多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第9話 格闘大会

 ○ユニクロン様主催無差別級格闘大会(締め切り済み)

 

 求む参加者。

 至難の戦場。

 僅かな報酬。

 絶えざる危険。

 成功の暁には名誉と賞賛を得る。

 

 

 (南極探検隊コピペかな???)

 

 起きてご飯を食べて早々に、ブルースは地球人の力を見せるために自分達が出場する格闘大会の説明についてトニーと同様のそんな感想を抱いた。

 

 「ごめんなさいね二人とも。こんな押し付ける形になってしまって。」

 「いえいえ、元はといえば僕らが原因ですから。」

 「がんばる!」

 「ほら、ハルクもこう言ってますし。」

 「でも、本当はゆっくり観光して頂きたかったものですから。」

 

 そう言って困った様に眉尻を下げるのは、以前とはまた異なる型の端末に宿ったユニクロンだった。

 その外見は某正解率1%の猟奇殺人系サウンドノベルゲームの名作に登場する「鷹野三四」のナース姿と言えば分かるだろうか?

 何でナースはナースでもよりによってソイツやねんと突っ込みが飛んできそうだが、幸いにもブルースはそういった文化とは縁遠い生活だったので、何も知らずに素直に看護を受け入れていた。

 

 「まぁ何とか頑張って入賞を目指してみますよ。」

 「あまり大怪我なんてしないようにしてくださいね。地球人類の皆さんは私達と違って簡単に死んでしまうんですから。」

 「ははは、大丈夫ですって。僕らはこれでも人一倍頑丈ですから。」

 

 そんな会話をしていたのが試合開始時刻から3時間前の事だった。

 

 

 ……………

 

 

 (あの時の自分を殴ってやりたい…。)

 

 試合開始数分前、ブルースは暗鬱な気分に陥っていた。

 だって試合会場にいるほぼ全てのTFがこっちを睨んでるんだよ?

 小さいのは30cm、大きいのは30mはありそうなのが、こっちにメンチ切ってるんだよ?

 ソーとかなら兎も角、僕みたいな学者にはきついこのアウェーぶり…と黄昏ていた。

 

 この無差別級格闘大会は、年に一度だけ開催される荒くれ者共の祭典だ。

 ルールは簡単で、1km四方の試合会場内に最大50体程度のTFが入り、そこで生き残り形式で戦う。

 変形は可だが、武装は一切無し。

 己が機体によるステゴロのみで勝利せよ。

 ただし試合会場そのものはレースと同様に再開発地区なので、落ちてる瓦礫やビル、廃材なんかを利用するのは有りとする。

 各試合会場では選手が数人になるまで争い続ける事となり、残った数人で潰し合うのも勿論アリ。

 そうやって残った者達は一つの試合会場に集められて再度同じ形式で戦う、最後の一人になるまで。

 しかし、それ以上にブルースを暗鬱にさせているのが、身長・体重等に一切制限がない事だった。 

 

 (無差別級とは聞いていたけど、これは流石にねぇ…。)

 

 自分と同じ試合会場、そこには地球のビル並みのサイズを誇る巨大なTFが鎮座していた。

 体高だけで実に100m近い二足歩行の肉食恐竜の様なフォルムをした姿は、かつて彼らがニューヨークで散々痛めつけたチタウリの巨大生物よりも更にデカい。

 他には10m程度の個体はそれこそ掃いて捨てる程いて、それらが全て二人に対する殺気を隠そうともしていない。

 

 (ハルク、試合開始と同時に交代するから、くれぐれもよろしく頼むよ。)

 (わかった!)

 

 はっきり言って初っ端から絶望的だが、コイツ相手に善戦できれば面目は保てるでしょ、とブルースは若干気分を持ち直した。

 しかし、そんな彼の後ろ向きな思いとは裏腹に、実際は酷いものだった。

 

 (こいつがユニクロン様を傷つけた…。)

 (殺す、殺す、殺す…。)

 (事故でも死ねば地球人は復活できない。)

 

 そんな漆黒の意思を抱かれる程に憎悪されているとは、彼らは露程も思っていなかったのだ。

 少なくとも、この時点においては。

 

 「えー遂にやってまいりましたこの季節!今回はユニクロン様主催無差別級格闘大会!実況のブロードキャストです!」

 「後日開催されるフェザー級、ミドル級、へヴィー級、超へヴィー級も楽しみですね。解説のサウンドウェーブです。」

 

 そして遂に試合開始一分前、放送席からいつもの二人の声が響く。

 

 「今回は初の地球人類の参加に煽られてか、一部殿堂入りしてる選手まで特例で参加してるぜ!嘗ての活躍を知ってるファンは期待大!先日のレース同様、大いに盛り上げてくれ!」

 「10年間優勝を守り続け殿堂入りを果たしたチーム・ダイノボットが今回は全員参加します。他にも今回は超へヴィー級とフェザー級から一名ずつ参加しておりますので、そちらも注目の選手です。」

