仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、ウィンプジェスターが大量に出現し処理に追われていた稲森達。そこへ変わり果てた首領が登場し、襲われるかと思いきや稲森を工場へと呼び出す。それは首領ではなく、死んでしまった筈の月火だと判明。彼は稲森達に全てを託し、責務も全うする為に何処かへと去っていった。そして外で爆発音が聞こえ、陽奈からの連絡で中央広場へ向かうとそこのモニターに班目が映っており…

それではどうぞご覧ください。


第41話「本当のビギニング」

 班目が世界を壊すと告げた途端、再び街のあちこちが爆発し始めた。

 人がいようが、怪人がいようが全くそれを意に介する事なく、無差別に攻撃し始めたのだ。

 その発生源こそウィンプジェスターだった。ウィンプジェスターの1匹が爆発し始めると、それに続いて次々と爆発の連鎖が行われる。

 

 

「やめろッ!! 班目ッ!!」

 

「---やめろと言われてやめる人だと思いますか? では、私は作業に戻るので皆さん死なないように頑張ってください。応援していますよ」

 

 

 班目がモニターの電源を切ると、稲森達は急いで市民の避難誘導を行いこの場から離れさせようと試みる。

 しかし、ウィンプジェスターの数は今までの比でなく、世界を壊すという言葉そのものの通り、彼らは予告なしに突然光ったかと思うと自爆するのだ。

 

 

「稲森!! 私と楓は市民の避難優先するから、あなたとモグロウはその自爆怪人達をどうにかして!!」

 

「はい!! 陽奈さんも気をつけて!!」

 

 

 稲森と陽奈はその場で別れると、稲森はモグロウを連れてウィンプジェスターが集中している場所へと走り出す。

 

 

「さーて、あのクソ野郎をぶん殴りたいのは山々だが、まずは目の前のものを片付けねーとな」

 

「うん。あいつだけは絶対に僕の手で倒す… 絶対に」

 

「…… あんまり力み過ぎんなよ」

 

「大丈夫! さぁ、行くよ!」

 

「あぁ!」

 

 

 稲森は走りながら腰にアベンジドライバーを巻きつけ、エスポワールジャンプフィードを装填し構える。

 

 

「変身ッ!!!」

《Tasty!!》

 

 

 エスポワールジャンプフィードを上部から叩くと、白く輝くアーマーが形成され、稲森の身体に装着される。

 

 

《Jump over the wall of fate!!》

《I am an avenge, a person who keeps hope!!》

《START!! エスポワールアベンジ!!》

「すぐに終わらせる!!」

 

「ちょ、速っ…!?」

 

 

 アベンジは並行に走っていたモグロウを一瞬で抜き、空中で何度も空を蹴って複雑に動きながらウィンプジェスター達を1人1人確実に蹴り倒していく。

 その速さにウィンプジェスターは何が起こったのかという理解が追いつかずに爆散する。

 どうやらこちらから倒す分には、通常通りの爆散するだけで周りを破壊するほどの威力の爆発はないようだ。

 

 

「俺も負けてられねーなッ!!」

 

 

 モグロウは負けじとウィンプジェスターを両腕の鋭い爪で切り裂き、ずらずらと周りを囲んで来ようものなら、地面に穴を掘って後ろを取り、1人1人を穴に埋めて爪で突き刺す。

 

 

「よっと…!! はぁぁぁぁっ!!!」

 

 

 そしてアベンジは地面に降り立って両脚にグッと力を入れると、機械を起動したかのような音が鳴り出し始め、次の瞬間アベンジがいた地面が盛り上がり、アベンジの姿が消えている。

 一瞬で見えなくなった彼を追う事は誰もできず、気がついた時には大量のウィンプジェスターが空中を舞っていた。

 

 

「これで決めるっ!!」

 

 

