前回、リゲインの幹部スピーダとウェイトを退けた仮面ライダーのお二人でしたが、陽奈の方は何かが揺らいだようで…
それではどうぞご覧ください。
陽奈はとある研究室を訪れていた。
目的は班目という男に新たなアビリティズフィードを制作してもらう為である。日に日に現れるリゲインの幹部に対抗するには、それ相応の武器というものは必要不可欠。
しかし陽奈は班目という男をあまり好いてはいない。理由は簡単であり、あの性格とどうも合わないらしい。頭はいいが、常人とは思考が違うというのが大きい。
「班目。入るわよ」
しかし、班目の姿はそこにはいない。
いつも通りであるならば研究室内におり、滅多な事では外には出ない引きこもりなような男である。
「…… 全く面倒ね。ひとまず帰って少ししたらまた来ようかしら…?」
ふと見た場所に見たことのないアビリティズフィードが置かれているのに陽奈は気がついた。
今迄のものとは少し見た目が違うようではあるが、まだ試作段階なのだろう。色はグレーであり、如何にもこれ以上進められていないという感じである。
「また変な物作ってるし… まぁいいわ。帰ろ」
陽奈はさっさと帰ってしまうと、彼女も知らないどこかにある監視カメラがしっかりと彼女を捉えていた───。
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「── おやおや陽奈さんが私の研究所に訪れたようですね。申し訳ないですが、私は別件があるので」
「別件で何故、僕の自宅に来ているんですかね… 班目さん?」
稲森の住むアパートに再びやって来たのはお分かりの通り、班目という怪しさ満載の男である。前と同じく押しかけて来たので渋々、嫌々入れてあげたのだ。
そんなわけで稲森は残り少ない茶葉を入れた急須に入れて、湯呑みに注いで差し出す。
「いやはや君の活躍には流石の一言に尽きますよ。リゲインの幹部相手にあそこまでやれるとは… やはり君自身やアベンジドライバーは素晴らしい能力を秘めているようです」
「はぁ…?」
「… さて、今日私が訪れた理由ですが、少しあなたとお話をしたく思いまして」
「話しですか? 日常という訳でもありませんよね?」
「もちろん。まぁ1人の研究者としてアベンジドライバーはかつてないほどの性能に興味を抱くのは仕方のない事。いやぁ、ジェスターも本気を出せばこれくらいの事はやって見せるんですね… 関心関心」
「えっと… それから?」
「稲森さん。君のアベンジドライバーを私に預けてはくれませんか?」
「えっ…!?」
「ただでとは言いませんよ。それ相応の物はお渡しする事を約束します」
班目の突然の言葉に驚いた稲森は、アベンジドライバーを懐から少しでも出さないように服の上からガッチリと掴む。
この男が何を考えているのかもわからなければ、そもそも知り合って1日そこらで気を許せる仲になるわけがない。
それに渡した所でこちらのメリットはそれ相応の何か。あまりにもデメリットが過ぎるのではないだろうかと稲森は考えた。
「こ、これだけは渡せませんよ」
「… ま、そうですよね。だと思いました」
「なら──」
「── 君が何故アベンジドライバーを使用できるのか… 知りたくはありませんか?」
「……どういうことですか?」
「アベンジドライバーのエネルギーは通常のジェスターであるならばまず耐えられない。ましてや稲森さんのように戦闘を好まない平和なジェスターが何のリスクもなしに使えたのか。不思議じゃありませんか?」
「確かに思いますけど、あなたは一体…」
「その答えが知りたいのであれば、とある倉庫に行ってみて下さい。もちろんアベンジドライバーも持ってですよ?」
「とある倉庫… あっ」
「この場所です。では──」
それから班目は帰る際に、稲森にとある倉庫への道が書かれた紙を渡される。
これについて詳しく聞こうとと思ったが、行けばわかると言って班目はそそくさと帰ってしまった。
彼が一体何を考えているのかは定かではないが、とにかくこの場所に行けばわかる。稲森はすぐに支度を済ませアパートを後にする───。
