仮面ライダーアベンジ   作:辰ノ命

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皆さんご無沙汰しております。

前回、リゲインのスピーダと名乗る幹部が現れ、更にそこへ幹部のウェイトまで現れた。アベンジとエースは利害の一致故に共闘する事となる…

それではどうぞご覧ください。


第7話「力にストロング」

 2人のライダー。アベンジとエースがようやく並び立ったわけであるが、果たしてこれは有利になるのであろうか。

 相手のジェスターもスピーダとウェイトの2人だけであり、人数的には五分五分のように見える。

 

 

「ちょっと! 前に立たないでよ!」

 

「でも僕、武器ないんですって…!!?」

 

「ちぃっ…!!」

 

 

 しかしその場で初めて共闘し、性格、戦闘方法もまるで違うような2人がまずうまくやれるはずがない。

 一方のスピーダとウェイトはライダー2人の攻撃を避けつつ、それぞれの特徴を活かしながら的確に攻めていく。

 スピーダの高速移動によって翻弄され、ウェイトの超怪力で力負けして手も足も出ない。おまけにタフさもあちらの方が強いときた。

 

 

「私が指示するから、あんたはそれに従って!!」

 

「わ、わかりました!!」

 

「なら、前に出てウェイトの方をなんとかして!! スピードなら私の方が上だから!!」

 

「了解です!!」

 

 

 アベンジは指示された通りにウェイトに向かいながら、ドライバーからフライフィードを取り出して、ダイブフィードを差し込む。

 そしてドライバーの口を閉じて、フォームをダイブウエポンへと姿を変え、両腕の針をウェイトに向かって放つ。あのスイムの特殊能力を無効化させた毒が内蔵されている。奴のタフさと言えど毒に侵されればどうする事もできないはずだ。

 

 

「毒針か……」

 

「これで少しは…!!?」

 

 

 その行為はどういうことなのか。

 なんとウェイトは毒針が向かってきているにも関わらず、両腕を広げて仁王立ちする。これでは確実に毒針が刺さってしまう。もちろん避けることもしない。彼の目はただ真っ直ぐに針を見つめているだけである。

 

 

「ふんっ!!」

 

 

 そして毒針はウェイトの腹を突き刺した… ように見えたが、針はカランと地面に落ちてしまい、彼の腹は全くと言っていいほど傷がついていなかった。

 ウェイトのタフさというものは、どうやら外殻にまで及んでいるらしい。その硬い鎧にはちょっとやそっとの攻撃ではビクともしないようだ。

 

 

「貫けない…!!」

 

「お前如きの攻撃など、俺の身体を突き抜けるどころかかすり傷にもならん…」

 

「かすり傷?… ならなくてもいいんですよ」

 

「ん…?」

 

「僕はあなたをどうにかするだけですから!!」

 

 

 するとアベンジはウェイトの身体に両腕から射出した鞭を巻きつける。

 ウェイトの力の前にはこの鞭は無意味なものとなってしまうだろう。両者その事は理解していた。だからこそこの巻きつけた瞬間だけ、ほんの僅かな時間だけ動かせれば良い。

 つまり反撃される前にスピーダとの距離を離す事が重要なのだ。

 

 

「羽畑さんお願いしますね!!」

 

「お願いされるまでもないわよ!!」

 

 

 アベンジは巻きつけたウェイトをグルグルと回して、遠心力を利用し、彼をスピーダから遠ざける。

 一方のエースはその間にスピーダの動きを把握し、且つ隙を見つつ攻撃を行う。

 

 

「どうしたの? 私のスピードの方が上かしら?」

 

「何言ってるのよ。あなたの為に遅くしてあげてるの」

 

「… あなた自分の状況わかってる?」

 

 

 凄まじい速度での攻防戦の中、明らかにエースの方がスピーダよりも速く、それでいて全く隙というものを見せていない。

 これは他から見ても明らかであるのだが、スピーダはそれを否定する。

 

 

「エース。スピード勝負というのは、どちらかが相手の懐に入れば勝ちなのよ」

 

「全くその通りだわ。だけど私はあなたの懐に入り込んでいるし、あなたは私に攻撃すらまともにしていないじゃないの」

 

「そうよ。私はしていないのよ? させてあげてはいたけどね、お馬鹿さん」

 

「…っ!」

 

 

 その時、スピーダの脚が4本になった。さながらケンタウロスのようになった脚は今まで以上に速くなり、エースのダッシュウェポンですら追い付かないほどになっている。

 スピーダの背後に回り込んだエースはそのまま蹴りを入れようと足を上げたが、彼は後ろ足を持ち上げて思いっきりエースを蹴り飛ばす。

 

 

「うっ…!!」

 

 

