セッ〇スしたら爆発して死ぬ呪い   作:バリ茶

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今回はちょっと変です


気がついたぜ……このゲームの『裏ワザ』によォーッ!

 

 

 

 

 静寂が支配する部屋の中で、少女の荒い呼吸だけが木霊していた。

 苦しそうに肩を上下させながら、彼女は親にすがる子供のように俺の服を掴んでいる。

 カタカタと身震いする彼女の艶やかな黒髪はその毛先までが揺れていて、今のインが『怯えている』という事実を否が応でも認識させられてしまう。

 

「コウ、ごめん……」

 

 ゲームをクリアするためには、残機が残り一つとなった俺とセックスをするしかない。

 それを告白したインは自分の放ったその言葉で、自らがやらなければいけない事を改めて再認識してしまったらしく、こうして泣き喚く直前まで追い詰められてしまった。

 俺はセックスをすると爆発して死ぬ。

 インは俺とセックスをしなければ生き返れない。

 生き残れるのはどちらか片方のみ──なんて、いかにも悪魔たちが考えそうなことだった。

 

「オレ……コウのこと、ころしたくないんだ……」

 

 感情が昂った影響なのか、インは元の男口調に戻りかけている。

 強制的に付与された少女としての人格が霞むほどに、元のインが顔を出しているのだ。

 それは”こんな状況”にでもならない限り、あの無表情な鉄仮面は剥がれないということであり、またそんな強固な呪いが剥がれるほどに今の()が追い詰められているということでもあって。

 

「……イン」

「な、慰めようと……しないで。オレはお前が殺されるのを傍観してたんだ。事故に巻き込んだから、ちゃんとコウの手助けだけするって決めてたのに、死にたくなくてお前の残機が減るのをただ見てた……」

 

 オレが全部悪いんだ。

 オレに生き返る権利はない。

 コウの仲間でいる資格だって存在しない。

 こうして近くにいるだけでも烏滸がましい人間なんだ。

 

 そう自分を卑下し、俺に懺悔し続けるインの姿は、とても痛々しくて目を背けたくなる光景だった。

 姿形こそ女にはなっているが、彼は変わらず俺の親友だ。

 でも、大切な親友が自分に罪を独白し、涙を流しながら俺に謝り続ける姿なんて見たくはなかった。

 そんなことは……させたくなかった。

 

「ごめんコウ……本当に、ごめんなさい……」

 

 

 ──俺に、いったい何ができる?

 

 どうすればこの状況を打破できる? 何をすればこの詰んだ状況を瓦解させることができる?

 親友を生き返らせ、彼を悲しませないために、俺自身も死なずに済む方法はないのか?

  

「イン、俺は……」

「っ! じ、自分の事はいいから生き返れとか、そんなこと言うつもりじゃないだろうな……」

 

 やはり親友にはお見通しらしい。

 けど、これ以外に何かあるだろうか。正解ではないが最善ではあるはずだ。

 

「嫌だ、ぜったいやだ……オレはバレンタインデーまでコウを守る。絶対コウを殺したりなんかしない……」

 

 インは頑なに譲らない。俺のクリア条件であるバレンタインデーまでの生存を優先して、自分の命を諦めてしまっている。

 

「なぁイン、俺だってお前を見殺しにしたくはないんだ。

 だいたいこうなったのは暴走したバスからお前を助けられなかった俺の責任で……」

「ちがっ、あれはオレが──」

 

 

 あぁダメだ。このままじゃきっとお互い譲らない。

 俺はインに生き返ってほしいが、きっとインは俺に生き返ってほしいと思っているんだ。

 自惚れなんかじゃない。目の前の親友を見ていればそんなことはすぐに分かる。

 コイツを納得させて、更に俺自身も納得させるには、二人とも生き返る道を探し出すしかない。

 でもインに俺を殺させるようなクリア条件を与えるような悪魔どもが主催のこのゲームに、そんな残機を減らさずにセックスをするような裏ワザなんて……。

 

「……ここで少し待っててくれ」

「こ、コウ? なにを……」

「電話で悪魔と話してくる。すぐ戻るから」

 

 そう言ってインを部屋に取り残し、俺は一旦家を出た。

 

 

 

 

『はぁ~? そんな都合のいい方法なんてあるわけないじゃん!』

 

 家のすぐ外にて。

 困った時は悪魔に電話をして助言を聞けばいい──なんて話だったが、スマホから返ってきた声はひどく腹の立つ声音とセリフであった。

 こいつぶん殴りたい……。

 

『これだから人間はワガママでやだなぁ。きみは一介のプレイヤーに過ぎないんだから、指定されたことをやればそれでいいんだよ』

「っ……あのさ、聞いておきたいことがあるんだが」

『なに?』

 

 なかなかムカつく野郎だが、怒りはまだ腹のうちに隠しておいて。

 この世界のこと、このゲームの事、いろいろとまだ知らないことがあるのだ。

 流石にすべてを質問するのは面倒くさいので、知っておかなければならないことだけ質問しようと思う。

 

「そもそもこの世界ってどういう場所なんだ。お前たちが作った仮想世界とかなのか?」

『違うよ? そこは君たちが元居た世界と何ら変わらない現実だ。

 ただ特別な点で言えば、そこはわたし達がゲームの舞台に選んだ平行世界。君たちの世界とはちょーっとばかし常識が違くて、エロイベントが多いってだけ』

「……なら、お前たち悪魔はこの世界には干渉できないのか?」

『まぁ好きに弄ることはできないって感じかな。前みたいにアイテムを届けたりするくらいがせいぜいだよ』

 

 つまり極端な話、悪魔たちは本当にただ観戦しているだけ、ということか。

 ならもしゲームの仕様の穴をついた攻略をしても、奴らが止めに入ることはないかもしれない。

 ……それともう一つ。

 

「俺たちはいつまでこの世界にいられる?」

『あっ……もしかして二人で生き返れないから、親友くんとこのままこの世界で暮らそう、とか考えてる?

