前回、新たな登場したリゲインの幹部スイム。なんやかんやあり取り逃がしてしまいまして、陽奈は楓のところへ戻ると……
それではどうぞご覧ください。
「…… バートンは?」
「それが、俺の知らぬ間にいなくなってた」
稲森は縛り付けてあるバートンの元へと戻ったが、モグロウが少し目を離した隙に何処かへといなくなっていたらしい。
あの程度の拘束では逃げられるとは思っていたので、それほど悔しいとかそんな感情は湧いてこない。
「まぁ仕方ないよね。多分リゲインの方に戻ったのかな?」
「そうだろうな。お前の事は確実に報告されるだろうよ… 最初からバレてるけど」
「… という事はファングにも話しが行くはずだから… 僕どうなっちゃうんだろう…」
「安心しろとは言えないが、すぐに攻めては来ないはずだ。お前が反逆側の脅威となるって確定したらだろうな」
「うっ…!」
モグロウは平然として言っているが、その内容は絶望的なものである。
今の稲森の状況は、2つの勢力に目をつけられているという事。片方はライダー。もう片方はリゲイン。1人でまともにやり合えるとは思えない力の差がある。
「とにかくもっと力をつけなきゃね」
「力をつけるって当てはあるのか?」
「… 今回逃したスイムが厄介になりそうなんだ。アベンジの力をもう一つ解放させて、あいつを倒してリゲインの場所を聞くよ」
「あースイムか。確かにあいつは…… いや、待てよ。お前今なんつった?」
「アベンジの力をもう一つ解放──」
「そこじゃねぇ!! その後だ!!」
「リゲインの場所を聞く」
「そこだ!! イナゴ、お前本気で言ってんのかよ!!?」
「… そりゃ怖いし、無謀だと思うけど… 人間も怪人も平和になるには、まずは自分の種族から止めないと!」
「イ、イナゴ…… ホントに変わったなぁおい… まぁお前がその気なら協力するぜ! なら、早速その力とやらを解放しようじゃねーか!!」
「ありがとう、モグロウ!! よし、それならまずはあの男に会うしかない───」
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陽奈は楓のスマホを握りしめ、栄須市にある全ての水辺を探して回っていた。
楓のスマホと共にあった水。あれはきっとスイムの行動によるものだと推測していた。あのすぐ近くには水辺がある。それに何者かの濡れた足跡が微かだが残っており、その足跡は水がある方へと続いていたからだ。
「楓… 無事でいて!!」
どこを探してもそれらしき姿はない。スイムすらも。
あの時、自分が離れていなければ…と、何度も自分を責めた。だからこそ諦めずに必死に探し、何時間と経ってから陽奈は海にまで来ていた。
「…… 海か…」
こんな広々とした場所にいるわけないと、近くのフェンスに手をかけた。遠方を眺めながら、一旦落ち着きを取り戻す。
それから次の場所へ移ろうとした次の瞬間、陽奈の腕は何者かの濡れた手に掴まれ、そのまま海に引きずられそうになる。
「なっ…!!?」
陽奈はなんとかその手を蹴り飛ばし、間一髪の所でフェンスを掴んで海へ落下をせずに済んだ。
そしてこれにより陽奈は、相手が誰であるのかがわかった。
「あんたでしょ… スイムッ!!」
そう名前を呼ぶと、水面に泡が立ち始め、そこからイルカの怪人スイムが姿を現した。何かありそうな不敵な笑みを浮かべながら、陽奈の元へと近づいていく。
「エース。こんな所に態々来るとは… 一体なんのつもりだ?」
「… 恍けないでくれる? 私があんたと話す意味なんてないけど、私の親友がどこに行ったのか聞く事には意味があるわ。だから言いなさい。私の親友… 楓はどこなの?」
「楓… はて、誰のことだろうか」
「これだからジェスターは嫌いなのよ!! 変身ッ!!」
《Come on!!》
《Let's try エース!!》
陽奈はフェンスから飛び降りながらドライバーとダッシュフィードを装着しエースへと変身する。
そして水面に落ちる前に羽を展開し、一度有利な上空へ飛び立ち、エースガモスボウを構えて質問の続きを行う。
「もう一度聞くわ。楓はどこなの?」
「教えて欲しいのなら変身を解け」
「やっぱり知ってるのね… なら力づくでも教えてもらうから!!」
それからエースはダッシュの超スピードでスイムの周りを旋回しながら、エースガモスボウで的確に撃ち込んでいく。
スイムは堪らず水の中に入るが、エースは続けて上からデタラメに撃ち込む。水の中に入られると、どこにいるのか見当がつかなくなる。
「あいつどこに…」
すると、エースの周りに水柱が立ち始め、彼女は何かを察してそれらを掻い潜ろうとしたのだが、行く先々に水柱が現れ、遂には完全に囲まれてしまったのだ。
「くっ…!!」
