前回、アベンジは新たな力フライウエポンによって、見事バートンを倒した。その後、彼を連れてとある建物で話を聞くと、ファングというジェスターの名前が出てきた……
それではどうぞご覧ください。
「ファング… だって!!?」
「ファング…? モグロウ何か知ってるの?」
「知ってるも何もお前ッ!! 知らない奴なんていねーぞ!!? 首領の側近でいただろ!!? あのライオン野郎だよ!!」
「あーあの… え? えぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!?」
ファングというジェスターは首領の側近であった怪人だ。その強さは首領に近き存在とされており、数いる部下のジェスター達から恐れられ、讃えられていた。
そんな彼が反逆組織リゲインを率いているとするならば、この状況は笑えないどころか絶望的と言えるだろう。
稲森とモグロウは事の重大さにようやく気づいた。
「で、でもエースがいるからなんとかなりそう…?」
「…… そう思うのは勝手だが、今日のウィンプジェスター達の群れに手も足も羽も出せなかったエースが勝てるかな? どう考えても無理だと思うけどね」
「勝てますよ! 仮面ライダーエースは戦争を止めてくれたんですから!」
「馬鹿かお前は!!!」
「…っ!!?」
「ジェスターは人間の尻に敷かれて生きているんだぞ!? お前もその1人のはずだ!! なのに何故、人間の肩を持つんだ!? 人間に奴隷の様に扱われる事が俺たちの生きる道だっていうのか!!?」
「うっ…… でも… それもこれもあなた達が戦争なんて事を引き起こしたのがそもそもの間違いでしょう!! 奴隷の様に扱ってきたのはこっちだってそうです!! なのに今更、自分たちが弱い立場になったからってそんな事を言うのは間違ってますよ!!」
「お前… それは首領に対する冒涜だぞ!!」
バートンは縛られながらも首領を侮辱した稲森に対して怒りを露わにし、今にも縄を千切らんとばかりに暴れている。
それから稲森を遠くへ離し、モグロウがバートンを落ち着かせると、落ち着きを取り戻したバートンが彼に質問を投げかける。
「なぁ、モグロウ。お前はなんで人間側についている?」
「… その質問されると思った」
「なら答えろよ。どうして人間側につく」
「俺は償いたいんだよ。自分の罪を」
「人間にか?」
「あぁ、そうだ。俺たちジェスターがこういう扱いをされるのは無理もない。イナゴの奴の言い分がわかる… ただ、お前たちリゲインの言い分もわからないわけじゃない。そりゃ俺も怪人だからよ…… でもそれじゃ意味がない気がする。暴力的に解決するなんて事がそもそも間違っているんだ」
「…… けっ、お前も変わっちまったって所か」
「生きているうちはみんな変わるもんだ。俺たちジェスターも人間もな」
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栄須市のとある噴水前に、陽奈はスマホを弄りながら誰かを待っている。
すると、向こう側から陽奈の元へと走ってくる女性が1人。かなり待たせていたのか手を合わせて何度も頭を下げている。
「遅いわよ。楓」
「ほんとごめんね〜… でも10分くらいでしょ?」
「残念20分よ」
「そんな〜…」
少しおっとりとした感じの彼女は陽奈の親友である「青葉 楓」という。陽奈の学生時代からの友人であり、性格とその容姿も正反対の2人だが、何故かとても気が合うのだ。まさに運命的な出会いだった。
「今日は買い物って言ってたけどどこ行くの?」
「そういえば言ってなかったわね… 服よ。服を買いに行くの」
「やった〜! 私も丁度新しい服欲しかったんだ!」
「それなら決まりね。行くわよ」
「うん!」
2人は服を買う為にショッピングモールの中へ入り、中々高そうな所へと足を運ぶ。どれもこれも目を輝かせながら選ぶ陽奈が、あのエースだとは一度見ただけでは気がつかないだろう。
「ねぇねぇ陽奈これ似合う〜?」
「えぇ、似合っているわ。こっちも合うんじゃない?」
