仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、少しずつ平和を取り戻す栄須市に再び怪人達が暴れ始め、近くに居合わせた稲森達は現場へと向かう。その怪人達はファングに命令されたと驚きの言葉と共に戦闘を開始する。その後、ニュースを見て駆けつけた陽奈と楓、そして人々の避難を終えたモグロウが揃い、第二ラウンドといった所で現れたのはファングであったが、彼はファングではなかった…

それではどうぞご覧ください。


第39話「暗躍なプラン」

「説明してください… 班目さん!!」

 

「えぇ、お話ししますよ? それはもう全て」

 

 

 この喋り方と立ち振る舞い方は誰がどう見てもわかる。班目だ。

 しかし、彼はファングの手により殺され、その生涯を終えたはずだった。死んでしまったはずだ。

 なのに、彼はこうして再びアベンジ達の前へと立っている。

 

 

「まず何故殺されたはずの私が生きているのか」

 

「………」

 

「はい。確かに私はあの時死んでしまいました… が、それは私のコピーが死んだまでに過ぎないんです」

 

「コピー…?」

 

「私はファングさんに殺される事なんて最初からわかってたんです。ポーカドライバーに楓さんと同じように、きっかけがあれば簡単に自制が効かなくなる装置を付けておいたんです。理由はお分かりですよね? そうです。戦争を激化させる為です」

 

「じゃあ… 今まで僕たちに協力してきたのってまさか……!!!」

 

「もちろんお気づきでしょうけど、リジェクトは戦争の前触れであり、あなたがエスポワールを手にしたのも想定済みでした。だって開いたでしょう? あなたに反応して私の机がパカっと」

 

「モグロウも… 楓さんも… 陽奈さんも…… そして月火さんも、皆んな、皆んな!! あなたの策略で苦しめられたって事なんですかッ!!!」

 

「えぇ、もちろん」

 

 

 アベンジは班目の襟を掴み上げる。

 その顔は仮面に隠れて見えないが、彼が一生見せないであろう程の怒りの形相であった。

 

 

「ふざけるなッ!!! お前のせいでどれだけの人が苦しんで、その命を失ってしまったか…… 皆んなお前がッ!!! お前がぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

 

「… 話しを戻しましょう。私のコピーは殺されましたが、本体である私はデータ化し、ファングさんのポーカドライバーに内蔵しました。そこで時が来たらファングさんの身体を乗っ取ろうと考えてしましたよ。これまでの戦いもお話しも全て把握済みです。いやはや、まさかこんなに早く片付くなんて思いませんでしたよ」

 

「何が… 何が目的だッ!!」

 

「変わりません。戦争を行います」

 

 

 アベンジは班目を押して蹴り飛ばし、殴りかかろうとするが、モグロウが羽交締めにして彼を止める。

 

 

「馬鹿野郎落ち着け!! あいつの言葉にノせられんな!!」

 

「… ッッッ!!!」

 

 

 それから班目は服をパッパッと軽く払って立ち上がり、再びニヤリと笑う。

 

 

「全くこの身体はファングさんのものですよ? そんな風に扱ったら彼が死んでしまう…… あ、私もですね」

 

「…… これから戦争を起こすなんて無駄だ。ジェスター達はファングさんの命令で動いたつもりだった。でも、今のあなたはファングさんではなく別人だ。彼らはお前のいうことなんか聞いたりしない!!」

 

「ほう… そうなんですか? 皆さん?」

 

 

 班目が振り向いて怪人達に問うが、誰1人として彼に従おうと言うものはいなかった。

 寧ろその逆でファングを乗っ取った班目に対する怒りが湧いているように見える。

 

 

「おやおや… 私も嫌われ者ですねぇ」

 

「… でも、終わりだ班目。ここにいる皆んなはお前の敵だ。お前の計画は失敗に終わるんだ!! ここにはお前を倒す武器がある!! 勝てるわけない!!」

 

「あー……… まぁ、そうですね。この場合、完全に不利なのは私ですが───」

 

「…?」

 

「稲森さん。私があなたに渡したエスポワール。その意味をご存知で?」

 

「意味って…?」

 

「当然それは私があなたの為に作ったものですが、私はそもそも個人の思惑だけで動いております。故にそれはあなたにとっての希望ではない。私の希望です…… 『希望へ跳ぶ』。本来なら人間や怪人の憎しみを吸い取る力だったんですけど、どうやら別の用途で使われたようなので本当に想定外でした」

 

「あなたはどこまで人を馬鹿にできるんだッ…!!!」

 