 「ではそろそろ試合開始です!」

 「それではカウント開始。20・19・18・17……」

 

 刻一刻とカウントが進むと同時、周囲から感じる圧迫感が増していく。

 どう考えても狙い撃ちされるだろうが、それはもう仕方ない。

 彼らの大事な人を傷つけたのは自分達なのだから。

 こうして正面から糾弾されるのは自分達の体質上殆どなかったが、それでも自分達の蛮行に涙した人は確かに存在したのだ。

 

 「5・4・3・2・…」

 「いくよ、ハルク!」

 「1・スタート!!」

 

 同時、ブルースの頭上から突如、10万tを優に超える鉄塊が落下してきた。

 

 「ハハハハハハハ!ざまぁねぇな地球人!」

 

 大声で悪意を隠しもせずに嘲笑うのは、超へヴィー級から参戦してきたギガストームだ。

 以前はミドル級選手だったのだが、今の超大型ボディーに替えてからは超へヴィー級の常連として名を馳せている。

 その三下染みた口調とは異なり、丁寧な機体駆動や確かな戦術眼からヒール扱いされながらも根強い人気を持つ選手でもある。

 

 「さって、とっとと一掃して次の試合に……あ?」

 

 だが、不意に彼の右足が僅かばかり傾いた。

 彼がセンサー系を働かせるのとほぼ同時、右足が突然彼の腹の高さまで跳ね上がり、大きくバランスを崩した。

 

 「ぬ、お…!」

 

 混乱は刹那、投げられたと理解したギガストームは即座にスラスターと重力制御を駆使し、背後へと飛び、転倒を免れる。

 その際、足元にいて退避の間に合わなかった何体かのTFが巻き込まれたが、彼にとっては知ったこっちゃない。

 平然とそれらを踏み潰しながら、各所のスラスターと機体の駆動を合致させながらの尾を大きく横なぎに振るい、生体反応のあった空間を薙ぎ払う。

 五感に依存する人類とは異なり、それらを遥かに凌ぐ数と精度の高度なセンサー群を持つTF達、その中でも大型の個体はその死角を潰すためにより多くのセンサー群を搭載している。

 如何に粉塵で姿を隠し、頭部のカメラアイからは死角に入ろうとも、全身のセンサー全てを誤魔化す事は不可能だ。

 その点、トニーの成したジャミングとステルスの性能が如何に常識外れなのかが理解できる。

 

 「ぐぅ…!」

 

 ドゴン!と、先端の速度が音速に達した巨大な尾の一撃に、ギガストームからすれば緑色の小人に見える地球人が弾き飛ばされ、ビルへと衝突する。

 如何に身体能力が高くても、際立った特殊能力のない獣同然の生物なら対応は簡単だ。

 

 「ハ!雑魚が!」

 

 空かさず追撃とばかりに、その巨体からは想像できない速さでギガストームは突貫、ビルを体当たりの一撃で粉砕した。

 

 「ハハハハハハハハハッ!次はどいつだ!」

 

 高笑いと共に歩き出したギガストーム。

 実戦ならそのまま止めを刺すのだが、今回はあくまで試合であり、TFでもない者を完全に仕留める訳にはいかない。

 戦闘で高揚しても、そうした理性的判断がこれ以上の攻撃を躊躇わせた。

 

 (ま、これで他の連中も溜飲下がっただろ。)

 

 外交問題になるような事は出来ないし、これなら事故を起こそうという連中も出ないだろう。

 そう判断すると、高笑いのまま他の選手へ向かおうと背を向けて…

 

 「っ!」

 

 センサーに反応、背後からの接近を感知する。

 驚きは刹那、最速で迎撃すべく再び尾を振るって接近する敵性存在を弾き飛ばそうとする。

 だが、それはもう見た技だ。

 

 (尻尾が来る!張り付いて!)

 (わかった!)

 

 尾の左側、先端と根本の丁度間の位置にハルクが張り付いていた。

 

 「うざってぇ!」

 

 言葉よりも前に行動を開始する。

 足裏についたゴミを落とす様に、特殊合金にて舗装された大地へとハルクを擦り付けるように動かす。

 だが、その頃にはハルクは既に尾にいなかった。

 尾が動き始めると同時に左足目掛け跳躍したのだ。

 尾を振る動作のために、しっかりと足を大地に付けたのが仇となった。

 一歩先を行かれた故に、既に回避は不可能。

 

 「あぁッ!?」

 

 苛立ちを前面に押し出しながら、それでもその行動は最適だ。

 左足を振り上げ、力を込めて落とす。

 ゴミを振り下ろすための動作に過ぎないが、その巨体とパワーで繰り出せば大抵の敵は仕留められる。

 しかし、それは今までの動作でも同じ事。

 この敵は、その程度では仕留めきれないとギガストームは既にして理解していた。

 本来なら全身の無数の火器で迎撃できるのだが、今回はそれが不可能。

 故にただ衝撃に備えるしか出来なかった。

 

