多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話 作:VISP
新西暦186年8月7日 極東方面 第二新東京市内 某飲食店にて
「皆さーんカルビ焼けましたよ~。」
「おおー…。」
「人間ってユニークな事するんですのねぇ。」
昼時、わいわいがやがやと平日なのに労働者から家族組、独り身まで大盛況な焼肉メインの食べ放題の飲食店の一角。
そこには四人の女性陣と一人の男性が食卓についていた。
しかし、その内実は凄まじい温度差があった。
「お肉…美味しい、ね…。」
「うーん、油とタンパク質とタレの甘さと塩気が絶妙ですの~。」
アルフィミィ(普通のワンピースに着替え済み)とレーベン(十代入ったかも怪しいプラチナブロンドの長髪ロリお嬢様・ゴスロリ装備てんこ盛り)の幼女×2は暢気に焼けた肉や料理に食い付いていた。
その服、匂い落ちるのか心配になるが、一度アインストの能力で吸収してからまた出せば何時でも新品同然だぞ!
そんな能力とか多数持ってるアインスト化した彼女らの身体は高いスペックを誇る。
しかし、通常の人類よりも消費するエネルギーが膨大だ。
機体側からエネルギーを供給されるため、食べなくても問題はないのだが、元人間の精神が安定のために食事や睡眠、趣味等を求めているのだ。
アルフィミィは人を参考に作られた擬人型アインストなのでそんな必要はないのだが、エクセレンの系譜故か、この様に常日頃から他のメンバーと共に食事を楽しんでいる。
「おー食え食え。子供は食って遊んで寝るのが仕事だ。勉強はその次だ次。」
「でもお野菜も食べましょうねー。お肉ばかりは飽きちゃいますから。野菜・肉・野菜・デザートのループこそ食べ放題では大正義ですよー。」
そんな感じで肉と野菜を焼いてやるヤザンに、人間の頃は十代後半のアナハイム系技術学校に通う女子(外見2Pカラーのニャル子)だったフォアルデンもデザートや飲み物を追加して世話を焼く。
(味がしない…!)
そして、普段はヤザンのポジションにいる5人の中で最年長のアラサーだったのに十代後半まで若返ったアトミラールは全くと言って良い程度に美味しい食事を楽しめずにいた。
それもその筈で、理由をつけて離席しようとするとヤザンが全く笑ってない眼光で(座ってろ)と告げてくるのだ。
後輩で年下で元部下の恋人を残して戦死し、その後も生存を知らせずにいた負い目を抱えたアトミラールは脂汗を流しながらその眼光に言われるまま立ち上がる事も出来ずに美味しくない食事を続けていた。
(おーおー普段は姉貴分として頼りになるアトミラールさんが何とも乙女になっちゃってまぁ…。)
好きな人に嫌われたくない小動物オーラを全力で出しているリーダーの筈のアトミラールを見て、ニャル子もといフォアルデンは内心でにやにやしながら事の成り行きを見守る。
「さ、アルフィミィとレーベンは私と一緒にデザート取ってきましょうか?もう取ってきた分が無いですし。」
「行きますの。」
「い、く…!」
「え、ちょ」
有無を言わさず、三人が一気に離席して料理を選びに行ってしまう。
残ったのは顔を青くするアトミラール(今年で生きてれば3ピー歳)とその二つ名の通り、野獣が如き笑みを浮かべるヤザンの二人が残される。
「で、何があった?」
「き、機密だから…。」
「ほぅ?あんな十になってるかも怪しい嬢ちゃん達を運用する部署なんて聞いた事ねぇなぁ?」
「と、特殊な適性持ちの子達で…。」
「ほぅ?NT関連研究は戦後は政府側の指定施設で行われ、未成年の参加は検査のみの筈なんだがなぁ…?」
「」
