仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、陽奈から逃げて完全に反逆者の一人として見られてしまった稲森。そんな状況で病院が襲われているとモグロウに言われ救助の応援に駆けつける。そこで少女を助ける為、アベンジへと変身し、この事件の犯人であるバートンと対峙する事に……

それではどうぞご覧ください。


第3話「飛行がペリカン」

 アベンジは飛んでいるバートンの元へと、強靭な脚力でジャンプし彼を蹴り飛ばした。

 この蹴りをくらってしまったバートンであったが、地面に落下する直前に態勢を立て直して再び空へと舞い上がる。

 

 

「まーたくらっちまったぜ畜生…!! お前はなんなんだぁ?」

 

「… 僕はジェスターです。今は仮面ライダーですけど!!」

 

「ジェスターだと…!!? いや待てよ… 前に反逆軍の技術の野郎がライダーシステムを奪っただかなんだか話していたなぁ…… まさかお前が?」

 

「残念ですが僕は違います。反逆者でもなんでもない… ただの平和主義者です!!」

 

「ちっ、訳わかんねーなぁ? まぁいい。邪魔をするなら消すだけだ!!」

 

 

 それからバートンはアベンジが着地する前に、彼に攻撃を与えようと翼を畳んで急降下を行う。

 しかしアベンジはそれをギリギリの所でかわして見せると、そのままバートンを掴んで地面に激突させる。その衝撃を利用してアベンジは十分な距離まで後退して身構えた。

 

 

「… お前素人じゃねーなぁ? 戦い方がわかってるって言うか知っている感じだ」

 

「仮面ライダーになったのつい最近なので、それまで本気で殴り合いというか、そもそも人や怪人殴ったことないというか…」

 

「はぁ??? そんなんであの攻撃が避けられる訳ねーだろうが!! ホント色々訳わからねー野郎だなぁ!!」

 

 

 するとバートンは再び飛び立ち、アベンジの真上まで来ると翼を大きく広げて羽ばたかせる。爆発する羽が雨のように降り注ぎ、流石にアベンジもこれには対応できず、まるでイナゴように四つん這いになって必死に避ける始末だ。

 

 

「うわぁ!!? で、でもあの高さなら届くぞ!!」

 

 

 その脚力を活かしてバートンの元へと跳び上がる。腕を伸ばして掴める位置まで来たが、バートンがちょいと脚を挙げると、あと一歩のところで届かずに落下してしまう。

 アベンジは周りの壁を蹴って避けようとしたが、災難な事に届く壁がなかった。

 そしてアベンジはバートンによる羽の爆弾で追撃され、何もできずにそのまま地面へと落下してしまったのだ。それでも尚、彼の追撃は止むことはない。

 

 

「ぐわぁぁぁぁぁ!!!」

 

「はぁっ!! そう何度もくらうかってーの!! それにお前は虫。俺は鳥! 弱肉強食の世界においてお前は俺より格下! 勝てる訳ねーんだよ!!」

 

 

 どこにも突破口がない状態。無理やりジャンプして避けようと考えたが、立つ事すらままならない。

 あの爆発が収まるまで待つか? と、考えたりもしたが、それまでこのアーマーは耐え切れるのか。或いは壊れてしまって殺されてしまうのか。

 必死に考えていたその時、バートンの元へと1本の矢が放たれる。不意打ちであったので、バートンはその攻撃により地面へと落下してしまった。

 

 

「こ、この矢は…!!」

 

「まさかあなたがいるとはね… ちょっと好都合かも」

 

 

 そこにいたのは変身した陽奈の姿があった。どうやらエースの持つエースガモスボウにより、バートンは撃ち落とされたようだった。

 しかしアベンジには安堵する暇もない。何故なら自分は狙われる立場。しかも彼女は好都合と言った。どちらにしろ危険な状況なのだ。

 

 

「は、羽畑さん!! 今は争ってる暇は…!!」

 

