仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。最終話です。

前回、キメイラの吸収能力に苦戦を強いられるエースとクイン。マスタースペイドの重力操作でも動けてしまうキメイラに為す術べなしと思われたが、エースとクインの協力プレイにより、見事にキメイラを打ち破って見せた。そして一方で班目は最後の秘策として地球に隕石を落とすとアベンジに衝撃の言葉をぶつける。一刻の猶予もない状況でアベンジはどうするのか。今、アベンジの、稲森の最後の戦いが始まる…

それではどうぞご覧ください。


最終話「平和のピースサイン」

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!」

 

 

 アベンジは絶叫しながらキングに蹴りを浴びせ、そのまま塔に激突させた。

 脚力を3倍にまで引き上げた一撃は、ロイヤルエックスへと進化したキングの装甲を上回るほどの力を発揮する。

 だが、この塔だけは異常なまでの脚力を有していたとしても破壊できないほどの強度を持っていた。

 

 

「おや? このままでは隕石がこの地球に降り注いで皆死んでしまいますよ?」

 

「ぐっ…!!!」

 

 

 こいつに言われなくても絶対に止めてやると誓っているのに、塔の破壊だけはどうしてもできない。かと言ってキングを倒してから壊そうにも、壊す前にタイムリミットが来て終わる。

 どちらにしても絶望しかない状況を班目は予想できていた筈だ。

 

 

「泣いて懇願しても私は止めませんよ。頼んでくれれば難易度は上げてもいいですけど」

 

「どれだけ破壊すれば気が済むんだ… なんで平和に暮らそうとは思わない!!」

 

「私が思う平和は人間と怪人、生物が本能のままに争い合う愚かな光景…!! これほど胸が高鳴る事があるでしょうか? いや、ないですね。私は世界の終わりをこの目で見たい。それを見る為なら死ぬ事など惜しくはありません!!」

 

「お前はどこまで人を捨てるんだっ!! お前に情はないのか!!?」

 

「人を辞めているのだから当然ですよ!!」

 

 

 2人は空中を飛び、激しい打撃の打ち合いが始まる。

 こうしている間にも塔は作動し続け、地球崩壊までの時間は刻一刻と迫っていく。

 アベンジはキングを蹴り飛ばし、標的を塔へと移す。これさえ壊してしまえば後はキングのみ。破壊できるとは断言できないが、とにかく時間制限がある方を優先しなければどうしようもない。

 

 

「そちらを優先… ほう、ですが破壊できますかねぇ?」

 

「─── あれ?」

 

 

 先ほど塔の前にいた筈のアベンジであったが、気づいた時にはキングの目の前にいた。

 

 

「まさか…!!」

 

「そのまさかです」

 

 

 キングは拳を握りしめ、アベンジを地面に殴り飛ばした。

 どうやら班目はテレポートの能力を使用したようだ。たが、今なぜ使用したのか不明である。

 この男が言うには使うまでもないとか時間が掛かるとの理由で使用を拒んでいた。それがなぜ今になって使用する気になったのだろうか。

 

 

「何故、能力を使用したんだこの男は…… と、思っていますね稲森さん」

 

「……ッ!」

 

「別に追い詰められてもいませんし、使う気なんてありませんでしたよ…… ですが、あなたを見ていると無性に使わなければならない気がしましてね?」

 

「何が言いたい」

 

「人の苦しむ顔を見ているのも良いなー…と、思ってしまったんですよ。いやはや、私も頭がおかしくなってしまったようです。私が本当に見たいのは無様に戦う生物の闘争本能だと思っていました。しかし、どうやら稲森さんと戦うにつれてその考えが変わったのです。私が誠に見たかったなものはなんだと… 私が待ち望んでいたのはなんだったのかと…… 答えは簡単でした。すぐ近くにあったんですよ」

 

「班目…… お前は本当に人としても怪人としても最低だ…… 僕はお前を必ず止めると言ったけど、前言撤回だ。倒す… 僕はお前を倒すッ!!!」

 