一年戦争勃発が新西暦179年で終わったのは翌年の1月1日。
そして、現在が新西暦186年の8月。
法改正や新法立案と施行するだけの時間は幾らでもあった。
事実、NT研究による非正規勢力の跋扈を封じるため、NT研究は戦時でもない限りは未成年者の参加は禁止され、辛うじて検査によるデータ取りのみが許されている。
これは戦後、ジオンからNT研究のデータを入手し、その悪用を危惧した連邦政府が主導したもので、一定の成果を上げたものの、それでもジブリール閥のティターンズ系研究機関等、政府の目から逃れて研究を続ける連中は一定数存在した。
また、戦時においては緊急時、異星人や異次元等の侵略者にのみ16歳以上の子供でも軍に志願可能だが、そうした兵は対人類間戦争では運用せず、そうした若過ぎる者は練度の関係で後方に回されるのが常だった。
要は数合わせのための人員でしかなかったのだ。
それを考えると、如何にシンジ達チルドレンやスーパーロボットのパイロット達の扱いが超例外であるかがよく分かる。
そんな法改正等を一年戦争末期、ソーラーシステム輸送艦並びコントロール艦の移動の護衛任務の最中にジオンのNT部隊(32機のサイコザク軍団)の奇襲を受けて戦死、その際に遺体をアインストに回収されてアインスト化、以来ずっと戦い続けていた彼女が知っている訳もなかった。
「で、何があった?」
「い、言えない。」
「ほぅ?」
「言ったら、巻き込まないといけないから…。」
もしここでアトミラールが何かアインストに関して漏らそうなら、ヤザンもまたアインスト化させなければならない。
抵抗するなら、最悪殺害すら視野に入る……と、アトミラールは思っていた。
実はアインスト側の最高権力者たるノイレジセイアは「別に機密情報とかそんなもの存在せぬ。我らの情報が漏れた所で質と物量で人類を始めとした他勢力は圧殺可能だ。」とか思ってたりする。
事実、アインストの宇宙による侵食さえ完了すれば、その時点で無限に進化と再生を繰り返す無尽蔵の物量が投入可能になるので、その認識は正しいのだがそれはさて置き。
(やはり口が堅いな。)
流石は若い頃の軍に入ったばかりのヤンチャしてたばかりの自分を育て上げただけはあるな、とヤザンは思った。
なお、入隊した頃のヤザンはイサム・アルヴァ・ダイソン中尉(マクロス+の主人公)も斯くやのやんちゃぶりで野獣所か狂犬状態だった。
それを当時、ボコボコにして一から軍人としての規律を叩き込んだ上官が若かりし頃のアトミラール、人間だった頃の名前をコムギ・パストゥール(ヤザンより6歳上)だった。
そこから紆余曲折を経て二人は交際を開始、一年戦争終了後には結婚する予定だった。
そんな惚れた女の堅物かつ頑固な所を知っているヤザンはここで聞き出す事は無理、無理に聞き出そうとすれば流石に目立つし、先程からこちらを見ているフォアルデンに排除されかねない。
加えて、この街はNERVのお膝元であり、迂闊な話をしては何処で聞かれるか分からないのも痛い。
「んじゃ連絡先渡しておくから、困ったら連絡しな。」
「…良いの?」
「良かないさ。だがな、ここで無理して再会できたお前に避けられる方がキツい。」
それはヤザンの本音だった。
惚れ抜いた姐さん女房(予定)が死んだと思ったら、訳ありとは言え生きていた。
その訳ありの内容がどう考えてもヤバゲなものだと直感で察しながらも、それでも生きていてくれた事が大事だった。
更に諸々の要素を考慮して、ヤザンはもしもの時の事を考えて連絡先を渡し、繋がりが途絶える事を防ぐ事にした。
「戻ってきましたー。」
「カルビ、ハラミ、タン塩ですのー。」
「アイス、と、お野菜も…。」
