多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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書いてて思う。


やっぱり十傑集って頭おかしい(今更)


第29話 十傑集その3

 新西暦186年8月7日 極東方面 第二新東京市地下 NERV本部内

 

 「正面ゲートより侵入者確認!最寄りの保安部員は武装した上で急行せよ!」

 「保安部員一個小隊が到着しました!…だ、ダメです、やられました!」

 「通常装備じゃ歯が立ちません!重装備の許可を!」

 「監視カメラ、映像出します!」

 

 轟々と炎と粉塵を上げる正面ゲート前のモノレール駅からのホーム。

 そこにはつまらなそうに葉巻を加え、上等なスーツに身を包み、右目を眼帯で隠した男の姿があった。

 

 「照合開始…出ました!超S級犯罪者集団BF団の幹部、十傑集の一人『衝撃のアルベルト』…戦力評価S!?」

 「Sって…特機を一人で撃破できるっての!?」

 

 日向の報告にミサトが叫ぶのとほぼ同時、モニターのアルベルトの指先が光ったと同時に監視カメラが破壊され、映像が途切れた。

 

 「首都防衛隊に救援要請!それと、近場のガンダムファイターに急いで連絡!ランクは問わないから呼んで!お金は後で幾らでも出すから!」

 「は、はい!」

 

 特務機関NERV本部。

 使徒殲滅を主任務とするこの機関は今、事前に全く想定していなかった事態を前に、壊滅の危機に陥っていた。

 

 

 ……………

 

 

 「何だ、この程度の抵抗しかないのか?」

 

 一方、アルベルトのテンションは下落の一途を辿っていた。

 街の食事は美味かったし、サービスも中々のものだったが、標的を保有するNERVと来たら組織規模の割に自分一人に侵入されてこうもオタオタとしているので詰まらない事この上ない。

 

 「はぁ……仕方あるまい。用事を済ませてとっとと帰るか。」

 

 仕事は仕事と割り切って果たそう。

 なので足に力を込めて急ぐかという時、今までとは違う悪寒を感じて飛び退いた。

 瞬間、カン、という軽い音と共に先程まで立っていた床に指先程の小さな穴が開いた。

 特殊装甲製の床をあっさりと貫いて、だ。

 

 「歩兵用レールガン…A.I.M.か!」

 

 重要施設内でこんなふざけた代物をぶっ放す連中なんて一つしかない。

 アルベルトの視線は、通路の奥に立つ三名の侍女型自動人形に向けられていた。

 一人は主力戦車の正面装甲すら貫通可能な2m近い総身を持つ7mm歩兵用レールガン(弾丸はスペースチタニウム製)を装備。

 一人は12.7mm連装機関砲を両手に一つずつ装備。

 そして、最後の一人に至っては前時代的な巨大なタワーシールドを装備している。

 これは対格上を想定したA.I.M.警備部門所属自動人形一個小隊の施設防衛用正式装備であり、服装もいつもの侍女服に肩に警備のロゴが入った腕章を追加している。

 

 「対象の回避を確認。」

 「対象、特記カテゴリ:BF団:十傑集所属『衝撃のアルベルト』と確認。」

 「対象の脅威度を最大値に設定。本社並び近隣の支部に増援を要請。」

 「これより遅滞戦闘を開始します。付近の非戦闘員の方々は迅速にお逃げ下さい。」

 

 宣言と同時、再度レールガンが放たれる。

 放たれたスペースチタニウム製の弾丸は音速の7倍近い速度で目標目掛けて飛翔する。

 それを先程の油断し切った面持ちではなく、真面目に回避するアルベルト。

 何せ当たれば十傑集とは言え重傷は免れない貫通力を持っているのだ。

 そんな代物に当たりたくは無かった。

 

 「人形風情が…図に乗るな!」

 「迎撃開始。」

 

 通路内を縦横無尽に動き回り、射線を絞らせずに接近を試みる。

 すると、合計4門の12.7mm機関砲が火を噴き、空間を制圧する程の弾幕を形成する。

 

 「猪口才な!」

 

 応じる様にアルベルトの両手から衝撃波が連続して放たれ、機関砲の弾丸は吹き散らされていく。

 

 「発射。」

 

 一瞬、僅かに攻撃に意識が逸れた隙を狙ってレールガンが発射される。

 しかし、その一撃を身を捩るだけで回避し切ったアルベルトは一瞬で踏み込み加速、自動人形らを接近戦の距離に捉えた。

 

 「対応開始。」

 

 それを仲間を守るべく前に出た盾持ちの自動人形が迎え撃つも…

 

 「図に乗るなと言った!」

 

 が、MSのビームライフルすら正面から防御するDFを展開可能なシールドも意に介さず、アルベルトの両腕から放った衝撃波によって後衛の二体諸共吹き飛ばされた。

 五体をバラバラにされた自動人形らはそのまま通路の奥の壁へと激突、内部構造部品を撒き散らしながら壁に埋もれて機能を停止した。

 