「倒すなら倒してみてください。あなたは2対2で完全に不利。どうするおつもりで?」

 

 

 そしてアベンジは地面から一瞬にしてキングの元へと跳ぶと、キングを塔に蹴り飛ばし、彼とは思えないほど乱暴に塔に押し当て踏み潰す。

 そう、アベンジは今キングを止める為ではなく、倒す為に戦うことを決めた。こいつを好きにさせておくわけにも、生かしておくわけにもいかないと思ったからだ。

 つまり彼が抱く筈のなかった明確な殺意を持って戦おうと言うのだ。

 

 

「良いキックですねぇ…… 稲森さん!!」

 

 

 すると、アベンジの身体が一気に重くなったかと思うと、その重さに耐えきれず地面へと落下する。

 キングはアベンジへと近づくと、その負荷は更にのし掛かり身動きが取れなくなってしまった。凄まじい圧がアベンジを指一本も動かそうとはしてくれない。

 

 

「こ、これは…!!」

 

「言ったでしょう? 全てのポーカライダーの力… つまり陽奈さんのマスタースペイドさえも私の力です」

 

 

 アベンジは段々と地面にめり込み、完全に身動きが取れなくなってしまった。

 仮面の下からでもわかるキングのニヤリとした微笑み。仮面の下からでもわかるアベンジの恐怖と絶望の表情。

 班目はこれ以上にない微笑みをアベンジに振り撒く。

 

 

「今、どんな気持ちですか? 稲森さん?」

 

「くそっ…… うぅ……!!!」

 

 

 絶望へのカウントダウンが刻一刻と迫る────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 陽奈と楓は稲森とモグロウの元へ向かっていた。

 不可解なのが戦闘音がまるで響いてこないという事。戦闘が終わったのなら静かになるのは当然だが静か過ぎるのだ。あの大量のウィンプジェスターをこうも早く倒せるのだろうか?

 とにかく2人の安否が心配だ。

 

 

「2人は一体どこに……」

 

「…… あ、陽奈。あそこに倒れてるのって…」

 

「ん? あれは──── モグロウッ!!?」

 

 

 陽奈は急いで彼の元へと駆けつけると流れ出る血を見て顔が青ざめた。

 滴るは血液。しかもかなりの量である。

 

 

「モグロウ!! ねぇモグロウってば!! 稲森はどうしたの!!? ここで一体何があったのよ!!!」

 

「そ、そんな… モグロウさん……」

 

 

 それから陽奈は辺りを見渡し状況を把握しようとするが、周りにはウィンプジェスターの気配がなく、それでいて被害も少ない。

 更に言えばモグロウが腰に装着しているのは班目のポーカドライバーである。

 

 

「一体どういう……」

 

「─────……… ひ… な」

 

「え? モグロウ?」

 

「陽奈…… 今、どういう状況だ…?」

 

「よかったモグロウ! 待ってて今すぐ治療を……」

 

 

 陽奈は楓に変身してモグロウの治療をしてと頼むと、モグロウは陽奈の袖を掴み苦しそうに話し始める。

 

 

「あなたはもう喋らないで。これ以上体力を使うのは危険だわ」

 

「へっ… もうこの血の量だ。助かるか助からないかと言われたら… もう助からない可能性高いよな。楓に回復してもらっても血は戻んねぇ」

 

「何言ってるのよあんた!! 稲森が頑張ってるのにあなたが死んだら…… そういえば稲森は…?」

 

「… あいつならきっと班目んとこだよ。空見てみろ」

 

「え…?」

 

 

 モグロウに言われて空を見れば、雲が光の柱を螺旋状に包み込み空を突き抜けている。

 

 

「あれは──」

 

「俺も何かはわからない… けど、きっとあそこでイナゴが戦ってる。俺はここでウィンプジェスターが纏まった野郎ぶっ飛ばしてた… もうこの辺にウィンプジェスターは1人も残っちゃいねーよ」