「馬鹿にはしてません。私の欲を埋めてくれる大切な存在だと認識してます」

 

「班目ッ…!!!」

 

 

 そして怪人達とアベンジ達は互いに標的を班目へと移す。

 誰がどう見てもこの状況は彼にとって最悪の事態であるはずにも関わらず、彼は至って平然としており余裕と言った感じでニヤリと笑う。

 

 

「─── そうですね。いいでしょう」

 

「ん?」

 

「今から私はあなた達を殺さない程度に倒します」

 

「何を言ってるんだ…?」

 

「戦争をするのを見るのが楽しい。私はそう思ってました… しかし、それは間違った認識なんです。本当の私は戦争をしたかったんです。この身と私が造り出したこの仮面ライダーの力で」

 

「ライダー… 仮面ライダーだって!?」

 

「つまりは私自身が戦う仮面ライダーとなればいい話しだった────怪人の細胞を埋め込んだ私とファングさんの肉体があればそれは可能となります。さぁ、始めましょう。本当の戦いを!! 戦争を!!」

 

 

 班目はそう言うと腰にポーカドライバーを装着する。

 本来ここでカードを挿入するが、それとは別に大きめのアイテム《ロイヤルフィード》を取り出すとそれを2つに分けてドライバーの両側へそれぞれ差し込む。

 すると、ポーカドライバーの待機音の他に禍々しい音が入り込み、まるで地獄をテーマにしたかのような音が流れ始めた。

 

《ロイヤルエックス!! スペイドハートクラブダイヤ!! ベット!!》

「見せてあげましょう。これが私の集大成です」

 

 

 そして班目はポーカドライバーの両側に手を置き構える。

 

 

「─── 変身」

 

 

 ポーカドライバーを開くと、マスタースペイドウェポン・ハートウェポン・クラブウェポン・ダイヤウェポンのアーマーが班目の周りに形成し、それらが入り混じって新たな装甲を彼の身体を覆った。

 班目は仮面ライダーキング ロイヤルエックスウェポンへと変身したのだ。

 

 

《Let's call!! ロイヤルエックス!! ジャック!! クイン!!キング!! エース!!》

「エース、ジャック、クイン、そしてキング。全ての力が混ざり合った最強のライダー。さて、見せてください。皆さんの力を私に」

 

 

 皆がその光景を目の当たりにし、誰1人としてキングに近づこうとするものはいなかった。

 それは目の前の全てが組み合わさった何かに触れる事への本能的な逃避。あれだけは近づいてはいけないと身体が拒んでいる。

 

 

「先ほどまでの威勢はどうしたんです? 何か恐ろしいものを見てしまった… という風な顔をされてますが?」

 

 

 誰1人として動こうとしなかった中、1人の怪人が意を決して飛びかかった。

 

 

「ファング様を… 返せぇぇぇぇッッッ!!!」

 

「…っ!! 待ってください!! それに近づいては───!!!」

 

 

 その一瞬だった。一瞬でその怪人の姿が跡形もなく消し去った。

 キングはただ怪人に触れたように見えた。触れただけで他に小細工をしたようには見えない。

 誰もが目を疑い、驚き、恐怖した。本当に恐ろしい敵は誰だったのかと再認識させられる。

 

 

「な、何をしたんだ……?」

 

「私はただ優しく触れただけです。まぁ、触れずともあの程度なら吹き飛ばせますがね」

 

「… 吹き飛ばす?」

 

「新たなキングはライダー達の既存の能力に加え、そこへロイヤルエックスウェポンの能力も加わりました。その力はテレポート。自分にも応用可能ですが、まだ試験段階でしたのでやめておいたんです。しかし、どうやら成功したようで良かったと言いましょうか」

 

「テレポートって事は… あのジェスターさんをどこへやったッ!!」

 

「宇宙に捨てました。安心してください。どうせ死にます」

 

「班目… お前はどこまで命を侮辱するんだッ…!!!」

 

「尊い命は尊く消える。だからこそ美しく面白い。稲森さん。あなたもそうは思いませんか?」

 

「思う訳ないだろッ!!!」

 

 

 アベンジに続きエース、クイン、モグロウ、それから怪人達までも飛びかかっていったが、キングはそれに対して笑みを浮かべて両手をバッと広げると凄まじい衝撃波が飛んで全員を包み込んだ。

 そして気づいた時には変身が解除され皆が気を失った。

 稲森は気を失う前に最後に見たのは、変身を解除した班目が稲森を見てニヤリと笑った姿である────。

 

 

 

 