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とある倉庫へ向かった稲森はこの場所が初めてアベンジドライバーを手にした場所だという事に気がついた。
ここでフードの男からドライバーを渡された事で全てが始まった。仮面ライダーとしての道が開けた場所だ。
「ここから全てが始まったんだっけ……っ」
稲森は背後に気配を感じて振り返ると、なんとなく予想はついていたが例のフードの男が姿を現した。
「… 何故、あなたがここに?」
「久しぶりですね。どうです? アベンジドライバーの調子は?」
「アベンジとしては良いですけど、僕の質問にも答えて下さい」
「いいでしょう。私がここにいるのはとある事情で来たからです」
「え?」
「君が何故、アベンジに変身する事ができたのかをね」
本来であるなら班目から聞く予定であったその理由。
この場所も班目に言われて来た場所だったが、何故かフードの男が出てくるとなんとなくだが予想はついていた。
懐かしい場所であると同時に、あの2人には近いものを感じていたのかもしれない。
「それも聞きたいですけど、あなたと班目さんの関係は?」
「それに関しては後々ご紹介しましょう。今は1番知りたい事を聞くべきだと思いますよ」
「…… では、お願いします」
「… ジェスター首領が動き出す前の話し。首領にはまずやらなければならない事があり、怪人の中の怪人による噛みつき。反逆。それを指揮する怪人を消さなければいけなかった」
「指揮する怪人? 確か聞いたことありますね。僕が産まれる前の話ですよね? それって…」
「しかし首領はその怪人を倒す為にあらゆる事をしたそうですが、その怪人はあまりに強く、首領と言えども無事では済まない程のダメージを与えらたそうです。そんな同種類の怪人が数十人といるんです。ファングすら敵わない。そんな怪人たちが首領に牙を向けば… 後はわかりますよね?」
「そ、そんな怪人がいたら今の首領は何ですか!? ファングですら敵わないってなると…」
「そもそも首領に噛みつくその怪人たちは、首領の意に反した者たち。つまり首領の支配という自分勝手な考えに背いた者。君のような平和を愛する戦闘民族だったんですよ。あらゆる怪人の中でも史上最強のね」
「そんな種族がいただなんて… でもこの話を聞く限りだとその怪人たちはもう… 何故ですか? そんな最強の種族が何故
「これを知る者は今じゃ私くらいしかいませんよ… では、そんな最強の種族の最後はたった1人の人質の為の全滅だったなんて」
「人質…!?」
「その人質はまだ赤ん坊だった。一族はその子を救う為に条件を呑んでしまった。その条件は── 一族全てが首領の下に敷かれる事。もちろん従わなければならないのだからその命も… という風に呆気なく全員その命を奪われた訳です」
「… その赤ちゃんはそれからどうなったんですか?」
「
「目の前…… って、僕ですかッ!!!??」
「そうです」
「ぼ、僕がその生き残り!!? 最強の種族の… こんな僕が…… じゃあそれって……」
稲森は当然この事実に驚いたが、それ以上に胸が苦しくなる事があった。一族の全滅。それはつまり両親も何もかも失ってしまったという事である。
── 幼少期の稲森、基イナゴは優しい怪人夫婦の元で育てられる。どんな時でも笑顔のイナゴはそれはそれは可愛がられ、すくすくと成長していった。
モグロウという友人ができ、平和ボケを繰り返す毎日であったイナゴであったが、それは突然起きてしまう。
夫婦はこの世に駆り出され、戦いを強いられる事となった。その後、彼らがイナゴの元に帰ってくる事はない。
何もかも失ったイナゴを待っていたのは、人間による怪人の拘束だった。つまり今の条約の事。当然それは首領が負けてしまったという事。
怪人にはこの頃から既に自由などなくなっていた。ひと時の平和とはまさにこの事だったのである。