 

「…… 良くやってくれたわ。ありがとうモグロウ」

 

「俺も仮面ライダーになったんだから当然だろ…… はぁ… 少し眠くなってきたぜ」

 

「ちょっと…!! 楓ッ!!」

 

 

 そして楓はクインに変身し、モグロウの傷を癒す。

 しかし、モグロウの言う通り無くなった血を元に戻すことはできない。

 

 

「絶対に死なないでモグロウさん!! 頑張って!!」

 

「ありがとよ楓、陽奈…… イナゴによろしく頼む」

 

「え…?」

 

 

 そう言うとモグロウは再び目を瞑り、ダランと手が落ちた。

 

 

「ちょっと嘘でしょ… ねぇ!!」

 

「大丈夫… 大丈夫……!! 絶対治すから…!!!」

 

 

 絶対に班目を止めてくれよ…頼むぜイナゴ…親友……──────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 あれから何秒経ったのだろう。あれから何分経ったのだろう。

 アベンジはキングに重力負荷を掛けられ、全く身動きが取れないまま崩壊までの時を過ごしていた。

 

 

「…… もうすぐ時間ですよ。稲森さん」

 

「嫌だッ…… こんなところで終わるなんて…!!」

 

「ですが、終わるんですよ。あなたがいくら騒いでも、あなたがいくら頑張っても無駄なんです。この塔だけは壊させはしません。最もこの塔を壊す方法は内側からの破壊のみです」

 

「内側からの破壊だって…?」

 

「あの塔は内側にある装置を稼働させておく為に周りをキングと同じ装甲を使用し、更に物理等の衝撃を軽減する特殊なコーティングを施しているので、あなたのエスポワールだとしても突破することは不可能。更に言えば私の開発したものなんですから何が対策となるかよくわかっているのは当然でしょう」

 

「このまま好き勝手させてたまるか…!!」

 

「もう無理ですよ。あと数分で終わります。ここであなたを解放したところでどうしようもできないでしょう… 地面に伏せながらよく見ておいてください。世界崩壊の瞬間を…」

 

 

 もう本当にダメなのか?

 ここでこのまま終わってしまう。全てが台無しになる。今までやってきたこと全て無駄になるなんて嫌だ。

 

 

「くそっ…」

 

 

 そんなの絶対に嫌だ。こんな所で終わらせるなんて嫌だ。

 

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

 

 

 その叫び声を聞くキングは口が裂けてしまう勢いで微笑む。

 だが、その笑顔はすぐに元に戻る事となる。いつもニヤリと微笑む顔を見せてきた班目が初めて笑わなくなった。

 

 

「なんですか…… これ?」

 

「えっ…?」

 

 

 アベンジは塔を見ると、塔から放たれていたレーザーが段々と細くなり、いつしか消えてなくなってしまった。

 この事態に班目の策略の一つなのかと一瞬思ったが、あの班目がたじろいでいる姿を見れば見るほどこの事態が想定していない事だとわかる。

 

 

「一体何が… 何があったんですか!!?」

 

「──── どうやら間に合ったようだ。稲森くん」

 

「あなたは…!!」

 

 

 班目は稲森でない声に反応し、そちらを見て驚愕した。

 そこにいたのは姿こそ醜い化け物であるが、自分が作り出した人形である筈の首領、いや月火がいた。

 

 

「久しぶりだな班目。元気だったか?」

 

「月火さん……? どうしてあなたがこんな所に… いや、そもそもあなたが何故生きているんですか!!? 何故ッ!!?」

 

「そんな事はどうでもいいだろう… そうだな。強いて言うならば奇跡と言おうか」

 

「奇跡…?」

 

「お前には一生わからないだろうな。人はいつ起こるのかもわからない奇跡を信じ、突き進んでいつしか叶えるもの。奇跡とは努力の象徴。奇跡を生み出したいと強く願う人の結晶だ。俺もそれに当てられた…… こうして俺は彼らの意思を伝えられ生きている。人だけじゃない。怪人も皆が生きている限り、お前の野望は奇跡に敗れるんだ!!!」