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 再び陽奈の実家に集まった陽奈、稲森、楓、モグロウの4人であったが、復活というか復元した班目と新たな力を手にした仮面ライダーキング。

 終わったかに思えた班目という課題が浮上し、更にそれは4人の問題ではなく、人間も怪人も関係なく巻き込んでしまう程の規模の話し。たった1人の人間がそれを実現して見せているのだからこれほど恐ろしい事はない

 あれを止める術は他にない。エスポワールだけなのだろうと。

 

 

「とんでもない展開になったわね… 稲森、あなた大丈夫?」

 

「…………… あ、はい?」

 

「全く… 話し聞いてた?」

 

「えぇ、はい…」

 

「どうせ、班目の事でしょう? あいつの言う事一々気にしてたら身が持たないわよ」

 

「… そうじゃないんです」

 

「そうじゃないって…… あなた班目に対して怒ってるんじゃないの?」

 

「班目に対しては強い怒りがあります。今までの自分ではあり得ない程の怒りが込み上げてくるんです。でも、その怒りは班目もそうですけど、自分への怒りでもあるんです」

 

「自分への?」

 

「…… 僕は班目を本気で殺そうと思いました」

 

「…………」

 

 

 稲森の口から発せられたのは、彼が絶対に人に対して使わない言葉であった。

 そんな言葉を使わせてしまうような男が班目。彼こそがこの戦争や皆んなを狂わせた張本人なのだから。

 

 

「班目を止めなきゃならねーな」

 

「そうですよ皆さん! 私たちが力を合わせればどんなに強い敵だって勝てちゃいます!」

 

「おうよ!!…… と、楓に賛同したいのは山々だが、問題なのはあの強化されたキングの力をどうにかしない分にはこっちに勝算がねーよ……」

 

「はうぅ…」

 

 

 モグロウはネガティブな意見を言って長い溜息を吐き、楓は眉毛が垂れ下がり俯いてしまった。

 その状況を見兼ねた陽奈は手をパンッと叩いて、全員を自分の方へと向かせる。

 

 

「ちょっとあなた達なに弱気になってるのよ!! こっちにはあいつがわざわざ残してくれたエスポワールジャンプフィードがあるわ!! これが私たちがあいつに勝つ為の鍵よ!!」

 

「確かにあの時は感情が昂ってしまってエスポワールを使ってなかったです」

 

「でしょ? まだやってもいないのに諦めるとかある? ないわ!! 絶対に私たちで勝ち取らなきゃいけない。私たち以外にやれる人はいない。無駄と決めつけてやらないより、やって無駄って分かった方が何倍もマシでしょ!!」

 

「… はいッ!!」

 

「いい返事ね。それじゃあ次に班目が現れた時まで準備をするわ。堂々と研究所にいるほど馬鹿じゃないと思うし、暫くどこかに身を潜めてあっちも準備するはず! 頑張りましょう! 私たちで本当の戦いを終わらせるの!!」

 

「終わらせましょう… 世界に本当の平和を取り戻す為に!!」

「あぁ!! 全員が笑って何度も明日を迎えられるようにしようぜ!!」

「よ〜し、班目に勝ったら皆んなで鍋パーティーしよう!!」

 

 

 4人はテーブルを中心に右手を前に出し、重ね合わせて互いに頷き合い、班目を止める為の最後の戦いに覚悟を決め合う────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 予想外に班目は自分の研究所にて机に座り、この先の事を考えていた。

 ここまで来るのに随分と長い時を経て、やっと実行に移せたと思ったが、稲森の進化、陽奈の成長、楓の愛、モグロウの決意は予想の遥か上を行き、何もかもが想定外の結果を生んでしまっていた。

 しかし、それも最早布石でしかなかったのだ。このキングの力で再び戦争を引き起こす。

 人間と怪人の戦争ならぬ、1人と大勢の戦い。これほど興奮するものは他にない。

 

 

「いち早く戦いたいものですが… さて、稲森さんがエスポワールの力をどれほど使いこなせるかによって、私との戦いは相当な苦戦… 下手すれば死に繋がります。あなたは一体どれほど私に見せてくれるのでしょうか。楽しみです」

 

 

 班目はニヤリと笑い、研究所を後にした。

 本当に倒すべき相手を見出した今、稲森たちが目指す平和の為に最後の戦いが幕を開ける──。




はい、後たった数話で完結です。
こうして終わりに近づくとやはり寂しいものです。

次回、第40話「笑顔がバック」

次回もよろしくお願いします!!

最終回まで残り── 4話
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