「えぇ、だからあの鳥を倒したら次はあなたよ。だから助かったとか思わないで」

 

「…… でも助かりました。ありがとうございます」

 

「とりあえず邪魔しない事。いいわね?」

 

「あ、はい…」

 

 

 エースは返事を聞いてから背中のパックを開けて4枚の大小2枚ずつ羽を広げる。まるで蛾のような羽で凄まじい速度で飛び立った。

 バートンの元へと向かうと、それを見た彼もまた飛び上がる。上空で2人は凄まじい速度で戦っているが、速度でならエースの方が勝っているだろう。

 

 

「これもう任せておけば良さそうだなぁ… この隙に避難が遅れた人がいないか探してみよう」

 

 

 それからアベンジは逃げ遅れた人の有無を確認する為、その場を離れようとしたがエースの声が聞こえて立ち止まる。声が聞こえただけならば別になんともないのだが、それが悲鳴であるなら話は別だ。

 アベンジは上空を見てみると、エースが上空で()()に纏わり付かれて落下してきている。

 

 

「羽畑さん!!? なんなんだあいつらは…!!」

 

 

 その()()とは明らかに人間ではない。怪人である事は明らかなのだが、あの一瞬で数十体もの怪人呼び出せるのだろうか。そもそもこれがジェスターであるかも怪しい。

 何故ならそれらは全て同じ容姿をしており、目は正気を感じられないほど真っ白である。言葉も発する事なく、ギギギと言いながらエースの羽に噛み付いている。

 

 

「あんなジェスター見た事ない… 助けなきゃ…!!」

 

 

 エースに邪魔をするなとは言われたが、あんな得体の知れないモノを見せられたら助けない訳がない。

 そしてアベンジはエースの元へと跳び上がったが、横からバートンが刃のような翼で切り裂いてきた。空中で避けることができるはずなく、そのまま当然のように地面へと落下していく。

 

 

「お前は退いてろ!! これで終わらせてやる仮面ライダーエース!! 首領の為にここで散りな!!」

 

 

 それからバートンは落下するエースに向かって、周りのジェスターだと思われる怪人諸共、爆発する羽をばら撒く。

 それをくらって苦しむエースを助けようと近づこうとするが、自分が爆発に巻き込まれたら二の舞になる。まず飛んでいるバートンをどうにかしなければならない。

 だが、周りにはあの高さに届くような場所がない。アベンジにとって完全に為す術がない状況だ。

 

 

「どうすればいいんだ… このままじゃ羽畑さんが…」

 

「── おやおや、お困りのようですね。仮面ライダーアベンジとしての力を使えば、バートンをどうにかできるというのに……」

 

「あ、あなたは…!!?」

 

「お久しぶりです。イナゴ…… いや、稲森さん」

 

 

 そこにいたのは稲森が仮面ライダーになるきっかけを作ったフードの男が立っていた。この激しい戦いの最中、一体どこから現れたのか見当もつかない。

 

 

「ど、どうして僕の名前を!!? あ、じゃなくて… それよりもアベンジとしての力ってなんですか?」

 

「… アベンジには陸・海・空の力を使うことができる機能が備わっています。あのバートンに対抗するならば、お分かりの通り空の力が必要です。だからこれをあなたに──」

 

 

 フードの男はポケットからアビリティズフィードを取り出し、アベンジの手にそれを置く。手に取って見てみると、それは自らが持つイナゴの絵柄が描かれたものでなく、空の力であることがわかる鳥が描かれていた。

 

 

「これが空の…… あなたは何者ですか? 僕と関係ありましたっけ…?」

 

「関係があるようで実はありません。ですが、ジェスターの中でなら関係あるかも知れませんね… 首領とか」

 

「首領… 首領? え、えぇ!!? どういうことなんですかちょっと!!?」

 

「ほら早くしないとエースが危ないですよ」

 