上空へと逃げようとしたエースであったが、水柱はそれすらもさせないよう曲がってドーム状へと変化し、彼女を包み込んでしまった。
「これで終わりのようだ。エースよ」
「こいつッ!!」
スイムは開いた掌をギュッと結んで拳にすると、ドームは一気に収縮して大爆発を引き起こした。
水飛沫と共にエースも吹き飛び、先程いた地面へと転がる。変身が解けてしまったが、また立ち上がり再度変身しようと構える。
そんな彼女の姿を見て、スイムは水面から身体を出す。
「これが仮面ライダーエース…… やはりな」
「やはり? どういうことよ!!」
「初代エースの強さは私たちの領域を超えていた。通常のジェスターより強力な私たちでさえも敵わないほどにな。そして唯一奴に対抗できたのは首領だけだった。強と強の戦いの果ては互角であり、この世から2つの頂点が消え、ジェスターたちは逆に好機と動こうとしたのだが…… その時、お前が現れた」
「つまり… 何が言いたいのよ」
「二代目であるお前の強さに何人もの同胞が消されていったか…… 反逆者を集めお前を消そうと考えていた。が、今ようやくわかった。お前は私たちよりも弱いと」
「ふ、ふざけるんじゃないわよ…!!」
「現にお前が一度地に伏せたことが証拠だ… バートンが言っていた通りだな。今の脅威はアベンジであると」
「アベンジってあのライダー…」
「お喋りはここまでだ。ここで終わりにしてやろう。お前の時代はここで終わりだ仮面ライダーエース───」
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稲森たちはフードの男を探していたが、当然のことながら全然見つからない。何故なら2人ともその男何者なのかすら、ましてや何処にいるのかさえも知らないのだから。
「とりあえず人気のない路地裏に来たけどさ」
「あぁ、どこなんだろうな」
「フード被ってから絶対ここだと思ったんだけどなぁ…」
「何故そんな考えになった…?」
「いや、だってさ? フードを被ってるって事は暗い感じの所が似合わない?」
「… ん?あー…… ん? まぁわかるぞ」
「さすがモグロウ。わかってくれると思ったよ」
「お、おぉ── と、イナゴ。例のやろうが来たぜ」
なんと稲森の言った通り、路地裏にそのフードの男は現れたのだ。
フードの男は要件が分かっているのか、その手には何かが握られているのがわかる。
「えっとフードさん……」
「わかっていますよ。これが欲しいんですよね?」
するとフードの男はその手に持っていたアビリティズフィードを見せてつけてくる。
イナゴはそれに手を伸ばすが、その寸前で手を止める。
「……」
「ん? これが欲しいから私を求めていたのではないんですか?」
「あ、いえ… ありがとうございます」
一度は止めた手であるが、アビリティズフィードをフードの男から受け取る稲森。今更ではあるが怪しく思ったという事ではなく、ただ単純にこの人は何故自分に優しくしてくれるのだろうと思ったのだ。
「私は君の味方でもあり敵でもあると思っておいた方がいい」
「え?」
「君はアベンジドライバーを使えるという事、誇りに思った方がいい… その力は報復するための力だ」
「おい!! 手を貸してくれるのは嬉しいけど、イナゴには手を出すなよ!! 許さねーからな!!」
フードの男とは初めてのモグロウは当たりが強い。警戒心が稲森はなさ過ぎるというのもある為、代わりにモグロウが盾になってくれているのかもしれない。
「よし、これでスイムに逆襲できる」
「そしてようやく陸海空が揃いましたね」
「揃うとなにかあります? その… 三位一体とか!?」
「…… それはまたいつか作っておきますよ」
「え、本当ですか!?」
「それではまた───」
いつもの如く用事が済んだフードの男は何処かへと消えていってしまった。新たなアビリティズフィードを手に入れた稲森たちは、スイムがいそうな水辺を探し始める。
そして海へと行き着くと、そこには陽奈の姿があった───。
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「大丈夫ですか羽畑さん!!?」
「…っ… あんたは稲森?」
「怪我は…」
「バカっ!! 罠よ!!」
「えっ… うわっ!?」
その瞬間、水の槍が稲森に降り注ぐが、これでは陽奈も危険に晒すため、彼女をその範囲から押し出す。
「はっ…!?」
「ここから先は僕が逆襲しますよ!!」
そしてアベンジは一瞬にしてドライバーを巻き、新たに手に入れた「ダイブフィード」をセットすると《Welcome!! ダイブ!!》という音声が流れた。
もうすぐで槍が稲森に突き刺さろうとした瞬間、アベンジドライバーの口を閉じて叫ぶ。
《Tasty!!》
「変身ッ!!!」