話は終わったと判断したフォアルデンに連れられて幼女二人が戻ってくる。
三人の姿にアトミラールもホッと息をつき、ヤザンもここまでだなと意識を切り替えた。
「ほれ、そろそろ食うぞ。」
「もう良いの?」
「今はこれで良いのさ。」
そこからはヤザンはアトミラールにおら食え!とばかりに焼肉と野菜を焼いては食わせ、自分もわはは!と上機嫌に焼肉とビールをカッ喰らっていく。
闘争を楽しむ時以外でこうも心が軽いのは久しぶりだと感じながら、ヤザンはもうないと思っていた安らぎの時間を過ごしていた。
その姿はまるっきり娘達に囲まれた休日のお父さんだった。
……………
「ここが第二新東京市か…。」
夕暮れ時、食事と休憩その他を終わらせた衝撃のアルベルトは第二新東京市へと到着していた。
「NERV本部はこの地下だったな。」
ふむ、とアルベルトは考える。
極東方面の行政の中心故か、その警備態勢はしっかりしたものだが、十傑集の一人たる彼を捉える事すら出来ないのでは案山子も同然だった。
これが国際警察機構であれば下っ端であろうと侵入を察知する事は出来るので、怠慢な兵しかいないとアルベルトは結論付けた。
アルベルトの言い分は理解できる。
極東方面の行政の中心都市であるからには戦時下であるからには相応の警備態勢が敷かれているべきである。
しかし、魔神覚醒事件からこちら、ムゲ帝国の侵攻はパタリと止み、外宇宙からの侵略者も太陽系防衛用無人機動部隊によってその侵攻は阻まれている。
そのため、太陽系外周部の土星や木星に火星、一年戦争で大きな被害を受けた各サイドのコロニーなら兎も角、地球はあっと言う間に平和ボケが始まっていたのだ。
お前ら、魔神覚醒事件が一か月前に起きたばかりだろと言いたい所なのだが、事態が余りに現実離れしていたせいで認知されていながらも、連邦軍内部でも末端では多くの人が現実から目を反らしていたのだ。
また、この都市が何だかんだ言ってNERV、その裏のゼーレの影響力が強く、超法規的とは言わないものの独自の権限を持っている事から連邦軍からの受けが悪く、都市の規模に相応した精鋭歩兵部隊の駐屯等が行われていなかったのも大きい。
それでもヤザン率いる精鋭の機動部隊一個大隊(量産型特機含む)が駐屯している辺り、A.I.M.は本当に頑張ったと言える。
そんな訳で、アルベルトの思う案山子同然の怠慢な兵という感想は正鵠を射ていた。
とは言え、流石に十傑集基準の精鋭部隊なんて早々いないし無茶言うなよとは思うのだが…。
「地下への入り口は…あそこか。」
第二新東京市の地下にある巨大空間ジオフロントへの入り口であるモノレール駅を見つけると、アルベルトは颯爽と歩き出す。
その明らかに堅気ではなく、どう見ても連邦軍でもNERV関係者でもない姿に流石にモノレール駅の警備員が呼び止めた。
「申し訳ありません。IDカードをお見せs「邪魔だ。」
その言葉と共にアルベルトの指先から放たれた衝撃波により、警備員の首から上が消失した。
『ッ!?て、敵襲!敵襲だー!』
それを監視カメラから見ていた保安部が警報を鳴らす。
途端、ジオフロント全域が第一種戦闘態勢へと移行するが、元研究機関の警備兵上がり程度でどうにか出来る程に十傑集は惰弱ではない。
「さて、エヴァとやらは何処にあるのだ?」
こうして、第一次NERV襲撃事件は幕を開けた。
ヤザン、将来の予行演習()
シャムシェルの代わりに十傑集が一人、衝撃のアルベルト様が来てしまった件。
シンジ「人間とは(哲学」
リツコ「あれが人の可能性…。」
ミサト「付近のガンダムファイターに連絡!報酬は後で幾らでも出すから!」