仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。日曜の最終回まで連続で頑張りナス!!

前回、動き出した班目の策略で混沌とする戦場。モグロウの元にはウィンプジェスターが集合体となった姿ストログタフジェスター。陽奈と楓の元には原体そのものを利用して作り出された正真正銘のキメイラ。稲森は全ての元凶班目と1対1での戦闘を開始した。それぞれの最後の戦いが幕を開ける…

それではどうぞご覧ください。


第42話「絶望はディザスター」

「お前に負けてちゃ皆んなにカッコつかねーからな!!!」

 

 

 モグロウはそう言うとダイヤの描かれたカードをポーカドライバーに差し込み構える。

 ダイヤのカード。そう、このポーカドライバーはかつて班目が使用していた物だ。何故モグロウの手元にあるのか。

 それはモグロウが入院していた場所へと遡る────。

 

 

 *****

 

 入院最中であったモグロウの元に現れたのは、彼も話していた通り月火である。

 月火はモグロウの為にどういう経緯かは不明だが、裏で手を回してくれたらしく、何とか病院から抜け出す事ができた。

 

 

「…… 何であんた… 首領じゃないのか?」

 

「君が見ているそれこそが現実で、俺が月火だという事も間違ってない」

 

「それにしても何であんたは生きてるんだ? 首領は死んだって……」

 

「元々俺も復活していたさ。だけど、それは本当に中途半端だった。俺の魂はそこら辺に落ちている石ころくらいしかない。だから首領の行動を制限したり、自我を押しだりする事ができなかった」

 

「そりゃ仕方ねーよな… でも、さすが仮面ライダーエースだぜ! こうして這い出て来れたんだからすげーよ」

 

「… 怒らないのか?」

 

「あ? 怒るも何もあんたは何もしてないんだから当然だろ。悪いのはあいつ(首領など)だ」

 

「そう言ってもらえると助かる」

 

 

 そして2人はスタジアムまで着くと、そこにはあの少女や店長が入り口で待っていた。

 

 

「おっ? 久しぶりだな…… 何であの2人がここに…」

 

「彼の役に立つかと思ってね」

 

「彼?…… あぁ、イナゴか」

 

「それじゃあ俺はここまで。後は任せた」

 

「ちょ、後は任せたって!?」

 

「それは…… あ、そうだ。これを」

 

「…っ!!? おい! これって…!」

 

「ポーカドライバー… 班目の使っていた物だ」

 

 

 当然モグロウは受け取る事を拒否した。

 あの班目が使用していたものなどもらえるかと。寧ろ粉々してやりたいくらいだというのに。

 

 

「あんたに言われようと俺は嫌だ!! あんな奴の… 誰が使うかよ」

 

「頼む。君にしか託さない」

 

「でも……」

 

「時間がないんだ。頼む」

 

「…… わかったよ。ただ絶対使わねーからな」

 

「ありがとう…… じゃあ、後は頼む」

 

 

 そう言って月火は何処かへと跳んでいった。

 以降、モグロウはそれを使おうとはせず、寧ろ破壊しようと企てていたのだ。こんなものに頼らず、稲森、陽奈、楓の隣に立ってやろうと決意した。

 

 

 *****

 

 だが、もうそんな事は言ってはいられない。

 そんなプライドの為だけに、今ここでこのジェスターに負けるわけにはいかないのだ。

 

 

「本当に使う気はなかったけどよ…… お前をぶっ倒せばここにいたウィンプジェスター纏めて潰せるんだ。楽になったぜありがとよ!!!」

 

「ヌルルルルルル」

 

 

 ── 覚悟は決まった。

 

 

「これが俺の変身だッ!!!!!」

 

 

 モグロウはポーカドライバーの両側を引っ張ると、そこからダイヤのマークが現れ、モグロウの身体にアーマーを纏わせる。

 仮面ライダージャックダイヤウェポン。変身者モグロウ。

 

 