 

「そんなバカな…… こんな筈ではないんです!!…… ま、まさかこの塔を止めたのも…!!!」

 

「あぁ、俺だ」

 

 

 ── 月火は元より塔の存在を知っており、ここに来る前に班目の目を掻い潜って止まるための準備をしていた。

 彼も班目ほどではないが、そう言った知識は持ち合わせており、塔を破壊する為に探し、こうして見つける事ができ、破壊するにまで至ったのだ。

 これは完全に予想の範囲外は愚か、想定もしていない非常事態である。

 

 

「あぁ…… あぁぁぁぁぁ………」

 

 

 当然、班目もこの事態を受け入れる事ができなかった。

 そして班目は仮面の下でもわかるほど凄まじい殺意をこぼす。

 

 

「──────…… どうやら虫はさっさと始末した方が得策だったようです」

 

 

 そう言うと班目は手を翳す相手を月火に集中し、そのまま四方八方から圧をかけて潰し殺す気である。

 しかし、負荷を解除できたアベンジは班目に向かって両足で蹴りを放って吹き飛ばす。

 

 

「…っ!! すまない稲森くん!!」

 

「いえいえ!!」

 

「…… あとは頼めるか?」

 

「はい!!! ありがとうございました!!!」

 

「いやいや… 頼むよ。仮面ライダーアベンジ!!」

 

 

 そして班目の怒りは頂点にまで達する。

 班目は天に手を翳すと、それと同時に地面が揺れ始まる。

 

 

「な、なんだ…!!?」

 

「これは……」

 

 

 アベンジはふと空を見上げると、その落ちてきたものを見て驚きを隠せなかった。

 どうやら班目は最後のダメ押しと全ての力を使って1つ隕石を宇宙から持ってきたようだ。見ると班目の全身からピキピキという音が鳴っている。キングと言えど流石に許容オーバーのようだが、これほどのものを落として来れるとは流石の一言だ。

 

 

「稲森くん…」

 

「僕は守ります… 人間も怪人も全部ッ!!!」

 

 

 アベンジはドライバーの上部を叩いて飛び上がり、隕石に向かって片脚に全てのエネルギーを集めて激突する。

 隕石は人が小さく見えてしまうほど巨大。凄まじい衝撃と途轍もない熱気がアベンジを襲う。

 

 

「くぅぅぅぅぅ……ッッッ!!!!!」

 

 

 隕石はエスポワールだけでは対処できないほど固く強い。

 こんな大きなものを相手にするわけだから当然と言えば当然だ。

 

 

「稲森さん…!! あなたごと潰して差し上げますよォォォォォォ!!!」

 

「絶対に… 絶対に止めてやるぅぅぅぅぅぅッッッ!!!」

 

 

 すると、アベンジの全身が光り輝き始めた。この反応は前にも起きた事のある現象。

 これはつまり─────。

 

 

「あんただけにいいカッコさせないわよ!! 稲森ッ!!」

 

「陽奈さん…!!」

 

 

 そうだ。これは皆の気持ちが、想いが呼応している。

 それにエースも駆けつけ、マスタースペイドによる重力操作を織り交ぜながら隕石に向かって蹴りを放つ。

 陽奈は楓にモグロウの治療を任し、この隕石を止める為に飛んできてくれたのだ。他にもこの短時間の中で事態を判断し皆に訴えた。

 お陰でエスポワールの力は全開であり、エースも加わった事で、止めておくだけで精一杯だった隕石を押し返して破壊する事ができる火力を手に入れた。

 

 

「── 稲森ッ!!!」

 

「はい!!!」

 

「ぶっ… 壊せぇぇぇぇっっっ!!!!!」

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉッッッ!!!!!」

 

 