 馬の後ろに立たなとはこの事か。

 この威力は馬のそれとは比にならない。スピーダは馬のジェスターであるだけで馬ではない。怪人である。

 アベンジはその光景を目にし、援護に向かおうと考えたが、彼の目の前にはウェイトが立ち塞がった。

 

 

「行かせると思うか?」

 

「羽畑さん…!!」

 

 

 そんなエースは痛みを堪えながら立ち上がり、エースガモスボウを構えてスピーダに向き直る。

 だが、体勢を立て直した時にはスピーダの姿はなかった。既に何処かへと移動している。これがスピーダの本気、本来の動きなのだろう。

 

 

「最初から… 完全に私は追いついていなかったわけか…」

 

「そりゃもう当たり前よ。あなたのような虎の威を借る狐ちゃんがまさか私に勝っていたーなんて思ってたのがお笑いよ」

 

「黙りなさい…!!」

 

 

 スピーダの動きは見えない。エース自身全くその動きの先がどこに行くのかさえわかっていない。

 そして立場は逆転し、エースはスピーダからの猛攻に手も足も出せずにただやられるばかりだ。

 

 

「否定はしないの? それもそうよね? 聞いたわよ〜あなた、幹部の2人に連続して負けているそうね。初代エースは私たちにとって脅威だったわ… だけどあなたの代に変わったお陰で、私たちは攻めることができたの。ずっとこの時を待ってね? 随分調子に乗って好き勝手暴れていたみたいだけど、あなたもここで終わりよ。あなたは弱い」

 

「私は… 違うっ!! あんた達をこの手で倒す!!」

 

「今までビクビクしていたのがバカみたい。それじゃあ… 死んでいった仲間の仇でも打つとしようかしら。初代も残念ね〜… こんな女が継承者だなんて。これがエースだなんて名前貰ってるんだから… 全く、あなたはこの世界に居てもいなくても一緒なのよ──」

 

「黙れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇッッッ!!!」

 

 

 この叫び声はエースによるものではない。

 その声はアベンジが発したのだ。いつもの彼とは思えない程の声の張りや気迫、まるで別のものと言ってもいい。

 

 

「あなたに何がわかるって言うんですか!!? 陽奈さんは今まで一生懸命頑張って世界を救ってきたんです!! いるいらないじゃない!! 陽奈さんはこの世界になくてはいけない人なんです!!」

 

「あなたもジェスターならわかるはずよ。この世界でジェスターは… 同胞は何人死んでいったと思う? 指なんかじゃ数え切れないほどよ? 人は私たちを拒み、そして蔑んだ。これでも救う価値はあると言うの?」

 

「そもそもの発端は僕たちジェスターでしょう!!」

 

「…!!」

 

「争いは争いしか生まない。だけどやらなきゃ止まらない。こんなのおかしいじゃないですか!!? なんで皆、手を取り合おうとしないんですか…? そもそもが間違っているんだ!!」

 

「確かに私たちは負けて降伏したわ!! だけどこんな仕打ちをされてあなたは耐えられるの? いくら善良なジェスターだろうと否定されるのよ!!? あなたが1番よくわかっているでしょう!!?」

 

「わからない!! だって人間も怪人も命がある事に変わりない!! だからその命を救う事が僕はライダーとしての務めだと思っている!! 分け隔てなく、全部を守る!!」

 

 

 この言葉にエースは父の遺言書を思い出した。

「人も怪人も命ある事に変わりはない。お前が変えてくれ。お前が決めてくれ。この世界を本当の意味での平和を…頼んだぞ」

 エースは立ち上がり、エースドライバーのダッシュフィードを抜いて、別のアビリティズフィードを差し込んだ。

 

 

「… なら、変えてやるわよ。そして決めたわ。まずあんた達はこの私がぶっ潰してあげるから…!!!」

 

 

 ドライバーに装着されたのは新たなアビリティズフィード「パワードフィード」である。まだ班目が調整をほぼ行っていない時に無理やり持って来たものだ。

 

 

《パワード!!》《Open!!》

「来なさい怪人!! もう負けないから!!」

 

 

 そしてエースドライバーの側面を押し込むと、象が出現し、スピーダとウェイトを蹴散らし、象が徐々に装甲へと変化していく。

 その姿はまさに要塞と言っていいほどガッチリとしており、彼女の細身の身体を完全に隠してしまっている。

 

 

《Let's try パワードエース!!》

「…… 再びこの世から消えなさい。ジェスター!!!」

 

 

 そういうと重りが付いたかのようにゆっくりと重厚感のある歩き方で進んでいく。

 見ての通りスピードは失われてしまっている為、スピーダは油断した。速攻で近づき後ろ蹴りをくらわせた所まではよかったのだが、その攻撃がまずかったのだ。

 

 