《Let's call!! ダイヤジャック!!》

「俺は絶対に倒れねぇぜ… このグネグネ野郎ッ!!!」

 

 

 それからモグロウ…仮面ライダージャックはストログタフジェスターに向かって拳を振るう───。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「「変身ッ!!!」」

《Let's try!! Let's call!! ビバ!! マスタースペイドエース!!》

《Let's call!! ハートクイン!!》

 

 

 陽奈と楓はそれぞれマスタースペイドウェポンとハートウェポンへと変身し、悍ましくも哀しい姿へと変貌したキメイラに走り出す。

 

 

「楓っ!! 私が動きを封じるから、あなたはキメイラに攻撃して!!」

 

「うん!!」

 

 

 そしてエースは重力を操作してキメイラを宙へと浮かし、クインは杖を掲げ、先の方に火のエネルギーを溜め始める。

 キメイラも抵抗を見せるが、マスタースペイドの前では身動きを取る事は容易ではなく、ただジタバタと暴れるだけであった。

 

 

「… よし!! エネルギーフルチャージっ!!!」

 

「わかったわ… じゃあお願い!!」

 

「ファイアァァァァッ!!!」

 

 

 杖に溜まった火のエネルギーを火球とし、身動きが取れずに宙へと浮かぶキメイラに向かって発射する。

 その凄まじいエネルギーはキメイラの身体を包み込み、全身を燃やし尽くす。

 

 

「……… さよなら」

 

「うん……─── ん? 陽奈、ちょっと待って」

 

 

 クインが何かに気づいたのかエースはよく目を凝らして見てみると、燃えていた筈のキメイラの身体は炎を吸収していた。

 やがて炎は全てキメイラに吸収され、その吸収した炎を両手に溜め始める。

 

 

「まさかあいつ…!!」

 

 

 その手を天へと向け、クインのものよりも更に巨大な火球を作り出し、それをエース達の方へと有無を言わさず投げつけてきた。

 

 

「まずい!! 楓ッ!!」

 

「あわわわわ…!!!」

 

 

 巨大な火球を避けたエース達であったが、地面に触れた瞬間、凄まじい爆発を引き起こして炎がエース達を包み込む。

 先ほどキメイラにした事とまるで同じ状況を作り出し、エース達はその炎の暑さに苦しまされる。

 

 

「わ、私の火球より火力が… 熱ッ…!!!」

 

「くぅぅぅ…!!!」

 

 

 エースは両手を翳して炎を飛ばし、その場を何とか凌いで見せた。

 だが、まさか奴がエネルギーを吸収する能力を秘めていようとは思わなかった。このまま普通に戦えば敗北は確実だ。

 

 

「エネルギー吸収…… 班目の奴、どこまで私たちを潰したいのかしら」

 

「大丈夫大丈夫!! 陽奈と私ならキメイラを倒せるよ!!…… 倒してあげなくちゃ」

 

「… そうね。行くわよ、楓!! あなた達すぐに楽にしてあげるから…!!」

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「うおぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 

 ジャックの拳がストログタフジェスターを殴り抜ける。

 止まらない拳の連続にこのジェスターも手も足も出せずにいる…と、最初はジャックもそう思ってはいたが、現実はそう簡単にいくはずない。

 

 

「なっ…!!」

 

 

 このストログタフジェスターはウィンプジェスター達の集合体というだけで、内に秘めている特殊能力というのは1つもない。

 しかし、純粋な力と変幻自在な身体はどれほど凄まじい力を持っていた相手だとしても渡り合えるほどの強さを誇る。

 ジェスターは腕を伸ばしてジャックの脚に絡ませると、デタラメにぐるぐるとジャックを振り回し、身動きが取れないほどの遠心力が掛かった状態で地面へと叩きつける。

 

 

「うぐっ…!!」

 

 