 ふふふ、無駄無駄。君たちの命のタイムリミットは次のバレンタインデーの翌日までだ。

 期限を過ぎたらわたし達が与えたその体は消滅して、今度こそきみたち死ぬよ~ウッヒッヒ』

 

 悔しいことに考えを読まれてしまっていたらしい。

 どうせ元の世界に生き返ることが出来ないのならこのまま……なんて甘い考えは通用しないようだ。

 確かにこれはゲームなのだから、タイムリミットがあって当然ではある。

 

『アッヒャッヒャ!』

「おい、うるせえから少し黙ってろ」

『うっ。……む、むぅ』

 

 ……くそ、八方塞がりだ。これ以上何を聞いたところで、面白がってゲームを楽しんでいる悪魔は助言なんてしないに決まってる。

 このゲームを神聖な儀式だとかなんとか言っていたが、真実としてはきっとただの娯楽なのだろう。

 自分の地位が掛かっているとは言っていたけど、多分感覚としては競馬とかそういう賭けの類なんだ。

 俺に対しての態度からして、儀式の遂行ではなく遊びを楽しんでいることは明白だ。

 

『ほ、ほら、迷ってないで親友くんなんか見捨てちゃいなYO!

 アイツきみの為なら死ぬ気満々だし、利用するだけ利用して捨てちゃお!

 仲間も増えたしあとは消化試合! これで()()()()勝ちだ!』

 

 ……わたしたちの、じゃないんだな。

 やっぱり協力者でも何でもなくて、悪魔からすれば俺はただ賭け馬なんだろう。

 生き返れるならそれでいいだろと思っている。

 誘導すれば俺がインを見捨てるのだと、本気でそう思っている。

 文字通り自分の”命”がかかっているのだから、自らを優先して当然だ、と。

 

 

 ──ふざけんなバカ。

 

 確かに自分の命は大事だが、それは親友を見捨てていい理由にはならない。

 俺はインと一緒に二人で生き返りたいんだ。

 あいつは俺の親友で、なくてはならない半身なんだよ。

 一人で生き返ったとしても意味がない。俺が生き返っても、俺がインだけを生き返らせても、そんなことに意味なんてないってことは、さっきの親友とのやり取りで十二分に理解した。

 

 だから、俺は──

 

 

【ほら、この五円玉を見てくれ。ゆーらゆーら……】

 

 

 ──ハッ、とした。

 

 

【きみが今からするのは、ドスケベセックスじゃない。ボクによる逆レイプでもない……】

 

 

 そ、そういえば……。

 

 

【ちっちゃい先輩オナホを使ったオナニーだっ♡合法ロリオナホで自分勝手に射精するだけ♡

 ()()()()()()()()()()()()()()()()……っ♡♡】

 

 

 あれは。

 あのときは。

 

【先輩と俺って、あのままえっちしたんですか?】

【ぅ、うん、そりゃもう、激しく】

 

 俺は先輩とドスケベセックスをした。

 フェロモンに当てられて発情した式上先輩が俺に催眠を掛けて、確かに事実として()()()()()()

 

 それなのに残機が減らなかったのは──性行為を『自慰』だと思い込んでいたから、じゃあないのか?

 

 

 ……そうか、分かったぞ。

 これは間違いないッ。

 

 俺の呪いは性行為という事実そのものではなく、俺の『性行為をした』という認識があって初めて発動するタイプの呪いなんだ。

 

 

「……ふ、ふふ」

 

 

 あぁ、笑いを抑えることが出来ない。

 ここで遂に気がついてしまったのだ。

 俺たちの”仲間”になった『あの人』がいれば、この状況を打開できるってことに。

 

 このゲームをインと二人でクリアできる──裏ワザってやつに。

 

「ふふふふっ、クックック……」

『な、なんだ……?』

 

 お前ら悪魔は知らなかっただろうがな。

 この世界にはめちゃんこヤベ~合法ロリがいるんだぜ。

 ”セックス”という事実を『オナニー』という認識にすり替えることが出来る、激ヤバな『式上桃彩』って人間がな。

 

「ふっふふふ……フハハハハハッ!! はーっはっはっははッ!!」

『何を急に笑っている!?』

「あぁ──いいぜ。勝たせてやる。俺は生き返ってテメーを勝たせてやるよ。……だがな」

『なんだ……!?』

 

 心して聞きやがれ!

 

「お前らの見たかった展開は見せてやらねぇ! 俺には”親友”と二人で『一緒に生き返る』算段があるんだよォ!!」

『なっ、なにィーッ!!? …………えっ、マジで?』

 

 うん。

 

「マジマジ」

「なにそれヤバ……」

 




ここで補足しておくと合法ロリ先輩は有能ですが万能ではありません
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