこには再び怪人達に攻撃を仕掛けるよう命令した張本人、ファングの姿があった───。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「何故、あなたがこんな所に…… いや、そもそも何故戦争を!!? 僕たちはもう争う必要はない筈です!!」

 

「……… そんな話しがあったなぁ」

 

「え…?」

 

 

 ファングは以前と変わらなく人間態の姿であるが、ユラリと脱力しながらアベンジ達に近づいていく。

 

 

「イナゴ。貴様は戦いをやめるよう俺に言ったな?」

 

「はい…」

 

「俺は… 俺たちは戦争を止め、人間達と幸せに暮らす…… と、決めたな?」

 

「そうです… だからこんなのおかしいですよ!! 僕たちに戦う理由なんてもう───!!」

 

「戦う理由なんて? あるに決まっている。俺たちはあの件に納得いくはずがない。全部演技に決まっているだろう」

 

「そ、そんな…… だってあの時……」

 

 

 そしてファングはニヤリと微笑み、アベンジ達に背中を向けて話し始める。

 

 

「俺たちの戦いは今に始まったわけではないはずだ。エースがまだ生前の頃、どれだけの犠牲を出し、どれだけ血で血を洗う戦いをしていたか貴様らがよく理解しているはずだ」

 

「だから僕たちはその連鎖を止めるために誓いました!! あの時!! あの場所でッ!!」

 

「誓ったからなんだ? 現に我々はかつては条約を結んだが、結局簡単に破ってしまっただろう? 怪人も人間もどちらも愚かな生き物。争わなければ得られないものもある… だろ?」

 

 

 その言葉にアベンジは何かが引っかかった。

 とても聞いた事があり、もう2度と聞くことはないと思っていた誰かが脳裏に浮かんだ。

 

 

「…… なぜ、そう人事に言ってるんですか?」

 

「人事とはなんだ? 俺は自分の主観で言っているだけだが?」

 

「今のファングさんはどうかわかりませんが… 少なくとも彼なら人間を否定するはずです。ですが、あなたはそれを人事のように、まるで自分が別の第三者としての視点で見てきたような言い方です……」

 

「何が言いたい?」

 

「ファングさん…… いや、あなたは一体誰なんですか…?」

 

「…………」

 

 

 ファングは再びニヤリと笑う。

 そうだ。この笑い方もどこか見覚えがある。唯一見たくもない笑顔だ。

 

 

「ちょっと稲森!! あなたさっきから何を言ってるのよ──」

 

「陽奈さん。あれはファングさんなんかじゃない…!!」

 

「は? どう見たってファングでしょ!? あなただってファングなら否定するって……」

 

「そうです。ファングさんならもっと堂々として… それはまるで王のようでした。首領がいなくなってもやって行けると言うほど、とても気高い方です。僕にも何故かはわからないんですけど、心の底から彼に対して恐怖と… 怒りが湧いて来るんです」

 

「どういう事よ…?」

 

「でも、はっきりとわかる事はこの笑顔から嫌な感じがするんです。僕らがよく知る人と全く同じ笑顔なんです!!」

 

「私たちが知ってる? 誰よ? あれがファングじゃないって言うならなんだって言うの!」

 

 

 アベンジは前へと出ると、ファングを睨み付けながら握り拳を作り彼に問う。

 

 

「あなたは一体誰なんですか?」

 

「……… くふふっ」

 

 

 ファングから聞いたこともない含み笑いが聞こえたかと思うと、アベンジの肩をポンと叩いて手を挙げながら天に向かって笑い始めた。

 

 

「な、何がおかしいんだ!!」

 

「はははははっ!!…… いやいや、まさかこうも早くバレてしまうと、私の演技力も観察力も反省点が多いですねぇ?」

 

「…… こ、この喋り方…!!」

 

「おや? 私の喋り方だけでわかってしまいます? 私も随分濃いようですね」

 

 

 その言葉遣いを聞いてクインはわからないようだが、モグロウとエースだけはこのファングが本当は誰なのか察しがつき、身体を震わせて驚きを隠せないようだ。

 

 

「あなたは亡くなってしまったはずです… 何故、あなたがファングさん何ですか!! ファングさんは何処なんですかッ!!!」

 

「おやおや相変わらず質問が多いお方だ。その質問に今からお答えしてあげましょう。私は優しい研究者ですから」

 

「あなたにはもう会いたくもありませんでしたよ… 本当は頼りたくもなかった…… 説明してください!!! ()()さんッ!!!」

 

 

 そしてファングは─── 否、班目はニタリと笑う。




はい! 最終章としては十分でしょう!
… という事で皆さんお察しの通り只今帰還!! 班目!!!
帰って来ないで…来ないで…… 一体どういうことなのか? 次回に続く!!

次回、第39話「暗躍なプラン」

最終回まで残り── 5話
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