 「ふん、まぁ慣らしにはなったか。」

 

 こうして、アルベルトは再び侵攻を再会した。

 稼げた時間は、1分にも満たなかった。

 

 

 ……………

 

 

 「初号機、エントリープラグの用意は!?」

 「後30秒!固定良し、LCL注入開始!」

 

 一方その頃、エヴァ初号機の固定された格納庫では整備班が大急ぎで出撃準備を整えていた。

 だが、それは使徒迎撃のためでも、況してや対人?戦闘のためでもない。

 碇シンジ並びエヴァ初号機の安全を最優先する場合、中にパイロットがいてATフィールドを展開してもらった方が都合が良いのだ。

 

 『ミサトさん、皆さんも避難してください!』

 「駄目よ、シンジ君。私達ネルフはその性質上エヴァを見捨てる選択肢はないの。今後の使徒迎撃のためにもね。」

 『だからって、あんな人相手にどうしようって言うんですか!?』

 

 シンジの叫びはもっともだった。

 今この瞬間にも衝撃のアルベルトはゆっくりと焦らす様に侵攻してきている。

 もう20分としない内に初号機の存在する格納庫へと到達するだろう。

 こうも時間がかかるのは、アルベルトが手を抜きに抜いているからに他ならない。

 アルベルトにとっては、この程度の警備網はちょっと刺激のあるランニング程度のものなのだ。

 

 「侵入者の予測進路上に硬化ベークライトの注入を開始。完了まで17分です。」

 「って事は、後10分もないわね。」

 

 自分達の命運はそこまでだと、ミサトははっきりと悟った。

 幸いにも初号機とパイロットの保全は何とかなりそうだ、と彼女はこの時はそう判断していた。

 まさか相手が生身の人間でありながら、対宇宙怪獣を想定した特機すら破壊可能な出鱈目な存在だ等とこの時の彼女は想像すらしていなかったのだ。

 否、普通の人間なら、そんな想像なんて出来ない。

 

 「硬化ベークライトか…面倒だな。」

 

 一方その頃、アルベルトは通路を埋め尽くす赤い固形物を見て眉を顰めていた。

 

 「まぁ良い。吹き飛ばせば済む事だ。」

 

 両足を肩幅に広げ、両腕を引き、腰溜めに構える。

 そして、両掌に衝撃波をチャージしていく。

 

 「せぇいやぁぁ!!」

 

 解放された衝撃波が硬化ベークライトに満たされた通路のみならず、巨大地下空洞に存在するNERV本部、その周辺一帯を区画ごと吹き飛ばした。

 

 『な、何!?』

 

 初号機に乗っていながらも大きく響いたその衝撃にシンジは動揺する。

 

 『み、ミサトさん!?大丈夫ですか!?』

 

 しかも、指令室との通信も途絶、外部カメラでは整備班の人達も慌てて退避を始め、直ぐにいなくなってしまった。

 

 『そんな…僕一人だけ…。』

 

 そこが一番安全かつ危険な事を知らないシンジは、元々の臆病さ・繊細さが表に出始めて泣きそうになる。

 何だかんだ第二新東京市に来てからはほぼずっと誰かと一緒に騒いでいた事から表出しなかったシンジの軟な部分が、ここにきて出てしまった。

 

 『誰か、誰か返事をしてください!』

 「何だ、ここにいたか。」

 『ッ!?』

 

 外部マイクで叫ぶ初号機、その正面のタラップに何時の間にかその姿はあった。

 BF団最高幹部たる十傑集が一人、衝撃のアルベルト。

 たった一人で特務機関NERVに正面から乗り込み、その警備網を正面からぶち破ってきた男。

 

 「どうした、途端に黙りおって?それとも何か、そんなものに乗っていながら人間一人が怖いのか?」

 『そんなものって…エヴァは対使徒用です!』

 「ん?小僧、貴様何も知らされておらんのか?」

 『え…?』

 「エヴァの開発理由は表向きは確かにサードインパクトの阻止、そのための使徒撃滅だ。だがな、裏があるのよ。」

 『裏って…。』

 「貴様の周囲の連中は殆ど知るまいよ。貴様の父位だろうがな。」

 『……。』

 「興味が出たか?だが、此処から先はタダで言う訳にはいかん。」

 

 す、とアルベルトの気配が変わる。

 油断や挑発、相手を舐めてかかってのそれではない。

 相手の底を、その潜在能力を確認するがために、死ぬ寸前まで追い詰める。

 エヴァンゲリオンが本当にこの星を守る力と成り得るのか、それを確かめるために。

 

 「聞きたくば、その力を示せッ!」

 『ッ!』

 

 ゴッ!とアルベルトの手から衝撃波が放たれる。

 が、不意を打った筈の一撃はATフィールドに難なく防がれる。

 

 (先日の奴よりも頑丈か。まぁこれ位はな。)

 

 たかが爆撃で撃破されてしまう様な雑魚と一緒では困る。

 そんな事を思いながら、次々と衝撃波を繰り出す。

 