 その攻撃を何度も何度も繰り返し、辺り一面がジャックの叩きつけられた時にできた型ができていた。

 これはジャックだからこそ耐えられているものの、それ以外のライダーが受けるものならば装甲は割れ、変身者に多大なダメージを与えただろう。

 

 

「やられてるだけだと思うんじゃねぇ!!」

 

 

 地面に叩きつけられた時にできる一瞬の隙をつき、ジェスターの伸びた腕を掴んで思いっきり引っ張り、逆に地面へと強く叩きつけた。

 それから腕を引きちぎって後退するが、ジェスターはすぐに腕とは別に身体から何本を生やした触手でジャックを捉える。

 

 

「こいつ何でもありかよ…!! おわっ!!?」

 

 

 すると、ジャックは上空へと放り投げられ、次の瞬間とんでもないスピードで向かってきた何かに攻撃される。

 全身に響く衝撃と一瞬でわからなかったが、時間が経つにつれ脇腹に凄まじい痛みを感じた。

 

 

「いっ……!!! な、何だこれッ…!!!」

 

 

 ジャックがわからないのも無理はない。

 ストログタフジェスターはジャックを放り投げる前に、別の触手を遠くまで湾曲させながら伸ばし、放り投げたと同時に凄まじいスピードでそれを撓らせながら戻してきた。

 その威力は凄まじくジャックの装甲を見事に砕いてダメージを与えたのだ。

 

 

「今の一撃をもう一度食らうのはまずい…… がっ…!!!!?」

 

 

 バチンという音と共に再び鞭のようにしなった触手がジャックの身体を捉える。

 

 

「ぐぁぁぁぁああぁぁぁぁぁッッッ……ッッッ!!!!!」

 

 

 再び凄まじい痛みがジャックの全身に響き渡る。

 どれだけ叫ぼうと誰も助けには来ない。ジャックの頭の中には稲森や陽奈や楓、大切な人たちの顔が走馬灯のように巡った。

 

 

「………」

 

 

 そしてまたバチンという音が響く。

 次の瞬間、ジャックの四方八方から触手が見えたかと思うと、止まる事がない無数の触手の鞭が彼の身体を破壊していく。

 やがて彼を叩く音はバチンという音からビシャという液体を叩きつけるような音へと変わり、何度も打撃を与えたのちにその動きはピタリと止まる。

 

 

「………ッ」

 

 

 ジャックは何もできずにただ地面へと無様に落ちる。

 

 

「…… あぁ…… くそっ…」

 

 

 破壊された装甲の間から滴る血。薄らぐ意識。

 半分割れた仮面からストログタフジェスターが近づいてくるのが見えた。

 

 

「ははっ…… 全く俺弱っちぃなぁ… プライド捨ててあいつのお下り使ってよ? それでこうして負けちまったとか笑えねぇよ…」

 

「ヌルルルルルル」

 

 

 こんな所で終わるのか?こんな所で死ぬのか?

 

 

「くそっ…!!」

 

 

 ストログタフジェスターの腕が伸び、ジャックの首に絡まって徐々に力を加えていく。

 きっとこいつは首をへし折る気なのだろう。

 

 

「すまねぇ… イナゴ…… みんな…」

 

 

 結局ここでこいつに勝ったとしてもこの血の量だ。生き残れる可能性は…いや、あんまり期待しない方がいいかもな。

 どちらに転んでも頭の中には死という文字が浮かび上がる。死にたくはないが、死んでしまうと薄々気づいてしまう自分がいた。

 ここでこいつを倒せば辺りにいた全てのウィンプジェスターは失せ、次鋒は当分出てこないだろうという頭だったが、そもそもこいつを倒せない時点でそれは夢で終わってしまった。

 

 

「─── だけど」

 

 

 イナゴがここまで頑張ってきたのに、俺はここで簡単に諦めるのか?

 陽奈も楓も仮面ライダーとしてどれだけ辛い思いをしてきたんだ。俺が諦めてやられてるだけじゃ、あいつらに死んだとしても顔は見せられねぇ。

 無駄死になんてしてたまるか!!みんなの笑顔を守る為に戦ってきた奴らの全部を無駄にしてたまるか!!