側から見たらただの仲が良い女性たちのショッピングだと思うのかもしれないが、片方はこの世界を守り、怪人から恐れられている紛う事なきエースだ。
陽奈は次に服を試着しようとした時、突然スマホに電話がかかって来た。楓に待ってもらい電話に出ると、その内容に彼女はため息を吐く。
それから電話を切り、楓に少し用事ができたと告げる。
「ごめんね。私ちょっと用事できたから」
「…… またジェスター?」
「本当にごめんね? すぐ終わらせてくるから…」
「ジェスターなんか大っ嫌い…!!」
「楓… 今からその悪いジェスター倒しに行くんだから待っててよ」
「… うん。ジェスターだけは倒してね!! 陽奈!! 私から全部奪っていくあいつらに!!」
「え、えぇ… わかってるわ」
楓が取り乱したのは仕方のない事だと陽奈は思う。
何故なら楓がまだ幼かった頃、ジェスターによって両親を目の前で殺された挙げ句、暫くの間、ジェスターに捕まって奴隷のように働かされていたのだ。この事から、彼女のジェスターという種族に対する恨みは度を超えて強く、少しでも名前が出ただけでもこうして反応してしまう。
その後、陽奈は反逆者が暴れているという情報を聞き、現場へと駆けつける。
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陽奈が向かったそこは栄須市にある結構広めな川で、ジェスターを目撃したという情報があったが、それらしい姿はどこにも見当たらない。
強いて見つけたとしたら、反逆者と思われる例の男の姿があるくらいか。
「…… あなたがここにいるとはね… えっと…」
「僕は稲森です」
「稲森ね… 人間みたいな名前を付けたわね。まぁそれが今の主流なんだけど」
「あのー… 羽畑さんもジェスターが出たという情報を受けてここへ?」
「まさかあなたも? 一体どういう──」
すると突然、川に渦が出現し始め、その中央部から大きな魚が飛び出してきた。魚はそのまま陽奈の元へと突撃していく。
陽奈は間一髪のところで躱し、腰にエースドライバーを装着して、ダッシュフィードを差し込む。それに合わせるように稲森もアベンジドライバーを巻いて、ジャンプフィードを差し込んだ。
《Welcome!! ジャンプ!!》
《ダッシュ!! Open!!》
「「変身ッッッ!!!」」
《Tasty!!》
《START!! アベンジ!!》
《Come on!!》
《Let's try エース!!》
2人はそれぞれドライバーを閉じると、身体に装甲を身に纏っていく。
そして巨大な魚の方を向いて構える。その魚は見ての通りだが、普通のものではない。もちろん誰がどう見ても怪人である。
「来たな、エース。そしてジェスターの身でありながら、ジェスターを敵に回す愚か者のアベンジか」
「あなたもリゲインの1人ですよね? 何故かそんな気がするんです」
「いかにも私はリゲインの1人。名を『スイム』という」
エースは2人の会話の内容を聞き、最初はわからなかったが、前にチラリと聞いた話を思い出した。リゲインのという反逆者の中で選りすぐりの者たちが集う組織があるという事を。
そこでエースはスイムに向かってある質問をぶつける。
「へぇ〜、あなたが例のリゲインのメンバーね。なら話が早いわ…… あなた達の現在のトップは一体だ───」
「ファングってジェスターですよ。羽畑さん」
「…… ファング?… はぁ!!?」
アベンジが割って入りその名を告げると、エースはいつもの冷静さを感じないほど驚いているようだった。
それほどファングという存在はジェスターだけでなく、人間にとっても知らない者はいないほど脅威なのだ。
「まさか生きていたとはね… それならこの魚から居場所を聞くまでよ。無理やりね!」
「私は魚ではなく、イルカだ」
そしてエースはそのスピードを活かして、一気に懐へと潜ろうとしたが、目の前に不意打ちで苦しめられたウィンプジェスターがズラリと並ぶ。