 『こ、のぉ!』

 

 ATフィールド越しとは言え、その全てを防ぎ切れていない。

 断続的に響く衝撃に漸く戦意を抱いたシンジは外敵を排除すべく、初めて人間に対してエヴァを動かした。

 

 「おっと、遅い遅い!」

 

 LCLのプールの水面から飛び出る初号機の右腕に、アルベルトは一切動じずに回避する。

 次いで延ばされる左腕も空中で放つ衝撃波を推進力としてあっさりと回避する。

 

 「その程度でお終いか、小僧!」

 

 先程よりも大出力の衝撃波が放たれ、ハンガーに固定された初号機が揺らぐ。

 

 『こ、の…!』

 

 シンジは歯噛みする。

 この場所では周辺への被害が大き過ぎる。

 だが、ここ以外では小回りの利くアルベルトの方が有利に過ぎる。

 しかも、初号機はハンガーに固定されているため、碌に反撃も出来ない。

 

 「ぬ!?」

 

 だが、NERV保安部員と量産型自動人形らが足掻いて稼いだ時間は、しっかりと成果を出した。

 

 「そこまでよBF団!」

 

 ドゴン!と施設内であるにも関わらず、アルベルトに向け盛大に砲弾が放たれた。

 

 「艤装型パワードスーツ装着完了!高雄、出撃致します!」

 「目標発見、攻撃開始!」

 

 救援要請を聞き付け、駆け付けた横塚高雄・愛宕両中尉らが特製の艤装型パワードスーツを纏って応戦を開始したのだ。

 

 「シンジ君、大丈夫!?」

 『ゴトさん!無事だったんですね!』

 

 加えて、同じく艤装型パワードスーツを纏ったクローナ・ゴトランド少尉も遅れて到着した。

 

 「無事ね、良かった。」

 『他の人達は大丈夫ですか!?』

 「指令部の人達なら大丈夫よ。通信機能が逝かれただけで、向こうに行ったこっちの人員とは通じてるから。」

 『良かったぁ…。』

 「あ、指令部から入電…シンジ君は初号機に乗ったまま、本部表層に出てほしいって。」

 『え、こっちの戦闘は…。』

 「初号機で中で暴れる訳にはいかないでしょう?表層にはもうこっちの部隊も展開してるから合流して、改めて迎撃を開始するって。」

 『わ、分かりました。ご武運を!』

 

 そこまで言うと、シンジからの通信が切れる。

 同時、指令部からの操作でハンガーが移動を開始、表層へのカタパルトへと移動していく。

 

 「えぇい、邪魔をするな人形風情が!」

 「あら、お貴族様ともあろう人が人形遊びはお嫌ですか?」

 

 一方、アルベルトは先程の量産型自動人形とは格の違うナノマシン式高級自動人形、その中でも特に要人警護のために白兵戦能力も高く設定された艦娘型自動人形二人を相手に苦戦していた。

 これは艤装型パワードスーツ(普通の人も使える火器搭載型簡易PS)のみならず、彼女ら本人の性能が先の量産型自動人形とは隔絶している事も大きい。

 具体的にはBF団基準ではA級エージェントの中でも上位の人員に匹敵する。

 なお、十傑集は超A級エージェントとされるので、高雄と愛宕は血風連相当かと思われる。

 

 「喰らいなさい!」

 「ぬぅ!」

 

 加えて、放ってくる弾頭が端からアルベルトの様な存在を想定していたのか、弾頭が全て大粒の散弾になっており、回避し辛い上に全ての粒がスーパーチタニウム製のため、カス当たりであっても当たれば十傑集と言えどダメージは免れないと来ていた。

 施設への被害?

 (そんなもん気にしてられる相手じゃ)ないです。

 

 『初号機、射出します!』

 「愛宕、一度退くわよ!」

 「はーい!」

 

 が、そんな二人でも時間を掛ければアルベルトが押し返し、負ける事は確定だろう。

 なので、初号機のNERV本部表層(ゼルエルと戦った場所)への射出が叶ったのならば、素早く撤退する。

 

 「人形共め、逃がすとでも思うか!?」

 「全然、」「思ってないわ!」

 『対テロ用無人小型レイバー隊、突入します!』

 

 途端、ワラワラと四足型の無人小型レイバー・カルディアが格納庫の搬入口や大型ダクト等、あちこちから侵入、アルベルト目掛け突撃させる。

 首都防衛隊の対テロ用装備の一つである無人四足型小型レイバーを急遽持ってきたのだ。

 

 「うっとおしいわ!」

 『ピー!』『Pi!』『ぴぎー!』

 

 変な電子音なのか鳴き声なのか分からない音を発しながら、あっさりと駆逐されていくカルディア達。

 が、ほんの数秒とは言え時間稼ぎには成功し、高雄と愛宕は離脱に成功した。

 

 「えぇい、猪口才な!」

 

 アルベルトは目的を果たすまでは退けぬと高雄と愛宕の逃げた先、NERV本部表層へと向かうのだった。

 

 

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