「あ、あらぁ!!? 全然ビクともしない…!!?」

 

「仮面ライダー舐めるんじゃないわよ… このオカマ馬面!!!」

 

 

 なんとスピーダのその攻撃は全くの無意味に終わったのだ。

 エースは両足を掴み、凄まじい握力で持ち上げて回転し始める。その回転の勢いがついたまま、ウェイトに向かってスピーダを大砲のように投げつけた。

 

 

「ちょ、ウェイトちゃんどいて!!」

 

「こんなもの…」

 

 

 ウェイトが受け止める態勢に入ったが、その瞬間アベンジはジャンプウェポンに戻って、アベンジドライバーの口を閉じて必殺技を発動させる。

 守りと隙がガバガバになった脚を蹴り飛ばし、宙に浮かんだところでスピーダに向かって思いっきり蹴り飛ばした。

 

 

「ぐぬぅっ…!!」

 

「これで最後よッ!!」

 

 

 そしてエースはドライバーの側面をもう一度押し込み、2人に向かって両肩から象の牙を伸ばして突き刺すと、全身の装甲が開いてミサイルがずらりと並ぶ。

 

 

「これでぇ…… トドメだぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!!!」

 

「陽奈さん待って…!!」

 

 

 そのミサイルは2人のジェスターを包み込んで大爆発を引き起こした。

 アベンジは2人の死を目の当たりにしてしまい、エースに向かって何か言おうとしたのだが、何も言えずにただその爆発を見ていた。

 

 

「… 陽奈って呼ぶなって言わなかった?」

 

「す、すみません… 羽畑さん。あの2人は…」

 

「死んでないわよ」

 

「…え?」

 

「よく見なさい」

 

 

 ドサリと落ちて来た2人は流石にボロボロではあったが、生きているようだ。

 あの爆発の中でどうやって生き残れたのかと疑問に思っていると、陽奈が喋り始める。

 

 

「爆破させたのは周りよ。着弾させないようにミサイル同士を手前でぶつけてね」

 

「でもどうして…」

 

「さぁね。私もわからない…… ただ色々こいつらから聞けると思ったのよ。リゲインの事とかね」

 

「陽奈さん… ありがとうございます!!」

 

「なんで礼を言われなきゃいけないのかしら… それと呼ぶなって言わなかった?」

 

「す、すみません…」

 

 

 スピーダとウェイトの元へと近づくエース。

 しかし突如、ウィンプジェスターが現れ道を塞いでしまう。更にその奥にはバートンがおり、2人をきつそうに持ち上げて飛び立つ。

 

 

「バートン!!?」

 

「よう、アベンジ。悪いが話して暇ないんでね。じゃあな〜」

 

 

 バートンを追おうとしたエースであったが、急に身体の力が入らなくなる。

 先程の戦いでかなりのダメージを負っており、気づかずそのまま戦い過ぎたのが要因だ。

 エースに迫るウィンプジェスターに、そこへアベンジが蹴りを入れて凄まじい速さで殲滅してしまう。

 

 

「大丈夫ですか…?」

 

「… あなたはいつか絶対倒す」

 

「え…?」

 

「今日は早くどっかへ行きなさい。私の気が変わる前にね」

 

「また見逃してくれるんですね。ありがとうございます」

 

「消すわよ」

 

「は、はいぃ!!!」

 

 

 エースの仮面の下からでもわかる威圧にさっさと逃げてしまうアベンジ。

 不思議と今日はアベンジに対しての闘争心が起きなかった。確かにこのダメージで動けないというのもあるが、それとはまた別の感情である。

 そんな彼女の元へと楓が近づいて来るのがわかり、変身を解いて地面へと座る。

 

 

「お疲れ様〜。あのライダーさんを逃したのはわかるけど、どうしてあの2人を殺さなかったの?」

 

「… 聞き出そうと残したわ… だけど、わからないの。それ以外に変な思いが込み上げて来ちゃってね」

 

「稲森さんは確かにいい人だけど、あいつらは違うでしょ? なら倒さなきゃ!!」

 

「楓… わかってるわ。次は必ず倒すから」

 

 

 楓の表情は眉が釣り上がり、いかにも怒っているという感じではあるが、その心情は表情よりもかなり怒りで煮えくりかえっているのだろう。

 この何年と付き合ってきた陽奈だからこそ察する事ができる。彼女もまた稲森を認めたというだけで怪人に対しての憎悪は消えてはいない。

 

 

「必ず… この手で倒す」

 

 

 今は理解できない感情を胸に、陽奈は再びジェスターを倒す事を決意したのであった──。




以上です。
陽奈さん揺らいで来ているようですが、いつになることやら…

さて次回、第8話「疑いのミステリー」

次はイナゴの何かがわかる!!次回もよろしくお願いします!!
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