「と、とりあえずありがとうございます」

 

「いえいえ… では、私はこの辺で失礼しますよ───」

 

 

 フードの男はそう言うと、何処かへと消えていってしまった。

 そしてアベンジは急いでドライバーからジャンプフィードを取り出し、貰ったアビリティズフィード「フライフィード」を差し込んだ。

 

 

《Welcome!フライ!》

 

 

 フライフィードの音声が流れた後、アベンジドライバーの口を閉じてフライフィードを挟み込む。《Tasty》という音と共に周りに鳥が群がると思っていたが、鳥の群れどころか姿が見えない。

 

 

「あ、あれ? おかしいな… 一体何処に…… えぇっ!!?」

 

 

 後ろを振り向くと、そこには大口を開けたペリカンが1匹アベンジの後ろにおり、次の瞬間ばくりと噛まれる。ペリカンの口内で悲鳴を上げるアベンジの身体に、別の装甲が形成されていく。

 それに気づいたバートンは、一度攻撃をやめてアベンジの方に身体を向ける。

 

 

《Tasty!!》《The sky is mine!!》

《START!! フライアベンジ!》

「ぎゃぁぁぁぁ…!!! あ? 姿が変わってる…?」

 

「なんだそりゃ? 今度はお前の方だぜ裏切り者がよ!!」

 

 

 バートンはアベンジ目掛けて爆弾を降らす。

 だが、その瞬間に背中についているバックパックから翼を出し、空へと飛び立って攻撃をかわした。エースまでとはいかないが、素早い動きでバートンへと近づいてその翼ですれ違い様に斬り裂く。

 

 

「ぐはぁっ…!!? 空が食べるようになったのか!?」

 

「よし!! これならやれるっ!!」

 

 

 アベンジはその鋭い翼でバートンを切り裂いていくが、ただやられたままの彼ではない。同じくバートンも自らの翼を使い、空中で2人は翼をぶつけ合う。

 空中戦ではやはり上手か。バートンの方が次第に優勢になっていく。

 

 

「空中が初めてな奴に俺が負けるわけねーよなぁ?」

 

 

 続いてバートンはアベンジの周りを旋回し、隙を見つけてタイミングよく爆弾を降らせる。籠の中の鳥とはまさにこの事だろうか。アベンジはバートンの動きについていくことができずに、ただその身に攻撃を受けている。

 

 

「こ、こんな展開ありッ… ぐぅ!!」

 

「ほらほらどうした!!? 何もしないなら…… ここで決めてやるよ!!」

 

 

 ここで確実に終わらせるらしい。翼を広げて爆撃する準備をしている。

 しかしアベンジはその瞬間を見逃さなかった。バートンが羽を広げた時、ほんの少し動きが止まり隙が生まれるのだ。

 それからアベンジは急上昇してバートンの上を取り、アベンジドライバーの上部を叩く。

 

 

「なんだとっ…!!?」

 

「これで終わらせますッ!!!」

 

 

 アベンジの脚がまるでペリカンの大きな口のようになり、その口を大きく開いてパクリとバートンを飲み込む。そうして自分を軸にしてグルグルと回転し遠心力を与え、思いっきり地面に向けて吐き出す。

 

 

《GOODBYE!! フライアベンジタイム!!》

「はぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 そしてバートンは地面に無様に倒れる。どうやらこれで本当に終わったようである。誰も死なせずに勝利を掴めた事をアベンジは嬉しく思う。

 

 

「や、やった… でもこのままだとバートンは羽畑さんにトドメを刺される… どうしよう…」

 

 

 その時、後ろからアベンジの顔スレスレに矢が飛んできた。後ろをゆっくり振り向くと、そこにはエースが立ち上がってこちらを狙っている。

 最悪な事態。最悪な選択がアベンジに向けられる。エースを倒してバートンを連れて逃げるか。バートンを見捨てて自分は逃げるか。

 

 