そこにはエイが現れ、槍を尻尾の針を打ち出して相殺させてから、針を稲森の胸へと突き刺して、ヒレで彼を包み込む。
「うぎゃぁぁぁあ!!?」
《Sleep on the seabed!!》
《START!! ダイブアベンジ!!》
アベンジは変身の度にこの苦痛を味わうのは勘弁して欲しいと思う。
そしてダイブウエポンへと変身を遂げると、同時に海中からスイムの姿が現れた。スイムを見つけたアベンジは早速海の方へとダイブする。
「モグロウ!! そっちは任せたよ!!」
「おう!!」
ダイブウエポンで海へと潜り呼吸をしてみる。思った通り水中でもこの姿なら呼吸を行う事ができるようだ。
アベンジは水中のどこかにいるスイムを探す。海の底は暗く、この姿でも見えない。
「どこへ行ったんだ…?」
その時、再び槍がどこからともなくアベンジの方へと飛んできた。ギリギリの所で躱したが、なにも見えない所からとてつもない速さで向かってきている為、反撃のしようがない。
「ぐぅっ…!! 一体どこから……」
そしてアベンジは避けながら自分の腕に何か射出できそうなものを見つける。両腕を飛んでくる方に目掛けて伸ばしてみると、腕から鞭のようなものが飛び出し何かを掴む感覚があった。
「よくわかんないけど… よしっ!!」
「ぬぐぅ…!!?」
やはりスイムを捕まえていた。そのまま水中でぐるぐると回してスイムを水面へとぶん投げる。
アベンジは無意識に脚に力を込めると、その両脚の横にについているパーツからジェット噴射させて一気に水面へと飛び上がった。
「これでっ!!」
「…… 甘いな」
鞭でスイムを叩きつけようとしたが、鞭はズブリと彼の身体を貫通してしまい、そのまま真っ二つに引き裂いてしまったのだ。
「や、や、やっちゃったぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
同胞を殺してしまったと嘆こうとしたアベンジであったが、スイムの身体は一息に元へ戻り、アベンジを蹴り飛ばして再び水中へと戻る。
「ど、どういうことだ!?」
「私は水のように溶けることができる。だからお前がいくら攻撃しようと、私を倒す事はできない!!」
スイムは手を掻き回して水中で渦を作ると、それにアベンジは耐え切れずに飲み込まれてしまった。
水中で息はできるからと言っても、この渦の中に長時間い続けるのも危険である。
「このまま槍で突き刺して終わりにしてやろう!!」
「…… 甘いのはそっちですよ!!」
「なにっ…!?」
渦の中から針が飛んできて、不意の攻撃に溶ける事ができずに喰らってしまった。攻撃をくらうと共に渦が解除され、アベンジは外へと抜け出した。
「な、なんだ…… ッ!! これはぁ!!」
なんとその針をくらってから溶ける事ができなくなっていた。それもそのはずである。この針には毒が仕込まれており、これに刺されたものはどんな生物だろうと能力が使えなくなってしまう。
これを好機と見たアベンジはドライバーの上部を叩いてスイムに近づく。
「これで逆襲完了だッ!!」
「しまった…!!」
アベンジの両腕はまるでエイの尾のようになり、それをスイムへと巻きつけて上空へと放り投げる。
海から空へ投げ出されたスイムは毒により何もできず、アベンジの両腕から生えた針に挟み込まれるように刺される。
《GOODBYE!! ダイブアベンジタイム!!》
「おりゃぁぁぁぁぁぁッ!!!」
そしてスイムは力なくして水中へと落ちると、彼の身体から楓が姿を現し、アベンジはその子を捕まえて陽奈の元へと向かう。
「羽畑さん… この方は知り合いだったりします?」
「え、楓ッ…!!」
「…… あれ? 陽奈? どうしてこんなところに……?」
どうやら楓は無事のようだった。
アベンジはホッと一息つきたいところではあったが、陽奈に何されるのかわからない為、とりあえずモグロウに合図を送って逃した。
それから海へと潜り、スイムを探すついでにアベンジ自身もその場から逃げていった。
「…… 今のは?」
「怪人よ」
「えっ!? 怪人に仮面ライダーなんていたの!!?」
「そうみたいね… いつか倒すけど」
「でも陽奈」
「ん? なによ」
「助けられちゃったのかな? 怪人に?」
「はぁ?…… 信じたくないけどこればっかりはそうかもしれないわね」
「… 怪人って意外と良い人いたりするのかもね」
「逆に私が意外よ。あんたが怪人を認めるなんて……」
「認めたわけじゃないよ… ただあの仮面ライダーね? 仮面の下からは見えなかったけど、凄く良い笑顔してたと思うの」
「… 稲森、か。今日だけは見逃してあげるわよ… 親友に免じてね」
夕日が海へと沈み、今日という1日が終わろうとしていた。
はい、陸海空揃いました。
もうね終わりからの方はおわかりですよ…!
次回、第6話「速度やスピード」
次回もよろしくお願いします!!