 そして遂に隕石は宇宙へと押し戻され、エネルギーを送られたそれは大爆発を引き起こし粉々となった。

 班目はその光景を見て唖然とし、全身が震え、キングの身体もボロボロになって軋んでいた。

 一方のアベンジもエスポワールの力を限界まで引き出してしまった為に自動的にジャンプウェポンの姿に戻ってしまった。

 だが、今の班目相手であればこれで十分だ。

 

 

「さーて、これが最後よ… やって来なさい!! 稲森!!」

 

「行ってきます!! 陽奈さん!!」

 

 

 そしてアベンジは地面に着地し、班目の方を向いて構える。

 

 

「班目、これで終わりだッ!!」

 

「終わり……? 私が…? そんなバカな…… 認めませんよ。私は認めません。あなたを殺せば全て綺麗に片付きますから!!」

 

「人間… 怪人…… この世に生きる全ての者に代わって─── 逆襲だッ!!!」

 

 

 班目はポーカドライバーを閉じて開き、天高く飛び上がる。

 それに続くようにアベンジはドライバーの上部を叩いて飛び上がる。

 

 

「班目ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!!!」

 

「うがぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

 

 

 互いの蹴りがぶつかり合い、凄まじい衝撃を生み出しながらどちらも一歩も譲らない。

 そしてキングの身体に異常が起きた。本来なら全く無駄とも言えるアベンジの通常形態でのエネルギーを喰らい、ダメージが蓄積しボロボロの装甲からエネルギーが漏れ出す。

 

 

「そんな… この私が…… 私の… 世界がッ…!!!」

 

「これで最後だ───── はぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁぁあぁぁぁっっっ……!!!!!」

 

 

 アベンジの蹴りはキングを吹き飛ばし大爆発させる。

 班目は変身が解けると、アベンジはもう一度ドライバーの上部を叩き彼にゆっくりと近づく。

 

 

「おやおや… トドメですか……? いいですねぇ…… これであなたも私と同じだ」

 

「………」

 

「さぁ、トドメを刺してください。私を…… どうぞお好きに…!! ははっ…!! ははははははっ!!」

 

「……………ッッッ!!!」

 

 

 そしてアベンジが班目を蹴り抜こうとした瞬間、何ものかが上空から飛来し、班目に向かって蹴りを放って彼を蒸発させた。

 一体誰かと思ったが、その者は… 陽奈は変身を解き、息を荒くしながら稲森に言う。

 

 

「それは… あなたの役目じゃない」

 

「陽奈さん……」

 

「私たちは仮面ライダー。だけど、そもそもあなたは違う。もう重荷を背負わなくていいの。これは元から私の仕事だったから…」

 

「……… はい、すみません…」

 

「何を謝ってるのよ…… 稲森」

 

「はい?」

 

「その…… ありがとね」

 

「…… はい、こちらこそ!」

 

「も、もう何よその顔!! 少しは恥ずかしがったらどう!?」

 

「え、でも陽奈さんが笑顔だったから自然に……」

 

「全くもう…… ふふっ」

 

「はははっ」

 

 

 こうして班目は陽奈のトドメにて、その生涯を終えたのであった────。

 

 

 

 

 >>>>>>>>>>>>>>>>>>

 

 ─── ここは栄須市にある発展した街の中。

 そこに怪人が1人パンを齧りながら歩いていた。

 

 

「… あーあ、お礼としてお金貰ったけど、使い道わからなくてとりあえずパン買って食べて…… うーん」

 

「就職だろ? いや全く平和になっても簡単にゃつけねぇよな」

 

「そっちは決まってるの?──── モグロウ?」

 

「俺は決まってるぜ。狙ってんのはネジ作る所だ── いいだろ、イナゴ?」

 

 

 稲森とモグロウはいつも通り笑いながら仲良く街を歩いていた。

 あの後、モグロウはすぐに病院へと運ばれ、輸血と治療を行った結果、奇跡的に回復したのだ。

 これはクインの能力の回復をしていたのがいい判断だったようで、モグロウはその後も体調は良好でありピンピンとしていた。

 

