多重クロス作品世界で人外転生者が四苦八苦する話   作:VISP

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第32話 十傑集その6

 新西暦186年8月7日 極東方面 第二新東京市

 

 

 大部隊を率いて極東方面の行政の中心を抑えようとしたムゲ帝国軍極東方面軍の主力は、一転して劣勢に追い込まれていた。

 

 『くそ、何だあの特機は!?』

 『固すぎる!火力支援をしてくれ!』

 

 前線からはATフィールドを持つエヴァ初号機の排除が全く進んでおらず、弾切れやエネルギー切れを誘発しようにも完全に迎撃機能を取り戻した第二新東京市内にはエヴァ専用武装やアンビリカルケーブルは予備を含めて多数配置されている上、支援用の武装ビル群も無数に取り揃えられている。

 アルベルトの襲撃による混乱さえ無ければ、ムゲ帝国軍はこの都市に入る事すら出来ずに壊滅させられていただろう。

 

 『う、うわあああ!?』

 『司令部、司令部!増援を求む!敵のエースだ!』

 

 そして、エヴァ初号機に余りにかまけているとその隙を突いてヘイズ1と2、首都防衛隊で最も近接戦闘能力に長ける二人が切り込んで来るのだ。

 

 『この…特機とは言え量産機に!』

 『ぐあああああ!む、ムゲ帝王様バンザーイ!』

 

 その二人を数で抑え込もうとしても今度はロック1と2、二機のグラビリオンの大出力ビームと無数のミサイルによって吹き飛ばされる。

 加えて、先程から大暴れを続けているアインスト4人娘達が続いている。

 特に制空権を一隻でありながら一方的に捥ぎ取っていったグラウベンに上空を抑えられた現状では、数こそ未だ優位であるものの、ムゲ帝国側は明らかにじり貧だった。

 艦砲で地上を支援しようにも、必死に操艦して牽制攻撃をしないと全長6kmの巨体故の高い防御力と砲撃能力・対空迎撃能力を併せ持つグラウベンに一瞬で蹴散らされかねない。

 スパロボ的に言えばムゲ帝国軍の主力戦艦たるムゲ戦艦は2Lサイズ(全長は100~1km間)、対するグラウベンは3L(数kmからそれ以上のもの全て)となり、元の装甲・武器性能の差はサイズ補正によって更に広がる。

 本作では一応ムゲ戦艦は500m級万能母艦と考えているが、その性能は耐久力と火力こそそれなりにあるが、あくまでそれなりに過ぎない。

 宇宙怪獣相手にバチバチやり合うために生み出されたグラウベンに敵う道理はなかった。

 故に、ムゲ帝国側の劣勢は当然の結果だった。

 

 『…止むを得ん。アレを出せ!』

 『よ、よろしいので?』

 『制圧できんのは癪だが、それ以上に負ける訳にはいかん。やれ!』

 『は!』

 『全軍に通達!都市殲滅用大型兵器を出すぞ!急ぎ指定範囲内から離脱しつつ、転移を成功させるために一時でいい、敵を抑え込め!』

 

 そして、ムゲ帝国側はもしものために用意していた切り札を切った。

 同時、後先考えぬ反撃を開始した。

 

 『攻撃が変わった…何か来るぞ!これで最後だろうから圧し切れェ!』

 『攻勢…反撃の前段階か。各機、警戒しつつ攻撃の手を緩めるな!これさえ凌げばこちらの勝ちだ!』 

 

 首都防衛隊とアインスト4人娘、その双方の指揮官は相手の焦りを悟ってか、ほぼ同時に同じ様な指令を出した。

 

 『あら?』

 『んん、また増援ですかー?』

 『Grrrrrr…!』

 

 そして、ムゲ帝国側が無理に攻勢に出ては手痛い反撃を受けて出してから1分、遂にムゲ側の奥の手が降ってきた

 

 全長、否、直系6kmの都市殲滅用巨大円盤型機動兵器メガロプレッシャーである。

 

 その大質量並び下面に取り付けられた逆三角形の刃を回転しながら上から叩き付け、都市そのものを叩き潰す実に大雑把な兵器である。

 これを受ければ、住民は地下に格納された装甲ビル群内部やシェルターに避難している第二新東京市とは言え、被害は免れないだろう。

 

 『させるか!』

 

 即座にその兵器の性質と狙いを察知したアトミラールがグラウベンの巨体をメガロプレッシャーの下に突っ込ませ、都市への降下を防ぐ。

 ここで下手に砲撃を加えて撃墜しようものなら、撃墜された巨大円盤の質量がそのまま街へと降り注ぎ、結局は同じ事になる。

 であればやるべき事は一つ、敵機動兵器群を排除しつつこの巨大円盤を第二新東京市の外、或いは森林部や芦ノ湖上空へと追い出してからの撃破である。

 

 『敵大型艦の動き、止まりました!』

 『馬鹿め!各艦は敵大型艦に火力を集中せよ!』

 

 途端、圧されていたムゲ戦艦の残り2隻が反撃を開始する。

 一部はメガロプレッシャーにも命中しているが、その性質上装甲が滅茶苦茶厚いこの円盤にはムゲ戦艦の砲撃も通らない。

 結果、グラウベンは碌に動けない状態で砲撃を喰らい続ける事となる。

 

 『ぐぅぅぅ…!バリア並び推進部にエネルギーを集中!こっちはまだ大丈夫だから各機は敵の排除を優先しなさい!』

 

 最早人間ではない身でありながら、アトミラールもといコムギは愚直に都市への、民間人への被害を軽減させようと奮起する。

 