 

 

「俺はここで諦めるわけにはいかねーんだよォォォォォォォッッッ!!!!!」

 

 

 ジャックは咆哮を上げて首に絡まりついた腕をどこからか湧き出てくる力で引きちぎった。

 全身から流れ出る血。だが、血は流れてもモグロウの覚悟だけは流れない。

 

 

「うぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!」

 

 

 ジェスターの顔面にジャックの渾身の拳がねじ込まれる。

 先ほどと全く比べ物にならない程の力でストログタフジェスターを殴り飛ばして見せた。

 

 

「イナゴ、陽奈、楓…… 俺は、勝つぜッ!!」

 

 

 例えここで尽きようと、みんなの笑顔を守る為にこいつをぶっ倒す!!

 

 

「俺がみんなに代わって─── 逆襲だッ!!!」

 

 

 そしてジャックはポーカドライバーを閉めて開け、天高くジャンプをし、ストログタフジェスターにエネルギーを浴びた脚を向けながら降下する。

 

 

「はぁぁぁぁ……─── はぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

 

「ヌルッ────」

 

 

 ストログタフジェスターは触手でガードを行うも、そのガードはジャックの膨大なエネルギーによって蒸発し、胸部へと突き刺さる。

 

 

「…… あばよ。クソ野郎」

 

 

 そして膨大なエネルギーはストログタフジェスターの全身を包み、やがて内から膨れ上がって大爆発を引き起こした。

 砂埃が立ち込めらそこには1人腕を挙げて立っていた。ジャックは、モグロウは勝利したのだ。

 

 

「… かはっ……!!!」

 

 

 モグロウは変身が解け、口から血を吐いて倒れる。

 

 

「はぁ… はぁ…… やっと倒せたぜ…」

 

 

 段々と意識が遠のいていく。もう全身に力が入らない。

 

 

「イナゴ、陽奈、楓…… 俺やってやったぜ… これで俺も仮面ライダーって奴か…?」

 

 

 何故か悪くはない気分だ。意識がゆっくりと遠のいていくが、痛みはもう感じない。

 

 

「みんな……ありがとう。本当に… ありがとう…… 先に悪いな。お前達の活躍天から見てるからよ… 後は任せたぜ…… 仮面ライ… ダ……──────」

 

 

 プツンと意識が途切れ、モグロウは動かなくなってしまった。

 その場に冷たく、静かな風が吹く。とても静かな風である────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

「─── モグロウ?」

 

「よそ見はいけませんよ稲森さん!!」

 

「くっ…!!」

 

 

 一方、アベンジとキングはお互い一歩も譲らぬ戦いを繰り広げていた。

 キングの拳がアベンジの顔面を捉えようとするが、それをすかさず蹴り上げて逸らし、腹部へと前蹴りを食らわせて距離を離す。

 

 

「… と、さすが稲森さん。そう簡単に攻撃をさせてはくれませんよね」

 

「…… 何故、テレポート能力を使わない?」

 

「はい?」

 

「僕を移動させて翻弄すれば、お前は僕の隙を作れるはずだ。なのに何故…」

 

「おや? それは気づきませんでした。敵に対して助言とは嬉しいですねぇ」

 

「いいから答えろ!!」

 

「全く…… 別に使うまでもないんですよ」

 

「なんだって?」

 

「既に準備は整ってあります。後は少々の時間が必要なんです」

 

「一体何をするつもりだ…?」

 

「まぁいいじゃないですか。いやでも分かりますよ…… さて、続きを始めましょう。全人類の希望となる事を祈ってます、稲森さん」

 

 

 そして稲森の知らない何処かで班目の言う準備が起動した────。




モグロウ……うせやろ?

次回、第43話「未来へアベンジャー」

次回もよろしくお願いします!!

最終回まで残り──1話
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