 「HULK…」

 

 足が振り上げられ地に落ちる前に、ハルクの行動は完了していた。

 

 「SMASH!」

 

 左手で足を掴んで体を固定し、残った右手で渾身の力を込めて殴る。

 通常なら然したる威力も出ないような状況だろう。

 しかし、それを放ったのが闘争本能全開のハルクとなると話は違う。

 怒り狂った状態ならば、全ヒーローを相手にしてもなお圧倒し得る膂力を持った彼の本気の一撃を前にすれば、超へヴィー級のTFと言えども脆弱だ。

 ただの拳の一撃で、ヴィヴィラニウムを除いた地球上のあらゆる金属や化合物よりも頑強な装甲は木端微塵となり、左足の膝から下が粉砕された。

 

 「がああああああああ!?」

 

 襲い来る大量のノイズとダメージレポート、そして崩された機体のバランスの処理に頭脳が混乱し掛ける。

 即座にダメージコントロールと左足へのエネルギー供給のカット、バランサーの調整にスラスターの使用による機体の転倒防止。

 一瞬の内にそれを実行するが、それは敵への対応を疎かにしてしまう事に他ならない。

 だがまぁ、ギガストームにそれを求めるのは酷だろう。

 寧ろ彼はよくやった方だと言える。

 ルールの範囲内で油断なく事を進めた。

 問題なのは、相手が非常識の極みみたいな奴だった事だ。

 

 「ぬぅぅぅぅぅぅ……!!」

 「ん、な…!?」

 

 ハルクはバランスを崩して左膝をついたギガストームの尾の先端を握ると、ゆっくりと時計回りに動かし始める。

 遂にはユニクロンの表面装甲を盛大に歪ませながら、ギガストームの全長100m・体重10万tを超える巨体をぐるぐると時計回りに振り回し始めたのだ。

 

 「お、お、お、お、お、お、お、お、お、お!?」

 

 自身より遥かに小さな相手に負けた事こそあれ、超へヴィー級の機体となってからはこの様に振り回された経験はギガストームと言えど流石になかった。

 何とか無事な両腕を振り回して止めようとするが、それよりもドンドン増速する回転の勢いの方が強い。

 結果、ギガストームの巨体はハンマー投げよろしく彼らの試合会場を横断する様に放り投げられ、そのまま隣の試合会場へと突っ込んでいった。

 

 (が、くそ、このままじゃ場外負けか…!)

 

 片足を潰され、まともに歩行できないのでは、TFして移動要塞形態になって場内に戻っても負ける公算は高い。

 しかし、このままハルクが勝ち進んではとても不味い。

 

 (えぇいくそ!取り敢えず戻らねぇと!)

 

 「邪魔だ。」

 

 そんなギガストームの思考は、しかし唐突に中断された。

 

 

 

 ……………

 

 

 「ぬ!」

 

 圧倒的質量で試合会場を蹂躙し、その勢いのまま隣の試合会場へと乱入してしまったギガストームの巨体が跳ね上がり、こちらへと殴り返されてきた。

 

 「がぁぁ!」

 

 再度試合会場が蹂躙されるも、その陸の津波染みた巨体はハルクに殴られる事で今度は止められる。

 しかし、二度に渡る圧倒的膂力での打撃を食らってか、その胴体は半ばから潰され、上下半身に泣き別れしてしまった。

 

 「うぅぅ…!」

 (あいつが今の奴を殴り返してきたのか…。)

 

 「…………。」

 

 隣の試合会場、そこからハルク達を眺めていたのは戦士だった。

 近衛部隊にも似た西洋式の鎧染みた装甲を纏った、威風堂々としたTF。

 嘗ては白銀に近かったであろう総身には無数の傷が刻まれ、その凄まじい戦歴を物語っている。

 二人は知らないが、彼こそはTFの最古参にして最精鋭の一角、チーム「ダイノボット」のリーダーであり、無差別級格闘大会において初代殿堂入りを果たした古強者。

 その名をグリムロックと言う。

 

 「………。」

 

 無言のまま、彼は二人に背を向けて去っていく。

 彼のいた試合会場には既に彼以外立っている者はおらず、ハルク達がギガストームの巨体を使って一掃するよりも早く、自分の試合相手を全て叩きのめしていたのだ。

 

 

 

 

 

 この後、ハルクとブルースの二人は次以降の試合でチーム「ダイノボット」とほぼ総当たりとなり、遂には決勝戦にて絶対王者たるグリムロックと相対する事となる。

 

 

 




最後までグリムロックのキャラは悩みましたね。
ロストエイジか従来の「おれグリムロック!」にするか。
でもダイノボットのリーダーで殿堂入りする程の戦士となると、口数少ない方がらしいと思ったのでこうなりました。

所でビーストウォーズⅡに出たギガストームなんて覚えてる人いる?
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