しかしそこはエースであり、2度の手は通用しないと、エースガモスボウで撃ちながら縫うようにしてスイムの元へと近づく。
「さすがはエースと言ったところ。褒めてやろう」
「ジェスターに褒められても嬉しくないんだけど!!」
スイムは突っ込んできたエースに、自らの口が裂けるほど開いて噛みつこうとしてきた。エースを丸々呑み込んでしまうほど大きな口だが、ギリギリの所で避けて横から腹部を蹴りつける。
「うぐっ!!?」
「遅いわよ……!!? もう邪魔よ!!」
続いて攻め込もうとしたエースだったが、ウィンプジェスターがそれを邪魔して攻撃ができない。
ウィンプジェスター達が彼女の周りを囲もうとすると、アベンジが触れさせないようにこれらを蹴り飛ばす。
「さぁ、僕は良いのでスイムさんの方へ!!」
「… これで別にあなたの罪が軽くなるわけじゃないわよ?」
「そんな事で助けた訳じゃありませんよ」
「…… 変なジェスターね」
仮面では見えないが、アベンジは笑顔で答えていた。それを感じ取っているエースは、彼がしている事が全く理解ができない。
エースは理解できないまま、スイムの元へと走る。
「これでもくらってさっさと消えなさい!!」
「ほう?」
それからエースはドライバーの側面を押し込んで、バックパックから羽を出して空へと舞い上がる。空中で大きく縦に回りその勢いのままスイムに向かって飛び蹴りを放つ。
《Thank you!! エースライド!!》
その音声と共に必殺のキックはスイムを捉える。まともにくらってしまったスイムは苦しそうな声をあげながら地面にめり込んでいく。
このままスイムは倒されてしまうだろうと思われた時だった。
「ガッ…!! 後ろが留守だぞ。エースよ」
「えっ…!?」
スイムは両手から水泡を出し、それを空に投げると破裂し、矢のようになってエースに降り注いだ。がら空きであった背中をやられたエースバランスを崩してしまう。
その隙をついてスイムは川の方へと潜り、更にそこから巨大な水泡を作り出して破裂させる。
アベンジはまるでマシンガンのように飛ぶ水の弾を躱しながら、エースを抱えて高く跳んで回避する。
「… やはり2人は分が悪い。ここは一時撤退とさせてもらおう」
そしてスイムは川の中へと潜っていき、そのまま姿を消してしまった。
アベンジはスイムがいなくなったことを確認し、エースをゆっくりと降す。咄嗟であったので特に何も言われなかったが、降ろした途端にエースが声を荒げて怒鳴る。
「勝手なことしないでくれる!!?」
「そうは言われても危なかったじゃないですか…」
「あんなの別に平気よ!!嘗めないで!!」
「うーん…… 一応ごめんなさい」
「一応って何よ… まぁあのジェスターがいなくなったらあんただから」
エースガモスボウを握る手に力が入ったことを確認したアベンジは、すぐさま高く跳び上がり、エースから離れていく。
エースも追おうとはしたが、楓を待たせてしまっているので、一度戻る事にした───。
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「ごめん! 遅くなった…?」
そこには楓の姿が見えなかった。帰ってしまったのだろうかと思うかもしれないが、彼女の性格上それはないのだ。きっとトイレにでも行っているのだろうと陽奈は思っていた。
そして暫く時間が経過する。
「…… 既読もつかない… 何してるのかしら?」
あれから1時間。彼女にメールをするが、全く返事が返ってこない。それどころか読んですらいない。流石の陽奈も何かがおかしいと感づいていた。
それも最悪な事態の方を想定している。
「楓ッ…!!」
陽奈は楓のスマホを探知し、その場所へと急いで向かう。色々な事態を想定しまい、気持ちもかなり焦っていた。
そしてその場所は辿り着いた陽奈であったが、眉を釣り上げ怒りを露わにする。
「あいつ…!!!」
その場所には楓の水に濡れたスマホが落ちていた──。
以上です。最後どうなったんや…!
では次回、第5劇「水泳でエイ」
次回もよろしくお願いします!!