 再び天高く舞い上がるアベンジはエスポワールジャンプフィードの上部を叩き、エネルギーを帯びた足で空を蹴り、凄まじい速さで敵を蹴り飛ばし爆散させていく。

 

 

「はぁぁぁぁぁ!!!」

 

 

 空中に打ち上げられた大量のウィンプジェスターはアベンジの必殺技により、1匹残らず花火のように爆散した。

 それから地面に着地したアベンジは、モグロウが戦っているところへ乱入し、瞬く間に敵を一掃していく。

 

 

「おいおい俺は必要かよ!?」

 

「必要だよ! いつだって!」

 

 

 そう言ったアベンジは残りのウィンプジェスターに対して、近くにいた1匹をまるでサッカーボールのように蹴り飛ばして一箇所に溜まっていた敵を纏めて粉砕する。

 

 

「…… どの口が言うんだ… ったく。にしても、なんて脚力だ。今までのアベンジの力とは思えねーな」

 

「うん。本当に強いよこれ… これも班目が本来なら戦争に使う為のものだったって思うと、これほど恐ろしいものはないよ」

 

「あいつ本当に才能の無駄遣いってやつをしてやがるな。いい例として辞書に載せてやりたいくらいだ」

 

「確かに…… もうここら辺は大丈夫かな」

 

「とりあえず見た所は大丈夫そうだ。まさかこんな早く片付くなんてよ」

 

「早めに倒さないと市民の避難が落ち着かないからね。それに班目がいつ大きなものを仕掛けてくるかわからないし…」

 

「あいつの言う準備ってのが気になる。最後の仕掛けって奴だろうな… これほどいらないサプライズあるかよ」

 

「とにかく班目の居場所を突き止めて早々に倒したい… 絶対に倒すんだッ!」

 

 

 アベンジが班目を思い浮かべ握り拳を作ると、モグロウはそれを見て無言で頷く。

 それから2人は陽奈たちの方へと向かおうとするが、目の前に再びウィンプジェスター達が音もなく突然に現れた。

 

 

「そんな…!?」

 

「一体どこから湧いて出やがったこいつら…!!」

 

「何度も現れるなら、何度も倒すだけだ────」

 

 

 ───と、アベンジが瞬間にモグロウの目の前から消えていた。

 モグロウは驚いて周りを見渡すもアベンジの姿はどこにも見られなかった。

 

 

「おい!! イナゴどこ行った!!? イナゴッ!!!」

 

 

 名前を呼ぶが彼はどこにもいない。返事すらも返ってはこない。

 先程のスピードで別の場所へと跳んでいったわけがないとするなら、答えは簡単だった。こんな一瞬でこの場から消せるような男がいるじゃないか。

 

 

「班目の野郎ッ…!!!」

 

 

 班目に怒るモグロウを構わず、目の前のウィンプジェスター達は近くにいた仲間を吸収し始め、徐々に巨大な身体を作り出していく。

 

 

「な、なんだよ気持ちわりぃ!!」

 

「ヌルルルルルル」

 

 

 モグロウの言う通りウィンプジェスターの塊はぐちゃぐちゃと気持ちの悪い音と見た目をしながら、肉塊となったその集合体から触手を生やす。

 触手は徐々に人のような手となり足となり、肉塊だったものは人の身体へと変形していった。

 

 

「う、うわぁ…… 最悪だ」

 

 

 ウィンプジェスターは1つの塊となり、それは人型の何かへと変貌を遂げた。

 

 

「お前…… なんだ」

 

「ヌルルルルルルル……」

 

 

 感情が伝わらないのっぺらぼうで、背はモグロウよりも大きい。身長は2mを軽く越えているだろう。常にグネグネとしており落ち着きがない。全く奥底が読めないそれは非常に気持ちの悪い形をしており、それでいて背筋が凍りそうになるほど不気味だ。

 

 

「どうせやるしかねーんだろ。かかってこいよ!! ぶっ倒してやる!!」

 

 