 

「ネジかぁ…… 怪人の姿で締める感じ?」

 

「は? 締める…?」

 

「いやだってモグロウさ。怪人になると鼻がドリルになるじゃん?」

 

「あぁ、たしかに… はははっ!」

 

「ははっ!」

 

「…って、やかましいわ!!!」

 

 

 モグロウが稲森に大きな声でツッコミを入れると、周りに子供達が集まってきた。

 

 

「ん? なんだお前ら?」

 

「お兄ちゃんっち怪人でしょ?」

 

「あぁ、そうだけど」

 

「鼻引っ張っていい?」

 

「ダメに決まったんだろ!!?」

 

「じゃあ触るだけぇ〜」

 

「いや俺のデリケートなところ触らせるかよ!!」

 

「いいじゃん減るもんじゃないし〜」

 

「減るんだよ俺の中の鼻モラルが!!」

 

「はなもらる…?」

 

 

 稲森は子供達に囲まれているモグロウを見て笑う。

 そんなモグロウは助けを求めていたが、稲森はケラケラと笑っていると、子供が1人近づいてきた。

 

 

「あれ?…… どうしたの?」

 

「お兄ちゃんって仮面ライダー?」

 

「… え?」

 

「だって前に戦ってたから…」

 

 

 前の自分であったらこの質問をされてなんて答えただろうか。

 でも、今はもう迷うことなんてない。はっきりと言えばいいだけさ。

 

 

「── うん。僕は仮面ライダーアベンジだよ」

 

「………」

 

「あ、あれ? どうしたのかな?」

 

「本物だぁぁぁぁぁぁああぁぁぁぁぁ!!!!!」

 

「えっ!!?」

 

「みんなこの人やっぱり仮面ライダーだって!!」

「すげぇ!!」

「握手して!!」

「ねぇ、変身して!! 変身!!」

 

「いや待って、えぇ!!?」

 

 

 それを見たモグロウはさっきの仕返しとばかりに大声で笑い始めた。

 だが、子供達に囲まれた2人は身動きが取れずに困っていると、その2人の後ろから女性が近づいてきた。

 

 

「ほーら、みんな離れて。今から私たちは予定があるから邪魔しちゃだめよ」

 

「… あ、陽奈さん! それに楓さん!」

 

「こんにちは! 稲森さんとモグロウさん! 略してイナモさん!!」

 

「いや、それ俺の要素うっすいだろう!!?」

 

 

 稲森たちのところに陽奈と楓が合流した。

 実はこの後、出掛ける予定があり2人と約束の場所まで向かおうとしていたらこうなってしまったのだ。

 

 

「ま、とにかく早く行くわよ。あなた達には荷物運びしてもらうんだから」

 

「えぇ!? 聞いたませんよそんなの!?」

 

「女の子は買うんですよものすごく!!」

 

「おいおい… 俺は病み上がりだぜ? 少しは優しくしてくれても……」

 

「いいから早く行くわよ。時間は待ってくれないんだから!!」

 

 

 稲森とモグロウは同時にため息を吐くと、互いに顔を見合わせ笑い合う。

 

 

「それじゃあ行こうか、モグロウ」

 

「おう、行こうぜ」

 

 

 人間と怪人。滅ぶべきなのはどちらなのかという質問は愚問だ。

 どちらも生があり、どちらもこの星に住まう者たち。

 皆が支え、助け、世界はそうして回り続ける。

 

 誰かが決める未来じゃなく、未来は自分で決めるんだ──。

 

 仮面ライダーアベンジ The end




えー本当に長い間お世話になりました!!ようやく終わりです!!
終わり!!……なのですが、前作仮面ライダートリガーのように特別編2個書かせていただきます!!

次回
前編「仮面ライダーエース」
後編「仮面ライダーアベンジ Jump to tomorrow」

まだまだ終わりませんよ!!
それでは次回もよろしくお願いします!!
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