「稲森さん。アベンジになれたと言うことに関しては、元々あのアベンジドライバーはファングさんの為に作られた代物です。そのパワーも性能も桁違いだ。一応私が無断で反逆者たちを集めてテストをしましたが… やはりダメだったようです」
「… 待ってください。テストってどういうことですか?」
「おっと誤解をしないでください。あくまでファングさんの為に作ったものですけど、使える者が現れたのなら最初から譲るつもりでした。それが偶々君だけだったんですよ。まぁ君の姿を見て絶対に使えると私は判断しましたがね。あの一族の最後の1人の君であるなら」
「つまりあなたの目的は何ですか? 素直にファングに渡していればよかっんじゃないんですか?」
「まぁまぁ落ち着いてください。私はどちらかと言えば中立の存在です。敵でもなければ味方でもない。私はただ見守るだけです。この世界がどちらに転ぶのかをね」
「…… わかりました。ありがとうございます。でも…」
「ん?」
「ますますあなたが怪しく感じられましたよ」
「それはそれは… では、私はこの辺でー…… あーそうです。例のアビリティズフィードが完成しそうなのでまた今度お渡ししますよ」
「例の?」
「陸海空の力ですよ。では───」
フードの男がその場からいなくなった瞬間、周りにウィンプジェスターの群れが現れた。
これのお陰で稲森の信用ゲージが更に下がった。だが、今はそんな事を考えている余裕はない。
「全く… 最後まで訳のわからない人ですよ!!」
《START!! アベンジ!!》
アベンジドライバーにジャンプフィードを差し込んで、アベンジへと変身した稲森はウィンプジェスターに向かって走り出す──。
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その頃、誰も知らないとある場所ではリゲインの幹部たちが集められていた。
真ん中にある大きな丸い机を囲うような形で座り、その1つが空席となっている。
「またファングが来てないの? 頭が呼んだのにその頭が来なきゃ意味ないだろ…」
「黙れバートン。頭であるからこそ多忙。こうして集まり情報を交換し、後に伝えればいいこと」
「さすがスイムちゃんね!! 惚れちゃうわ!! だけど私は早くあの小娘をギッチョンギッチョンのメチョメチョにしてあげたくてしょうがないの!!… 絶対許さないんだから!!」
「俺もエースには仮はあるが…… それ以上にアベンジにも仮がある… あの裏切り者… 只者ではない…」
バートン・スイム・スピーダ・ウェイトの幹部たちが情報を交換し合っていると、そこへズシリと重い足音が聞こえる。
その音を聞いた4人は先ほどまでの騒ぎをやめてスッと静かになった。
「あら? やっと来たのねファングちゃん!!」
最後の空席に座ったのは、他4人とは比べ物にならないほどの圧を放っているライオンのジェスター。このリゲインと反逆者たちのリーダー… ファングである。
「… 今日、ここへと集めさせたのは例の実験の成功を報告する為だ」
「例の実験って… まさか本当にできたのか!?」
「仲間には命を、裏切り者には死を… これで仮面ライダー共と人間を皆殺しにする」
ファングが指を鳴らすと、その後ろから例のフードの男が姿を現した。
フードの男は実験の成果を持っていたパッドに映して、リゲイン全員に見せる。
「… わかっているな? 貴様のやった事は裏切り行為に等しい事を… 今回の実験の結果次第では──」
「わかっていますよファングさん。アベンジやエースに対抗できる手段がこれです。敗北するのは非常に考えにくい」
「その言葉が現実となるようにする事だ」
「もちろんです。幹部たちの細胞を組み込んだこの── 『キメイラ』であるなら必ず」
そのパッドに映っていたのは、バートン・スイム・スピーダ・ウェイトの4人が融合したような恐ろしい見た目をした何かであった───。
今日お話しがあり過ぎて戦闘描写がなさ過ぎる(戒め)
次はあるからお兄さん許して…
次回、第9話「四位一体はキメラ」
次回もよろしくお願いします!!