 ─── 「ストログタフジェスター」。ウィンプが集まってできた強者である。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 陽奈たちは市民の避難誘導を行い、もうすぐ全員を安全な場所へと送る事ができるという手前であった。

 これが終われば稲森達の加勢へ行けると思っていたが、どうやらそう都合良くは事が進まないようだ。

 

 

「…… っ!? 陽奈!! あれ見て!!」

 

「何よ楓ッ─── あれは!?」

 

 

 楓が指を刺した方向を見た陽奈は、その方向にいた生物に対して言葉を失った。

 何故なら、その生物というのはキメイラであることは間違いないのだが、全くそれとは違う、それよりも恐ろしく悍ましい姿となっているのだから。

 それらは右肩がスピーダ、左肩がウェイト、右半分がバートン、左半分がスイムで構成されていた。

 

 

「バートン、スイム…… それにスピーダとウェイトまで…!!」

 

「……… あら、仮面ライダーエースじゃない… 元気してたかしらぁん…?」

 

 

 すると、右肩にいるスピーダが苦しそうに口を開けた。

 

 

「あなたスピーダ…? 何でこんな姿に……!!」

 

「あらあら心配…… してくれるの…? 本当ならムカつくけど…… 今はこの姿にしてくれた班目に腹が立つ…!!!」

 

「何があったのよ……」

 

「…… ファングちゃんが班目になってから… 私たちはキメイラを完全なものにする為に… 私達そのものを使い出したの……… 最初は抵抗したんだけど… やっぱり倒されちゃった…… 本当に最悪よね…?」

 

「…… どうすればいいの?」

 

「はい…?」

 

「どうすればあなた達を助けられる!!? 何でも言って!! 絶対に助けてみせるから!!」

 

「えっ…… ふふっ… ホントにあのエースなのかしら…… びっくりよ… いいわ。教えてあげる──── 助ける方法なんてない」

 

「…… え?」

 

「助ける方法なんてないわ… 私たちが助かる道はない…… けど、唯一あなた達にやってもらいたい事があるの…… 私の意識のある内に……!!」

 

「何よ…?」

 

「私たちをあなたの手で…… 殺して欲しい」

 

 

 スピーダの言葉に陽奈は首を横に振った。

 助けられる方法がない?ならば、彼らを殺すしかない?どうしてそんな方法しかないんだと。

 

 

「嫌よ… 何でそんな事しなきゃいけないの!!?」

 

「聞き分けの悪い子ね…… あのエースそっくり……… いいから、早く殺して… じゃないとあなた達がせっかく勝ち取った平和…… 無駄になるわよ?」

 

「そんなのって…!!」

 

「昔のあなたなら考えられないわね…… 全くもう…… いいからやれぇ!!!」

 

「…っ!!?」

 

「私たちはもう持たないのよ…!!! これ以上自我を止めておくのも… この姿で班目の思い通りになるのも嫌なの…!!! だからお願い…… 私たちを楽にしてッッッ!!!!!」

 

 

 すると、スピーダの口が突然に閉じ、キメイラは陽奈達の方へと歩み出した。

 

 

「…… 陽奈」

 

「… うん、わかってるわ。やりましょう」

 

「陽奈1人に背負わせないから。私も一緒に背負っていくからね!!」

 

「ありがとう楓…… あなた達、今私が楽にさせてあげるから…… 仮面ライダーとして────」

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「─── ここは一体どこだ…」

 

 

 モグロウと一緒にいた筈のアベンジは知らぬ間に何処かへと飛ばされていた。飛ばされたというよりも移動させられたというのが正しい。

 それよりもこの場所はどこなのだろうか。先程の街並みは全くなく、それどころか周りには何もない。強いて言うならアーチ状の壁?がアベンジの周りを囲んでいる。

 

 

「なんだろうこれ…」

 

 