「あなたからでもいいんだけど? そうね… その鳥怪人を渡したら今日は見逃してあげてもいいかもね」

 

「無事でよかったです。でも彼は渡せません」

 

「… そう。それが答えね」

 

「だからと言って僕もあなたと戦う気はありませんよ」

 

「え? どういう意味──」

 

 

 そしてアベンジは地面を抉るように蹴って、エースの視界を遮ると、バートンを抱えて飛び立った。

 急いで追おうとするエースであったが、その時すでに射程外におり、今飛んで追ったとしても追いつかないだろう。

 

 

「…… まぁいいわ。次は必ず倒すだけだから」

 

 

 そう言ってエースは周りに巻き込まれた人がいないか探す事にする──。

 

 

 

 

>>>>>>>>>>>>>>

 

 

「さて、この方をどうしようかモグロウ?」

 

「それ俺に聞くかよ…… どうするもこうするも縛り付けておくしかねーだろ…」

 

 

 とある建物の中で稲森とモグロウは、バートンを柱に括り付けて話し合いをしていた。連れてきたのはいいが、その後の事を何も考えていなかった稲森に対し、モグロウは深いため息をつく。

 

 

「お前がどのジェスターよりも優しいのはわかる。もちろん殺そうとかは思わないそうだろう?」

 

「… 僕はアベンジになってからライナー… ジェスターの1人を殺してしまったんだ。だからもう2度と仲間を傷つけたくないんだ」

 

「わかってはいるんだがよ? こいつは反逆者で俺たちを殺そうとしたんだぞ? お前がやりたくないってのもわかるが…… まぁ、そうだな。俺の言い方が悪かった。で、問題はこいつをどうするかだな」

 

 

 2人は頭を抱えて暫く話し合うと、1つの結論に辿り着いた。とりあえずバートンが起きたら真剣に話し合ってみようという事だ。

 そしてバートンは目を覚ます。暴れるバートンをなんとか宥めて話に入る。

 

 

「…… それで俺をどうするつもり?」

 

「率直に言えば、もうこのまま大人しくしていてもらいたいんです」

 

「お前それ本気で言ってんの? 無理な話だよ。俺はエースが来たら倒すつもりでいたし… 逆に死ぬつもりもあったさ。半端な覚悟であいつとやり合えるかっての。つまりはあいつを倒す為なら俺は再び立ち向かうって事」

 

「そんな… あ、そういえば羽畑さんに何か付いてましたけど… あれは何ですか? ジェスターなんでしょうけど、あんな気味が悪いもの見たことありません」

 

「それもそのはずだ。あれは『ウィンプジェスター』。捨て駒みたいなもんだ」

 

「ウィンプジェスター…?」

 

「この際だから教えてやるよ。どーせバレるんだからな…… あれが今日実戦で初めて使った。特殊なカプセルを割る事で一個に付き一体現れる。()()()()()ってやつか?」

 

「人工生命体!!? 造られたモノってことですか!!?」

 

「あぁ、もう何百個と量産されているはずだ。いくらエースが足掻こうと結局数で負けるさ。それが俺たち反逆者… 『リゲイン』の科学力ってやつだ!」

 

「反逆者リゲイン… そんなチームが……」

 

「選りすぐりの奴ら… 俺も含めてそういう奴らが集う。他の反逆者共より格上、謂わば幹部みたいなもんだ。そして俺たちはある奴の命令で動いている…」

 

「ある奴…?」

 

「かつて首領の側近だったそのジェスター……」

 

 

 その発言にモグロウは顔を青ざめた。稲森はよくわからなかったが、モグロウの怯えようからただ事ではないと察しがついた。

 そしてバートンからその名が告げられる。

 

 

「その名は──── 『ファング』だ」




バートンの言うファングとは……?

次回、第4話「大嫌いなジェスター」

それでは次回も逆襲しましょう!よろしくお願いします!
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