 『待たせたな!』 

 

 そして、ここで漸くドモンが駆けつけてきた。

 搭乗した試作MF「シャイニングガンダム」と共に。

 

 『各所に侵入しようとしていた敵歩兵部隊は排除した!後は機動兵器だけだ!』

 『ぃよぉっし!機動兵器はMFとヘイズ小隊が担当する!ロック1と2、エヴァ初号機は敵艦を落とせ!』

 『シンジ君、ポジトロンライフルを用意したわ。指定されたビルに取りに行って!』

 

 消耗していたムゲ機動兵器部隊には未だ完全とは言えないものの出鱈目なMF+精鋭部隊を相手にするだけの余力はなく、ものの数分で駆逐されていった。

 加えて、残り2隻の戦艦の命数もまた尽きようとしていた。

 

 『ロック1、メガグラビトンウェーブ、チャージ開始。』

 『ロック2、同じくチャージ開始。』

 『射撃タイミング合わせ、ロック1は敵1番艦、ロック2は2番艦を照準。』

 『ロック2、了解。…チャージ完了!発射します!』

 『発射ぁ!』

 

 本来なら広域破壊のためのMAP兵器たるメガグラビトンウェーブ。

 両腕に間に指向性を持った重力波を収束、お返しとばかりに二機は上空の敵戦艦2隻へと叩き込んだ。

 その一撃はグラウベン相手に辛うじて生き残っていた2隻のムゲ戦艦には余りにも過剰攻撃過ぎた。 

 

 『こ、こんな筈では…!?えぇい、ここで最後なら貴様らも道連れだぁ!』

 

 轟沈し、火達磨になりながら、ムゲ帝国軍の指揮官は最後の最後、メガロプレッシャーへと自らを省みない特攻を指示して轟沈したのだった。

 

 『くぅ…!円盤の出力が…!?』

 『ちぃ!ムゲ野郎め、最後にあの円盤を落とすつもりか!?』

 

 逸早くグラウベンが押され、メガロプレッシャーが再度降下と回転を始めたのをヤザンは素早く察知した。

 

 『ちょ、アトミラールさん、砲撃、砲撃してくださーい!』

 『駄目!今撃てば第二新東京市に降り注ぐ…!』

 『あぁもう強情なんだから!』

 

 職業意識が高過ぎるのも困ったもんだとフォアルデンは思いつつ、見捨てるつもりはない彼女はフォローすべく動き出す。

 

 『レーベンさん!あの円盤の上に登ってブースターとか壊してください!アルフィミィさんはその支援!』

 『AWOOOOOO!』

 『わかりましたですのー。』

 

 野獣系ゴスロリ幼女と不思議系露出幼女のコンビがリーダーを助けるべく、巨大円盤の上面目指して跳躍と飛翔で向かう。

 一方、フォアルデンはこれからする事には邪魔となる二人をさくっと追い出したのを確認してから、昼間に連絡先を交換していたヤザンへと通信を繋げる。

 

 『ヤザンさーん、そっち終わったのならこっち手伝ってくださーい!』

 『分かった!何すりゃ良い!?』

 『あの円盤の真下にエヴァと特機配置して、押し返して下さい。』

 『はぁ!?』

 

 助けるのは予定通りだったが、内容が余りに無茶だった。

 

 『ジガンスクードなら兎も角、グラビリオンにゃそんな出力は無いぞ!』

 『大丈夫です。あの円盤がそのまんま地表に叩き付けられるのが問題なんで、そっと下す分には被害も限定的ですから!』

 『…ちょっと待ってろ。』

 

 言って、ヤザンは素早く通信をNERV本部に繋げる。

 一応エヴァ初号機の指揮権限はNERVのものであり、こんな殆ど博打な作戦に参加させるには問題があったからだ。

 

 『NERV本部、聞こえてるか!?あのデカい円盤、落ちたら被害はどん位だ!』

 『概算だけど、ジオフロントから空が見える程度の被害は出るわね。』

 

 赤城リツコが平然とそんな事を宣う。

 ジオフロントが剥き出しになる様な事態よりはマシとは言え、それでも無視できない大損害だった。

 

 『…あれを芦ノ湖か森林部に落とした場合は?』

 『それなら被害は限定的ね。0じゃないけど大分助かるわ。』

 『そのための作戦にエヴァを投入するのは有りか?』

 『構いません。許可します。』

 『良いの、葛城作戦部長?』

 『このままじゃ今後の使徒迎撃に問題が出ます。』

 『よし、あの円盤は間も無くあの不明機達によって推進系が全て破壊される。そしたらあの歯茎艦が都市外に押し出し始める。初号機とこっちのロック1と2には完全に外に押し出すまで真下に待機。もし落ちてきたらDFとATフィールドで押し上げて少しでも地上の被害を抑えてもらう。』

 『…色々言いたいけど、現状それしかないわね。良し、NERV作戦部長の権限で許可します。やってみせてください、ゲーブル少佐。』

 

 ミサトのその言葉を切っ掛けに、第二新東京市の戦闘は最終段階へと移行していくのだった。

 

 (ゲーブル少佐、あの不明勢力と何か繋がりがある?調べる必要があるわね。)

 (あの不明機、興味深いわね。生体系みたいだし、今後のためにも一度よく調べてみたいわ。)

 (ったく、今日じゃなけりゃあどうとでもしてみせたんだがなぁ。)

 

 ミサトとリツコ、ヤザンの内に火種を抱えたままに。




次で十傑集は最後の予定。
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