 壁の向こうには森林が見える。どうやらここは森林内の開けた平地らしいが、それにしても違和感があり過ぎる場所だった。

 すると、何の前触れもなく目の前に突然、キングが姿を現した。

 

 

「どうもこんにちは。稲森さんお元気ですか?」

 

「班目…… 僕をどうするつもりだ」

 

「どうするもこうするもあなたと戦う為です。本当の最終決戦というやつをしましょう」

 

「この場所を用意したのも…」

 

「不恰好ですが、1対1で戦うとするなら十分かと思います… が、あなたのエスポワールの力がどれほどのものか、私自身全く把握ができていない状況です。なので、そうですねー… 私からお願いがあります」

 

「ん?」

 

「どうか簡単に死なないようにお願いします」

《ロイヤルエックス!! スペイドハートクラブダイヤ!! ベット!!》

 

 

 班目はポーカドライバーを装着し、両側にロイヤルエックスのアイテムを装着して構える。

 

 

「変身」

《Let's call!! ロイヤルエックス!! ジャック!! クイン!!キング!! エース!!》

 

「キング…!!」

 

「稲森さんのエスポワールが未知数なのであれば、こちらもロイヤルエックスという名の未知数で対抗させていただきます。私の方の準備は整いました。最後の仕上げはあなたを倒してからじっくりと始めさせていただきましょう」

 

「準備って… お前一体何をする気なんだ!!」

 

「いつも質問が多いですよ。稲森さん!!」

 

「ぐっ…!!」

 

 

 そしてキングは自らをテレポートさせてアベンジの懐は入ろうとしたが、アベンジは咄嗟に肘でそれを捌き、右脚でキングの頭を蹴り飛ばした。

 

 

「……っと、さすがエスポワールの能力。簡単に私の硬度を超えてくる」

 

「班目…… お前は絶対に僕が倒すッ!!!」

 

「やってみてください!! やれるのならばの話しですけど!!!」

 

 

 2人の蹴りがぶつかり合い、凄まじい衝撃波を生み出し地面が割れた。

 ここにアベンジとキングの本当に最後の戦いが幕を開ける───。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「かはっ…!!」

 

「ヌルルルルルル」

 

 

 こんな化け物に勝てるのか?とモグロウは思う。

 先ほどから全く手も足も出せず、爪は折られて鼻は曲げられ、怪人態であるのにも関わらずなんて力の差だろう。

 

 

「くそがっ…… こんな所で負けてられねーのによ!!」

 

 

 モグロウは全力で殴りにかかったが、それも見事に弾かれ、その隙を突かれてストログタフジェスターの伸びてしなる腕で地面へと叩きつけられた。

 

 

「ぐわぁっ…!!」

 

「ヌルルルルルル」

 

「ヌルヌル言いやがって… 畜生……」

 

 

 はっきり言ってこのストログタフジェスターはリゲインの幹部達以上の力を持つ。

 1体1体の力は軟弱なものでも、そこへ数百体と融合すれば大きな力へと変化する。謂わば足し算なのだ。

 実質的に100vs1ではあまりにも無謀である。

 

 

「イナゴにだけ重荷を背負わさせたくない… だから強くなろうって思ったのに……」

 

「ヌルルルルルル」

 

「自分のプライド捨ててでも守らなきゃいけない事ってあるよな…!! 今から俺はそれを捨ててやる!!」

 

 

 本当はこんな物を使いたくなかった。だから誰にも言わずに隠してた。

 だけど、この状況でいつまでも駄々をこねていても無様に負けるだけだ。

 

 

「かかってこいよこの野郎…… お前らの主人のお墨付きだぞこらっ!!!」

 

 

 そしてモグロウは人間態へと戻り、腰に"ポーカドライバー"を装着する。

 

 

「──── お前に負けてちゃ皆んなにカッコつかねーからな」




それぞれの戦いが始まり始まり……

次回、第42話「絶望はディザスター」

次回もよろしくお願いします!!

最終回まで残り── 2話
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